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「仁王」、ディレクター安田氏が未公開デモと製品版の構想を語る
「DARK SOULS」はチーム全体がファン! ストーリー内容も明らかに
2016年6月17日 14:14
コーエーテクモゲームスが、2016年冬に発売を予定しているプレイステーション 4用ダーク戦国アクションRPG「仁王」。4月末から5月にかけて配信された「α体験版」に引き続き、8月には「β体験版」の配信が予定されている。
E3 2016では、配信に先立ってβ体験版と同等の試遊台が置かれていたほか、ディレクターを務める安田文彦氏によって新たなデモプレイも披露された。本稿では、この新たなロケーションや安田氏が語ってくれた製品版の構想についてご紹介したい。
九州地方の中津、「温泉」もある洞窟ステージを披露
まずβ体験版であるが、α体験版のプレーヤーからのフィードバックをもとに、操作感やUI、カメラの挙動などが大幅に改善されている。最も大事なのはチュートリアルモード「修行場」の追加で、基本操作から特徴的な「残心」システムまで学んでからステージに挑むことができる。
β体験版はα体験版と同じステージを進んでいくことになるが、安田氏が披露してくれたのは、九州地方の中津にある洞窟というまったく新しいステージ。山間では空から光が差し込んでおり、終始暗かった体験版とはまた違った、明るいステージも登場するようだ。
このデモでは登場する武器種も追加されていて、両手に剣を持つ二刀や、飛び道具には銃も見られた。二刀は日本刀よりも手数が多いのが特徴で、竜巻を起こすような技も出せる。銃は弓矢よりも威力が強いが、音が大きいので周囲に気付かれやすいというデメリットもある。なお武器種が増えた分ショートカットのアイテムスロットが追加されており、メニュー画面を開く手間が軽減されている。
さて洞窟だが、内部には敵の兵士、また妖怪の類がわんさかと待っている。物陰から襲ってくる敵はもちろんのこと、素直に進むと複数の敵を相手にしなくてはならない場合もあって、体験版と同様にまずはマップと敵の位置の把握が大事になるようだ。また内部の入り組んだ構造の先に「社」が置かれていることもあり、しっかりとした探索も攻略に繋がる。
また特徴的なところとして、温泉のような回復ポイントも登場した。ここでアクションを起こすとウィリアムが裸になって湯に浸かり、体力が回復する。湯から出た後もしばらくは徐々に体力が回復する効果が続いており、各温泉の“効能”的なメリットもあるようだ。
このマップのクライマックスは、奥に待ち構えるボス「飛縁魔(ひえんま)」との戦闘。「飛縁魔」は女性の姿をした妖怪で、素早い動きで翻弄し、空中からも攻撃をしてくる。「男を誘惑して命を奪う」という言い伝えから、ウィリアムを掴み、体力を奪う攻撃も仕掛けてくる。この「飛縁魔」がβ体験版で登場するかは未定だそうだが、実際の対戦が楽しみだ。
ストーリーは「侍としての成長」が描かれていくものに
デモプレイの紹介に引き続き、安田氏に現在の開発状況なども伺うことができた。
まずα体験版の反応については、世界で概ね好評だったが、日本やアジアでは難易度に関して難しすぎるという意見も多かったという。一方で北米、欧州ではこの点も好評な結果が出ている。
これらのフィードバックは公式サイトに公開されているが、この結果については安田氏は「北米・欧州でも不親切さに関してはアジア地域と同等くらいに嫌がるが、そこから先の、自分で見つけて攻略していく忍耐強さがあるのではないか」と分析していた。
また「戦国死にげー」というゲームシステムとダークな世界観から、「DARK SOULS」シリーズと比較されることは避けられないと思うがと話を振ると、「海外メディアからも絶対に聞かれる質問(笑)」と笑いながらも、Team NINJA全体、特にチームリーダーの早矢仕洋介氏(安田氏と共に本作のディレクターを務める)が「DARK SOULS」シリーズの大ファンなのだと明かしてくれた。
Team NINJAとしてはアクションRPGは初挑戦であり、「DARK SOULS」シリーズだけでなく、それぞれファンである「Bloodborne」、「鬼武者」シリーズ、そして「ディアブロ」シリーズなどのエッセンスも採り入れているという。
「好きなゲームの良い所取り」である一方で、死を恐れない侍が死にながらも強くなっていくという精神的な部分、また独自の刀を使ったアクションは他にはない部分であり、そこが本作ならではの魅力であると語った。
なおまだすべてが明かされていないストーリーであるが、これは実在の人物でもあるウィリアム(三浦按針)が日本を巡りながら、歴史上の人物と出会っていくものになるという。
体験版ではウィリアムは最初から見事な剣術が使えていたが、実際にはウィリアムが侍として成長していくに連れて、徐々に剣術アクションの幅が増えていくようになる。日本を巡るうちには様々な剣術の流派の師匠とも出会い、その流派を習得していくことになるそうだ。
ゲームのボリュームだが、しっかりとしたストーリーがあり、また何度も死を繰り返すことから、プレイ時間は少なくとも30時間から40時間くらいになるのでは、とした。
現在の開発状況は6、7割程度だそうだが、2016年中には発売する予定で開発が進められている。8月配信予定のβ体験版のフィードバックからまた調整を行なう予定でいるそうで、まずはβ体験版の配信を楽しみに待ちたい。
なおゼネラルプロデューサーとしてクレジットされているシブサワ・コウことコーエーテクモゲームス代表取締役会長の襟川陽一氏だが、社内で「1番やっているんじゃないか」というほどやり込んでおり、会うとニコニコしながら「死んだよ!」と声をかけてくれるそうだ。襟川氏の10年越しの企画がようやく実を結びそうということで、その内容にぜひ期待したい。