インタビュー

最大のこだわりは「対馬の風景」と「侍アクション」! 「Ghost of Tsushima」インタビュー

白黒モードでは斬撃音が変わる! “プレイする侍映画”をさらに強化

7月17日 発売予定

価格:
6,900円(税別、パッケージ版)
7,590円(税込、DL通常版)
8,690円(税込、デジタルデラックスエディション)

 先日約18分のゲームプレイデモが公開され、発売日の7月17日がいよいよ迫りつつあるプレイステーション 4「Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)」。今回、開発元のSucker Punch Productionsより、本作のアート/クリエイティブ・ディレクターを務めるJason Connell氏に話を聞くことができた。

Sucker Punch Productions「Ghost of Tsushima」アート/クリエイティブ・ディレクターのJason Connell氏
【『Ghost of Tsushima』ストーリートレーラー】
【Ghost of Tsushima - State of Play PS4】

舞台は「対馬全体」。フィクションも加えて「景色が似ていないオープンワールド」を目指す

 「Ghost of Tsushima」最大の魅力は侍になりきってゲームをプレイできることにあるが、中でも「対馬のロケーション」と「侍の動き」については特にこだわっているという。

 侍の世界に入り込むために、その土台となる背景をしっかりと作る。ロケーションにリアリティを与えるために、実際に対馬の地を訪れ、写真も多く撮影するなど取材を重ねていった。侍世界における舞台の“らしさ”を生み出すために十分注意を払ったそうだ。

 また「動き」は、つまり侍のアクションのこと。侍が侍らしいのは、「動きの正確さと、動きの中にある静寂さにある」とConnell氏は感じている。動きとタイミングの両方を意識することで、侍らしさを作っていった。

 ゲーム中、ガイドとなる「風」の表現については、蒙古を壊滅させる要因となった台風、いわゆる“神風”の伝承に影響を受けている。この伝承が開発チームの中で印象に残っていて、そこから「風が導いてくれる、守ってくれる」というイメージが生まれていった。

 加えて、「風」は時代劇の影響もある。特に黒澤明監督の映画は画面が常に動いており、その動きのひとつに風が使われている。侍映画には強い風が吹く。そのイメージもあり、「『Ghost of Tsushima』には風がふさわしい」と決まった。

 ガイドという点では、プレイデモに登場した狐や鳥もいる。これは、故郷である対馬を守るために奮闘する主人公・境井仁を、生まれたときから親しんできた自然が手助けしてくれるような表現になっているという。

 「Ghost of Tsushima」は対馬が舞台であり、島全体がプレイ範囲。形は同じであるものの、実際の対馬の風景を再現しようとすると森や山が多くなりすぎてゲームとしては面白くなくなるため、本来は何もない場所に街を設置するなどして飽きさせないような「フィクション」は加えている。

 地域には雪山があり、沼地があり、生えている木が変わるほか、天候の傾向も変わる。地域それぞれの個性も加えることで、「景色が似ていないオープンワールド」を目指した。そうした創作も多い一方で、実際の地名を使っている場所もある。そこでは「何かが起こる」そうだ。

仁の葛藤は大きなテーマ。時代劇モードでは斬撃音が変わる!

 本作での戦い方は、正面から敵と相対する「侍」のスタイル、搦め手を使って敵を背後から襲う「冥人(くろうど)」のスタイルの2種類がある。本作の特徴は、「冥人」の方法が「卑怯であり邪道」とされていることだ。

 名誉ある侍として育てられた仁は、圧倒的な蒙古の軍勢を倒すために「冥人」の道を選ぶ。しかし、その選択は家族や仲間から忌み嫌われる。何が何でも対馬を救いたい仁の思いと、侍としての道をまっとうしてほしい周りからのプレッシャーに挟まれながら、仁は苦悩する。この葛藤は、本作の大きなテーマとなっている。

 どんな手段で戦ったとしてもストーリーラインに変化はないというが、攻略法はプレーヤーに任されている。冥人の技を得たとしても侍の技が消えるわけではなく、むしろ両方を組み合わせて戦うことができる。どんな戦闘スタイルを貫くかは、プレーヤー次第というわけだ。

 プレイデモで見られた戦闘では、敵との睨み合いから一閃する場面があった。これは、フィールド上ではどこでも可能。いわゆる一騎討ち的な要素だが、本作にはもっと本格的に1対1で決闘する場面もある。そのひとつが、E3 2018トレーラーで見られたマサコとの戦いだ。こうした決闘は、ストーリー上の展開としてプレイすることになる。

 仁が持つ刀については、境井家に伝わる特別なものになるため「違う刀に持ち替える」といった武器変更の要素はない。その代わり、刀の刃文や鞘、鍔はカスタマイズできる。

 なお、刀を振る音はリアルな音ではなく、時代劇を参考にして加工したものになっている。画面が白黒になる時代劇モードでは、刀を振る音がさらに変化して、黒澤明映画のような味わいがさらに色濃くなるという。

 聞けば聞くほど、侍映画への思い入れと作り込みのこだわりの深さにもっと質問を重ねたいと思ったが、残念ながらここでインタビュー時間の終わりが来てしまった。期待が高まる一方の本作、その発売を楽しみに待ちたい。

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