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韓国GameHi、ソウルで次期新作発表会を開催
4つの自社タイトルと2つのパブリッシングで目指す世界戦略

9月23日 開催

会場:ソウル JWマリオットホテル

 韓国GameHiは9月23日、ソウルにあるJWマリオットホテルにて「GameHi次期新作発表会」を開催した。GameHiはオンラインFPS「サドンアタック」やMMORPG「デカロン」を開発・運営するオンラインゲームメーカーである。日本では、子会社のゲームヤロウを設立し、「サドンアタック」、「デカロン」といったタイトルを展開している。

 特に「サドンアタック」は韓国のオンラインFPSとして1番の人気を誇り、日本でも高い人気を獲得している。その好調さを象徴するかのように、今回、4本の自社開発タイトルと、2本のパブリッシングタイトルを発表した。GameHiが自社開発ではなくパブリッシングを始めるのは今回が初となる。

 本稿は発表会の様子と、日本でも展開を予定しているメカニックをテーマとしたオンラインアクションゲーム「METALRAGE(メタルレージ)(仮称)」(以下、「METALRAGE」)、そしてムービーの出展のみだった、パブリッシングタイトルの「カルカス オンライン」、「プロジェクトD」を紹介する。

 残り3つの自社開発タイトル、「プロジェクトL」、「プロジェクトE」、「プロジェクトA」は別稿で紹介する。


■ メカをテーマに、低年齢に、よりハードに……様々なジャンルを網羅するGameHiのラインナップ

GameHi会長のキム・ゴンイル氏。最初に挨拶し、今後の意気込みを語った
「プロジェクトD」パブリッシングの調印を行なうキム会長とデベロッパーのアトミック・スタジオ代表ペ・ジョンヒョク氏
発表会の後のインタビューに同席したGameHi韓国内事業部取締役ユン・チャンヨル氏。現在開発スタッフは390名を越えていることや、サーバープログラムなどで共用できる部分は効率化を図っているなど、GameHiの取り組みを語った
 発表会が行なわれたJWマリオットホテルのホールは、たくさんのテーブルが並べられた広い会場で、韓国CJ InternetやGoogle Koreaなど様々な企業から400名近くの招待者が来場していた。韓国メディアも多く、華やかな雰囲気だった。「デカロン」や「サドンアタック」のコスチュームを韓国で有名なレースクイーンがまとうなど、GameHiのイベントへの力の入れようが感じられる。

 「デカロン」と「サドンアタック」をミックスさせたムービーが流された後、ステージにコスチュームを身にまとったレースクイーンと電子ヴァイオリンを手にした美女が登場。「ゲームキャラクターズ スペシャルパフォーマンス」として、「デカロン」と「サドンアタック」のメインテーマを力強く演奏した。

 パフォーマンスの後、GameHi会長のキム・ゴンイル氏が壇上に上がり挨拶した。キム会長は「本日は次期作を発表しながら、GameHiのビジョンを伝えようと思います。私達は今まで『デカロン』や『サドンアタック』をサービスしてきて、開発者たちの意思を込めてきましたが、これからはもっと世界で愛されるゲームをお見せできるように最善を尽くします」と語った。

 「次期新作発表会」のトップを飾ったのは、ロボットが活躍するオンラインTPSの「METALRAGE」。最初にムービーが流され、「METALRAGE」のプロダクトマネージャーであるキム・テフン氏がゲームの特徴を語った。

 この後、教育要素を持たせた低年齢向けオンライン横スクロールアクションゲーム「プロジェクトL」をプロダクトマネージャーであるカン・ドンジュ氏が、シナリオ要素を重視したハードなイメージのオンラインTPS「プロジェクトE」を企画チーム長のキム・チョンヨン氏が紹介した。

 続いて、非常に短いムービーでMMORPGの「プロジェクトA」が紹介され、GameHi初めてのパブリッシングタイトル「カルカス オンライン」、「プロジェクトD」のムービーと、各デベロッパーとの調印式が行なわれた。

 「カルカス オンライン」は斜め見下ろし型の、ファンタジーアクションMMORPG。ムービーでは、華麗な女戦士や屈強な男達が自分の体の何倍もあるような奇怪なクリーチャーに華麗な斬撃を加えていた。敵のデザインをふくめ、かなりハードな世界観のようだ。

 悪魔に侵略された王国がゲームの舞台となり、クエストによるストーリー、アクション要素と爽快感を重視した戦闘システムなどがセールスポイントだが、最大の特徴はユーザーがマップを作ってゲームに適用できる「ワールドメイキングシステム」だという。今回はムービーの出展のみで詳細は不明だが、今後が楽しみな要素だ。

 「プロジェクトD」は小さいながらも、3Dで描かれたキャラクタが格闘ゲームさながらのリアルなモーションで敵をなぎ倒す、横スクロールタイプのオンラインアクションRPG。敵を真上に蹴り上げてさらに打撃を加えるなど、ムービーからは格闘の爽快感を強調していることが伺える。

 必殺技を加えるとキャラクタの顔がカットインされ、画面が一瞬真っ暗になった後、キャラクタの姿が輝く。細身の男性、鋭利な刀を使う女性、片腕が機械となった屈強な男性キャラクタの姿が確認できた。敵は人間の他、ゾンビや、犬なども見られ、多彩なステージが登場しそうだ。PvP要素では、駆け引きも楽しめるという。

 自社タイトル4つと、パブリッシングタイトル2つの紹介で、発表会は終了した。発表会の後、日本メディアの合同インタビューでキム会長は「数年前から自社開発を続けたコンテンツが、いまや世界進出を果たせました。しかし、ユーザーのみなさんにもっともっと期待させたくて、4タイトルを一気に発表しました。今回の発表会は、開発者達自身に市場の期待を肌で感じてもらうことも目的にしています」と語った。

 各タイトルのスケジュールに関しては、「METALRAGE」の韓国でのクローズドβテストを12月、次に「プロジェクトL」を進め、その後、他のタイトルも進めていく予定だという。「METALRAGE」は開発当初、日本で先行サービスをしたいと思っていたそうだが、テスト環境やバランスを考慮して韓国でのサービスを先行すると判断したという。日本では来年の夏までには展開しようと考えているそうだ。

 「METALRAGE」は日本のユーザーを重視しているタイトルで、これまでの韓国のオンラインゲームとは違うものを目指している。メカの表現、やりこみも楽しめる深さが感じられるゲーム性を目指しているという。最終的には日本でも今回発表した全てのタイトルをサービスすることを目指すとしているが、「METALRAGE」を来年の夏までに、という以外は未定だ。しかし、キム会長は日本市場にも強い期待を抱いており、「5年後にはGameHiの売り上げを日本のゲームヤロウが抜くかもしれない」とまで考えているという。

 新しくパブリッシングを始めることに関しては、キム会長はGameHiをゲームポータルとして成長させたいと考えており、パブリッシングタイトルは自社でカバーできないジャンルを補うために行なうためだと語った。また、チャンスを求める開発者に活躍の場を与えたいという思いも強かったという。韓国では新しいデベロッパーが次々と生まれている。今後もパブリッシングタイトルは増やしていきたいとしている。

 自社タイトルも様々なジャンルに広げるために努力している。「プロジェクトL」はハードコアよりのこれまでのタイトルとは全く違い、15歳以下のユーザーを対象としている。教育的な内容を盛り込む新しいゲーム像を目指しているという。

 キム会長は様々なジャンルをカバーするラインナップを揃えつつ、世界へ進出していく想いを語った。

 「日本やアメリカはコンシューマゲームが確固たる市場を築いていますが、私達はオンラインゲームというジャンルで新しい市場を確立していきたい。このマーケットはまだまだ大きくなっていくと思っています。パブリッシングタイトルとして、日本や欧米の会社ともパートナーを組めればと思っています。オンラインゲーム市場は、これから3~5年で10兆円規模になるのではないかと考えています。私達はこの市場で1%に達する成績を収めたい。Blizzardは『WoW』は1タイトルで成し遂げていますが、私達は20タイトルで実現したい。これからのゲームヤロウに注目してください」。

 発表会からは、「サドンアタック」、「デカロン」の2つのタイトルで成功を収めているGameHiの「次の一手」に対する期待の強さが伝わってきた。紹介されたタイトルも切り口がユニークで、ユーザー達にどう評価されるか注目したい。個人的には、メカをテーマにした「METALRAGE」が特に気になる。日本での展開も含めて期待したいところだ。

「METALRAGE」のプロダクトマネージャーであるキム・テフン氏 「プロジェクトL」のプロダクトマネージャーであるカン・ドンジュ氏 「プロジェクトE」の企画チーム長キム・チョンヨン氏
「デカロン」、「サドンアタック」のコスチュームをまとうレースクイーン達や、電子ヴァイオリンでのテーマ曲の演奏など、GameHiの企業イメージを強く印象づけたパフォーマンス

■ 8つの異なるメカで戦う「METALRAGE」。対戦をメインとしながら将来はPvEを実装

自身もメカ好きであるという「METALRAGE」プロダクトマネージャー、キム・テフン氏。メカならではの対戦を模索中だという
強襲型機体のイラスト。ゼロ距離の射撃で敵を撃破するシーンも
整備支援型の機体。仲間にこの機体がいるだけで戦い方は大きく変わってくるだろう
 「METALRAGE」はメカニックに乗り込み激しくぶつかり合う戦いを描くオンラインシューティングで、韓国では2008年末にクローズドβテストを予定している。発表会の内容と、「METALRAGE」のプロダクトマネージャーであるキム・テフン氏のインタビューで見えてきたゲームの特徴をお伝えしたい。

 「METALRAGE」が現在最も注力しているのが「対戦の楽しさ」だという。プレーヤーは8種類の特徴の異なる機体を使いこなし、戦うこととなる。操作はキーボートとマウスで行なうFPS方式で、ジャンプやブースターによる短時間の飛行も可能だという。メカは地面を滑走する力があり、スピーディーな移動と、強力な武器による攻撃能力を持っている。

 8種類の内訳は、スピーディーな行動が可能な「軽量型」、近接型火力に優れた「強襲型」、大口径の砲やミサイルを使う「超重型」、遠距離から精密射撃を行なう「長距離支援型」、他の機体を修理する「整備支援型」、投擲武器や地雷を使用する「工兵型」、高い索敵能力で味方を有利に導く「諜報偵察型」、鈍重だが曲射砲やガトリングガンを使う「分隊支援型」となっている。

 プレーヤーはこの8つの機体から4つを選び、戦場に参加する。倒された後の再出場の際に、他の機体にチェンジできるという。各機体は武器の選択肢はあるが、パーツで他の役割を持たせるといったことはせず、異なる機体を役割に応じて使う、というスタイルで開発が進められているという。

 プレイし続けていくことで階級が上がり、パーツの選択肢などが増えるが、成長したプレーヤーは初心者が勝てない相手ではなく、プレーヤーの腕とセンスが重視されており、「サドンアタック」などのアクション性重視のゲーム性となる。MMOロビーは用意されるが、ゲームとしてはMMOではなく、ミッションや対戦は部屋を作り他プレーヤーを募る形となる。最大16対16の対戦が可能だ。

 現在はプレーヤー同士の対戦のみだが、将来的にはAIを持つ敵キャラクタを登場させ、PvEも楽しめるようにしていくという。防衛戦、攻撃戦など様々なシチュエーションを用意し、地形や戦術に対応したAIを用意し、モンスターや敵メカニックに仲間を募って立ち向かうようなゲームを実現させたいとしている。

 この他に、1人で様々なミッションをこなすシングルプレイモードも開発中で、実装時期としてはオープンβ後を予定している。まずは対戦を楽しくしようという方向で開発が進められているという。アイデアベースでは、水中や、空中での戦いも検討しているそうだ。

 ムービーでは各スタイルの戦い方を見られた。工兵型は地雷を埋めるだけでなく、設置型のバリアを張って他プレーヤーの隠れ場所を作っていた。整備支援型は修理に加え、その場に残り敵を自動攻撃する砲台を設置する能力があった。軽量型はスピードを生かし戦場を駆け回り、強襲型は敵に密着するほど近づき銃弾の雨を浴びせ撃破するだけでなく、火炎放射で敵に連続ダメージを与えていた。

 最後に少しだけ登場したのが、プレーヤー達のメカニックの何倍もある巨大な多脚型兵器。強力な攻撃を下に向かって続けるその巨大兵器はすごい迫力だが、ムービーでのプレーヤーは恐れることなく突っ込み敵の足下から攻撃を加えていた。シングルプレイやPvEならばこういった戦いを体験できるのだろうか。

 プロダクトマネージャーのキム氏は日本のユーザーへのメッセージとして、「私はメカが好きで、『アーマード・コア』などメカを扱ったゲームも好きです。日本にはメカが好きな方が多いと思います。『METALRAGE』は私達スタッフがメカに対する思いを込めて作っています。是非プレイしてメカへの思いを感じてください」と語った。

【METALRAGE】
「METALRAGE」のムービーからのスクリーンショット。機体の特性を活かしたシーンが続く。最後には巨大兵器との対峙が描かれる。シングルプレイのAIには力を入れるそうだ。どんなゲームになるか期待したい

【カルカス オンライン】
ダークな雰囲気を持ったファンタジーアクションMMORPG「カルカス オンライン」。様々な状況での戦いが楽しめそうだ。GameHi初のパブリッシングタイトルとして運営にも注目したい

【プロジェクトD】
日本の格闘ゲームの影響が感じられる「プロジェクトD」。キャラクタの動きがなめらかで、アクションの“感触”にも期待したいところだ


□GameHiのホームページ
http://www.gamehi.net/
□ゲームヤロウのホームページ
http://redbanana.jp/
□関連情報
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http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080304/korea_22.htm

(2008年9月24日)

[Reported by 勝田哲也 / Dong Soo “Luie” Han]



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