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ビジュアル・ファースト、オンラインゲーム「Soundness」の発表会を開催
犬と共に暮らし、ショッピングが楽しめるリアル系仮想世界

6月27日開催

 株式会社ビジュアル・ファーストは、6月27日、都内にてオンラインゲーム「Soundness」の記者発表会を開催した。「Soundness」のサービススケジュールは、本日よりパートナー向けのクローズドテストを開始し、7月27日より正式サービス開始予定としている。ビジネスモデルは、基本プレイ無料のアイテム課金制をベースに、Eコマースによるロイヤリティ収入やゲーム内広告の掲示などで収益を挙げるとしている。


■ 子犬の飼育を通じて和やかな仮想空間を提供する「Soundness」

プレゼンを行なうビジュアル・ファースト代表取締役社長渡部浩氏。熱意たっぷりに「Soundness」の事業構想を語った
犬と共に暮らす和やかな仮想空間。「Soundness」の基本コンセプトは非常に明快だ
Eコマースのイメージ画面。オンラインゲームに、Eコマースが正々堂々と導入される初のケースだ
 「Soundness」は、昨今、オンラインゲーム市場の枠を越えて話題になりつつある「Second Life」と似た、リアリティと社会性を重視した仮想空間を提供するタイプのオンラインゲーム。

 一応、オンラインゲームというカテゴリになっているが、ボイスチャットやEコマースを利用したショッピングなど、ゲームプレイを目的としないビジュアルロビー的な付き合い方も可能で、年々インターネットへの接続率が増えつつあるF1の女性(20~34歳)や高年齢層など、非ゲーマー層をメインターゲットにした製品だ。

 「Soundness」の軸としては2つ用意されており、1つは自分だけの家でペット犬と共に暮らし、時には犬に鎧を着せ、ボウガンや魔法を駆使して共にダンジョンを探索するような、リアリティとファンタジー性をミックスさせたバーチャル空間ならではのドッグライフ。もうひとつは、1.2km四方にも及ぶ広大な街「プラナスシティ」でのEコマースとなっている。

 “犬との冒険”に関してはまだコンセプトレベルなため、詳細は不明だが、犬のブリーディングに関しては、特に力が入れられており、構想としては、180犬種に対して異なるAIを導入し、自由にブリーディングして増やすことができる。犬は最大12匹まで所持でき、5匹まで同時に連れ歩くことができる。新しい犬は、お店で買うのではなく、他のキャラクタから貰うという形を取る。「Soundness」の1日は、現実世界の8時間に相当し、現実世界同様にこまめにふれあい、しつけを行ない、餌をあげたりして、自分だけのドッグライフを楽しむことができる。

 また、犬の飼育は飼手の「モラル」が大事ということで、昨年施行された「動物愛護管理法」をそのままゲーム世界にも適用し、虐待や遺棄などこれに違反する行為をした場合は、キャラクタの「モラル度」が低下し、累積値によっては行動できなくなるなどのペナルティが課せられる。

 Eコマースについては、厳密には「Soundness」とは別のサービスとなっており、利用希望者は改めてユーザー登録を行なう必要がある。購入方法は、出展している店に入り、商品をクリックして内容を確認しながら、購入する商品を決めていく。リアリティのあるショッピングを実現するために、ボイスチャットに標準対応し、この間、店員にボイスチャットで話しかけて不明な部分を質問したり、友人に相談したりすることができる。Eコマースについてはまだコンセプトレベルであり、何が販売されるのか等は未定とのことだが、実現すれば非常にユニークなショッピングスタイルとなりそうだ。

【プラナスシティ】
プラナスシティは、1.2km四方の広々とした空間の中に、ブリーダー同士がお喋りするための空間や、バーチャルショップ、ドッグスポーツを楽しむためのエリア、そしてマイホームが用意されている。マイホームは、プライベートエリアになるようだ


■ 世界を股に掛けたドッグスポーツ世界大会など壮大な事業構想

「Soundness」の開発構想。「ドッグスポーツ」、猟銃、猟犬による「ハンティング」はわかりやすいが、「ダンジョンシステム」は謎である。基本的には、MMORPGのように犬と共に戦うクエストコンテンツになるようだ
今後のアップデートスケジュール。ドッグスポーツとEコマースは10月実装予定。ダンジョンが定期的に追加されるようだ
 ゲームの開発を担当するビジュアル・ファーストは、2005年の7月に設立され、会計ソフトや流通ソフトの開発販売を目的とした和歌山のソフトウェアメーカーで、ゲームの開発も今回が初めてだ。2代目の代表取締役社長となる渡部氏は、大手ゲームメーカーの出身で、そこで得た経験や人脈が今回のプロジェクトに活かされている。

 ネットワークエンジンは、スクウェア・エニックスの子会社コミュニティエンジンのVCE(Virtual Community Engine)を採用し、Eコマース部分のビジネスに関しては大手広告代理店のアサツーディ・ケイグループのADK BOYSに一任し、ビジュアル・ファーストはゲーム開発と運営に専念する。

 運営については、業務提携やゲームポータルを貸すチャネル提携を含め、すでに複数のメーカーから打診が来ているというが、独立系として自社単独で運営を行なう方針。Eコマースショップについては、アサツーディ・ケイの子会社ADK BOYSと、ゲーム内広告専門メーカーであるアドバゲーミングの2店舗からスタートする。すでに交渉中のメーカーも多数だということで、順次店舗数も増えていくようだ。

 発表会では、ビジュアル・ファースト代表取締役社長の渡部浩氏自ら「Soundness」のプレゼンテーションを行なった。まず、ドッグライフをゲームの大きな柱に据えたことについては、同社が3年前から市場調査を行ない、アンケート結果から割り出した結論だという。渡部氏自身がキャリア15年という筋金入りのブリーダーであることが披露され、子犬の飼育を通じて「遊び」、「癒し」、そして「冒険」という3つの楽しみを提供していきたいと抱負が述べられた。

 「Soundness」の事業構想はまさに気宇壮大で、無数のオンラインゲームを見てきた業界関係者もいささか毒気を抜かれたような格好となった。まず、会員見込みは初年度で10万人、2009年中に100万人。海外展開は、米国、英国を皮切りに、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア、オーストラリア、カナダ、中国、韓国への展開を目指す。そして、各国でブリーダーを育て、現実世界のようにドッグスポーツをゲーム内で流行らせ、果ては横浜アリーナのような大きな会場を使ってドッグスポーツの世界大会を開催するという構想まで披露された。

 実際の開発状況はというと、まだプロトタイプレベルで、発表会で行なわれたデモンストレーションでは、誰もいない仮想空間を移動し、Eコマース用のショップや憩いの場となるカフェ、そして三菱やコスモ石油、ペンタックスなどのバナー広告が掲示された広場を一巡しただけだった。オンラインゲームとしての遊びの要素や、ゲームの柱である犬とのインタラクション、飼育のプロセスなどはまったく見ることができず、壮大な構想以前に、7月27日にサービスインできるのかすら予断を許さない印象である。

 ただ、子犬の飼育を軸に、社会性のあるバーチャルワールドの構築というのは、オンラインゲーム開発の発想からはなかなか生まれてこない非常に斬新なアプローチであり、構想通りに各種機能が実装されていけば、いままでにない和やかなバーチャル空間が生まれるかもしれない。今後の開発に期待したいところだ。

【イメージイラスト】
キャラクタのイメージイラスト。左上は、子犬のサンプル。右上はフリスビードッグをしているシーン。左下は猟銃を手にハンティングを行なう女性キャラクタ。右下はダンジョンに潜むモンスター。唐突すぎて紹介するこちらがとまどうほど。どのような形で登場するのだろうか

□ビジュアル・ファーストのホームページ
http://visualfirst.co.jp/
□「Soundness」の公式ページ
http://soundness.jp/

(2007年6月27日)

[Reported by 中村聖司]



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