「愛馬と生活する」を基本コンセプトに あのアーケードゲームがオンラインで復活!! ダービーオーナーズクラブオンライン |
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アーケードで好評を得た「ダービーオーナーズクラブ」は、愛馬を調教し餌を与え、時には馬の機嫌をとり信頼を得て、下は未勝利から上は名だたるG1までのレースの制覇を目指すという競走馬育成シミュレーション。同作は、シミュレーションとジャンル付けされてはいるものの、競走馬を育て、レースに出走、その結果を見守るだけというものではなく、ボタン操作によって成果が変わってくる調教や、ムチ入れを自分の手で行なうことでレース展開を操作できるジョッキー的な要素の存在など、プレーヤーの操作次第で結果が変わってくるアクション要素が盛り込まれているのが特徴的であった。
さらにデータの保存方式に、現在も同社の「Quest of D」や「ワールドクラブチャンピオンフットボール」などに使われている「トレーディングカード方式」が搭載された最初の筐体でもある。自分が育てている競走馬の育成データなどは競走馬カードとして手元に残るため、どこに設置されている筐体でも自分の競走馬を使用することができるというのは新しいスタイルであった。また、現役を引退した馬のカードは配合の際に種馬として使用することができたのもカードの存在意義が強調されていた部分だ。
アーケードではこのような特徴的なシステムの搭載やギミックによって、新しい楽しさを提供してきた「ダービーオーナーズクラブ」だが、この作品がどのように形を変え、PC用のオンラインゲームとして登場するのか気になるところだろう。MMOの要素が盛り込まれ、より深く競走馬ともに暮らし、育てていくという体験を味わえるようになった「DOCオンライン」の魅力をさっそくお伝えしていこう。
■ 馬による馬のための島「オーナーズアイランド」は南国リゾート風味
島には様々な施設がある。写真はレースの出走登録を行なうレース登録所 |
オーナーズアイランドにはたくさんの住民が生活をしていて、お店も豊富に存在している。また船着場にはクルーザーが停泊しており、巨大なフェリーの姿も見られる。島全体の雰囲気はさながら南国の観光地のようになっている。
この島には競走馬用の練習場もあれば、現実さながら、というか現実の競馬そのままのレースが開催されている競馬場まで存在する。馬用の医療施設もあれば、森林馬道という馬をリラックスさせる施設まで存在する。ちなみに島の住民が経営しているお店も、馬用のグッズを扱っているお店がほとんど。島全体が馬による馬のための世界になっており、サラブレッドオーナーが集うに相応しい場所になっているのだ。
一体この島のストーリーや背景はどうなっているのかと気になるところだが、島の情報課課長というNPCに話かけてみると、「私たちがスパイ活動を行なっているですって? ハッハッハ、私たちは強い馬の情報がほしいだけなんですよ。強い馬のね。」という意味深な会話が展開される。だが、踏み込んだストーリーなど肝心な部分は煙にまかれてしまい何もわからない。まさに謎の島である。
地図の中心部には様々なアイテムを取り扱うショップがある。馬に与える餌を扱っているお店をはじめ、服の仕立屋や、美容院なんていうものまで存在する。また、写真右は馬の怪我を治療できる治療院 |
■ 我が家の愛馬はボケ体質!? 愛馬はオーナーとどこまでも一緒
プレーヤーは常に愛馬を連れてフィールドを移動する。写真のように騎乗することも可能だ |
すべての設定が決定すると、いよいよオーナーズアイランドに降り立つことになる。フィールド画面はMMORPGでよく見られるクォータービューになっていて、マウス操作でキャラクタの移動を行なうことができる。
同作の異色なところは、自分の愛馬と一緒に街を歩き回れるという点。オーナーズアイランドにいるユーザー達は、それぞれ自分の馬を連れて街を歩いている。さらに連れている馬に乗って移動することも可能で、南国風の観光地をパカラッパカラッと馬に乗って駆けていくという不思議な体験ができるゲームになっている。
馬はただ黙って一緒にいるだけではない。馬の手入れや餌やり、スキンシップなどはこのフィールド上で直に行なうことになる。自分から愛馬に対して手入れなどの行動を行なう事も可能だが、歩いていると突然「コンゴトモヨロシクはお腹が減っていらだっています」といった具合にログに表示されて行動を求められることもある。馬に対する様々な行動は、効果音とともに画面に表示されるのだが、自分だけではなく、他のプレーヤーのふれあいの様子も眺めることができる。フィールド上で立ち止まって餌をあげたり、手入れを行なったりしているプレーヤーを見かけると、「みんな自分の馬をかわいがっているなー」と微笑ましくなるところだ。
ちなみに、馬からの要求はかなりユニークなものも用意されている。筆者の愛馬コンゴトモヨロシクは天性のボケ体質だそうで、「ツッコミを入れてほしそうにしています」とログに表示されたことがあった。馬にツッコミを入れるってどうなっているんだこのゲームは? と一瞬脳裏をよぎったが、メニューの「世話をする」から「ふれあい」を選択すると、「ツッコむ」という項目があるので驚いた。早速愛馬にツッコミをいれてみると、愛馬コンゴトモヨロシクがジェスチャーでコミカルにボケているところにプレーヤーのツッコミが炸裂! その結果、愛馬の芸人魂は満たされたようで、オーナーとの信頼度というパラメーターが上昇した。
ここまで紹介した要素を見ると、従来のシリーズのファンは戸惑ってしまうかもしれないが、セガらしいユーモアのある味付けというかテイストが随所にちりばめられており、小難しく考えずに楽しんでしまうのがよさそうだ。
馬とのスキンシップは豊富に用意されている。かわいい愛馬に求められればツッコミを入れるし、チュウだってしちゃうのがオーナーたるものの務めだ |
■ サラブレッドを育てるのもお金次第。豪邸持ちの大富豪オーナーを目指そう
馬はもちろん餌を食べる。餌は一度与えるとなくなってしまう |
島の各地には「空き地」という看板の立った土地がある。空き地を購入することで自分の家を建設することができる |
手入れ道具や餌、馬のメンコなどのアクセサリーなどをショップから購入するほか、肝心の馬の調教やレースの出走もお金を払う必要がある。サラブレッドの育成には多額の出費が必要なのだ。もちろんプレーヤーの所持金は無尽蔵に沸いて出てくるわけではないので、多くの時間をお金稼ぎに費やすことになる。
同作におけるお金稼ぎこそ、オンラインゲームならではの要素といえるが、オーナーはサラブレッドオーナーでありながら「収集系ジョブ」と「加工系ジョブ」という2タイプの職業に就くことができる。
収集系ジョブは、魚を釣る“釣り師”、鉱石などを採る“採掘者”、植物を採集する“採集家”、木を切って木材を調達する“木こり”の4種類から1つを選択することが可能。それぞれフィールドで道具を使って素材を収集し、手に入れたアイテムを売買してお金を稼ぐことになる。また、各ジョブにはそれぞれの組合のようなものが存在し、組合から要求されたアイテムを渡すことで大きな報酬をもらうことができるというクエストも用意されている。
同作では馬を育成することで、「オーナーランク」が上がる。オーナーランクが6以上になると自分の家を持てるようになる。島の空き地にはウルティマオンラインのように土地を購入して自分の家を建てることができる。
家持ちのプレーヤーは、収集した材料を使用してアイテムを作るという「加工系ジョブ」につくことができるようになる。加工系ジョブは、木工房で家具や家を作れる“大工”、仕立工房で、服や馬具、蹄鉄を作れる“仕立屋”、鍛冶工房で、鉄や採集道具を作れる“鍛冶屋”、厨房で料理(エサ)を作れる“料理人”と、収集形ジョブ同様に4種類存在する。加工を行なうには自分の家の中にそれぞれ作りたいアイテムに対応した工房を設置する必要があるが、設備投資が必要なぶん、実用的なアイテムが作成でき、より大きなお金稼ぎができるようになるというわけだ。
自分の家には、加工系ジョブに必要な工房を設置できるほか、訪れた人がアイテムを購入することができる“マイショップ”などの設置が可能だ。また家の内装にあたる壁紙や、家具などの設置も自分でコーディネートすることができるので、オーナーズアイランドで生活する、という体験を存分に味わうことができるというわけだ。
こうしたMMORPG的な要素は、従来のシリーズを楽しんできた人にとっては、少々面倒に感じてしまうところなのかもしれない。なによりも働いてお金を稼がないと馬の調教はおろか、餌を満足にあげることすらできなくなってしまうというのは、従来のシリーズ同様、どんどん馬を育成して次から次へとレースに出走したい、という人には足踏みしてしまうところだろう。
だが、筆者がプレイした感触では比較的お金稼ぎは容易に行なえるし、お金も短時間で貯まりやすいように思える。ここは愛馬のために地道に働くオーナーというロールプレイに浸り、苦労して育てるからこそ、愛馬がレースで優勝したときの喜びはとてつもなく大きな感動になるのだ、と自分に言い聞かせて楽しんでみるのがオススメだ。
各種ショップでは馬のお手入れグッズや餌のほか、家に飾れる観葉植物なども購入することができる。カボチャの値段が異様に高いがオーナーズアイランドではきっと大変貴重なのだろう |
採集・釣り・採掘の様子。仕事道具は初歩的なものであれば、ショップから無料でもらうことができる。馬のためにオーナーは一生懸命働くのだ |
■ 調教はアーケードゆずりの完成度。シンプル操作だからこそのめり込める
治療でも、調教同様にマウスを使用した操作を行なう。成功回数で治療の効果が変わってくるのだ |
体調を回復できる森林馬道のメニュー。コースによって必要なお金が異なり、多額なものほど効果は大きい |
調教で使用するコースは芝、ダート、ウッドから選択し、さらにそれぞれに単走なのか併走なのか、弱めの調教なのか強めの調教にするのかを選ぶことができる。また、毛色の違うものとして基礎という項目から坂路かコーナーという調教も選べる。これらの調教メニューはその種類によって調教を終えたときに変化するパラメーターが異なってくるので、どういうタイプのサラブレッドにしたいのかを考えて、調教メニューを選んでいこう。調教によってパラメーターが変化すると、そのときのパラメーターにあわせて“逃げ”や“先行”、“差し”や“追込”といったその馬の脚質が表示される。その脚質によってレースに出走したときの得意なレース展開などが変化していくため、脚質の変化にも気を配ろう。
調教に成功していくと、愛馬のパラメーターにある「気合」が上昇するものの、「体調」が下降していく。また、同時にお腹もすいていくので定期的に餌も与える必要がある。体調があまりよくないときに無理に調教を行なうと馬は怪我をしてしまう。怪我をしているときは、調教が行なえないうえに、レースにも出走できなくなってしまう。さらにフィールドの移動の際にも、馬に乗って高速な移動することができなくなってしまうという悪いことずくめになってしまう。
愛馬の怪我を治すにはアイランドにある治療院で治療を行なうことになる。治療院での治療もマウスを使用したミニゲームによって効果が変化するものになっているのだが、治療にはもちろんお金がかかるし、治療の成功数によっては、回復が遅くなったりしてしまう。難易度はそれほど高いものではないので、集中してよい結果が出せるよう臨んでいこう。
調教中の怪我が発生しないようにするためには、「森林馬道」で低下してしまった体調を回復させることが大事である。ここでの体調の回復具合なども調教や治療と同様に、マウス操作によるミニゲーム的なものを行なった結果で回復の度合いが変化していく。馬の体調管理もオーナーの大事な仕事のひとつなのである。
調教には様々な種類がある。写真左では揺れ動くバーを緑色のゲージの中で止めることができれば成功となる。成功の回数で成功・大成功・完璧といったように結果が変わってくる |
■ レースに優勝して賞金を獲得しよう! 優勝の感動はアーケード版をも凌駕する
出走開始までのパドック場面では、他のプレーヤーの馬をチェックできるほか、チャットも行なえる |
僅差でゴールした場合は、写真判定の画面が表示される。自分の愛馬が勝利したのかどうか、緊張の瞬間だ |
レースに優勝し、賞金を獲得! 現実の競馬同様に獲得賞金額によって出走できるレースが決まる |
レースには、自分の馬だけでなく、不特定多数のユーザーが参加できるようになっており、時間内に参加枠が埋まらなかった場合はCPUの馬が枠を埋めることになる。また、出走開始までの待機中には他プレーヤーの出走馬のパラメーターを閲覧できるほか、レースに参加するプレーヤー同士でチャットをすることが可能となっている。他のMMORPGなどに見られるパーティプレイや協力プレイといった要素が存在せず、ほかのプレーヤーとのコミュニケーションのきっかけが少ないように思える本作だが、こういったところでチャットの機会が用意されているのは嬉しい配慮だ。
出走時間になるといよいよレースがスタートする。レース中は自分の馬にムチを入れるという操作しかできないものの、レース展開や馬の脚質を考えてムチをいれ、優勝を目指すというのは慣れないうちはなかなか難しく、ここでもシンプルな操作ながら奥深い楽しさがある。アーケード版同様の操作性と奥深さがしっかりと再現されていると言えるだろう。
レースを盛り上げてくれる音声実況もしっかりと搭載されているうえに、各プレーヤーの馬の名前も実況の中でどんどん読み上げてくれるのはツボを抑えた嬉しい演出だ。接戦のゴール前ともなると自然とマウスをクリックする指にも力が入るわけで、臨場感もバツグン。僅差でゴールしたときなどは写真判定の画面など、実際の競馬風味な演出も登場するのも嬉しいところだ。
レースの結果、5着以内に入れると賞金を獲得できるのだが、本作をプレイし始めたばかりのうちは未勝利戦(レース未優勝の馬のみ出走できるレース)で優勝することも難しい。CPUの操作する馬だけでなく、自分と同じように、もしくはそれ以上に努力をして愛馬を鍛え上げてきたオーナーも、自分の馬を出馬してくる。お金を稼いでしっかりと調教を行なおう。ちなみにレースに出走することで、レース経験というパラメーターが上昇する。このパラメーターもレースを有利に展開していくには欠かせない要素と思われるので、なかなか入賞できないというときはレース数をこなしてみるのもひとつの手だ。
レースの模様はスピード感のあるグラフィックで展開される。とめどなく聞こえてくる実況音声も臨場感がある。 |
■ オンラインならではの体験にさらなる期待をしたい
以上の内容が、現在βテストで体験できる要素となる。アーケード版でみられた調教やレースなどの、すでに完成度の高い要素はそのままに、追加されたお金稼ぎや愛馬とのスキンシップ、オーナーズアイランドで生活するといったMMORPG的な要素が盛り込まれた本作。インターフェイスを含めとっつきやすいこともあって、DOC未経験者でもすんなりと入っていけるゲームになっている。
シリーズのファンは、シンプルに育成とレースを楽しめた既存のゲーム内容に加えて、MMORPG的な要素が組み込まれている部分をいかに楽しめるかどうかに左右されるだろう。アーケード版もプレイしていた筆者だが、MMORPG的な労働を行ない、そうして稼いだお金を愛馬につぎ込み、調教を重ね、レースに出走。はじめて優勝できたときの感動はアーケードのそれに勝るとも劣らないものであった。MMORPG的な努力や楽しみかたの幅が用意されたことにより、本作で味わえる感動は、より深く大きなものへと変化を遂げている。これはDOCオンラインならではのものだと言えるだろう。
だが、オンラインならではの体験という意味では、もう少し欲張りたいところもある。本作にはパーティプレイの概念はおろか、ほかのプレーヤーと協力するなどの場面がゲーム中にほとんど存在しないため、他プレーヤーの姿を見かけることはあるものの、ゲーム中に他プレーヤーとチャットをするというきっかけがほとんどない。
実際、筆者がプレイしている際、ゲーム内でチャットをしているプレーヤーの姿をほとんど見かけることがなかった。現状、同作でチャットする機会というと、レースの出走前と出走後がかろうじてそれにあたるのだが、やはりそれ以外にもコミュニケーションのきっかけになるようなギミックが欲しいところだ。
自分の家などを建てて友人を招待するといった楽しみ方もできる本作だけに、他プレーヤーと仲良くなり、楽しく過ごせればよりおもしろくなるだろう。MMO的な要素が蛇足になってしまわないためにも、こういった部分の強化は今後のアップデートに期待したいところだ。
愛馬と生活し、ともに暮らしていくDOCオンライン。競走馬育成という要素に加え、楽しみかたのバリエーションも増えて、より長く楽しめるものになっている。真剣に強い競走馬の育成を目指すもよし、サラブレッドオーナーの道を突き進むもよし。本作は競馬好きにも、競馬関係の知識があまりないという人でも存分に「競争馬と共に歩む世界」を楽しめる作品である。
(C)SEGA,2004
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(2004年12月2日)
[Reported by 山村智美]
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