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World Cyber Games 2004現地レポート

WCG 2004 Exhibitionレポート その2
協賛各社がブース出展、Ubiの「Brothers in Arms」にも注目

会期:10月6日~10日(現地時間)

会場:Bill Graham Civic Auditorium

 連日熱戦が続いているWCG2004だが、その一方で全試合を終え、手持ちぶさたになった選手達で大いに賑わっているのが、メーカー出展コーナーだ。Exhibitionレポート第2弾では、トーナメントエリアの隣に設けられていたExhibition Hallのメーカー出展を紹介していきたい。


■ PCにマウスパッド、UPSまで協賛各社のハードウェアに注目

常時大人気だったNVIDIAブース。GeForce 6のハイパフォーマンスを実証するデモ機を設置していた
今回もっともユニークだったのが個人ユースの無停電装置を販売しているOPTI-UPS。ゲーマーたちが常用する日は来るのだろうか?
 これまでWCGで使用されていたPC機材は、そのほとんどがワールドワイドスポンサーであるSAMSUNG製で統一されていたが、今年はPCモニタなど一部のデバイスを除き、すべて外部のサプライヤーによってPC機材が構成されている。

 具体的には液晶モニタとPCはShuttle、ビデオカードはNVIDIA、サウンドカードはCREATIVE、マザーボードはAbit Computer、マウスとキーボードはRAZER、UPS(無停電装置)はOPTI-UPSといった構成で、トーナメント会場やBYOC会場、プレスルーム等も含めると、これらをひと組にしたPCセットが500以上用意されている。Exhibition Hallでは、各社ごとにこれらハードウェアによるデモンストレーションが行なわれていた。

 中でもメインスポンサーであるNVIDIAとCREATIVEは、Exhibition Hallだけでなく野外ブースも設置して、積極的に自社ハードウェアをアピール。NVIDIAは、GeForce 6と、SLI Multi GPUテクノロジーを、CREATIVEは、Sound Blasterシリーズとスピーカ、ヘッドセットなどをそれぞれメインにした出展構成だった。

 昨年までは、なんでもかんでもSAMSUNG製品で機材を揃え、WCGがメインなのか、自社製品のアピールがメインなのかわからないぐらいだったが、今年はSAMSUNG色はずいぶん薄れている。こうしたところにも海外主催の効果が現れているといえそうだ。

 ただ、ここ数年で出場選手達は、例外なく愛用のインプットデバイスを持ち込むようになっており、特にキーボードやマウス、マウスパッドを担当するサプライヤーだけ割を食うという印象もなくもない。中でもDirect Inputを直接叩くタイプのインプットデバイスを用いる場合は、キーボードの置き場所が問題になるなど、Xboxタイトルに比べ、インプットデバイスの自由度の高さの割に、一流選手の試合風景としてはまだまだスマートとは言い難い。これについてはWCGコミュニティを通じて何かスマートな解決方法を期待したいところだ。

【Abit Computer】
Abitは北米を代表するプロゲーマーFatality仕様のマザーボード「Fatal1ty」を出展。史上初のプロゲーマー向けのマザーボードということだ。Fatality自身は現在「DOOM 3」の世界大会に向けて調整を進めているところだという

【Shuttle】
Shuttleはキューブ型PCと液晶モニタを出展。わずかな場所にキューブ型PC、壁に液晶モニタという環境で、ハイエンドゲームが楽しめるのは、確かにちょっとした感動がある

【RAZER】
RAZERはゲーム向けのマウスとマウスパッドを出展。マウスパッドは手前にコンパクトなフットレストが付き、パッド部分は硬質の素材で出来ており、マウスを動かしやすくなっている

【NVIDIA】
NVIDIAブースで出展されていたゲームは、Novalogicの「Joint Operations」と、Blizzard Entertainmentの「World of Warcraft」。米国ではこのような体験イベント自体が少ないためか、夢中でプレイする子供の姿が目立った

【CREATIVE】
CREATIVEは、Sound Blaster Audigy2 ZSと、ノート用Audigy 2、ヘッドセット、サラウンドスピーカーなどを出展。サウンドはゲームを演出するための重要な要素だけあって注目度も高かったようだ


■ 「Brothers in Arms」は、ヒストリカルキャンペーン+スクワッドベースのマルチプレイ

UbiSoftブース。狭いエリアに1タイトル1台ずつの出展だったが、すべて新作タイトルということもあって人気は高かった
取材に協力して頂いたUbisoftの「Brothers in Arms」プロデューサーErick Low氏(左)。同作の発売プラットフォームはPC、PS2、Xboxで、発売時期は来年2月
ノルマンディ上陸作戦前夜の降下シーン。全編リアルタイムムービーになっていて、着地までスムーズに繋がる
降下に失敗した米兵。フィールドにはこうした戦争表現が至る所に登場する
 さて、Exhibition Hallでは上記のようにハードウェアばかりの出展となっていたが、その中で唯一新作ソフトを出展していたのがUbi Softだ。同社は、VivendiやEA、Microsoftのように競技種目を出しているパートナーでもなければスポンサーでもない。純粋にプロモーションの場としてWCGに出展しているというきわめて珍しいケースだ。このように大手メーカーが出展してくれると会場が賑わうだけに、大いに歓迎できるニュースだ。さらに来年のメーカー出展が期待されるところである。

 出展タイトルは、「Brothers in Arms」、「Prince of Percia: Warrior Within」、「FarCry」、「Pacific Fighter」の計4タイトル。ここではブースで人気を集めていた、大作アクションシューティング「Brothers in Arms」をピックアップして紹介していく。

 「Brothers in Arms」はE3での出展に続いて今回が2度目となるが、プレイアブルでの出展は今回が初だ。E3時点での発売時期は2004年の第4四半期としていたが、今回改めてスケジュールを確認したところ、「2005年2月」との答えが返ってきた。今回のプレイアブル出展もやや無理をしたようで、プレイ中にクライアントが落ちるバグが頻発していた。ステージ間のローディング時間も長く、パフォーマンスの最適化作業もまだ十分ではなかったようだ。

 ただ、ゲーム内容そのものはE3にも増して圧倒的なポテンシャルを感じさせる出来映えだった。ここで改めて「Brothers in Arms」のゲーム内容を紹介しておくと、第2次世界大戦でもっとも英雄的な活躍をしたことで知られる米第101空挺師団の一中隊の活躍を描いたアクションシューティング。というと、まんまスティーブンスピルバーグ/トム・ハンクスの「Band of Brothers」だが、「Brothers in Arms」はまた別の中隊の物語となっている。ただし、リアルタイム映像やフィールドデザイン、イベントスクリプトなどは、「Band of Brothers」の模倣が随所に見られる。あれだけの大作とあっては、これはある意味仕方のないところだし、あまりに印象が異なってしまうとユーザーに嫌われてしまうという部分もあるのだろう。

 今回体験できたのは、史実の体験を追うヒストリカルキャンペーンの第1ステージと第2ステージ。第1ステージは、E3レポートでも触れたようにノルマンディ上陸作戦前夜の空挺師団降下シーンからスタートする。

 機内の模様は、リアルなフェイシャルモーション処理で、兵士達の不安な様子や、機体の激しい揺れに耐えられず嘔吐してしまう兵士達などを克明に描いている。やがてコタンタン半島が見えてくると、激しい高射砲の渦に巻き込まれる。この間にも他の機では、次々に兵士たちの降下が始まり、闇夜に高射砲の光線の筋と無数のパラシュートが映るという、まさに「Band of Brothers」のような幻想的な光景が広がる。

 主人公のBakerが乗る機体は、降下のタイミングを待つ内に被弾し、片翼が炎に包まれる。この際の機内の混乱ぶりの描写はまさに圧巻の内容で、プレーヤーはこうした状況下で無理矢理降下体勢に入り、手持ちのアイテムはピストルのみという悲惨な状態からスタートする。降下後は、部隊を再編成し、合流地点に向かうというシナリオが展開されるようだが、デモ機では降下後は自動的に第2ステージに飛ぶようになっており、今回は体験できなかった。

 続いての第2ステージでは、「Brothers in Arms」の最大のウリであるスクワッドベースの戦いが存分に味わえる内容になっている。舞台はフランスの2階建ての家屋が点在するのどかな田園地帯。フィールドには降下に失敗して木にぶら下がったまま死体になっている米兵や、むごたらしく惨殺された米兵などが確認でき、戦争の凄惨さを伝えている。

 さて、プレーヤーが、スクワッド(小隊)は4名前後で構成されており、2ステージでは2つのスクワッドを同時に指揮していくことになる。メンバーは最大13名ということだったので、最終的には3つのスクワッドを指揮していくことになるようだ。

 スクワッドの指揮方法はちょっと変わっていて、これこそが「Brothers in Arms」の最大の特徴になっている。スタイルとしては、自分は動かずに部下を動かすという、「Rainbow Six」シリーズや「SWAT」シリーズなど特殊部隊もののそれに近いが、「Brothers in Arms」は、ゲーム中にいつでもポーズをかけて現在の戦場の戦術マップ(俯瞰画面)を呼び出すことができるようになっている。

 プレーヤーはこれを見ながら敵の位置と予想される反撃、そして味方の進撃ルートを考えていく。実際の指揮は、スクワッドごとに用意される色別のポインタを動かし、行くべきポイントをダイレクトに指定する。すると兵士達は前後の安全を仲間同士で確保しつつ、少しずつ前進していく。デモでは、1小隊が正面から対応しながら、もう1小隊を家の影から裏に回らせ、包囲殲滅戦を展開するというシーンを見ることができた。

 なお、敵を確認するとその敵の上部にアナログタイマーのようなものが表示される。タイマーのゲージは赤と黒で色分けされており、これが敵の活動具合を表している。赤いゲージが多い場合は、敵は身をさらして攻撃態勢に入っており、逆に黒いゲージが多い場合は、身を隠しているということを示している。プレーヤーは、フィールドの各所に出現しているこのゲージを見ながら、果断な指揮を執っていく必要があるというわけだ。

 「Brothers in Arms」はマルチプレイもスクワッドベースを採用している。同作のマルチプレイは最大で16キャラクタとなっており、人数で言うと最大4名。1人あたり4人の兵士を指揮しつつ、2対2(キャラクタ数でいうと8対8)の小隊戦が楽しめるわけだ。マルチプレイにNPCキャラクタを導入するというところもユニークだが、導入するだけでなく指揮しなければならないところがおもしろい。非常に楽しみなマルチプレイモードだ。

 「Brothers in Arms」は、実在のストーリーを描いたヒストリカルキャンペーンとマルチプレイそして、その混合型である協力プレイモードも導入が予定されている。そのほかデモで見た限りでは、射撃の反動は大きめで、照準アイコンは付いておらず、基本的に構えて撃たないと当たらないといった徹底したリアル指向のゲームデザインだった。今年はFPS風のRTSという「Full Spectrum Warrior」に注目が集まったが、来年はFPS+RTSの「Brothers in Arms」に要注目だ。

【フェイシャルアニメーション】
「Brothers in Arms」で特筆すべきポイントがフェイシャルアニメーションによるリアルな会話シーンの実現。兵士達はすべて固有名が付けられ、それぞれ性格や能力が異なるという。

【最新スクリーンショット】
グラフィックスエンジンはUnreal 2.0世代のエンジンを採用。近影の細かい描写はもちろんのこと、遠景の雄大な描写まで見事に描いている。空模様のバリエーションの豊富さにも注目したい

(C) 2002-2004 Vivendi Universal Games,Inc All rights reserved.

□World Cyber Games 2004のホームページ
http://www.worldcybergames.com/
□World Cyber Games 2004日本公式サイトのホームページ
http://www.worldcybergames.jp/2004/
□関連情報
【5月15日】Ubi Softブースレポート ミリタリーFPS編
スピルバーグも視察に訪れたWWII FPS「Brothers In Arms」に注目
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040515/e3ubi.htm

(2004年10月11日)

[Reported by 中村聖司]


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