発売元 Vivendi Universal Games
英国を代表するクリエイターのひとりDemis Hassabis氏の最新作「Evil Genius」のPlayable Demo。パブリッシャーはEidosではなくVivendi Universal Gamesに変わっているが、独立後最初のタイトル「Republic: The Revolution」に比べると、短い開発期間で万人にアピールできる快作に仕上がっている印象。EAの「ダンジョンキーパー」シリーズが好きだった人なら必ずや満足できる作品だ。
「Evil Genius」は、子供向けのアニメや特撮で無くてはならない存在である悪の組織のリーダーとして、広大な秘密基地を構築し、ヒーローの攻撃を跳ね返しつつ、世界征服を達成していくという、悪い冗談のような話を全力でゲーム化してしまった意欲作。コンセプトとしては、師匠筋のPeter Molyneux氏の代表作「ダンジョンキーパー」シリーズに似ているが、モチーフはファンタジーではなく、SF世界となっている。
氏自身によれば、「『ダンジョンキーパー』はゲームが進むにつれて操作が忙しくなりすぎてしまう傾向があったが、『Evil Genius』は大筋を決めればあとはAIが自動で処理してくれるため、観察して楽しむゆとりを設けている」と語っている。アクション要素を低めたかわりに戦略性を高め、高所から見下ろす感じで指揮できるゲームに仕上がっているといえそうだ。
Demoではチュートリアル付きの最初のステージがプレイできる。このチュートリアルはなかなか丁寧な内容になっていて、ゲームの遊び方というか秘密基地の作り方を1から学ぶことができる。チュートリアルの途中から敵がパラシュート降下し、基地への侵入を図ってくるのでしっかり対処していかなければならない。
基本的なゲームの進め方は、基地内の空間にトレーニングルームやバラック、兵器庫などを作成し、ショッカーの如き手足となって働くメンバーを蓄えていく。メンバーは生産制ではなく、時間単位で自動的にリクルートされるという仕組みになっており、短時間で大量のメンバーを雇用すると費用が高くなる。Demoといえども、結構長期戦になるので、リクルート間隔を設定するスライドを低めに修正すると資金繰りが楽になる。
正義の味方、つまり敵どもは、戦力の逐次投入という最低の戦術で波状攻撃的に基地へ押し寄せてくる。プレーヤーはそのたびにメンバーを直接指揮するか、あるいは警戒度を上げるかして対処していく。対処が遅いと、武器庫に爆弾を仕掛けられ、基地内部で大惨事が発生してしまう。敵は決死の覚悟で武器庫に爆弾を仕掛けようとするので、武器庫の側に消化器を配置し、その上で火器全損の被害を防ぐために武器庫を複数つくるといい。
数度プレイして不自然に思ったのは、ゲート際に兵士を配置し、敵の侵入を入り口手前で撃退するという戦術が採れないところだ。警戒レベルが低いと普通に素通りで侵入されてしまう、Demoでは設置できる部屋やオブジェクトが限られているので、それゆえの不自然さだとは思うが、ときどきとんでもない奥地まで敵が侵入してびっくりさせられる。
ゲームがある程度進むと敵にヒーローユニットが登場する。ヒーローユニットはヒーローだけに不死身となっており、さらに時間をかけて育成したメンバーたちを文字通りなぎ倒す強さを秘めている。彼らを無力化するには捉えて牢獄に押し込めるしかないが、これがDemoのクリア条件となっている。
Demoではお金を稼ぐ手段がなくじり貧になりがちだが、その分敵の攻勢も緩やかなので、じっくり取り組めば必ずクリアできる。プレイするたびに自分がうまくなっていることを実感できる良作だ。
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