★ PCゲームレビュー ★


リアルタイム性と高度な内政要素を両立させた
意欲タイトルに拡張パックが登場!

Rise of Nations ~民族の興亡~: 皇帝と革命軍

  • ジャンル:リアルタイムストラテジー
  • 開発元:Big Huge Games
  • 発売元:マイクロソフト
  • 価格:6,090円(完全日本語版)
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:6月11日(発売中)


 「皇帝と革命軍」(英題「Thrones and Patoriots」、以下T&P)は、リアルタイムストラテジーでありながら高度な内政要素を盛り込んだ意欲タイトル「Rise of Nations」の、初の拡張パックだ。今後のヒストリカルRTSの動向を知るうえで外せないこのタイトルは、いったいどのように進化したのだろうか?


■ 壮大な人類の歴史を数十分のプレイ時間に凝縮したRTS

RoNの戦闘に関するシステムは、AoEを代表とするヒストリカルRTSとほぼ同じである。これらの経験者であれば、マニュアルを読まずともプレイできるだろう
国境線はこのように画面中で視認できる。敵国へプレッシャーを与えつつ、いかにして有利な自陣へおびきよせて戦うかが難しい
 「Rise of Nations ~民族の興亡~」(以下、RoN)は、文明の黎明期から近未来までの6,000年に及ぶ壮大な人類史を凝縮したヒストリカルRTSである。ゲームの主な目的は、自分の民族を軍事/経済の両面で発展させながら、最終的に敵対プレーヤーを滅ぼすというオーソドックスなものだ。

 RoNと同じヒストリカルRTSに、Ensemble Studiosの「Age of Empires」(以下、AoE)シリーズがある。画面写真等から受けるRoNの第一印象はAoEに近く、多くのプレーヤーが既視感を覚えてしまうだろう。確かにゲームシステムの根幹部分こそAoEと似通っているのは否めないが、しかしRoNならではの独自要素も数多い。T&Pで追加される新要素を紹介する前に、まずはRoN本編の主な特徴について軽くおさらいしておこう。

 RoNがAoEと決定的に異なるのは、領土拡大及び国境の概念である。RoNでは町の拠点を中心とした一定範囲内は自分の「領土」となり、他の建築物はこの中にしか建てることができない。さらに町の拠点単位で生産できる労働者の数に限りがあり、拠点を増やすことで総合的な資源収入量がアップする。つまり、領土を広げることが、民族の発展に直接繋がるのだ。

 また、自分のユニットが他国の領土内へ足を踏み入れると、「補給を受けられない状態」とみなされ、自動的にダメージを受け続けてしまう。そのためAoEのように、とにかく早い段階で戦闘ユニットの部隊を揃えてラッシュを掛ける、といったゲーム展開ではない。じわじわと国境線を巡ってせめぎ合い、戦闘ユニットでプレッシャーを与えるといった雰囲気だ。AoEが敵対する都市を直接潰すことで勢力を拡大したのに対し、RoNは陣取りゲーム的な要素が濃いといえばイメージが伝わるだろうか。

 RoNの生産システムは、RTSであるにもかかわらずターンベース的な発想を元にしている点もポイントである。食料を得る「畑」や木材を得る「伐採所」等といったシステムは共通するものの、それらの資源が枯渇することはなく、一定時間内に得られる量がゲーム内で明確に示されている。また、民族を発展させるために必要な手順も複雑で、「軍事・治世・経済・科学」の4方面のテクノロジーをそれぞれ研究しなければならない。RoNの都市管理面だけを抜き出すと、AoEよりも「Civilization」(以下、Civ)シリーズに近い緻密なシステムになっている。

 RoNを総合的に見ると、AoE系のRTSシステムを基本に据えながら、所々でCivのような内政要素を取り入れた意欲的なタイトルといえる。ただしRoNをそれらのいいとこ取りした模倣タイトルだと非難しているのではない点は、誤解しないでほしい。RoNのプロデューサーBrian Reynoldsと、AoEのBruce Shelleyは、元はといえばSid Meiyerの元でCivシリーズ等を共に手がけた同僚である。彼等がそれぞれ独立して同一ジャンルのタイトルを作ったら、ある程度共通する点が生まれるのは至極当然といえよう。かなり駆け足になってしまったが、これらのRoNの基本システムを踏まえた上で、T&Pの追加要素について触れてゆこう。

敵国の都市を破壊でなく、併合で我が物とするのはとても理にかなったシステムである。首都を併合することによって、周囲の建築物も無傷で手に入れられるのだ 資源採取用の施設に割り当て可能な労働者の数と、それによって得られる資源量は決まっている。写真の伐採所は、あと2名まで労働者を増やすことが可能

画面左下が図書館にて研究できるテクノロジーの一覧。内政作業を行うために、いったいどれだけの資源を必要とするのかを把握することがポイント 多彩なゲームモードの設定項目もRoNの特徴のひとつ。RoNはゲームシステムは複雑だが、シングルプレイ時の難易度を調整することで、無理なく楽しめるだろう


■ 政治体制の選択によって民族の歩む道が大きく変わるように

画面左下で政治体制を選んでいる最中。政治体制は民族の条件を満たしていればいつでも選べるので、最初に敵の出方を見てから対応といったこともできる
 T&Pにおける最大の追加要素は、新たな概念「政治体制」(政体)が盛り込まれたところである。プレーヤーが政治体制を選ぶことによって、それに応じた様々な恩恵を得られるようになる。

 具体的に政治体制を選択する手順としては、同様に追加された建築物「議事堂」を建てると、民族が「古代・ルネサンス・産業革命」の3時代へと進化した段階で二者択一できる。そしてルネサンス及び産業革命時代で選択した政治体制は、今までのものと置き換えではなく、新たに追加という形である。つまり、最終的には3つの政治体制の特色を兼ねた民族が出来上がるというわけだ。政治体制の数は6種類と少ないため、それらのメリットをまとめて紹介しておこう。

●古代
・独裁制:軍事テクノロジー研究及び兵舎ユニットの作成コストが25%減
・共和制:経済規模が50上昇

●ルネサンス
・君主制:厩舎ユニットの作成コストが25%減、作成速度も上昇
・民主主義:図書館以外でのテクノロジー研究コストが20%減

●産業革命時代
・社会主義:兵器工場、航空基地、港でのユニット作成コストが20%減、作成速度が20%増
・資本主義:石油採取量が100上昇、500の石油を獲得

 二者択一で選択できる政治体制を見比べると、3時代においてそれぞれが軍事または経済のどちらかに特化していることがわかるだろう。つまり政治体制とは、テクノロジーというよりも民族が発展する方向を、状況に合わせて軌道修正可能にしたシステムと解釈すべきである。

 勘の鋭いヒストリカルRTSファンの中には、ここまで聞いて「おや?」と思い当たった人もいるのではないだろうか。そう、T&Pの政治体制の基本概念は、「Age of Mythology」で採用された「従神システム」とほぼ同じなのだ。ただしAoMで選択できる従神の種類は、ゲーム開始時に選ぶ主神によって異なっていたが、T&Pの場合はどの民族を選んでも上記の6政体で固定されている。民族が発展する方向性の種類だけを見れば、T&PはAoMよりも大幅にコンパクトになった印象だ。

 しかし、T&Pの政治体制が与える効果はそれだけではない。議事堂で政治体制を選択した際に、特別な固有ユニットが自動的に生産されるのだ。これはRoNに登場する「将軍」を更に強力にしたユニットで、いくつかの特殊アビリティを持ち合わせている。特に周囲のユニットへ与える支援効果が大きく、政治体制で得たメリットと組み合わせることで、より民族の特色を反映させた軍隊を作り上げることに貢献しているのだ。しかも、万が一このユニットが死亡しても、リカバリーコスト無しで30秒後に自動的に再出現する点に注目してほしい。別に議事堂を建てて政治体制を選択することはゲームプレイ上必須ではないのだが、これらを活用しない手はない。

 政治体制の導入により、ゲーム開始時に選択する民族特性だけでなく、プレーヤーが任意で別の特性を付加することが可能となった。敵対プレーヤーの民族やユニット構成、そして地形情報などの移り変わる戦局に応じて、政治体制を調整する。この辺りにT&Pの醍醐味はある。また当然ながら、このシステムは現実社会の政治体制を元としている。神話を題材としたAoMと比べて、得られる恩恵を直感的にイメージしやすいのも特徴といえよう。つまりT&Pの政治体制を言い換えると、表面上はCivに近い従神システムということだ。

議事堂で自動的に生産される将軍ユニットは、このようにスポットライトが照らされた姿でよく目立つ。支援効果を与える緑色の円はかなり広い 敵の本陣へと攻め込むような展開になると、一般ユニットが散り散りになりやすい。将軍ユニットの支援効果の中で戦わせるのがこつだ

画面右下が、将軍ユニットが再出現するまでの時間である。将軍ユニットを一時的に失うデメリットはそれほど大きくない。積極的に前線投入しよう 将軍ユニットが行使できるアビリティの回数には限りがある。しかし時間と共にこの回数は元に戻るため、出し惜しみせずに使っていこう


■ 政治体制以外にもある様々な追加要素

 議事堂と政治体制の他にも、T&Pで導入された新要素はある。以下でそれらをまとめて紹介していく。

 まず、プレーヤーが選べる新しい民族として、「アメリカ・オランダ・ペルシャ・インド・ラコタ・イロコイ」の6つが追加され、全部で24種類となった。また、これらの追加に伴い、海兵隊突撃兵(アメリカ)や騎象銃兵(インド)などといった、各民族の特色を色濃く反映した新ユニットも合計20種類以上新登場する。

 完成させると様々な恩恵を民族に与える「偉大な建造物」は、「空中庭園」、「紫禁城」、「ラールキラー」の3つが追加され、17種類となった。これらは従来のものと同様、建築時に多大な労力を要するものの、絶大な効果を持ち合わせている。偉大な建造物は、民族に特性を付随するという意味では政治体制に近い効果といえなくもない。

 たとえばラールキラーは、主に砦の能力を上昇させる効果がある。このラールキラーと、「独裁制→君主制→社会主義」と選択した政治体制(つまり軍事方面に特化)を組み合わせれば、砦を用いた戦術を最大限に生かす環境を整えられるのだ。T&Pの追加要素によってプレーヤーの選択肢はさらに広まり、より個性的な戦術が可能となっている。

T&Pで追加された偉大な建造物。写真左から空中庭園、ラールキラー、紫禁城となっている。それぞれが持つ具体的な効果についてはサムネイルをクリックしてほしい

RoNのシングルキャンペーンは、ボードゲームを模した広域マップ上で軍隊を動かし、通常ゲームへと切り替わる。手持ちの資源等を用いて、ライバルと外交でしのぎを削ることも可能
 RoNのシングル用キャンペーンは、ボードゲームを模した広域マップ上で進軍先を決めてから通常のゲームプレイへ切り替わるという、「世界征服キャンペーン」と呼ばれるユニークなスタイルを採用していた。T&Pでは新たに歴史上大きな転換期となった4つの時代及び地域にスポットを当てたシナリオが導入されている。それぞれのキャンペーンの概要を紹介しよう。

●アレクサンドロス大王 古代~古代
 アレクサンドロスは暗殺された父の意志を継ぎ、若くしてマケドニアの王となる。それから僅か10年間でギリシャからインドにまで及ぶ大帝国を築き上げた、彼の足跡を辿るキャンペーンシナリオ。マケドニアは図書館での研究スピードが通常時の倍で、そのコストも10%減となっている。よって民族の発展速度が凄まじく速く、独自ユニット「ギリシャ騎士」を活用することで、史実における大業績へ向かって最短距離で駆け抜けることができるのだ。

●ナポレオン 啓蒙時代~啓蒙時代
 一介の軍人から大出世して将軍となったナポレオンは、さらにヨーロッパ諸国を次々と圧倒し、大陸全土に革命ともいえる影響を与えた。この天才戦略家が率いるフランス軍隊は、新たな砦を築いた時点で将軍ユニットが自動的に登場し、また兵器工場等で作成できる軍事ユニットのコストが25%減で、しかも作成速度が1.5倍。「アレクサンドロス大王」シナリオと同様、世界征服のために最適の環境が整えられている。

●新世界 ルネサンス時代~啓蒙時代
 新天地を求めアメリカ大陸へと移住した民族は、そこに住まう先住民族との戦いに苦心することになる。また、この大陸での覇権を狙うヨーロッパ民族も参入し、三つ巴ともいえる激しい争いが大陸全土にて巻き起こる。アメリカ移住者、大陸の先住民族、そしてヨーロッパ諸国の3勢力のそれぞれで、民族の特色等の立場が微妙に違っているのがポイント。民族を変えることで、同じシナリオでもプレイ感覚は大きく異なるのだ。

●冷戦 近代~現代
 第2次世界大戦が終結し、ヨーロッパ全土の半分を手中にしたソ連は、飽くなき領土拡大を目論んでいる。一方、「世界の警察」を自認するアメリカは、これを黙って見逃すはずがない。両大国の戦争はまさに世界中を巻き込むことになり、当然ながら我々日本もその戦禍から逃れることはできない。核ミサイルが飛び交う第3次世界大戦ともいえる本キャンペーン、そこには「冷戦」だった頃の面影など欠片も無いのだ。

 これらの追加シナリオは、最近の例では「Civilization III:Conquest以下、C3C)」(のコンクエストモードを連想する人もいるだろう。C3Cのコンクエストモードは計9本で、しかもそれぞれのシナリオは基本となるゲームシステム面にまで大幅に手を加えていた。コンクエストを変更すると、まるで別のタイトルをプレイするかのような新鮮さがあった。

 C3Cと比べると、T&Pの4シナリオはどれもゲーム目的が「世界征服」1種類のみなのが残念である。RoNはRTSというシステム上、ゲーム目的が単調になりがちなのは致し方ないとはいえ、少々物足りなさを感じてしまうのが正直なところだ。

冷戦キャンペーンにおいて日本は、ソ連と目と鼻の先の距離にある。その気になれば、たった1ターンで攻め込まれてしまうのだ そしてソ連軍に併合されつつある我が国。思わずこれがゲームの中の世界でよかったと安堵してしまう。日本の代表者がケネディである点にも注目

同じキャンペーンでも立場によってゲームスタイルはがらりと変わる。写真は両方とも冷戦キャンペーンの導入部だが、アメリカとソ連とであまりに言い分が違うのが面白い


■ 内政の多様化により新規ユーザーを呼び起こすのは難しいがRoNファンにはお奨め

 たとえCivに近い都市管理要素を導入しても、RoNのゲームとしての土台はAoEと同じRTSである。そして、Civ的な要素を無理矢理リアルタイムで行なわせたことが、RoNのRTSとしての立脚点の危うさを生じさせた原因だと捉えている。

 要するに、民族を進化させるための手順が複雑すぎて、これに伴う作業をこなすだけで精一杯になってしまって、RTSの醍醐味である戦闘に注力することが難しい。乱暴な言い方をすると、図書館における研究項目が5つあるRoNは、民族の発展に必要な作業量がAoEの2倍以上ある。しかも壮大な人類史を凝縮したRoNは、進化の段階も7つと多い。内政作業がここまで複雑だと、RTSのもうひとつの大きな醍醐味であるユニット単位の戦術要素を、多くのプレーヤーが満喫できるとは思えないのだ。

 そしてT&Pの政治体制といった追加要素は、同作のゲームシステムを全面的に強化する一方で、この内政作業の複雑さに拍車をかけた結果に陥っている。拡張パックの方向性として、本編をさらに奥深くするというのは決して間違ってはいないが、いったいどれだけのゲームファンがT&Pについてこれるのか謎だ。

 これがたとえば、「進化までに何分を切ることができました!」といったタイムアタック派のプレーヤーにとっては、作業効率を突き詰めることを楽しめるのかもしれない。しかし残念ながら筆者は、T&Pの内政作業をリアルタイムで強いられることにどうしても馴染めなかった。

 現在のストラテジーゲームは大きく分けると二極化が進んでいる。ひとつはCivに代表される、リアルタイム制を排除する代わりに大局的な戦略を熟考できるターンベース型。もうひとつは、生産・内政面は比較的簡潔だが局地戦をリアルタイムで楽しめる、いわゆるAoE型である。RoN、そしてT&Pは両者の良い所を無理矢理吸収しようとして、その結果プレーヤーの処理能力を大きく超えてしまった、そんな気がする。

 だがしかし、これら筆者の無駄口も、今までRoNを純真無垢に楽しんできたプレーヤーにとっては何の意味もなさないだろう。拡張パックとしての方向性が本編から変化していないため、元々RoNが好きなプレーヤーがT&Pに期待を裏切られるということは、まずない。そういった意味では、T&PはRoNのファンが買って損はしないタイトルである。

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【Rise of Nations ~民族の興亡~: 皇帝と革命軍】
  • CPU:Pentium III 500MHz以上(Pentium III 800MHz以上を推奨)
  • メモリ:128MB以上(256MB以上を推奨)
  • HDD:1GB以上の空き容量
  • ビデオメモリ:16MB以上(32MB以上を推奨)


□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/
□「Rise of Nations ~民族の興亡~」の公式ページ
http://www.microsoft.com/japan/games/ron/default.asp
□関連情報
【5月6日】本日到着! DEMO & PATCH 「Rise of Nations ~民族の興亡~: 皇帝と革命軍」体験版
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040601/demo0601.htm
【5月6日】マイクロソフト、「Rise of Nations ~民族の興亡~」
拡張パック「皇帝と革命軍」6月11日に発売決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040506/ron.htm
【4月16日】マイクロソフト、「Rise of Nations ~民族の興亡~」の拡張セット
「皇帝と革命軍」を6月に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040416/ronadd.htm

(2004年6月11日)

[Reported by 川崎 政一郎]


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