発売元 Data Becker
ドイツのゲームデベロッパーRelated Designs Softwareの新作RTS「Castle Strike」のPlayable Demo。同社は昨年、新世代のグラフィックスエンジンを採用したRTS「No Man's Land」をリリースして一躍脚光を浴びたメーカーだが、「Castle Strike」では、また違ったエンジンを用いて、別系統のRTSにチャレンジしている。
「Castle Strike」は、そのタイトルどおり城攻めを題材にしたRTS。攻城戦RTSというとFireFly Studiosの「Stronghold」シリーズが孤高の地位を築き上げている感があるが、同シリーズは2Dであり、3Dの新定番を狙ったのが「Castle Strike」といえそうだ。
俗に攻城戦RTSと呼ばれるゲームジャンルは、一般的な会戦型RTSに比べ、実際に戦端を開くまでのプロセスが長く、その経過も緻密になっており、そのプロセスそのものに深い味わいがある。また、攻城側と防衛側とで、まるで異なるゲームプレイが堪能できる点にも特徴があり、RTS分野の一角を担うサブジャンルのひとつとして今やメジャーな存在といっていい。
「Castle Strike」は、こうしたバックグラウンドにすべて即した形で、3Dグラフィックスで攻城戦RTSの世界を造り上げている。チュートリアルでは、資源集めからはじまり、各種建物の建設、そして城塞の構築、城塞内部の建物の構築と、ひととおりプレイすることで「俺の城」の作り方がしっかり理解できるようになっている。
ただし、チュートリアルの作りそのものは洗練されておらず、強制ポーズで長文のテキストを読ませたあげく、目標を達成するまで先に進ませないという堅苦しい内容のもので、明らかに親切過剰に陥っている。こうした傾向は何も同作に限った話ではなく、楽しくゲームシステムを習得させる工夫がドイツのゲームには足りない。ドイツ産のRTSをプレイすると、いかに北米産RTSのチュートリアルが洗練されているかがよくわかる。
長いチュートリアルの途中で退屈さを覚えるようであれば、つまらなさを感じる前にミッションをプレイしてみることをお薦めする。ミッションステージでは、大砲2門と投石機2門を使って城攻めを担当することになる。
プレイするとすぐにわかるが、投石機と大砲はそれ単独では移動もできなければ、弾を撃つこともできない。これらを戦闘に参加させるためには、それぞれ専属スタッフを砲兵として付けてやる必要がある。また騎兵や弓兵も生まれながらに騎兵や弓兵ではなく、正確には馬に乗った歩兵、弓を携えた歩兵という扱いになっている。
こうした一見面倒くささを覚えるほどの厳格な扱いこそが攻城戦RTSの醍醐味で、実際の戦闘も爽快感やスピード感にはかけるものの、着実なプロセスを踏むことによる期待通りの戦いを実践する楽しさがある。これは会戦型RTSにはない要素といっていい。その一方で、アニメーションが地味であったり、ユニットの反応が悪かったりなど、細部にいくつか不満もある。欧米で来春発売ということなので、発売までにしっかり練り上げてもらいたいところだ。
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