■ 説明書要らずのわかりやすいミニゲームの数々
物語の舞台は「ダイヤモンドシティー」。ゲーム販売で一儲けしようと企むワリオが、仲間達と協力し作ったゲームが「メイド イン ワリオ」なのだ。「ワリカセ」から始まり「ジミー」、「ナインボルト」、「モナ」、「ドリブル&スピッツ」、「Dr.クライゴア」、「オービュロン」、「カット&アナ」といった個性的なキャラクタたちが作ったゲームをを次々とクリアしていくと、最後に御大「ワリオ」が登場する。 気になるゲームシステムなのだが、幾つかミニゲームをクリアしていくと「ボスステージ」が登場し、先のステージに進む事ができる。初プレイ時でもワリカセ(第1ステージ)は難なくクリアする事ができたのだが、僅か2分程の出来事が非常に爽快感にあふれており、次ステージへの欲望に駆り立てられた。初プレイ、しかも1面とはいえ2分足らずでクリアできてしまうゲームが面白いのか? と疑問に感じる方も少なくないだろう。ところが、僅か「5秒」足らずでめまぐるしく展開されてゆくミニゲーム達に、その秘密はあると筆者は考えている。これがミニゲームと名乗っておいて、1ゲームに1分以上かかっていたらこれほどの爽快感はなかっただろう。仮に、そのミニゲーム群が面白かったとしても、さくさくとステージが進んでゆく爽快感は失われ、結果、ミニゲームの魅力も半減してしまう。 さて、話を元に戻してみよう。基本的にはこれの繰り返しなのだが、ステージが進むごとによってミニゲームの速度は上がっていき、過去に出てきたゲームでも難易度は比べ物にならない。筆者も一度見たゲームだと油断していたらキャラクタの動きが前ステージとは違い戸惑った事もしばしば。ところが、それが理由で死んだにもかかわらず、そこにすらかすかな爽快感が残る。この辺は当然個人差があるとは思うが、少なくとも筆者はそう感じたわけで、不思議な魅力があるゲームであることは間違いない。始めは余りに多くのミニゲーム群に戸惑いを覚えるかもしれないが、数回プレイするだけでこのゲームの進め方がすんなり理解できるはずだ。余りゲームに詳しくないライトユーザーにもそれは当てはまる。「避けろ!」、「打て!」、「食べろ!」などワンフレーズで理解できるミニゲーム群は、プレーヤーを選ばず、その中毒性に魅了される事だろう。 因みに、筆者は手始めとして10~20分程プレイする予定だったのだが、ふと時計を見てみると短針が4つほど経過していた。実はここ1~2年で最後までクリアしたゲームはほとんど無い筆者だが、その自分が時間を忘れて没頭できる中毒性、ご理解頂けるだろうか?
■ 各ステージの概要 「ワリカセ」ジャンル=テハジメ 最初のステージであるだけに、後のステージの基本となるようなゲームが多い。ステージの数も少なくボスの難易度も低めに抑えられている。まずはこのステージで「メイド イン ワリオ」の基本を理解しよう。 「ジミー」ジャンル=スポーツ ジミーは合計3回登場する事になるのだが、1回目が「スポーツ」、2回目、3回目はそれに加えて前ステージのゲームがリミックスされていく。難易度は上がっているものの、直前にクリアしたゲームばかりなので比較的やりやすいのだが、その分ボスまでの道のりは長い。 「ドリブル」ジャンル=SF 宇宙やメカに関連したゲームが多いドリブルステージ。他のステージよりボスまでの道のりが長いので注意が必要だ。 「モナ」ジャンル=ヘンナノ ゲームが始まった瞬間、思わず吹き出してしまいそうなものばかり集まったモナステージ。1回目のプレイではゲームの内容が理解できず戸惑うかもしれないが、数回プレイしてみれば直ぐに慣れるだろう。ちなみに少女漫画風の女の子の鼻水をおさめる「ハナミズ」とCMでもお馴染みの「はなのあな」はあまりに馬鹿らしく、筆者の最もお気に入りなゲーム達だ。 「ナインボルト」ジャンル=ニンテンドー 昔懐かしい香りがぷんぷんするナインボルトステージ。ファミコン世代の方々には思わずにやりとするであろう場面も。斯く言う筆者もその一人である。個人的にファンだった「スーパースコープ」が出てきた時にはにやりとさせられたものだ。 「オービュロン」ジャンル=IQ 自称IQ300のオービュロンが作ったゲームは、やはりIQが必要とされるものばかりだ。その為か、他のゲームより考える時間が長くなっているので、焦らず、確実に問題を解いていこう。 「Dr.クライゴア」ジャンル=リアル 「科学者はウソが嫌いだ! だからゲームもリアルでなくてはいかんのだ!」とはDr.クライゴアの弁。それが定かであるかはどうかはわからないが、現実世界をモチーフにしたゲームが多数登場する。とはいえ、見た目のグラフィックが違うだけで、ゲームの内容はほぼ他のゲームの焼き直し。落ち着いて対処しよう。 「カット」ジャンル=イキモノ 何故「忍者」が「生物」なのかは不明だが、生物が題材となるカットステージ。ドリブルステージと同様にボスまでの道のりが長い。 「ワリオ」ジャンル=ナンデモアリ 最後を飾るのは勿論この人「ワリオ」だ。今までに出てきたゲームがいきなり高難度で出てくるばかりでなく、ワリオのオリジナルゲームも多数登場する。そう簡単にはクリアさせてもらえないが、ここまできた人には是非ともエンディングまで到達して欲しいものだ。 ■ ゲームクリア後のお楽しみ要素 全てのステージをクリアーしたにも関わらず、ステージセレクト画面に違和感を覚える人も少なくはないだろう。そう、この「メイド イン ワリオ」には様々な隠し要素が含まれているのだ。あるステージで一定以上のスコアを出す事で隠しゲームが出現したり、様々な場所でボタン入力をする事でちょっとした遊び要素に触れる事ができる。隠しといっても他愛もない物も多いのだが、こういった遊び心は最近のゲームでは中々みられないだけに、うれしいかぎりだ。その他のミニゲームも非常に完成度が高く、本編同様にその中毒性はお墨付きだ。名作「Dr.マリオ」の復活に喜びを隠せない人は筆者だけではないはずだ。
■ メイド イン ワリオ「ならでは」の魅力、そして本来あるべき携帯ゲーム機の在り方 兎にも角にも、万人にプレイしてもらいたい、というのが率直な感想だ。「ゲームの集合」と聞くと比較的単純なゲームが詰め込まれた、俗に言う「~ in 1」を想像する方も少なくないだろう。しかし「メイド イン ワリオ」は従来のそれとは一線を画したゲームだ。基本的にはボタンをタイミングよく押すか連打。それにゲームによっては単純なキー操作が加わるだけだ。古くからゲームをやり込んでいる方ならば「スイッチ」や「タントアール」を想像してもらうと分かりやすいかもしれない。 また、単純作業になりがちなゲームとゲームの繋ぎを、絶妙な間の取り方がテンポを保ち、さらにゲームにマッチしたグラフィックとサウンドがその作業感を拭ってくれるばかりか、快感にまで昇華させている印象を受けた。私見だが「なわとび」にはそれが顕著に感じられたものだ。文章だけではこのゲームの魅力を全て伝える事は正直難しいのだが、筆者のようなコアなゲームファンでも、ぐいぐいとこのゲームに引き込まれていったのが何よりの証拠だと言えるだろう。勿論、そのルールのシンプルさゆえ、普段はあまりゲームをやらない方にこそプレイして欲しいゲームでもある事は言うまでもない。 最後に、ゲームのアイデア、完成度もさることながら、携帯ゲームと上手く融合させて商品化した任天堂の開発力には脱帽だ。本来ならば、作り込まれたゲームであるほど携帯ゲームであることが悔やまれるものだが、この「メイド イン ワリオ」に限ってそれは当てはまらない。むしろこの作品がゲームキューブで発売されていたならば、ここまで万人にお薦めできるゲームではなかったかもしれない。時期尚早ではあるが、願わくば続編が出る事を願ってやまない。 (c)2003 nintendo
□任天堂のホームページ (2003年6月19日) [Reported by 林智加良]また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved. |
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