★PS2ゲームレビュー★

魅力的なキャラクタに彩られた壮大なストーリー
18年後に始まる新たな英雄の物語

「テイルズ オブ デスティニー2」
  • ジャンル:運命を解き放つRPG
  • 発売元:株式会社ナムコ
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(11月28日発売)

 スーパーファミコン「テイルズ オブ ファンタジア」でスタートした「テイルズ オブ~」シリーズが、ついにプラットフォームをプレイステーション 2に移してきた。しかも、シリーズ初の続編という形で。それが「テイルズ オブ デスティニー2」だ。

 「テイルズ オブ デスティニー2」は、前作の世界観や、シリーズお馴染みとなったアクション性の高い戦闘システムなどはそのままに、「エンチャント」などの新しい要素も多数盛り込まれ、続編でありながら新鮮さを感じさせるものとなっている。



■ 主人公はスタンとルーティの息子カイル

 主人公、カイル・デュナミスは英雄になることを夢見る15歳の少年。18年前に「神の眼」の争乱から世界を救った「四英雄」であるスタンとルーティを両親に持ち、特にカイルが幼少のころ冒険の旅に出てしまった父親スタンに憧れを抱いており、自分も彼のような英雄になれると信じている。

 そんなある日、母ルーティに内緒で兄貴分のロニと共に出かけた巨大レンズがあるという噂の遺跡。そこで巨大レンズの中から現れた不思議な少女リアラとの出会いをきっかけに、カイルはさらなる冒険の旅に出ることを決意する。

 「テイルズ オブ デスティニー2」はタイトルが表すとおり「テイルズ オブ デスティニー」のその後のストーリーだ。前作での世界の危機は「神の眼の争乱」として人々の記憶に残っているが、18年の時が過ぎてその記憶もだんだんと薄らいでいた。今作では18年後の「アタモニ神団」の「レンズさえ神団に寄贈すれば誰もが幸せになれる」、という教えが蔓延する世の中を舞台に、英雄志願の少年カイルと神秘的な少女リアラを中心に前作の登場人物も絡め物語が展開していく。

 この世界の「レンズ」というものは貨幣のような財産的価値があるだけではなく、その力は万能だと思われている。人々から通貨ではなくレンズを集める「アタモニ神団」の真意は果たして何なのか。そして「英雄」を探すというリアラの本当の目的は?

主人公カイルはスタンとルーティの英雄を両親に持ち、自身も英雄になることを夢見る少年 巨大レンズの中から現われた神秘的な少女リアラ。彼女のいう「英雄」とはどのような人物なのだろうか? カイルの母ルーティが営むデュナミス孤児院で育ったカイルの兄貴分、ロニ。言動から軽い性格に見られがちだが根は正義感が強く真面目
幾度となくカイルの危機を救う謎の仮面の剣士、ジューダス。なぜカイルたちと行動を共にするのか不明 気が強く男勝りな性格だが料理や裁縫も得意というナナリー。弓の腕前はそこらの男顔負け 稀代の天才科学者ハロルド。研究以外のことにはまったく疎く、子供も同然

 シリーズの特徴である、スケールの大きいストーリーや世界観も健在。今回はねじまげられた歴史を元に戻すべく時間を超えて冒険する場面があり、そのダイナミックな展開は圧巻の迫力だ。ひとつの世界にとどまらず時間や空間を超えて広がる物語の壮大さはシリーズの大きな魅力といえるだろう。

ストーリーの要所に挿入されている美麗なアニメーションムービー。これはカイルとリアラの幻想的な出会いのシーン
スクリーンチャットではキャラクタたちの楽しい会話を聞くことができる。ゲームの重要なヒントを教えてくれることも いろいろな移動手段もゲームの醍醐味のひとつ。おなじみの定期船と飛行廷イクシフォスラーは序盤に登場


■ 進化する「リニアモーションバトルシステム」

 「テイルズシリーズ」ではもうお馴染みとなったアクション性の高い戦闘システム「トラスト&タクティカル リニアモーションバトルシステム」。今回はこのシステムに新しい「スピリッツポイント」という要素が加わりさらに戦略性ともいえる戦闘の組み立てが重要になった。

 「スピリッツポイント」はキャラクタの集中力や精神力を示すもので戦闘画面では「TPゲージ」の上、水色のゲージで表される。 「スピリッツポイント」は物理攻撃系に密接に関係したもので、攻撃や特技、奥義など物理攻撃系の行動を起こすと減少し、この数値が少ないと命中率と回避率が低下してしまう。

 「スピリッツポイント」を回復するには晶術を使用したり防御したり、とりあえずは後退する(時間経過)など、物理攻撃系行動を控えればいい。特に敵の攻撃を防御すると「スピリッツゲージ」の回復量が大きいので、ゲージが減少してきたら攻撃の手を休め、いったんは防御して「スピリッツポイント」の回復に努めるのも有効。

 今作はこの「スピリッツポイント」の導入で、以前のシリーズのようにたたみかける怒濤の攻撃でコンボを稼ぐことは難しくなった。しかし攻め時と守り時を考え、仲間との連携に注意を払って行なう戦闘は飽きることがなく、自分で組み立てた連携がばっちりきまると気持ちいいことこのうえない。「スピリッツポイント」のおかげでよりバランスのいい戦闘が楽しめるようになったといえるだろう。

 さらに戦闘終了後の評価に「バトルグレードポイント」という要素が新しく加えられた。「バトルグレードポイント」は戦闘内容の評価をポイントで表したもので、高いポイントを得ると特典がある。ゲーム中はトータルの「バトルグレードポイント」は表示されないが、たくさん貯めると新たな称号をもらえたりもするらしい。

 「バトルグレードポイント」を上げるには連携攻撃や奥義キャンセルなどテクニックを必要とされる行動をとればいい。しかし同じ連携ばかり繰り返していると低下するし、戦闘中に回復晶術を使用したり装備を変更してもマイナスになってしまう。このことから前述の通り、攻めまくるだけではなく、きちんと戦闘を組み立てることが「バトルグレードポイント」アップの秘訣だ。

 私がプレイしているときの「バトルグレードポイント」の最高値は通常戦闘で+4.00、ボスバトルで+40.00だった。ちなみに最低はそれぞれ-2.00、-20.00で、上限と下限っぽい数字ではあるがいろいろ試せばまだまだのびるかもしれない。

  このように新要素がもりこまれ、名称も「トラスト&タクティカル リニアモーションバトルシステム」となった戦闘システムだが、これまでの通常技から奥義まで繋がるコンボも健在で、晶術を絡めれば40ヒットくらいは軽くいくので、爽快感もあり、前作のいいところはまったく損なわれていない。「オートズーム」機能により自分が操作するキャラクタを中心にまわりの状況が判断しやすくなったことや、オート操作にしてある仲間キャラクタのAIが「スピリッツゲージ」までもきちんと把握して戦況に合った行動をとるなど、とても優秀になったことなどによって、以前より戦闘がテンポよく、スピーディになったと感じられるほどだ。

 コマンド式の戦闘と違い、常に集中していなければいけない分「面倒くさい」と思わせないようにと、さまざまな工夫がこらされているところは私が毎回シリーズを楽しみにしているポイントだ。ヒット数や「バトルグレードポイント」にこだわっても、とくになにも考えないで戦闘を行なっても、なんとかなってしまうのが「テイルズ オブ~」シリーズのいいところだと思う。 とくに今作のAIの賢さは、オートでの戦闘でぜひ試してもらいたい。

奥義は特技をキャンセルして出すことができる。コンボのヒット数をかせぐのには有効 特技や奥義を登録しておけば十字キーとボタンの組み合わせで対応した技を出せる 特技もエンチャントと同じように条件を満たすことで習得


■ 特技や晶術をカスタマイズできる「エンチャント」

 前作は装備する「ソーディアン」によって使える晶術が変化したが、今作「テイルズ オブ デスティニー2」では「エンチャント」と呼ばれる特技や晶術に追加効果を設定できるシステムが新しく取り入れられた。「エンチャント」は戦闘中に自動で効果が発動する「アームドエンチャント」と、任意に発動できる「アクションエンチャント」の2種類がある。

 「アームドエンチャント」をセットアップしておけば戦闘の際、特技、晶術を使用するだけで「攻撃力アップ」や「詠唱加速」などの効果を発揮する。「アクションエンチャント」はボタン等を追加で入力することにより発動、便利なものが多いがかわりに「SP(スピリッツポイント)」や「TP(テクニカルポイント)」を消費する。

 「エンチャント」は「アクティブレベル」という特技や晶術を習得するために必要な値の特定レベルを満たすことで習得できる。ただ、習得しただけでは「エンチャント」の効果はない。装備(セットアップ)して初めてその効果を得られるのだが、装備するためには決められた回数分特技や晶術を使用しなければならない。新しい特技や奥義、晶術と「エンチャント」の習得をバランスよく行なうためにはかたよった戦闘スタイルではいけないということがいえるだろう。

  私はカイルに晶術を全く使わせなかったために「アクティブレベル」のマジックの値がとても低く、覚える特技と晶術も、さらにはすでに習得済みの特技の「エンチャント」もあまり変化がなくなってしまったので後から意識的に晶術を唱えるようにしてみたところだ。アタックばかり延ばしても特に弊害はないが、できるかぎりいろいろな技を見てみたい、という気持ちが強いのでこれからは肉弾戦だけでなく「アクティブレベル」も意識しつつ戦闘をこなしていこうと思う。

 この「エンチャント」だが、習得から装備まであれこれ考えてこだわってもよし、ノリで装備してもよし、という感じだ。新しい要素なので重要といえば重要なのだが、理解しないと話が進まないわけではないので好みで選んだり不具合を感じたら変えてみたり、というような装備のしかたもいいような気がする。自分なりの個性あふれるセットアップをしてこそ本当に楽しんでプレイできるのではないだろうか。

アクションエンチャントはボタン入力などで発動する。エネミーをふっとばしたり特技に追加攻撃できたり戦闘で役立つものも多数ある
必要なアクティブレベルを満たせば戦闘後にエンチャントを習得できる



■ シリーズ名物「料理」と「称号」と「ミニゲーム」

 おまけ要素といってしまうにはあまりにもハマリ度の高い「テイルズ オブ~」シリーズの名物は今作でも健在だ。

 まず「料理」だが、今回はキャラクタごとに熟練度が上がるわけではなく、総合熟練度という形になっている。特筆すべきは自分で好みの食材を6種類選び、新しいレシピ(創作料理)を作れるようになったことだ。きちんとしたレシピが完成すれば名前をつけて保存できる。

 シリーズのおまけ要素のなかで「称号」は限られた状況でしか得ることができないものも多く、コンプリートすることが難しかったが、今回は「スクリーンチャット」がフィールドだけでなくダンジョンや街の中でも可能になったため、特定の「スクリーンチャット」のみで得られる称号の入手には細心の注意が必要。こまめにキャラクターたちの会話に耳をかたむけておくといいだろう。「称号」目当てでなくても「スクリーンチャット」で冒険のヒントなど、重要な情報が入手できることも多いので聞いておいて損はない。

 「闘技場バトル」を筆頭に本編を忘れてしまうほど熱中するミニゲームも満載だ。後々ゆっくり楽しもうとどのミニゲームもとりあえずそこそこプレイするにとどめてあるが、「闘技場」などは「シングルバトル」と「タッグバトル」を選択でき、キャラクタも選ぶことができるなど、数回こなしただけでは終わらない模様。そのほか、どのミニゲームも没頭できることうけあいだ。

前作のキャラクタが登場するのはファンとしてはうれしいところではある



  ストーリーの部分でも述べたが、私は「テイルズ オブ~」シリーズの一番の魅力は、そのスケールの大きい物語と個性溢れるキャラクタだと思う。

 毎作品、時を超え星を超え、世界を救うためにさまざまな想いを抱え集まるキャラクタたち。戦いの舞台も1カ所にとどまらず、時間や場所の概念にとらわれない壮大なストーリーにプレイすればするほど引き込まれていく。いつも平凡だが平和な日々を過ごしている主人公が、ある日突然世界を救う運命になる、というところも「自分にもそういうことが起こるかも」などと思わせてくれるお気に入りの要素のひとつだ。

 「テイルズ オブ デスティニー2」は前作から18年後の世界ということもあり、「レンズ」や「ソーディアン」という前作ではキーワードになっていた言葉がそのまま使われているのだが、初めて耳にするプレーヤーには即座に意味やニュアンスが理解できないかもしれない。ほかにも前作を知らないと複線のおもしろさが半減してしまったりピンとこなかったりする部分が存在してしまうのは、続編であるがゆえにいたしかたないことなのであろうか。

 ただ、「テイルズ オブ デスティニー2」のプレーヤーの分身はカイル。世の中で語られている「四英雄」や「ソーディアン」はすべて自分が生まれる前のことだから、彼がリアルタイムで体験していないことをよく知っているのもおかしい話だといえる。そう考えると、私のようにシリーズを通して何回もクリアしているプレーヤーより、今作で初めて「テイルズ オブ デスティニー2」に触れる人のほうが、よりカイルに近い視点で物語を体験できるかもしれない。

 前作をやっていようといまいと、完成度の高いすばらしい作品には違いがないので、ぜひともたくさんの人に「テイルズ オブ デスティニー2」をプレイしてもらいたい。ひとりのファンとして強くおすすめできる作品だ。

(C)いのまたむつみ (C)NAMCO LTD.

□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□テイルズチャンネルのホームページ
http://www.namco.co.jp/home/cs/lineup/taleschannel/index.html
□製品情報
http://www.namco.co.jp/home/cs/ps2/talesofdestiny2/index.html
□関連記事
【9月16日】ナムコ、PS2「テイルズ オブ デスティニー2」の発売を 11月28日に決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020906/tod2.htm

(2002年11月28日)

[Reported by 遠藤美幸]


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