■ まさに「へたれ音ゲープレーヤー」のためのゲーム? まず、最初に告っときます。私、世の中に登場した「音ゲー」の類、ほとんどダメのへっぽこです。もう、「テトリス」のランクがあがりきっちゃった状態のような、滝のように落ちてくる譜の流れを見ているだけで意識は時空のかなたへ、というほどヘタレです。アレルギーに近いかも。 そんな筆者が「太鼓の達人」に初めてであったのは初代業務用版。「へー太鼓かあ」と思いましたが、「やっぱり音ゲーじゃないの?」ということで、人がプレイしているのを恐る恐る見学。だって音楽は好きだし、聞くのはぜんぜんOKだったんで、今までのあまたの音ゲーも、後ろからうまい人のプレイを見学するのは好きだったわけですよ。じゃ、何でできないの? ということも自分なりに考えてみましたよ。どうもあの譜がいやな感じ。小さいころにピアノ習っていたときのいやーな記憶をたどってみると、何が一番いやだったか? といえば、そりゃもう、あの「譜面」。「太鼓の達人」も、「ドン(赤)」と「カッ(青)」の2つの音譜が右から左へとするすると流れていく画面構成になっていて、思い出したのはドラム譜です。「あぁぁぁあ~」とまたパニックになりそうだったんですが、これが「音譜が大きくてちょっと視認性高いかも?」と思い直し、コインを投入してから世界が変わりました。 「意外とシンプルで自分でもいけそうですな」と思い始めたのは数回プレイしてから。「規則正しく音を出す」のは「集中力に欠けるきらいがあります」と小学校の通信簿に先生に書かれて以来の落ち着きのなさを露呈してしまう私にとってはつらいことですが、なにより流れてくる音譜のラインは1つだけだし、音譜の種類は先ほどの二種に「大」が付いて、後は連打系(2人プレイ時はさらに1つ増える)です。そうこうするうち、周りの目も気にならなくなり、いわゆるトランス状態に。シンプルゆえ、自分にとっては入り込みやすかったわけです。しかも、このゲームの判定ですが、「良、可、不可」の判定が下されるとき(音譜が枠にかかるとき)以外に音を出してもOKなんですよ。だから、慣れてくれば、リズムさえあえばアレンジして叩くことも可能というわけです。あまり連打してしまうと、枠にかかってしまってダメですが。
■ 太鼓の音色に合わせたアレンジがうれしい
さて、家庭用版「太鼓の達人」ですが、「アーケードモード(2曲プレイできる)」、「フリーモード(好きなだけ曲をプレイして練習できる)」、「サバイバルモード(7、15、30曲の曲順固定の3コースを叩ききる)」、「ミニゲームモード(100M走、ボスドンマラソンが遊べる)」、「はじめてモード(初心者向けチュートリアルモード)」といったメニューになっております。 このゲームのすばらしいところは、難易度(かんたん、ふつう、むずかしいの3段階)に違いがあっても、その中にちゃんと簡単な曲から難しめの曲まで、バラエティに富んだラインナップが用意されている(難易度は★で表記)こと。いきなり初めてプレイしても、「むずかしい」を選択して★×1と★×2の曲を選択してプレイすればクリアは可能というわけなんです。 曲はデフォルトで24曲が用意されており、J-POPは8曲、アニメは4曲、音頭が3曲、クラシックが2曲、民謡1曲、ポップス1曲、ナムコオリジナルが5曲という内訳(ポップスの1曲も『太鼓の達人』オリジナルですが)になっています。ベースとなっている業務用「太鼓の達人3」に家庭用オリジナル曲が追加された構成となっています。この曲数を多いととるか、少ないなととるかによって、このゲームの評価は分かれるところだと思いますが、最近のナムコの曲を知っているか気に入っているかにもよるような気がします。 個人的には、「すすめ! ドリラー」や、「もじぴったんメドレー」、「STEPPING WIND(風のクロノア2)」など、ナムコオリジナル曲はいずれ劣らぬ大のお気に入りばかりのラインナップなので、これだけでも十分購入の価値があると思いますが。それから、「虹色・夢色・太鼓色(『太鼓の達人』オープニングテーマ)」など、「太鼓の達人」オリジナル曲もあなどれないできばえだと思います。曲がわからない人は、「フリーモード」で曲を選択するとき、決定しないで何もしなければフルコーラスを飽きるまで聴くことができるので、覚えるには役に立つと思います。 なにが出来がいいか、というと諸説こもごもあると思うんですが、収録されている楽曲は、どの曲も太鼓の音としっくりくるようにアレンジされているというところがうれしいポイントです。ある意味当たり前のことかもしれませんが、「ドンドン、カッ」という太鼓の音色と、いろんな楽器のハーモニーは心地よいです。しかも、うまく叩けたときのあの「ハマッた」感覚は、パズルのピースがリアルタイムでサクサクと組み合っていくような、そんな爽快感があります。また、ある条件で「音色」を手に入れられれば、いろんな音色でのプレイも可能です。隠し条件は「設定モード」で獲得数が表示されているのもわかりやすくてありがたいです。
■ 同梱されている「タタコン」はどう? さて、家庭用版に付属してくる太鼓型コントローラ「タタコン」ですが、組み立て式の台に固定するという方式のコントローラになっています。大きさは大きすぎず小さすぎず、といったところ。大きさのわりに軽くできており、持ち運ぶには便利かと。「ドン」の時は太鼓の表面を、「カッ」の時は、周囲のリング状の枠を叩くことになりますが、「カッ」の時、あまり横を叩きすぎてしまうと反応してくれないので注意が必要です。 実際にプレイしてみると、打突音はやはり大きめ。会社でプレイしているとやはり周囲に迷惑がかかるかな、という程度ですが、耳障りというほどではないと思います。また、プレイ上気になるセンサー感度ですが、敏感すぎず鈍感すぎず、というイメージです。あまり軽く叩いているとミスになってしまうこともありますが、力を入れすぎてもこわれるだけなので、何度かプレイして力の入れ具合に慣れてもらうしかないです。 それから、台にはゴムが4カ所接着されており、滑り止めの役を果たしているのですが、センサーとの兼ね合いで、叩いているとやはりずれてきます。市販の滑り止めテープを使うなり、なんらかの手段で固定するようにしたほうが快適にプレイできると思います。 PS2に標準で付属しているデュアルショック2でのプレイも可能です。方向ボタンの左と○ボタンが太鼓の「面」、L1とR1が太鼓の「ふち」に対応しています。タタコンではうるさいかな、という状況や、とりあえず2人でプレイしてみたい人にはコントローラでのプレイがいいと思いますが、やっぱりタタコンでプレイしたほうが雰囲気も出ますし、なにしろ「叩いている」感覚はタタコンならではなので、基本的にタタコンプレイを推奨します。
「太鼓を叩く」という楽しさを手軽に、というコンセプトが感じられるこの作品。シンプルにさっと遊べて楽しいという要素はばっちり抑えられており、プレーヤーを選ばないだろうという点ではオススメできると思います。ちょっと細部をみてみると、メニュー画面でのロードが絡むボタンのレスポンスや、「ミニゲームモード」でのミニゲームの種目の少なさ、そして収録されている曲数に関しては多少不満を感じる人もいるでしょう。ほかには、「サバイバルモード」の30曲版、そして「ミニゲーム」のマラソンはまさに長丁場なので、サバイバルは1ループのみのバージョンなんかも用意してほしかったな、という気も。ぜひ、続編なり追加ディスクなど、業務用同様の「これだけでは終わらない」というところを見せてほしいなと思います。専用コントローラ同梱で安いとはいえ、これだけの大きさのものを保管し続けるのも大変なんで……。
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□ナムコのホームページ (2002年10月28日) [Reported by 佐伯憲司]また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved. |
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