~ライターによる、GM思い出 暴れ語り~
●担当ライターが思い入れたっぷりにゲームとGMを語ります。
■ ゲイングラウンドではありません、「ゲイングランド」です……「CRACK DOUN・GAIN GROUND」
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サイトロン1500シリーズからリリース。CWは「クラックダウン」、どちらもシステム24のゲームで緻密なグラフィックが評判だった(当時)。私は「クラックダウン」はプレイしたことも、あまつさえ見たこともないのだがクールな曲調はかっこよく、なにげに気に入っている。「ゲイングランド」のキャラクタでは1P(ピンク)のサイバーと2P(青)のハニーが好き。役に立つ度ではマースと教授かなあ
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ここのところ「俺とGM」のお題目が割と新しいゲームばかりだったので、なんとなくとっても古いゲームについて語りたくなりました。セレクトしたのは「ゲイングランド」。
画面のなかを飛び道具の雨が降り注ぎ、ちっちゃいキャラクターがちまちま動き回っている地味ーなゲームを、レトロゲームが置いてあるゲームセンターで見かけたことありません?
今でも根強い人気で、けっこうやっている人多いですよ。
ゲームのスタイルは固定画面のアクションシューティングのようなもの。基本のウェポンとサブウェポンの2種類の攻撃法を持つ20人のキャラクターをうまく使って、ステージの敵を全滅させると面クリア、次の面に進めます。20人のキャラクターの長所短所、移動速度とか射程とかわかっていないとゲームになりません。キャラの使いどころを間違えるとすぐゲームオーバーです。拷問のように難しいゲームです。
この「ゲイングランド」は原始・起、中世欧州・承、革命前中国・転、未来ロボット・結、4つの時代からなり、それぞれのステージにBGMがあります。どの曲もこの時代にありがちなベタベタのひねりのない作風で、わかりやすいことこの上ないです。おまけに各時代10ステージもあって、プレイしている間中洗脳音楽のように聴かされているので嫌でも耳にこびりついてしまいます。
私は何をどうやっても最初の原始ステージの8面までしか行けなかったので、毎日毎日この面のBGMをお腹いっぱいになるほど聴きました。8面を5回こなすと都合40回原始BGMを聴いたことになりますネ。すごいね。
結局中途半端でやらなくなってしまった「ゲイングランド」ですが、実は私には密かに目標があったのです。
それは3ステージ目の革命前中国のBGMを自分の力で聴くこと。人がやっているのを見ていて、中国面の乾いた土っぽい色の雰囲気と鐘の音みたいな音色で始まるBGMが妙に合っていて衝撃的でした。中国音階と和音をふんだんに使い、あまりビートを利かせずメロディ重視で、音質も一貫して鐘っぽく、「これでもか!」というほど中国色を全面に押し出した芸のなさが愛おしいです。2つのメロも、倍音のユニゾンと、全く別の旋律を奏でているときのからみ具合がなんとも中国的。メロの音質が胡弓のようだと三国志になってしまうので、そこはちょっと現代風に硬質なキラキラ音になっているところは技ありかも。お約束の銅鑼(のような音)もちゃんとループ前に入っているのがまたベタでほほえましいです。
ループといえば、「ゲイングランド」のBGMって1ループが長いんですよ。面の制限時間いっぱいいっぱいまでねばっても1ループ聴くことができないんです。でも革命前中国のBGMだけはなんとか終わりまで堪能できるので気持ちいいですね。
昔のゲームって基板やハード、その他もろもろの事情で音楽に容量を割くことができないなか、一生懸命そのステージやゲームの雰囲気に合ったものを作ろうとコンポーザーの方があの手この手でがんばっているのが目に浮かぶようで、がんばってはいるけど、結果わかりやすくベタベタな曲が出来上がってしまうのがせつなくもありおかしくもあり。その苦労が手に取るようにわかるが故に昔のゲーム音楽がより愛おしく感じられるのかもしれません。
実際、いろいろな制限のなかで練りに練って生み出された音楽だからこそ、音源のしょぼさなんかはどこかへ飛んでいってしまうほどすばらしく印象的な曲が多いんだろうなあ、と、最近のゲーム音楽を聴いていて思うことしきりです。
[Text : 遠藤 美幸]
■ ゴズモギャング・ザ・ビデオ……「コズモギャング ザ ビデオ ザパズル」
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'95年にビクター音楽産業より発売された、「ナムコゲームサウンドエクスプレスVOL.8」です。価格は当時1,500円。開発に携わった様々な人の思い出や、漫画、キャラ設定などがぎっしり詰まった、ライナーノーツの充実っぷりには仰天。本文では「パズル」には触れてないけど、こちらもすごく面白いゲームで、「ひとりでパズルをするBGM」は何ループさせてもオッケ!
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「コズモ~」シリーズって、珍しく全部ジャンルが違うけど、どれも中毒性の高い、面白いゲームですよね。最初はエレメカの「コズモギャング」、これがビデオゲーム「コズモギャング ザ ビデオ(以下ビデオ)」となって発売され、さらに後には「コズモギャング ザ パズル(以下パズル)」となって登場しました。このCDには「ビデオ」と「パズル」両方の曲が入っています。
シリーズの中で私が一番遊んだのは、「ビデオ」。かわいいピンク色のコズモギャングズが、ギャラガちっくに綺麗な幾何学模様を描いて登場し、整列して、襲いかかってくるアレです。とりわけギャラガに思い入れが無かった私は、このゲームが行きつけのお店にニューゲームとして並んだ日、特に気にも留めなかったんです。それでもまぁ、ニューゲーだからやってみっかー、とお金を入れると、むちゃくちゃ面白いんですよ。いろんなアイテムがあって、仕掛けも豊富だし、ギャング共かわいいし、虜になってしまいました。
CDで改めて聴くと、ステージ道中って登場BGMが2種類と、ステージのメインのBGMが2種類しかないんですね(ボーナスステージは別ね)。もっといっぱいあったように記憶してました。ステージ開幕の「たったったらった~」に続いて、登場シーンのBGMと共に編隊を組んだギャング共が登場し、意匠を凝らした攻撃で攻めてくる場面でステージ曲が流れる。すごくシンプルな繰り返しだけど、全く飽きることがなかったんです。
「ビデオ」と言えば、効果音もすごく気持ちいいんです。ギャング共を撃ったときのぽこぽこしたSE、私のライバルだったレーザー野郎の「レーザー」びーむ、とか、「ごめんね」なども、すごく耳に残ります(当時はうっかり口にしてました)。そんな騒がしいSEが混在する中で、パーカッション部分は必ずトントン聞こえてくるところが心地よいですな。
やっぱりこのゲームのBGMで1番頭に残っているのは、2つのステージ曲「BGMその1・宇宙」と「BGMその2・惑星」。「その1」は、裏打ちで鳴るリズムが、群を成して整列して攻めてくるコミカルなギャングたちの様子にピッタリ。でもって、私が大好きなのが「その2」。このゲームにすごく合ってる気がするんだけど、その理由は、澄んだ和音にレーザーSEなんかが混ざると、惑星アーキンドの周りに広がる宇宙の広がりを感じるのです。かわいいなりして凶悪なギャング共が、ズントコいうリズムで踊り狂ってる感じ!
もう「ビデオ」っつったらこの曲でしょ。
今聴くとこんなにBPM遅かったかなぁ、という気がするけど、それはプレイ中必死だった自分のテンションが勝手に記憶を操作したんではないかと思われ。そりゃープレイ中は弾やレーザーを避けながら、敵を狙撃するのに必死、「レ・レーザ・レーザー、びーむごめ・ごめんね!
ごめんね!」な状態だったからなぁ。ほんと延々ループしていて飽きない曲です。欲を言えばこのCD、もうちょっと……、せめてあと1周ループさせてほしかったなぁ、とワガママにも思ってしまいます。
ラスボス「キングコズモと対決」の曲は、ちゃんと聴いたのが初めてだけど、カッコイイっすよー!
プレイ中はボスの繰り出す様々な攻撃を避けるのに必死で、耳を傾ける余裕なんて無かったんです。すげーでーけぇボスで、初めてみたときは衝撃だったけど、そんなに何度も会ったことが無かったんですよ。こういう一見プライズぬいぐるみみたいな可愛い目キャラがいっぱい弾を吐いてくる、そんなアンバランスにはグッときます。BGMも、おもちゃの太鼓がポンポン鳴ってる感じがちょっとコミカルさを漂よわせ、この愛らしくて憎らしいボスに非常~に合ってると思います。
[Text : 河本 真寿美]
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