石井ぜんじの「GGXX」ゲーセン放浪記
~街中で見かける対戦状況~


ライター 石井ぜんじ(3?歳 男)
もはや40に届く勢いのオヤジゲーマー。ゲーム歴は「スペースパニック」以来約20年。パズルゲーム好きで、「ムサピィのチョコマーカー」についついコインをいれてしまう今日この頃。新キャラのイノとザッパのジャンプキャンセルがイマイチ使いこなせていない。


第7回 7月7日編

 今回は神奈川県大船のゲームセンター、「パワースティック」で行なわれた「ギルティギア イグゼクス」の大会を見てきました。レディースの大会で男性陣は参加できなかったわけですが、なかなかレベルの高い戦いが繰り広げられました。

古くから50円ゲーセンの残る街~大船
 大会の内容に触れる前に、少しゲームセンターの立地について触れておきましょう。神奈川県でゲームセンターが盛り上がっている場所といえば、横浜、川崎といった大都市と厚木、藤沢、そしてこの大船です。大船と藤沢(大船と藤沢は隣駅です)に共通しているのが、電車の路線が交差する街であるということです。学生はまだクルマの免許を持っていない人が多いので、学校帰りに寄ることのできる場所に集まるのです。大船には代々木ゼミナールという大きな予備校があり、その学生をターゲットに古くから50円ゲーセンが栄えてきました。

 個人的な話になってしまいますが、私が始めて大船のゲームセンターに行ったのはナムコの「ギャプラス」が新製品として稼働していたころです。当時はナムコ全盛の時代で、直営店の「プレイシティキャロット大船店」で学校をさぼって一日中ゲームをしていました。近くの肉屋「ハマケイ」のシューマイとコロッケ、「サンドーレ大船」の閉店間際の値引きしたサンドイッチで飯代を節約しながら遊んでいたものでした。今から20年ほど前の話です。

 その頃の大船にはキャロットのほか、「ホームラン」、「ラッキー」、「チャンピオン」、「ニュヨーク」という5つのゲームセンターがありました。現在は残念ながらキャロットは閉店してしまいましたが、「ホームラン」、「ニューヨーク」は健在。セガ系列だった「チャンピオン」は閉店しましたが、同じ場所にできた「ゲーム倶楽部」(ストIIIの対戦で有名になりました)が後を継いでいます。また駅の改装とともに地下に「セガワールド大船ソニックアイランド」がオープンしたので、今でも5つの店舗がしのぎを削る激戦区なのです。

 ゲームセンターの経営上、人口あたり何店舗というように語られることがよくあります。しかし、アーケードゲームというのはやってもやらなくてもいいものなのです。やってみればおもしろいが、やらなければどうということはない。ゲームは文化であり、育つ環境があれば盛り上がるし、育てなければまったくやらなくなってしまうものです。この大船と藤沢という場所は、ゲームセンターというひとつの文化が、まだ失われずに残っている地方都市のひとつだといえるでしょう。

大会の経緯~個性を充分に発揮した闘い
 「パワースティック」は駅から歩いて数分のところにあります。店舗は地下ですが、入ってみれば所狭しと汎用筐体が置かれています。基本料金が50円なのが学生にはうれしいところ。「ギルティギア イグゼクス」の対戦台が5セット置かれており、店がこのゲームにどれだけ力を入れているかが伺えます。そのなかには女性専用台もありました。このうちの2台を使い大会は行なわれました。

 使用キャラでもっとも多かったのはカイでした。女性ファンの人気の高さから考えれば順当なところです。しかしカイばかりかというとそうではなく、キャラクタの選定はばらけていて、個性が発揮されていたのがおもしろいところでした。新キャラではザッパ、スレイヤーもいましたし、ファウスト、ポチョムキンの使い手もいました。そのプレイぶりは真剣でしたが、シビアな全国大会などより個性を充分発揮した戦いだったといえるでしょう。

 最初の名勝負は、ポチョムキンとソルという組み合わせの1回戦。青キャンを駆使して強引に攻め立てるソルに対し、基本通りの動きでじっくりチャンスをうかがうポチョムキン。特にポチョムキンの動きの正確さには舌を巻きました。下段のガトリングが主なダメージソースで、特別な動きをしているわけではありません。しかしジャンプ防止の立ちSを使うタイミングなど、すべての技の選択に研究と対戦経験が反映されています。相手のジャンプ軌道にヘブンリーポチョムキンバスターを合わせるのは、もはや条件反射になっているかのようでした。結果はソルの猛攻をしのいだポチョムキンが1回戦突破。そのままの勢いで決勝リーグへ突き進みます。残りのふたつのブロックから勝ち進んだのはカイでした。カイといえばリーチを活かした攻撃が基本ですが、決勝に残ったふたりはどちらも正統派。隙のない立ち回りでしぶとく勝ち上がっていきます。

 決勝リーグは、ポチョムキン、赤カイ、青カイの3人で争うことになりました。最初にカイ同士で戦いが行なわれ、赤のカイが僅差で勝利。起き上がりの攻めの厳しさが勝利を分けた印象です。そしてポチョムキンと赤カイとの対決。接戦が予想されましたが、カイの厳しい攻めにまったくチャンスがなく、3-0で赤カイの完全勝利。ポチョムキンのパワーに動じることなく、最初から最後まで自分のペースで攻め抜いたのが勝利につながりました。決勝に残った3人は賞状が手渡され、レディース大会は成功のうちに幕を閉じました。

 大会後は女性専用台が設置されていたこともあり、そのままの流れで対戦が盛り上がりました。なかなかゲームセンターでこれだけ女性プレーヤーが集まる機会はないでしょう。その日に集まったプレーヤーにとって大会の結果いかんより、集まった中で楽しく対戦をしながら、ゲームの中と外で自分が表現できるということが貴重に感じられていたと思います。

大会の経緯~個性を充分に発揮した闘い
 帰りに寄った藤沢のゲームセンターでは、ゆかた姿の女性プレーヤーが「ギルティギア イグゼクス」で対戦をしていました。そういえばこの日は七夕で、同じ東海道沿線の平塚では七夕祭りが行なわれていたのです。いよいよ夏ということを実感しつつ、冷房の効いたゲーセンで残り時間をつぶした一日でした。



~今回取材したゲーセン~

【 パワースティック 】
 大船駅東口を出てすぐのところにあるゲームセンター。最新ゲームだけでなく、レトロゲームも数多く揃っている。「ギルティギア イグゼクス」は1ゲーム50円設定になっており、5セットの対戦台を設置。7月20日にも「GGXX」の大会が実施される予定。

住所:鎌倉市大船1-23-7 第52東京ビルB1
TEL:0467-43-3034
URL:http://www.powerstick.net/


[Reported by 石井ぜんじ]
GUILTY GEAR Watch

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.