オレと「GGXX」 ~ストリートミュージシャン編~


今週のギルティスト
ストリートライブを敢行している大学生 田名網祐三 (22歳 男)
音楽一筋でゲームにはほとんど興味はないが、「ギルティギア イグゼクス」には不思議と興味を惹かれているという。


 プレイ待ちの行列が絶えない「ギルティギア イグゼクス」。今回は、ストリートライブをやっているアマチュアミュージシャンに、「GGXX」のサウンドについて語ってもらった。

ゲームとサウンドの関連性
 このギルティギアというゲームのスタイルは、非常に音楽的表情に優れた作品だと思われる。メインテーマのギターリフに意表をつかれたが'80年代のハードロックやその時代の象徴とされるクイーンのブライアンメイ。あの時代の音をゲームの世界に持ち出すことで、その空間における日常的時間の流れを瞬時に変換させる。

 私はゲーム音楽というと、'70年代テクノポップ(YMOやクラフトワーク等が有名)を連想する。あの時代の映像としては短絡的で迫力に欠いたものが妙に未来的でドラッギーに感じるように、ゲームの魅力を引き出すにはあれ以上にフィットするものはありえないだろうと感じるのだ。

 それらは、「パックマン」や「テトリス」といった私が幼少の頃に時間を忘れるには十分な興奮を与えてくれていたパズルゲームやシューティングゲームである。現在音楽の世界では、テクノアーティスト達がゲームの世界を大きく指示することが多い。エイフェックスツインは前述の「パックマン」や「テトリス」をカヴァーし、それを発表している。これに対してあの時代のゲームが音楽の世界を変えたなどと言えば、ブーイングが豪雨のように巻き起こるであろうことは承知しているが、それに何かしらの方向指示器になったことは間違いではないであろう。

各所に見受けられるクリエイターのこだわり
 ここまでこう言ったことを書いているのは、「GGXX」がそれらに対して新しいカルチャーとして先陣を切っているということを言いたいからである。

 映像が単純だった過去のシューティングゲームやパズルゲームとは映像と操作方法の進歩がめまぐるしい現代のゲーム世界において、この'80年代的なサウンドというのはテクノポップに次ぐフィット感を感じられるのだ。格闘ゲームとして一番必要なのは、その俊敏な世界観をいかに引き出すかであろう。ギターの激しいカッティングとディストーション、ファズのノイズがその世界で大暴れするかのように戦いを俊敏に映す。

 そして、特出すべき点としてもうひとつ。このゲームの登場人物やその人物のもつ技の数々をじっくりと読んでみることで思わず含み笑いをしそうな時がある。是非多少音楽が好きな人にはそれらを熟読していただきたい。「ザッパはあのZappaかな?」とか、「イノはブライアン・イーノかな?」とか。それ以外にも笑みを隠せない石渡さんの趣味が絡んでいる。

すべての音楽を愛する人に伝えたい
 私はゲームと言うものに疎い。しかしこのゲームにはやはり惹かれる。それは、ただ単に使う音楽が激しく、バンドサウンドとして確立しているからというだけではない。作者のゲームのみならぬ音楽への愛情が強く伺えるからだ。

 ナインインチネイルズのトレントレズナーが日本にプレイステーションをしに来日した。これは、きっと彼がこのゲームの作者と同じ気持ちで音楽をやっているからだと思う。音楽好きがゲームクリエーターになり、ゲーム好きが音楽家になる。これはそのステージで革命を起こすには必要なもの、ジャンルのカラを破るには必要なことのように思えるのだ。「Dの食卓」などを手がけた飯野さんがビートルズの影響を強く受けて音楽をゲームの中で重要視させることに成功した。そしてこのゲームの作者は'80年代の音楽の影響を隠さず取り入れることで、そのゲーム消費者の幅を大きく広げることに成功したのだ。

 ハードロックがこのような形でまた日の目を見ることを、私は非常に嬉しく思う。音楽を愛する人間としては、もう過去の産物にされきっている音楽だからだ。'80年代ハードロックは今新しいステージを用意され、また新鮮に奏で始めている。「ギルティギア イグゼクス」に対して、私はそういう側面からも楽しませてもらいたい。この作品への期待と今後の石渡さんがクリエートする新しいゲームの将来性に感謝したい。


GUILTY GEAR Watch

ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp
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