Game Developers Conferenceレポート

一風変わった切り口のゲームがずらり
海外インディペンデント系ゲーム紹介

会期:3月19日~3月23日 (現地時間)

開催地:San Jose McEnery Convention Centerなど

グラフィック的に驚くようなゲームはほとんどなかったが、遊んでみるとついつい熱中してしまう、スルメのような作品が多かった
 Game Developers Conferenceはゲーム開発者向けのイベントのため、エキスポでの展示も発売前の話題のゲームをというよりは、グラフィックやゲームエンジンなどの、よりテクノロジー色を前面に出したデモンストレーションが行なわれている。
 そんな中、ちょっと違った雰囲気の一角があった。これはGDCと同時開催されている「Independent Games Festival」という、インディペンデントな開発会社や学生が製作したゲームを支援するためのイベントの展示コーナーだ。日本でいうところの自作ソフトに近いもので、そういった開発会社の制作成果を世に送り出して評価の場を与え、パブリッシャーなどとの出会いの機会を増やそうという催しとなっている。

 展示コーナーにはコンペティションにノミネートされたゲームのうち、最終選考に残った10作品と、The Student Showcaseという学生が制作したゲームのコーナーとが設けられていて、市販のゲームとは切り口の異なる、強い個性を放っている作品が楽しめる。一部DEMO版がネットで配布されているので、ぜひ、各ゲームのデモ版をプレイしてみてほしい。

 また、3月21日の午後8時(現地時間)から行なわれたGame Developers Choice Awardに先駆けて、コンペティションの表彰式「IGF Award Ceremony」も行なわれた。会場に展示されていたファイナリストの中からゲームデザインやアート性にすぐれた作品、また会場を訪れた人々のアンケート評価が高かった作品などが表彰され、優勝者のパズルアドベンチャーゲーム「BAD MILK」には優勝賞金20,000ドルが贈られた。

Student Showcaseのコーナーにカーリングのゲームを出展していた高校生のNathan Sorenson氏、17歳 来場者の投票ナンバー1に耀いたKung Fu Chessの開発者兄弟のアウォードでの様子 踊るパズルアクションゲーム「World Dance」。展示コーナーには一風変わったゲームが揃っていた



「BAD MILK」

 コンペティションで見事優勝したパズルアドベンチャー。無機質な雰囲気のスクリーンの中を次々とパズルにチャレンジしながらさ迷うゲームで、パズルルール説明が一切ないため、自分だけの思考でそれぞれに異なるパズルの解法を探っていかなくてはならない。操作のためのアイコン類なども表示されないので、ゲームということを意識させることなく何か別世界に入り込んでしまったような気にさせられる。どのパズルもクリックしてみたりドラッグしてみたりの試行錯誤の後に、あっと言うような結末が待っている。

□「BAD MILK」のページ
http://www.dreamingmedia.com/
□DEMOのページ
http://www.dreamingmedia.com/cgi-bin/products.phtml?subsect=demo


「Takeout Weight Curling」

 冬季オリンピックなどですっかりとおなじみになった氷上のスポーツ、カーリングを題材にしたゲーム。カーリングは選手が取っ手のついたおもりのような“ストーン”を投げ、そこで他のチームメイトがブラシでごしごしリンクをこすって、ストーンの進路を調整する。ストーンが相手チームのよりもハウス(円)の真ん中にくればOKだ。相手チームのストーンをはじき出したりしながら、得点を争う。ゲーム操作はすべてマウスのみで行なえ、簡単にゲームを進めることができた。ゲームエンジンはオリジナルで、製作者のSorenson氏いわく「物理計算をもう少しシミュレートしたいんだけど、高校生だからね。でも、なかなか良くできたとは思うんだ」とのことだが、次作が楽しみになるような軽快な作品だった。デモは現在製作中で、製品版は約13ドル+送料で購入できる。

□「Takeout Weight Curling」のページ
http://www.takeoutweight.com/


「Kung Fu Chess」

 オンライン対戦チェスゲームなのだが、オリジナルのルールに新たな要素を加えることで、戦略性、リアルタイム性を大きく変えた作品。チェスの駒は好きな時に好きなように動かせるため、まるでリアルタイムストラテジーのようなゲームになっている。その上、駒を進めると一定時間その場にとどまらなくてはならない(画面の黄色いゲージが停止時間メーター)ので、相手の出方を伺いながら駒を進め、同時にチェス全体の流れも考えなくてはならない。まさにカンフーのように大忙しなチェスゲームなのだ。
 プレイするにあたってはソフトウェアダウンロードは必要なく、上記サイトで適当なプレーヤーネームを作ってログインするだけ。サーバーには大勢のプレーヤーが集っている。

□「Kung Fu Chess」のページ
http://www.kungfuchess.com/


「Pencil Whipped」

 紙と鉛筆でできたような世界を舞台にした変わった雰囲気のFPS。お化け屋敷の中に迷い込んだようなゲームフィールドで、通路を進んでいくとぺらぺらの紙でできたようなクリーチャーたちが、かなり近距離にびよーんと飛び出してくる。
 ゲームジャンル的にはありきたりかもしれないが、世界観と統一されたグラフィックでずいぶん印象の変わったゲームになっている。

□「Pencil Whipped」のページ
http://www.maxminn.com/chiselhead/
□DEMOのページ
http://www.maxminn.com/chiselhead/pw.html


「INSANIQUARIUM」

 一見、何ということない水槽ゲームに見えるのだが、育成とシューティングの要素が合体した、意外に熱中してしまうミニゲームだ。ソフトをダウンロードする必要はなく、そのままウェブ上で遊ぶことができる。ゲームがスタートしたら、水槽をクリックして中にいる小さいグッピーにエサを与える。エサを食べるとグッピーは成長しながら硬貨をフンのように落とし始める。その落ちてくる硬貨をシューティングのように拾いながら、水槽やエサをアップグレードしていく。途中、モンスターが現れてグッピーに襲い掛かるので、これもクリック連打で退治だ。グッピーはお腹がすきすぎると死ぬが、お腹がすいた時にしかエサを食べないので、お金を払って落とすエサが多すぎないようにしなくてはならない。出るお金と入るお金のバランスどりが良くて、かなり熱中してしまうゲームだ。

□「Pencil Whipped」のページ
http://www.freshpulp.com/fishtank/

□GDCのホームページ
http://www.gdconf.com/
□関連情報
【3月20日】ゲーム開発者向けのカンファレンス「Game Developers Conference」開幕
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020320/gdc01.htm

(2002年3月25日)

[Reported by 西尾ゆき]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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