【特別インタビュー】

「MotoGP2」開発者インタビュー
株式会社ナムコ 中村 勲氏インタビュー

【中村 勲氏】
プロフィール
株式会社ナムコ 第一開発本部 制作二部 課長。「スズカエイトアワーズ」、「500GP」などの業務用バイクレースゲーム開発に携わった後、「MotoGP」で家庭用ゲーム機初挑戦。ひきつづき「MotoGP2」のプロデューサーを担当する。愛車はYAMAHA V-MAX。

 いよいよ今週発売になる株式会社ナムコのバイクレースゲーム「MotoGP2」。ウェットコンディションの採用や、往年のGPライダーたちが登場する「レジェンズ」モードの採用など、パワーアップして登場する。前作の登場から約1年のハイペースでの発売の意図とは? そして「MotoGP2」の見どころについて、プロデューサーの中村氏にお話を伺った。


■ 「ふと見るとまわりにライバルがいる」改良されたCPU(Cカー)アルゴリズム

前作をベースに手の入ったCPUアルゴリズム
--早速ですが、前作から1年と2カ月で発売というのはかなりのハイペースだと思うのですが?

 いろんな方にそう言われるのですが、我々としてはそういった意識はないんですよ。今作は、「MotoGP」の世界の完全再現を目指す意味からも2001年度版、という位置づけでスタッフががんばってきましたから。前作の制作でプレイステーション 2の開発環境にも慣れて、より効率良く、高いクオリティのものを提供できることがわかっていましたので、開発期間は短く済んだと思いますけれどね。

--今回、CPUも前作に比べて早くなっているような印象を受けたんですが?

 そうですね。レースゲームのCカー(CPUカー)って、作るのがすごく難しいところで、他社さんも苦労しているところだと思うんですが……。我々も前作のCカーのアルゴリズムに満足しているわけではなく、今回「MotoGP2」を制作するにあたって、単にゴボウ抜きしてしまって終わりということではない、より本物のレースっぽい接戦とか、より人間がコントロールしているような感覚になってもらえるように見直しているんですよ。

 前作から引き続いて同じスタッフが制作を担当しているので、Cカーの開発もゼロからスタートしたわけではなく、前作のものをベースに、もっとより良くするためにはどうしたらいいか、アイデアを出し合って、アルゴリズムをだいぶ変えました。単にセッティングを変更したという調整レベルではないです。いわゆるCカーの思考の部分にいくつも新しい要素を入れて、前作よりは、より実際のレースで走っているような感覚、Cカーを抜いていく楽しさを味わってもらえるようにしています。

 そのかいがあって、前作よりは接戦になったり、初心者も上級者もふと見るとまわりにライバルが居る、というレース展開ができるようになっていると思います。だから速い人がプレイすると、実際速くなるようになっているんですよ。「なんか速くなったなー」と感じる人は、もともと自分も速いということですね(笑)。

--そのあたりはプレーヤーのペースとか、順位の上がり具合などに反応するという感覚でしょうか?

 若干、ですけれどね。なんせ短いと2周(アーケードモードの標準設定が2周)で終わりなので、その間にいろいろ見極めろ、というのは難しい。かといって簡単な手法として、プレーヤーの腕だけ見る、という方法もあるんですが、それがハッキリわかってしまうと興醒めするじゃないですか。“自分がどのポジションを走っていてもCカーは必ずペースアップしてまわりにいる”ことになったら全然おもしろくないんで。あくまで各Cカーの実力で走りながらも、プレイヤーが接近してくれば、抜かされまいと粘りを見せます。

 鈴鹿では、先行するビアッジ、マッコイをロッシが追い上げて抜くようなシーンが見られると思いますが、そこにプレーヤーが割り込んで行けば、当然彼らも抜かされまいとペースを更にアップしてきますよ。

 他には、例えば、実際のレースを思い浮かべていただければわかりやすいですが、予選と決勝ではライダーのペースが違いますよね。「MotoGP2」も、2001年版のデータが入っています。決勝レースを始めると、決勝のときのペースのデータを入れてありますので、予選は早くても決勝で遅いペースで走っていたライダーは、スタートしたときにずるずる抜かれていくようになっています。だから、できれば周回数を「FULL」にして、レース展開が実際のGPと比べてどうなるかを楽しむというのも「MotoGP」ファンにオススメしたいですね(笑)。ウェットコンディションでムジェロサーキットを選んでもらえば、「MotoGP」通な人にはわかると思うんですが、ゼッケン12の青木治親選手はけっこう速いですよ、とか。

 そうそう、今回のタイムアタックモードのトレイルには、開発に協力してくれている青木拓磨選手が実際にこのゲームをやり込んで収録したトレイルデータが入っているんですよ。最初は、気に入ったコースだけやってくれればいいから、ということでソフトを渡したんですが、ライダーはみんな負けず嫌い(?)なんで、彼はやっぱり全コースやり込んできましたよ。2つほど納得のいかないタイムがあるようですが、かなり速いので、ぜひプレーヤーの方々に挑戦してもらいたいですね。


■ 「レジェンズ」モードの人選の秘密

マシンとライダーの見た目はもちろん、ライディングのクセも再現されているレジェンズモード
--「レジェンズ」モードもプレイさせていただいたんですが、こちらも往年のトップライダーたちと戦えるということだからでしょうか、彼らもペースが速かったような気がしますが?

 活躍した年代が違ういくつものバイクとライダーたちが同じコースを全開で走れば、当然バラバラなレース展開になるんでしょうが、彼らもああいったエキシビジョン的な条件なら、各々のマシンの許容範囲内で、抜きつ抜かれつするようなレース展開を組み立ててくるんじゃないか、という想定の下に、できるだけプレーヤーのまわりに位置するようにしてあるんですよ。でも、ケニー・ロバーツ(シニア)はなんとなく遅い(笑)というように、それぞれのライダーの特徴はちゃんと入れてあります。

--「レジェンズ」モードに登場するライダーたちの人選はどういった基準で行なわれたんでしょうか?

 dorna(ドルナ)という「MotoGP」に関する権利を管理している会社があって、我々もそこと契約してソフトを発売しているわけですが、そのドルナが選んだ、野球でいうところの「名球会」みたいなものに「MotoGP Legends」というものがあって。その「MotoGP Legends」に選ばれているライダーを再現したのがあのモードなんです。

 だから、昔からのGPファンの方々には、「平やガードナーがいないじゃないか!」と言われるかもしれませんが、もし、次作があるとして、その開発期間までに彼らが「MotoGP Legends」に選ばれていれば、登場することになるかもしれません。(編注:バリー・シーンとワイン・ガードナーは10月13日付けの同社のHPで、「MotoGP Legends」にノミネートされたことが発表されている)


排気熱や路面の熱で昇る陽炎など、さらに向上したグラフィック
■ 5コース追加だが実は10コース追加?

--今回、5コースが追加になっていますね。こちらのセレクトの基準はどのように決定されたんでしょう? それから、なぜ5コースなんでしょうか?

 やはり、10コースをトータルでみたときのバランスですよね。長い高速サーキットからタイトなレイアウトのコースまで、バランスよく網羅しようという。全部のコースを比較してみればわかりますが、コースの全長別、とかそれぞれの特徴を考えると、バランスよく並んでいると思います。

 それから、なぜ「5コース」なのか、ということですが、前作を遊ばれた方から見れば確かに5つ増えているわけなんですが、今回初めて遊ぶ方からすれば、いきなり10コースなんですよね。いきなり全部をプレイするのは大変でしょうし、実際に遊ぶことを考えると、気に入ったコースを重点的に遊ぶ、という方が多いんじゃないかと思うわけです。ボリュームの問題ですよね。

 しかも、タイヤが今回タイヤが16.5inchも選べるようになっていますので、前作をやり込んだ方々には、前作の5コースも改めて遊んでほしい、という思いもあります。実際、ブレーキングポイントやアクセルを開けるポイントは変わっていますから。コースもさらに作り込んでより本物に近づけてありますので、プレイしてもらえれば違いがわかると思いますよ。

--鈴鹿を走ってみて、ブレーキングのタイミングやマシンの挙動がちょっと違うな、というぐらいは私もわかりました(笑)

 当然、マシンの挙動も前作をベースにしながら、かなり手を入れてありますので、前作ファンには違いがはっきりわかるはず。タイムアタックに挑戦するやり込み派の方には、そのへんはすぐにわかってもらえると思います。とくにシミュレーションONでランオフエリアでバイクを傾けたままブレーキを踏むと転倒してしまうとか、いろいろ変えてありますよ。シミュレーションOFFでもアシストの仕方が微妙に変わってますし。タイヤやギア比の違いといった今年のマシンの特性の違いも体感できるはずです。

 マシンの特性が変わっているので、チャレンジモードも新たな発見があって楽しいと思いますよ。ゴールドメダルをとるころにはかなり上手くなっていると思います。

--そういえば、コーナリングしているときに、縁石の色が反射してマシンに映り込む様がハデになっていたのですが?

 カウルやバイザーへの反射は、前作からやっていたんですけどね(苦笑)。今回はより派手にしてみました。今までいろんな人にプレイしてみてもらったんですが、結構好評ですね(笑)。今回はライダーのライディングポーズもそれぞれ凝ってありますし、ライディングスタイルに合わせて特性も変えてありますし、アクションボタンもありますから、よりライダーになりきって遊んでもらえるんじゃないかと思います。

ナムコのバイクレースゲームをずっと手がけてきた氏。自身もかなりのバイク好き
--「MotoGP」といえば、コースに実際に取材をかけて、リアルなものを追求しているというのがウリですが、今回の取材はいかがでしたか?

 「500GP」、「MotoGP」とコースを取材するスタンスは変わらず、今回もヨーロッパラウンドを中心に新コースの取材をしてきました。今までの取材と違って、今回は一度にいくつかのサーキットをまとめて取材してきたことが大きな違いですかね。なので、事前準備は大変でした。

 前作までは木曜日にサーキットインして、予選から決勝までの期間に取材したんですが、今回は都合で予選前に取材を始めて、決勝を見ずに次の取材先へ移動、というのもありましたね。取材班も幾度も取材を重ねてきていますので、最初はそれこそ手当たり次第に写真を取ってきたりしていましたが、今回はてきぱきと必要なポイントを重点的に押さえてきたという感じですね。

 青木宣篤選手なんて、シーズン中なのにサーキット間の1,500キロの移動を自分で車を運転して移動してましたよ。その時われわれは飛行機で移動したんですが、彼はそのまま次の日にサーキットでマシンテストに参加してましたよ。GPライダーの体力はさすがだな、と思いましたね。

--最近はサーキットの地形データをGPSを利用して計測したものを購入して制作しているところもありますが……

 やはりね、サーキットにレースウィークに行って、「MotoGP」の空気を吸ってくる、というのは大事なんですよ。同じ晴れでも場所によって空の色は全く違うし、雨の様子も違いますしね。路面の色から観客席の風景も違う。実地に行って細かい計測をすることでデータを採るというのも大事なことなんですが、サーキットの雰囲気をグラフィックのスタッフが実際に味わってくる、そして取材に行けないスタッフがその様子を収めた写真を見て、その雰囲気を掴んでからコースを作っていくと、違うんですよ。実際に足を運んだことのある方なら納得していただけるものになっていると思いますし、行ったことのない人にも、各サーキットによっての風景の違いを楽しんでほしいと思いますね。

 特に公道の一部をサーキット期間だけ使用しているところなどは、ランオフエリアに明確な壁がなかったりして、データにするときどこまで取り入れたらいいかわからないことが多いんですが、そのへんも経験豊富なスタッフたちがうまく処理してくれていますね。


■ 「ライダーにとっての雨」を再現したウェットコンディション

視界がゆがみ、グリップは下がる……新たなチャレンジのウェットコンディション
--今回初導入となったウェットコンディションですが、実際走ってみるとかなり走りづらいですね。

 実際、雨の中をバイクで走るということ自体がとても難しいことなんですよね。ライダー視点で走ってもらえればわかるとおり、バイザーに雨が吹きつけてくるのでワイパーのある車と違って視界は悪いし、路面のミューが低下するので転倒しやすくなる。でも、GPライダーたちはそんな悪条件の中でレースを行なうわけですよ。だから、ウェットコンディションは相当難しいと思います。シミュレーションをONにした場合は特に。

 だから、ウェットはウェットなりの走り方を見つけてもらって、その中で速さを追求してもらいたい、ということですよね。ドライの時とはラインも違いますし、アクセルワークなどもシビアになります。これは難易度を上げてプレーヤーの方々に挑戦する、ということではなく、あくまで「MotoGP」の世界の再現のひとつとして、この要素を入れたんです。ウェットのときはコースをはみ出さない、旋回時はアクセルをあまり開けない、ブレーキングは早めに、ということを心がけてもらえれば……。

--雨のライダー視点の表現や、リプレイの水滴など、今までになかった雨の表現ですよね?

 あれは、プログラマやグラフィックの担当のスタッフたちが、前作からいろいろ試行錯誤して温めていたアイデアをいろいろ提案してくれた中から採用したものです。前作のプログラムを最適化して、さらにいろんな追加要素を詰め込んであります。普通雨というと、画面にサーッと白い線が入って、地面に小さな波紋がいくつも広がる……といった表現が思い浮かぶと思うんですが……あとは、キレイ、という意味ではナイトシーンの雨、というのも考えられると思うんですが、レースは昼にやっているものなので(笑)。

 つまり、今回のウェットコンディションの表現は、「ライダーにとっての雨」を追求したものになっているわけです。これは静止画ではよくわからないこともあるかと思いますし、そのためにムービーを配信させていただいたりしたのですが、実際動いているところをみてもらえば実感できると思います。というわけで、ぜひソフトを買ってもらって、雨を体験してもらいたいですね(笑)。

--ありがとうごさいました(笑)。





プレゼント!!

 ナムコさんから、プレイステーション 2版「MotoGP2」をいただきました。3名の方にプレゼントします。奮ってご応募下さい。



【応募方法】

応募締切  :12月25日 12:00(正午)まで
当選発表  :12月26日午後
応募方法  :下記のフォームに入力して、送信してください

※ 応募フォームの送信はSSL対応ブラウザをご利用ください。SSL非対応のブラウザではご応募できません。
※ ご回答いただいた内容(データ)は、当選者の選考および、プレゼントの発送にのみ使用し、その他の目的で使用することはありません。

氏名:
性別: 男性 / 女性
年齢:
メールアドレス:

プレゼント送付先住所

電話番号:
(半角英数で記入)

今後、弊誌に期待することがありましたらご記入ください。
(記入しなくてもかまいません)


 



(C)1998 2000 2001 NAMCO LTD.

□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□製品情報
http://www.namco.co.jp/home/cs/ps2/motogp2/index.html
□関連情報
【11月28日】ナムコ「MotoGP2」"レジェンズモード"解禁
あの伝説のライダーたちが復活する!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011128/namco2.htm
【10月24日】ナムコPS2「MotoGP2」ムービー2バージョン入手!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011024/namco.htm

(2001年12月18日)

[Reported by 佐伯憲司]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.