編集部がオススメするDCソフトカタログ
【アクション】

電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム

●セガ●5,800円●1人~2人
ケレン味たっぷりの3Dロボットハイスピードバトル

 「電脳戦機バーチャロン」というタイトルを初めて見たときの印象は、「もうこんなゲームが遊べるようになってしまったのか」という想いと、「なんか操作系がめんどくさそう」という複雑な感情だった。慣れるにつれ後者の懸念はすっかり消え、バランスなどにまったく根拠のない文句をつけながらもゲーセンに貯金を(ちがうけど)し続ける日々が続いた。やがて家庭用として発売されたセガサターン版もよくできていたと思うが、ゲームバランスがかなり厳しく、結局ゲーセンに戻ってしまったことを覚えている。

 そして続編となる「オラトリオ・タングラム」が登場したときも、これまた1プレイ200円のころから、情報収集とプレイに明け暮れた。有名プレーヤーに協力してもらいつつ攻略本も作ったし、遠方の「チャロン友達」もできたりしたし、寝ても覚めても「オラタン」の日々は続いた。「バーチャファイター2」以降、ライターとしてのモチベーションを維持できたのはこのシリーズのおかげだった。

 私はいわずとしれた「ガンダム世代」で、初代からずーっとガンダムを“見て”はいる。その気分を味わえるという理由でこのシリーズを始めたプレーヤーは多かったし、最初は私もライデンのレーザーやアファームドのトンファーなどに魅入ってこのゲームを始めたクチだ。だが、もう止まらないぐらいの勢いでプレイして思ったことは、このゲームの魅力はダッシュをはじめとしたハイスピード、ハイテンポの戦闘に加え、他のゲームにもある「努力」と「探求」、そして3D空間戦闘という未知の“可能性”だった。2本のスティック、4つのボタン(スタートボタンを使用するから厳密には5つだが)を使って、あーでもないこーでもないと技(といわれるもの)を見付けたり、それに基づいた戦術の組み立てがとにもかくにも楽しいことこのうえないゲームだったのだ。
 とくに最後の“可能性”の部分には、3D対戦格闘のあまたのゲームよりも強く惹かれた。なんといっても“キャンセル”や“確定コンボ”など、対戦格闘にあったものはすべて、このゲームの中に多少なりとも内包されていたのだから、その懐の深さたるやいわずもがな、だろう。

 とくに「オラタン」では「バルシリーズ」というまた難解きわまりないバーチャロイドが登場し、全国のプレーヤーによってそれこそ骨の1本までバラされることになったのは今だにもって忘れられない現象だった。エジェクタブル・リモート・ランチャー(E.R.L.)の切り離し、それに伴う怪奇現象など、話題は尽きることはなかった。実験のためだけに「バル」に乗ることも多かったし、ライターをやっていた都合上、すべての機体に乗っていたが、「バル」の面白さは群を抜いていたかもしれない。ピークを超えてしまい、続編である「フォース」のリリースが近いなか、覚めた目でみれば、「バカじゃなかろうか」と思えるほど飽きずに毎日プレイしていたなと思う。

 思い出話が長くなってしまったが、このDC版「オラタン」は、そんな業務用「オラタン(Ver5.4)を移植し、さらに新バージョン(Ver5.6)をも取り込んだものだ。このDC版を元に、業務のニューバージョン(Ver5.66)も制作されたほどで、そのデキはまったくもって業務用をプレイしてきた自分にも違和感がない。惜しくも8月31日をもって終了してしまうが、KDD回線を使用したネットワーク対戦にも対応。これからは通信ケーブルで2台のDCを接続するケーブル対戦で楽しみたいところだ。機体カラー、およびエンブレムのデザインが可能な点も思い入れを強くしてくれるイカす追加要素だ。

 このゲームにあふれているのは、これでもかというサービス精神。主人公機体である「テムジン」の空中前ダッシュセンターウェポンで発動する「ブルースライダー形態」なんてまさにそれ。一見ムダかと思えるカッコ良さをゲームにきちんと取り入れてある。歩行、ダッシュをはじめとしたモーションは機体ごとに違うし、モデリングもハデだがカッコイイ。毎回シリーズの新作が出るたびに話題になる女性型バーチャロイドも「フェイイェンkn」、「エンジェラン」ともに完成度の高いモデリングで、きちんと存在感を主張している。また、忘れてはいけないのは効果音、そしてB.G.M.だろう。ダッシュ時の効果音をはじめとしたアニメ世代には涙が出るほどの金属感あふれる効果音、そして気分をいやおうなしに盛り上げてくれるB.G.M.は本当にターゲットとなるプレーヤーのココロをガッチリつかむものだ。家でプレイするならガチンコ勝負だけでなく、各所にちりばめられたこの“ケレン味”を堪能してもらいたいな、と思うわけである。当然、プレイするなら別売の「ツインスティック」もセットでオススメしたい。

テムジンの「ブルースライダーモード」。敵に向かって突っ込んでいくさまはなんともいえず味がある 「リフレクトレーザー」をはじめとして、仕込まれた性能は難解を極める「バルシリーズ」 エンブレムをはじめとしてカスタマイズ機能も充実している

(c)SEGA 1998 1999

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