SIGGRAPH2001現地レポート

Emerging Technologies
最先端のインタラクティブ・インターフェースを体験

会期(現地時間):8月11日~17日(展示会:14日~16日)

会場:Los Angeles Convention Center

 一般的にはCGがクローズアップされるSIGGRAPHだが、最先端のインタラクティブなインターフェイスを体験するまたとない機会でもある。Los Angeles Convention CenterのSouth Hallに位置するメインの展示ホールは、商業ベースの出展で構成されているが、コンコースに位置する「Emerging Technologies」のエリアは、大学の研究室や企業のR&D部門などが主役だ。今年は、全部で24の興味深い技術が紹介されている。

 展示エリアは、プロジェクタやモーションキャプチャー機器などが多用されているため照明が落とされている。展示への影響を避けるため撮影にはフラッシュを使用していないので、見づらい画像が一部含まれていることを、あらかじめお詫びしておく。なお掲載している画像には、ACM SIGGRAPHよりメディア向けに提供されている「Madia Images CD-ROM」に収録されている素材も含まれている。

■ Origami Desk

 米マサチューセッツ工科大学メディア・ラボを中心とした研究チームによる展示。折り紙の折り方をインタラクティブにインストラクションする机である。上部に設置されているプロジェクタから、ガイダンスを投影。紙を置く向きや、山折り、谷折りなどの指示を手元の紙に直接映し出す。手順はステップ・バイ・ステップで進められ、利用者が習得できないときは何度でもヘルプが参照できる。手順を進める手続きも、投影されているボタンに手をかざすフィールド・センサーが使われている。また、利用する用紙には商品管理システムなどでお馴染みのRFIDタグが付いているので、その位置などから折り紙の進行状況や、配置状況などがシステムへとフィードバックされている。紙自体が厚く、RFIDタグの影響で折りにくいのは致し方ないが、たぶん折り紙の経験がないであろう外国人の来場者が悪戦苦闘しながらも、折り紙を作り上げていた。

上部のプロジェクタから投影されるように折っていけば完成が近づく。ヘルプでは、折り方がアニメーション表示される 利用されている用紙。表面には鶴が描かれているが、これはさすがに難しいのか、デモは箱の作成を中心に行なわれていた

■ Enhanced Desk Project

 東京大学佐藤研究室の展示。ColorセンサーとIRセンサーを使って、指先(あるいは机の上に配置した物体)の位置情報を検出。上部から投影されているプロジェクタの映像にフィードバックする。デモンストレーションでは画像をつかんで仮想的に引っ張る動作で、画像を変化させていた。IRセンサーを使っているため、左右のランプでちょっと手を暖めてからやるとよりうまくいく。他にも、プロジェクタで投影されているボールが、実際に机に置いた物体にぶつかると、動く方向が変わるといったデモも行なわれている。

位置を決め、ぐっと引っ張ってやるとモナリザの表情が変わると言ったデモが行なわれていた
(写真素材は、同研究室とSIGGRAPH2001による提供)

□同研究室によるEnhanced Deskの紹介(英文)
http://www.hci.iis.u-tokyo.ac.jp/EnhancedDesk.html


■ Everywhere Displays

 IBMのT.J.Watson Reserch Centerによる展示。回転する鏡を使って、ひとつのプロジェクタの投影位置を室内のあらゆる場所に設定できる。デモンストレーションでは、来場者が投影されたメッセージに従って移動、行動することで一日がかりのアートが出来上がるようになっていた。

プロジェクタの導きにしたがって、M&Mチョコレート(色別)を指定の缶から取り出し、テーブルでプロジェクタにより指示された位置に置いていく。一日かけて何人もの来場者が順にM&Mを配置していくと、最終的にひとつのアートが出来上がる仕組み ひとつのプロジェクタながら、回転する鏡を組み合わせることで室内のあらゆる位置に映像を投影。上部のカメラで人の動きなど認識し、順に次の指示と投影位置を設定する
(写真素材は、同Reserch CenterとSIGGRAPH2001による提供)

□同Reserch CenterによるEverywhere Displaysの紹介(英文)
http://www.research.ibm.com/people/p/pinhanez/cp_research_ed.htm


■ Sencing Chair

 Purdue大学の展示。荷重する位置と強さを認識する椅子。デモンストレーションではハンドルコントローラの代わりにして、左右の体重移動でハンドル操作、前後に移動してアクセルとブレーキを操作させていた。もちろん、これは仕組みをわかりやすく説明するためのデモ。

前後左右に体重を移動させることで、スクリーンの車が操作できる。慣れないと難しいが、これはこれで結構楽しい
(写真素材は、同大学とSIGGRAPH2001による提供)

□同大学によるSencing Chairの紹介(英文)
http://www.ecn.purdue.edu/HIRL/projects_chair.html


■ Just Follow Me:A VR-Based Motion Training System

 韓国のPohang University of Science & Technologyによる展示。リアルタイムモーションキャプチャを使ったトレーニングシステム。DDRというかパラパラ・パラダイスというか、まぁそういったゲームによく似た画面に、ダンスの振り付けが流れてくる。自分と同じ位置に来たときに同じポーズを取っていることでポイントが加わる仕組み。両腕と両足に着けたマーカーを、モーションキャプチャシステムがリアルタイムで認識しているので、中央のマイキャラも常に自分と同じポーズを取っている。

デモンストレーションでは学生が代わる代わる登場。かなり練習を積んだのか、揃って上手で、GreatとPerfectを連発(笑) 一曲おわるたびに、来場者からの拍手を浴びていた
(写真素材は、同大学とSIGGRAPH2001による提供)


■ Enhanced Reality:A New Frontier for Computer Entertainment

 Sony Computer Entertainmet Americaの出展。プレイステーション 2に繋いだPCカメラで2色の操作棒を認識。画面上のキャラクタを操作する。昨年も同様のデモを行なっていたが、今年はその発展形として通信対戦ができるようになっていた。

□Sony Computer Entertainmet AmericaのR&Dページ
http://www.devnet.scea.com/research/index.html

■ Cercle Maze

 カーネギーメロン大学の展示。これも昨年の発展形。昨年は投影面を太鼓のように叩くことで画像を変化させるデモを行なっていた。今年は手元のコントローラを回すことで各色のリングを回転。三人の協力で黒い線の上を移動しているボールを指定の時間内に中心へと送り込む。

□カーネギーメロン大学のJam-o-worldのページ
http://www.etc.cmu.edu/projects/jamodrum/index.htm

■ Excerps From Experiments in the Future of Reading

 XEROXのパロアルト研究所による展示。プロジェクタの投影面となるテーブルを傾けることで、投影される画像がその方向へスクロールするインターフェイス。

□RED-Xerox PARCのページ
http://www.parc.xerox.com/red/

□SIGGRAPH2001のページ
http://helios.siggraph.org/s2001/

(2001年8月16日)

[Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]

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