　今回から5週に渡って、窓の杜とGAME Watchによる初の合同企画、「夏休み！ゲーム祭!!」。この企画は、「夏は思いっきりゲームを楽しみたい!」というゲームファンのために、暑い夏の季節にぴったりな新作ゲームタイトルを、わかりやすく見やすい内容で紹介していくのが目的である。GAME WatchではPCゲームを、窓の杜ではオンラインソフトをそれぞれ取り上げていく予定だ。

　さて、この企画では“夏”をテーマに、毎回違ったキーワードで作品を選んでいく。夏といえば合宿。合宿といえば肝だめし。肝だめしといえば暗い夜道……というわけで、ちょっと強引だが、第1回目となる今回は“暗闇”をキーワードに2つの作品を紹介しよう。GAME Watchでは、暗闇の中をたった一人でさまよう3Dアトベンチャー「アローンインザダーク～新たなる悪夢～」を、そして窓の杜では、暗闇の中で斬りあう必殺バトルアクション「宝永噴煙禄」を紹介するので、2本あわせてお楽しみあれ。

窓の杜　「宝永噴煙禄」へ

【第1回】

怪物たちの棲む島で、血塗られた悪夢がいま再び蘇える

アローンインザダーク
～新たなる悪夢～

キミは「アローンインザダーク」を知っているか?

　「アローンインザダーク」といえば、ちょっと年季の入ったゲーマーなら、必ずやその名前に見覚えがあるはずだ。ラヴクラフトのクトゥルー神話大系を思わせる本格ホラーアドベンチャーで、3Dアクションアドベンチャーのルーツといってもいいだろう。アローンインザダークは、1～3作目はDOS版として製作され(その後Windows版も登場した)、国産のパソコンにも移植された。

　当時はパソコンの処理能力に限界があり、ひどく粗い映像でしか表示することができなかったが、それでもすべてが3Dで構成されたフルポリゴンの作品であること、そして恐怖を演出した作品であることが人気を呼び、その後登場した多くの作品に影響を与えた。ホラーゲームとして名高い「ノクターン」や「ブレアウイッチプロジェクト」、そして「バイオハザード」や「サイレントヒル」なども、「アローンインザダーク」から多くの点を学んだに違いないと筆者は確信している。

　今回発売された「アローンインザダーク～新たなる悪夢～」は、旧版の移植ではなく、シリーズ4作目に当たる新作だ。「アローンインザダーク」ならではの恐怖と暗闇の描写を、最新の3Dエンジンを駆使して表現したということだが、さて、そのコワさはどれほどのものだろうか。

怪物発生の謎を解け!!

キャラクターの移動にあわせてカメラの視点も変わる。吸い込まれそうな螺旋階段の描写がすごい
　ストーリーについて、ざっと説明しておこう。物語の舞台となるのは、正体不明の怪物たちが棲む「シャドー島」。なぜこの島に怪物たちが現れるようになったのかはわからないが、どうやらその原因は、島に持ち込まれた3枚の石版にあるらしい。怪物発生の謎を解くため、そしてその災厄が島の外に広がるのを食い止めるために、民俗学の教授「アリーン・セドラック」と私立探偵「エドワード・カーンビー」の2人が調査を開始した。島の屋敷で待ち受ける老婆と、ネイティブアメリカンの老人。不可思議な研究を続ける考古学者と、正体不明の男。彼らはなぜ、怪物の巣窟となったこの島を離れようとしないのか?　その目的は?　そして、石版とはいったい何なのか?

　シナリオにはいくつか伏線も用意されていて、たとえばアリーンの父親は不明とされている。シナリオを進めるうちに彼女の父親、そして彼女自身の過去が少しずつ明らかになっていくわけだが、その秘密を解くカギは血塗られた「悪夢」の向こう側にしかない。

2人の主人公の中からどちらか1人を選んでプレイ。左は27歳の女性民俗学者、アリーン・セドラック。右は33歳の私立探偵、エドワード・カービー

それぞれの立場でシナリオが進む

エドワードと合流することができた。しかし再び別々のルートで調査を続ける2人
　ゲームプレイは、まず最初にアリーンとエドワード、どちらか一方のキャラクタを選択するところから始まる。2人は別々の場所からスタートするが、トランシーバーを使って互いに情報を交換しつつ、同時進行で進むというスタイルだ。アリーンを選ぶと島の屋敷から始まるが、手持ちの武器がないので、序盤は結構厳しい。次々に現れる怪物から逃げ回りながら、鍵と武器を探すことになるだろう。

　一方、エドワードを選ぶと最初から拳銃を持って始まるが、屋敷の外側から始まるために、ちょっとハードなルートを通らなければならない。どちらもそれなりに大変だが、シンプルに冒険を楽しみたいのであればエドワード、謎解きを満喫したいのならアリーンというところだろうか。

　キャラクタの操作は、キーボードとマウスを併用して行なう。カーソルキーで移動。マウスの左ボタンで武器の照準を合わせて、右クリックで発射だ。武器は拳銃のほか、ショットガンやグレネードランチャーなども用意されている。無理に怪物と戦う必要はないが……つまり避けて通れるならそのほうがよいのだが、倒さなければ先へ進めないところもある。いざというときのために、ムダ弾を使ってしまわないよう注意したい。

屋敷の喫煙室でリボルバーを発見。ようやくこれで戦えるようになった。武器の装備や弾丸の装填は、インベントリーモードで行なう

この美しい映像とスムーズな動きを見よ!!

地下水道を使って屋敷の地下室へ侵入。光の描写と水面の波紋が美しい
　最新の3Dエンジンを使っているというだけあって、映像の美しさはかなりのものだ。ちょっとした小物や壁紙1枚に至るまで丁寧に描かれ、とくに煤けた部分や朽ちた部分のグラフィックがすばらしい。ここまで作りこむために、いったいどれだけの時間と労力を費やしたことか。

　光源の処理も見事なもので、たとえば手にしたフラッシュライトの輝きや水面に浮かぶ波紋、鏡に反射する映像がリアルに再現されている。解像度の点で若干不満も感じるが、PC用の作品としては、現在最高水準にあるといっていいだろう。

　キャラクタの動きも悪くない。とくに、アリーンの動きが秀逸だ。「モデル歩き」というのだろうか、胸の位置を固定しながら腰を揺らせて歩く様はなかなかカッコいい。ショットガンを手に入れたあとに、低く腰だめで歩く姿もよかった。

屋敷の奥にあるアトリエのような場所。明るく光輝く扉を発見した

はたして恐怖のほどは!?

意識を失ったアリーンが見た悪夢。この少女は幼い頃のアリーン自身なのだろうか?
　で、もっとも肝心な部分。この作品は、どの程度怖いのだろうか?

　正直なところ、のけぞるような怖さや鳥肌が立つほどの恐怖を感じることはなかった。ホラーといっても、実際は謎解きを中心とした、正統派のアドベンチャーゲームだからだろう。モンスターのデザインも、それほどおぞましくはない。もっとも、これだけ薄気味悪い場所を動き回るわけだし、背後から突然怪物に襲われる場所もあるので、何度かドキリとさせられることはあった。サウンドエフェクトの「うまさ」もあり、ホラー系のアドベンチャーゲームとしては、かなり上手に作られた作品だと思う。

　ただ残念だったのは、ムービーシーンに字幕がなかったこと。サイバーフロントが発売するパッケージには日本語のマニュアルが添付されているが、ゲーム中に交わされる会話はどうしようもない。音声を流せるようになった現在、あえて字幕を付ける必要はないのかもしれないが、筆者のように英検3級程度のヒアリング能力しかないゲーマーにはつらい試練だ。英語でもかまわないから、字幕表示できるオプションが用意されていればよかったのにと思う。非英語圏のゲーマーや耳の不自由な方のためにも、クローズドキャプションが使えるようなシステムを検討してもらいたいものだ。

首尾よく屋敷にもぐりこむことができたが、ゾンビたちが待ち受けていた

ネイティブアメリカンの老人に出会う。壁には無数の肖像画と写真が。彼はいったい何者なのか?

豪華客船の模型とその写真。両者を比較すると、微妙に違いがあることがわかる。天秤の上に乗っているのは水筒のようだ

画面上で青白く光る部分に、なにかの仕掛けやアイテムがある。どうやらこれは科学雑誌のようだ。「モートン教授のプレゼンテーション」という内容の記事だが、この物語にどんな関係があるのか?

(C) 2001 INFOGRAMS. Alone in the Dark is a trademark of INFOGRAMS. Developed by DARKWORKS,converted and adapted by SPIRALHOUSE Ltd. Uses Miles Sound System. Copyright (C)1991-2001 by RAD Game Tools, Inc. Uses Bink Viedo. Copyright (C)1997-2001 by RAD Game Tools, Inc.

『アローンインザダーク～新たなる悪夢～【日本語マニュアル付英語版】』

発売元：サイバーフロント
価格：8,800円
対応OS：Windows 95/98/Me/2000
発売日：7月20日(発売中)
CPU：PentiumII 300MHz以上
メモリ：64MB以上
HDD：400MB以上
ビデオメモリ：8MB以上

□サイバーフロントのホームページ
http://www.cyberfront.co.jp/
□「アローンインザダーク～新たなる悪夢～」の公式ページ
http://www.cyberfront.co.jp/title/pc/aid_4/index.htm
□関連情報
【6月15日】「アローンインザダーク～新たなる悪夢～」体験版
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010615/demo0615.htm