カプコン、深作欣二監督を招き「クロックタワー3」を制作
バイオハザードとは違った魅力に期待

4月11日 発表

 株式会社カプコンは、クリエイターカンパニー「フラグシップ」の会社披露、新作ゲーム発表会を開催し、現在製作中の新作を発表した。フラグシップは'97年4月にカプコンの岡本吉起氏や脚本家の杉村升氏など4人を中心に設立された。現在では30人以上のクリエイターが集まり、数多くの新作ゲームを手がけている。

 発表会ではまず最初にこれまでのフラグシップの軌跡をたどると言うことで、岡本氏、杉村氏、曽田氏を中心に設立当初の裏話などを披露。現在「デビル メイ クライ」を制作中の三上氏、神谷氏、加藤氏などカプコン開発陣を迎えトークが弾んだ。杉村氏は「バイオハザード4の脚本を書いて印刷までしたのに、いつの間にかデビル メイ クライになっていた」とぼやくと神谷氏は「三上さんから自由にして良いと言われたから……」と切り返した。
 また「エルドラドゲート」に関しては、岡本氏が「自分がサラリーマンなのかどうかは怪しいが、自分も含めてサラリーマンは時間がない。最近では携帯ゲーム機か短いものでないと遊ぶヒマがなくて。「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」なんて140時間と言うことで、自分のヒットポイントが削られてしまう。そういった人達には、このゲームは4時間程度で終わるので最適だと思う」と語っていた。

 また、ゲームキューブで制作中とされる「バイオハザード 0」に関しては、諸般の事情によりロゴしか公開されなかったが、制作中であることが強調された。脚本を担当した杉村氏は「ずっと昔に脚本は書き上げた。つい先日直しを頼まれたのだが、もう何を書いたのか忘れていた」とコメントし笑いを誘っていた。

会場にはカプコンを支えるクリエイター陣が多数登場。三上氏や神谷氏、加藤氏がフラグシップに関してコメント 「エルドラドゲート」を制作している竹下博信氏。5作目の制作で現在たいへんなところだとか ゲームキューブで制作中とされる「バイオハザード 0」。諸般の事情によりロゴだけ


■ 深作欣二監督が妥協せずに制作中の新作ゲーム
  ホラーアドベンチャー「クロックタワー3」

左から岡本吉起氏、深作欣二監督、脚本の杉村升氏
 今回の発表会で最も注目すべきタイトルは、映画界から深作欣二監督を招いてプレイステーション 2プラットフォームで制作されている「クロックタワー3」。一部映像も公開されたが、まだほとんど出来上がっていないようだ。事実、主役級のキャラクタの役者のオーディションを行なっている最中だという。だが、バイオハザードシリーズなどに比べスピード感溢れるカメラワーク、丁寧に描き込まれたグラフィックなどなかなか期待させる内容となっている。

 「クロックタワー」シリーズは、ヒューマンからスーパーファミコンで発売されたのをきっかけにシリーズ化されたアクションアドベンチャー。プレーヤーは、大きなはさみを持ち追いかけてくる男からただ逃げるだけ。だが、この緊張感は現在数多く制作されているホラーゲームに大きな影響を与えている。今回の「クロックタワー3」ではカプコンとサンソフトの共同製作となる。

 深作欣二監督はゲームの制作が初体験と言うことで「心躍る体験」とコメント。制作に関する裏話なども披露された。現在、主人公を含めたキャラクタのモーションキャプチャを担当する役者がまだオーディション中で決定していない。すでに200人にも及ぶオーディションを行なっているにもかかわらず、監督は未だ満足いかないと言う。が、「バドル・ロワイヤル」の時は800人以上のオーディションを行なったと言うことで、「まだ、600人ほどオーディションすることになるのでは」という監督の話に岡本氏と杉村氏は驚きを隠せず、つい「納期もあるし……」とこぼしていた。
 深作欣二監督はオープニングムービーなどのモーションキャプチャだけでなく、ゲーム全般に関して監督することとなる。今後に関しては「ゲームなので、キャラクタを操れるようにしなければならない。それが難しいし、今後、悪戦苦闘しなければならないだろう。まだそこには手を入れているヒマはないが、徐々に手を入れていきたい」という。

 岡本吉起氏は深作欣二監督について「モーションキャプチャを撮っている現場を少し見たが、我々はアマチュアだと言うことを思い知らされた。圧倒的な力の差をゲーム業界に見せつける」とコメントした。

 同作品には、深作監督以外にも各界から有名なクリエイターが参加している。キャラクタデザインは「未来忍者」、「ゼイラム」、「鉄甲機ミカヅキ」などを担当した雨宮慶太氏。背景デザインは「女王陛下のユリシーズ号」でも知られる野口竜氏。音楽は小室氏とも親交が深い久保こーじ氏。脚本はフラグシップの杉村升氏。

 舞台は1900年代半ばのロンドン。郊外にある下宿屋の娘アリッサが主人公。これ以外はまったく公開されていないが、公開された映像からはなかなか期待できそうなタイトルだ。

映画界の重鎮、深作欣二監督。妥協を許さないため、制作が伸び気味だとか 闇の道を歩く男。会場で公開されたゲーム画面では同じ様な出で立ちの男が二人で主人公を襲っている映像が公開された 暖かなシーンだが、このあと恐怖の惨劇が……
ヒロインモデルの美波さん。深作監督曰く「私と一緒で、諦めない娘」 会場で公開されたキャプチャーの収録シーン。かなり細かい演技指導が行なわれていた 左からキャラクタデザインを担当した雨宮慶太氏、背景デザインの野口竜氏、音楽の久保こーじ氏

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■ アクション要素をどうやって表現するか
  ハードボイルドアクションノベル「バウンティハンター サラ」

 すでに発表されているハードボイルドアクションノベル「バウンティハンター サラ」に関しても発表が行なわれた。演出に関しては「サウンドノベルでアクションをやると言うことで、映画的表現を採用し止め絵を多用することでテンポのいいゲームを実現できたと思う」とコメント。ハードボイルドな作風と言うことで、これまでにない大人っぽい作品に仕上がりそうだ。

プロデュースを担当している三並達也氏。「これまでにない知的なゲーム」とコメント サラの登場シーン。セリフもちょっと大人っぽい雰囲気 サラの自室のグラフィック。愛用の小銃“デリンジャー”が置いてある。ハードボイルドな雰囲気
「バウンティハンター サラ」の脚本を執筆したフラグシップの面々。コメントの端々に脚本に関するこだわりが感じられた 会場に現われた主人公サラのモデルさん。カッコイイポーズを決めまくってました

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□カプコンのホームページ
(4月11日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.capcom.co.jp/

(2001年4月11日)

[Reported by 船津稔]

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