Windows 10 ゲームマラソン

「グランド・セフト・オート V」 オープンワールドの金字塔

1080p/60fpsで楽しめるのはPC版だけ! 豊富なオリジナル機能を遊び尽くそう

【Grand Theft Auto V】

2015年4月14日発売

価格:
7,560円(パッケージ版)
7,000円(Steam、ダウンロード版)

 オープンワールドゲームの代名詞であり、セールス記録を筆頭に実に7つのギネス世界記録を打ち立てたことで知られるクライムアクションゲーム「グランド・セフト・オート V(GTAV)」。2013年9月にPS3/Xbox 360版、2014年11月にPS4/Xbox One版がそれぞれ発売され、ついに今年4月に満を持してPC版がリリースされた。本日の「Windows 10ゲームマラソン」は「GTAV」をご紹介しよう。

Windows 10への対応状況(9月1日現在)
動作状況★★★★(快適に動作)
メーカー対応未対応
Windows 10独自機能GameBar(ウィンドウ表示のみ)
不具合報告特になし
サポート情報公式サイトインフォメーション

満を持して発売されたPC版。Windows 10でも快適に動作

Windows 10のGameBarからスクリーンショットの撮影や録画も行なえる
PC版ならではのグラフィックスオプション。メモリ量に応じて表示をグレードアップできるというコアユーザーには嬉しい仕様になっている
目を見張るほど美しいPC版のグラフィックス。今まで気づかなかった箇所にも目が行き届くようになる

 PC版は発売までにたびたび発売が延期され、PCゲームファンを実に1年半近くに渡ってやきもきさせたが、そのPC版は大いに待たせただけあって、従来作のように単なるグラフィックスの強化に留まらず、4K(3,840×2,160)対応、60fps表示、自由に設定して映像まで撮れるサンドボックスモード「ロックスターエディター」、1人称視点(FPS)モードなどの追加。そしてゲームに更なるリアリティを与える交通量の向上、ダメージモデル、天候効果、ライティング、シャドウイングの強化など、数々のPC版オリジナル要素を搭載している。

 これから「GTAV」を遊ぶなら、選択の余地無くPC版がオススメできるし、すでにコンソール版をプレイしている「GTA」ファンも乗り換える価値があると断言できる。とりわけDirectX 11ベースの豊富なグラフィックスオプションは、どのようなハイスペックPCのオーナーにも十分な歯ごたえを与える充実した内容になっており、Windows 10のリリースを機にPCを新調したり、パーツを買い換えた人にとっては格好のリファレンスにもなるだろう。

 今回改めてWindows 10 PCで「GTAV」をプレイしてみた。ゲームの起動、読み込み、各種設定など、これがWindows 10であることを忘れてしまうほどスムーズだ。ゲームバーやXbox AppといったWindows 10独自機能も問題なく動作する。今年4月に発売されたばかりのゲームであるためか、新OSによる不具合は一切無かった。

 パフォーマンスも良好で、今回、CPUはCore i7-4790、GPUはGeForce GTX 970、16GBメモリといった環境でプレイしてみたが、1080pの環境で常に60fpsで快適にプレイする事ができた。やはり何度プレイしてもPC版の60fpsのヌルヌル感は最高に心地よい。

【Grand Theft Auto V - フレームレート60fpsのPC版トレーラー】
60fpsのヌルヌル感はこのトレーラーがわかりやすい。60fps表示に対応したブラウザで参照のこと

【スクリーンショット】

世界中に支持された「GTAV」が紡ぐ人間賛歌の物語

ゲーム史上指折りのデストロイヤー トレバー・フィリップス
本当は映画プロデューサーになりたかった元全米最重要指名手配犯マイケル・デサンタ
3人の中ではある意味もっともまともな人物である黒人チンピラ青年フランクリン・クリントン

 さて、「GTAV」のチュートリアルを兼ねたプロローグの銀行強盗シーンをプレイするのは英語版から数えて何度目だろうか。銀行強盗を成功させたものの、警察に待ち伏せされ、仲間を残したまま吹雪の中を逃げていくトレバー。司法取引による証人保護プログラムで“籠の中の鳥”の生活を強いられ、その救いのない境遇に対して、セラピストに悪態をつくマイケル。腐れ縁のマラーと共に、チンケな高級車詐欺で生計を立て、その暮らしにウンザリしているフランクリン。この3人の主人公によるプロローグシーンは何度プレイしても最高におもしろく、プレイする度に新たな発見があって、ロックスターの芸の細かさに唸らされる。

 「GTAV」では、彼ら3人がお互いに引かれ合うように一つ所に集まり、つかず離れずの関係を維持しながら、映画「ワイルドスピード」顔負けの様々なハイリスクミッションに乗り出していく。前作「GTAIV」のニコ・ベリックとその従兄弟のローマン・ベリックのどうしようもない関係性も魅力的だったが、「GTAV」は個性的な主人公が3人もいるというところが特徴であり、その個性的な3人の視点から、1つの骨太の物語が描かれるというところにとびきりの魅力がある。

 「GTA」シリーズというと暴力表現や自動車強盗など、犯罪的行為ばかりがクローズアップされがちだが、「GTAV」で描かれているのは、そういった表層的な行為ではなく、最悪の状況下にいる人間達が紡ぎ出す人間賛歌の物語だ。ロックスターならではのブリティッシュジョークに満ちた濃厚なストーリーこそが「GTAV」最大の魅力なのだ。

 最後にこっそりPC版のもうひとつの魅力をお伝えしておくと、PC版にはコンソール版に適用されている表現の規制が一切無い。コンソール版ではCEROの倫理規定に従い、セクシャルな表現や暴力的な表現が規制されているのに対し、PC版は英語版の表現のまま日本語化されている。

 コンソール版では、ズボンを下ろすモーションはあってもズボンはそのままなど、表現の一部が不自然になっていたり、一部のカットシーンやゲーム内の映画、TV番組、TVCMなどが丸ごとカットされている。これはコンソール版の大きなマイナスポイントで、その意味ではPC版は唯一の完全版といえるのだ。これからWindows 10マシンでPCゲームを遊ぼうと考えているゲームファンは、ぜひ候補のひとつに加えていただきたい。

【スクリーンショット】
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(中村聖司)