Windows 10 ゲームマラソン

【Windows 10特別企画】Xbox Appとユニバーサルアプリがゲーマーの未来を作る!

Windows 10が実現する“究極のゲームプラットフォーム”とは?

 様々なゲーム関連機能が搭載されるWindows 10だが、その本丸は、ズバリUniversal Windows Platform Apps(UWP App、以下『ユニバーサルアプリ』)だ。

 簡単にいうと、Windows 10では、全く同じプログラムがPC、ゲーム機、タブレット、スマホの別を問わずに動作できるようになる。ゲームソフトもそうだ。デスクトップで遊んだゲームの続きをモバイルでする、といった遊びの形が、Windows 10ではあたり前の風景になっていくのである。

 さらに、これまでは主にXbox 360/Xbox One上で展開されてきたXbox Live機能をWindows 10上で完全統合する「Xbox App」という新機能が加わることにより、Windows 10は自由で便利で楽しいゲーミングシーンを形作る、究極のゲームOSとなっていく。今回はそのあたりを詳しくご紹介していこう。

ユニバーサルアプリのゲーム例、「Halo: Spartan Assault」。PCでもタブレットでもスマホでもXboxでも同じものが遊べる

Windows 10が「最後のWindows」となる最大の理由:ユニバーサルアプリ

 ユニバーサルアプリとは、PC、タブレット、スマホなど、全てのWindows 10搭載デバイスで動作するアプリケーションプログラムの仕様のことだ。このコンセプトはWindows 8で実現に向かい、Windows 10で完成を見た。

 古来、OS(=Operation System:基本ソフト)の根本的な役割は「ハードの違いを吸収し、アプリケーションプログラムの汎用性を高める」ことにあった。Windows 10は、究極的な意味でその根本に立ち返るOSだ。

 大昔、OSのない環境では、アプリケーションのプログラムは画面に文字を出すため機器毎に仕様が異なるグラフィックスメモリやI/Oポートを直接操作する必要があったし、異なるメーカーのプリンタに文字を出力するなら、それぞれに合わせた制御プログラムを自前で用意する必要があった。

 しかし、MS BASICやMS-DOS、WindowsといったOSが登場し、進化してきたことで、ハードウェアのことはOSに任せることができるようになった。「print("hoge"); 」とやれば画面に文字が出るというのは、裏でOSがせっせとグラフィックスハードウェアを制御してくれるからだ。外部機器の違いもOSが吸収してくれるので、メーカーを問わず、共通の手続きで文字をプリントできるようにもなった。このことが、ゲームも含めたアプリケーションの進化に与えてきた恩恵は計り知れない。

端末形態の違いすらも吸収するWindows 10

デスクトップもタブレットもスマホも全部同じWindows 10!

 大事なことなのでもう1度書くが、古来からOSの根本的な役割は「ハードの違いを吸収し、アプリケーションプログラムの汎用性を高める」ことにあった。

 ユニバーサルアプリの概念は、その考え方を究極のレベルまで推し進めたものとなっている。コンセプト自体はデスクトップとタブレットを統合したWindows 8から始まっているが、実際には、スマホ向けOSが「Windows Phone」という別バージョンであったことが最後のハードルになっていた。Windows 10はそのハードルを越えていく。

 Windows 10におけるユニバーサルアプリの開発フレームワークは、OS上で「端末を構成する各種のハードウェアが抽象化されているのは当たり」前という現状の上に、さらに「端末の形態が抽象化されているのも当たり前」という新しいレベルの抽象度を提供するものだ。

 これにより実現するのが、Windows PC、Xbox One、Windowsタブレット、Windowsスマホ、あるいはIoT(組み込みデバイス)等、すべての端末形態で動作する単一のプログラムだ。別の言い方をすれば、どんな端末を対象にするにしろ、各種アプリケーションやゲームは「Windows 10を対象に」作られてさえいれえば、技術的には対象端末を問わないものになるというわけだ。ゲーマー的にも大歓迎である。

たったひとつのWindowsプラットフォームで全デバイスに展開するユニバーサルアプリの概念

そして、たったひとつのWindowsへ

Windowsストアでダウンロードできるゲームは、PCでもスマホでも遊べるユニバーサルアプリだ
これまでは端末形態毎に別版となっていたストアも、それ自体がユニバーサルアプリに
「Halo: Spartan Assault」の場合。端末にあわせて好きな操作形態が選べる

 MicrosoftがWindows 10をして「最後のWindows」と言うのは、まさにそれが理由だ。

 これまでのはPC用、モバイル用、組み込み用で別系統となっていた各バージョンのWindowsが、Windows 10というたった1つのOSに統合される。だから、MicrosoftはもはやWindows 10以外のOSを作る必要がなくなった。

 そのことを端的に表しているのが、Windows 10搭載のスマホにマウス・キーボード(必要なら外部モニター)をつなぐと、そのままデスクトップのWindows 10と全く同じに使えるという事実である。「デスクトップ風UIになる」というレベルの話ではない。完全にデスクトップPCと同等になるのだ。つまり、Windows 10は、OSそのものが「ユニバーサル」なのである。

 これを実現するため、Microsoftは長年をかけて.Net Frameworkの互換性を高め、Xbox 360ではXNAでWin互換ゲームを作れるようにし、Windows 8ではタブレット用UIをデフォルトにするという前のめりな失敗を犯しつつもWindowsストアにアプリ資源を集約し、Xbox Oneの技術を応用したDirectX 12を全端末に対応させるなど、バラバラに進化してきた全てのプラットフォーム技術をWindows 10に集約してきたのだ。

最新ゲームを好きな端末で、自由にプレイ

 これはユーザーにとっても嬉しい。スマホで購入したアプリをそのままノートやデスクトップで使えるし、その逆もできる。スマホが充分に高性能化してくれば、それ1つでモバイルシーンからデスクトップ利用まであらゆる利用形態をカバーできる。逆に、デスクトップでモバイル用のアプリをそのまま使うこともできる。ユーザーは端末形状の縛りから根本的に自由になれるのだ。

 ゲームも同じだ。ユニバーサルアプリとして作られたゲームは、性能面の制限を除けば、動作対象の端末を選ばない。モバイルゲームをデスクトップで遊ぶ。デスクトップゲームをモバイルで遊ぶ。これまでデバイスの間にあったプラットフォームの壁が、完全に取り払われる。そこから見えてくるのは、自由で便利で柔軟性に富む、未来のゲーミングシーンのあり方だ。

原稿執筆時点ではWindows 10の正式ローンチ前だが、すでに大量のゲームコンテンツが利用できる。

モバイル向けと思われていたゲームも普通にデスクトップでプレイできてしまう。ゲームの選択肢がグッと広がるのだ

「Xbox App」で、ユニバーサルアプリのゲーム活用を推進!

Xbox Appの画面。デバイス問わず所有する全ゲームのカタログに加え、Xbox Liveのフレンドが表示されている
MSユーザーおなじみの「マインスイーパ」も実績機能に対応
コミュニティに共有されたゲーム動画もまとめて閲覧できる

 ひとつのゲームをあらゆる端末で遊べる。このメリットをさらに拡大してくれるのが、Windows 10で標準搭載されるゲーム機能「Xbox App」だ。

 Xbox Appは、従来のWindowsでは「Games for Windows - LIVE」としてオプショナルに提供されてきたXbox Live互換機能をOS標準で搭載し、そこに「Windowsストア」への連動など、Windows 10ならではのプラスアルファを加えたものという感じだ。

 具体的にいうと、Xbox Appは単体のアプリケーションとなっており、これを通じてゲームカタログやXbox Liveのゲーム実績機能、アバター機能、フレンド機能などが利用できるようになっている。それに加えてXbox Oneにもある「Game DVR」機能、Xbox Oneのストリーミングプレイ機能なども搭載。これ自体がユニバーサルアプリなので、端末を問わず利用できるところもポイントだ。

 このXbox App機能にネイティブ対応したゲームでは、Xbox 360/Xbox One用のゲームと同等に、実績機能やフレンド機能をWindows 10上でも利用できる。Windowsストア上ではゲームカタログのサムネイルにXbox ロゴが付いているので、対応ゲームはすぐに見つけられるはずだ。また、これらのゲームはXbox 360/Xbox One版も用意されており、Xbox Liveを通じてWindows 10ユーザーと繋がることができる、というわけだ。

 なお「Windowsストア」で購入できるゲームやアプリは全て(Xbox App非対応のものも含めて)、1回の購入で10台までのWindows 10端末にインストールできるので、これまでのように端末毎に別バージョンを買うような必要もない。素敵だ!

Windowsストアで手に入るアプリは種類を問わず10台までのWindows 10にインストール可能

 このようにWindows 10のもとでゲーム環境を透明化する動きは、Xbox One側からも進められている。例えばMicrosoftが近々にβテストを開始予定のRPG「Fable Legends」では、Xbox One版とWindows 10版が同時展開し、両機種をまたぐクロスプラットフォームプレイにも対応する。今後、この流れはどんどん進んでいくはずだ。全てのゲームがWindows 10に集まっていくのだ。

Xbox One/Windows 10向けに何と基本無料で提供される「Fable Legends」

手軽にゲーム録画ができる「Game DVR」

Game DVRでゲームを録画、編集、シェア!

 PCゲーマーの中には、Xbox LIVEをこれまで利用したことがないため、Xbox Appのメリットにいまひとつピンと来ない、という人もいるだろう。そこでお薦めしたいのが、Xbox Appとともに搭載された「Game DVR」機能だ。

 これはXbox Oneにも搭載されているゲーム録画のための機能で、Win+GキーもしくはXbox 360/Xbox OneコントローラーのXboxボタンからいつでも呼び出せる「Game Bar」インターフェイスを通じて、簡単にゲーム画面の録画開始・終了、あるいはバックグラウンド録画の保存ができるというものだ。

Win+GもしくはXboxボタンで呼び出すGame Barインターフェイス。Xbox Appの呼び出し/バックグラウンド録画の保存/スクリーンショットの撮影/録画開始・終了といった操作ができる

Game DVRの動作設定項目

 これまでのゲーム録画はXsplitやOpenBroadcasterといった専用アプリ、もしくはNVIDIA ShadowPlayといった特定のGPU向けの機能として各メーカーが個別に提供していたが、Windows 10なら全てのユーザーが共通の方法でゲームを録画できるようになるというのがポイント。

 また、Windows 10のGame DVR機能は、PC用だけあって柔軟性も高い。録画したデータはH.264フォーマットのmp4ファイルとなり、Xbox App上で簡単なカット編集・シェアができるほか、エクスプローラーから直接開いて他の動画ソフトで自由に編集することもできる。Windows PCがクリエイションツールでもあることがもたらす大きなメリットだ。

取った動画はそのままお好きなメディアプレーヤーで再生できる。もちろん好きなアプリで編集してもいい。Windowsなら全てがスムーズだ

果たしてXbox AppはSteamに勝てるのか?

Xbox App非対応のネイティブゲームもゲームカタログには表示されるが、現時点ではランチャー以上の機能はない
最大のライバルとなるSteam

 Xbox App唯一の難点は、録画開始・終了をするためのGame Barインターフェイスが、排他的フルスクリーンモードで動作中のゲームでは利用できないことである(少なくとも現在は)。このためユニバーサルアプリの形態をとるXbox App対応ゲームはのきなみ、ウィンドウモードで動作するようになっている。

 これを解決するためには、排他的フルスクリーンモードで動作するゲームが、SteamのオーバーレイUIに対応するのと同じで、Xbox Appオーバーレイへのサポートをゲーム側に組み込む必要があるだろう。たとえば、「Ori and The Blind Forest」では実際にフルスクリーンモードでGame Barの呼び出しが可能になっている。

 しかし、ゲーム開発者はSteamオーバーレイとXbox Appオーバーレイを同時にサポートしたいだろうか。どちらかに絞れるなら、どちらかに絞るはずだ。オンラインプレイタイトルならなおさら、2系統のフレンドシステムを同時にサポートするなどというややこしいことは絶対にしたくないはずだ。

 つまりWindows 10では、ゲーム標準のオーバーレイ機能を巡り、SteamとXbox Appで競合することになる。それは同時に、Steam コミュニティか、Xbox Liveコミュニティか、とういうオンラインサービスのデファクトを巡る戦いでもある。

 この戦い、Game for Windows - Live時代はSteamの完勝だったが、これからは違う。Windows 10+Xbox Appは、ユニバーサルアプリによる幅広い端末への対応を武器に、デバイス依存を続けるSteamに対して大きなアドバンテージを得ることになる。それに応えてSteamはどんな手を打つだろうか?この戦いは、ゲーム全体のありかたを急速に発達・変化させていくことになるはずだ。それも、ユーザーが求める形に向かって。

 Windows 10、それはゲームの未来をつくるOSなのだ。

おなじみの「マインスイーパ」もXbox Live連動で遊べるのはWindows 10ならではだ!

(佐藤カフジ)