Windows 10 ゲームマラソン

【Windows 10特別企画】Windows 10でゲームは本当に速くなるのか!?

「FFXIV」から「LOL」まで、気になる13タイトルでパフォーマンスをチェック

7月29日発売

 7月29日にWindows 10がリリースされ、早い方は既にインストールされ、あれこれ試されている頃だろう。本記事では、とくにPCゲーマー諸兄が気にしている部分であろう「Windows 10とWindows 8.1でゲームパフォーマンスに違いがあるのかどうか」にフォーカスしてレポートしていきたい。

Windowsメジャーアップデートにおけるパフォーマンスの変化と今回のベンチ条件

 Windowsがメジャーアップデートされる際、ゲームの動作に関して多少の影響があるのが常だ。例えば32bitから64bitへの移行が加速したWindows 7では、32bitで開発されたゲームで一部動作しなかったものがある。また、さかのぼればWindows Vistaの頃には、OSが利用するメモリ量が増えたことで、ゲームで利用できるメモリ量が減り、フレームレートがわずかに落ちたこともあった。

 ただ、前者に関しては既に64bit化が進み、多くのタイトルが64bit OS上の32bitモードでの動作、あるいは32bit版と64bit版の実行ファイルを同時提供するといった対応で、ずいぶんと解決している。後者に関しても、とくにWindows 7以降、OSのコンパクト化が進み、メモリやCPUの使用量が減ったことで、ゲームに対する影響も減少してきた。こうしたことは、Windows 7から8への移行時で、すでに体感されている方も多いだろう。このあたりがWindows 10でどうなっているのかがポイントとなる。

【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)
メモリ:CFD Elixir W3U1600HQ-8G(PC3-12800 DDR3 SDRAM、8GBx2)
マザーボード:MSI Z97M GAMING(Intel Z97)
SSD:CFD CSSD-S6T128NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)
ビデオカード:NVIDIA GeForce GTX 980リファレンスカード
電源:Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS:Windows 8.1 Pro Update 64bitおよびWindows 10 Pro 64bit

 ゲームのフレームレート計測に関しては、専用ベンチマークソフトのあるものはそれを用い、用意されていないものは実際にゲームを動作させ計測した。また、ゲーム内部にベンチマーク機能を持つもの(ビルトインベンチマーク)はそれを利用し、ないものは比較的操作の影響が少ないシーンやリプレイを選んだ上で、フレームレート計測ソフトである「FRAPS」を用いて1分間のフレームレートを計測した。

 画質設定に関しては、今回ハイエンドGPUを用いていることもあり、プリセットの用意されているものは選択可能な最高の設定を、用意されていないものは各オプションのうちNVIDIA独自のオプションを利用できるものはそれを利用しつつ、ほかは選択できる最高の画質を選択した。解像度に関しては1,920×1,080で統一している。

果たしてWindows 10はWindows 8.1から高速化を実現できたのか?

「ファイナルファンタジーXIV」(スクウェア・エニックス)

 スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV」。こちらは専用ベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を用いてスコアを比較した。描画モードをDirectX 11と9から選択できるが、ここではより負荷の高いDirectX 11を選んでいる。ベンチマークの結果はWindows 8.1が12,558ポイント、Windows 10が12,610ポイントで、ほぼ同等と言えるスコアだった。フレームレートはともに96fps台であり、コンマ数fps程度は誤差と言える。

「ドラゴンクエストX」(スクウェア・エニックス)

 スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストX」。こちらは専用ベンチマークの「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族オンライン ベンチマークソフト」を用いて比較した。Windows 8.1が19,086ポイント、Windows 10が18,965ポイントで、100ポイントほどスコアに差が出ているが、スコア自体が高く1%未満の差であり誤差の範囲と言えるだろう。

「モンスターハンター フロンティアG」(カプコン)

 カプコンの「モンスターハンターフロンティアG」。こちらは専用ベンチマークの「モンスターハンター フロンティアG ベンチマークソフト」を用いてスコアを比較した。Windows 8.1が28,287ポイント、Windows 10が27,969ポイントで、300ポイント程度の差が出ているが、これも1%少々の差なので、誤差の範囲と言えるだろう。

「ロードオブヴァーミリオン アリーナ」(スクウェア・エニックス)

 スクウェア・エニックスの「ロードオブヴァーミリオン アリーナ」。これもビルトインベンチマークはないため、チュートリアル中、決まった操作を行なうシーンを用いて計測した。Windows 8.1は230.217fps、Windows 10は224.983fpsという結果で、これも手動計測による誤差を考慮すれば、ほぼ同じと言えるだろう。

「ドラゴンズドグマオンライン」(カプコン)

 カプコンの「ドラゴンズドグマオンライン」。執筆時点ではクローズドβテスト中のタイトルだが、先行して専用ベンチマークソフトが公開されたので、こちらを用いて計測した。スコアはWindows 8.1が10,883ポイント、Windows 10が11,286ポイント。Windows 10の方が安定して高スコアという結果が出ており、複数回計測してもこの傾向は変わらなかった。

「真・三國無双7 Empires」(コーエーテクモゲームス)

 コーエーテクモゲームスの「真・三國無双7 Empires」。こちらは専用のベンチマークプログラムが提供されているが、最大フレームレートが60fpsで固定されているようだ。Windows 8.1が59.5fps、Windows 10が60.1と、どちらも上限の60fps近くに張り付く形となった。

「ウルトラストリートファイターIV」(カプコン)

 カプコンの「ウルトラストリートファイターIV」。来年、シリーズ最新作「ストリートファイターV」がリリースされる予定だが、現在PCで楽しめるのは「ウルトラストリートファイターIV」が最新となる。ビルトインベンチマークを搭載しているのでこちらを利用して、スコアとともに表示されるフレームレートを計測した。負荷が軽いため、Windows 8.1では299.046fps、Windows 10では299.14fpsと非常に高いフレームレートをたたき出しており、プレイには十分すぎるほど。パフォーマンス的には両者ほぼ同じと言えるだろう。

「World of Tanks」(Wargaming.net)

 Wargaming.netの「World of Tanks」。こちらはリプレイデータを用い、これを再生するなかで、FRAPSから1分間の平均フレームレートを計測した。Windows 8.1が82.75fps、Windows 10が84.3fpsとなり、ほぼ同等と言える結果だ。

「Grand Theft Auto V」(ロックスターゲームス)

 Rockstar Gamesの「Grand Theft Auto V」。今回計測したなかでも最も負荷の重いタイトルと言える。ビルトインベンチマークを搭載しているため、フレームレート計測にはこれを用いた。複数のシーンで計測が分かれているが、今回はそれら全ての結果から平均を算出している。結果はWindows 8.1が50.29611fps、Windows 10が51.29445fps。これもほぼ同等の結果となった。

「League of Legends」(Riot Games)

 Riot Gamesの「League of Legends」。MOBAの代表的なタイトルであり、海外における人気は高い。比較的軽量なタイトルでもある。ビルトインベンチマークはないので、手動操作となるがチュートリアルの決まった操作を行なうシーンでFRAPSから計測した。フレームレートはWindows 8.1が567.950fps、Windows 10が606.35fps。Windows 10が大幅に高フレームレートではあるが、手動操作による誤差の大きさが影響した可能性もあるため、参考程度に留めておいて欲しい。

「The Witcher 3 Wild Hunt」(CD Project RED)

 CD Projekt REDの「The Witcher 3 Wild Hunt」。ビルトインベンチマークがないため、手動操作となるが、ゲーム開始直後のチュートリアルシーン中にある自動進行シーンにて計測した。Windows 8.1は58.617fps、Windows 10は59.783fpsで、こちらもあまり差のない結果となった。

「Goat Simulator」(Coffee Stain Studios)

 Coffee Stain Studiosの「Goat Simulator」。そもそもネタとして開発したところユーザーにウケ、市販化が決まったというタイトル。ヤギが街中で暴れまくるというカオスな内容で、価格も9.99ドルと手ごろだったことから人気を集めた。こちらはビルトインベンチマークもなく、自動進行シーンもない。手動操作で計測ブレを抑えるため、ゲーム内の幹線道路をひたすら進むという方法でFRAPSから計測した。フレームレートは、Windows 8.1が105.833fps、Windows 10が109.783fpsで、手動操作の誤差を考慮すれば、ほぼ同等と言える結果だ。

「Battlefield Hardline」(エレクトロニック・アーツ)

Edgeだとこのような表示が出て起動できないため、別途IEを使う必要がある

 エレクトロニック・アーツの「Battlefield Hardline」。Battlefieldシリーズは、まずブラウザを起動した後、そこからゲームモードを選択するというステップを踏む。この際、ブラウザにプラグインをロードするのだが、Windows 10で採用された新ブラウザ「Edge」にはまだ対応していない。ゲーム起動時にEdgeが起動しても、インターネット・エクスプローラを起動するよう促すボタンが表示されるので、これにしたがってIEを起動、プラグインをインストールする形式をとる。

 こちらもビルトインベンチマークはないので、キャンペーンモード01中で、相棒が街中をパトロールするシーンで、その後ろを付いて歩くなか、FRAPSからフレームレートを計測した。Windows 8.1は78.650fps、Windows 10は82.350fpsで、これも手動操作による誤差を考慮すればほぼ同等と言えるだろう。


 ここまでの結果をまとめると、専用ベンチマークやビルトインベンチマークを用いた計測では、ほとんど差のない結果となっている。誤差の大きな手動計測でも、基本的にOSの違いから生じるほどの明確な差というのは見られていない。Windows 10でゲームの体感はどうなるのか、気になっていた方には、「変わらない」というのが答えだ。

クリーンインストールではなくWindows 8.1からアップグレードした場合は?

 Windows 10も過去のWindowsと同様、Windows 8.1や8、7などからアップグレードインストールが可能となっている。Windows 10は、旧バージョンの正規ユーザー向けに無償アップグレードという形式をとったため、クリーンインストールではなくアップグレードインストールを試みる方も多いだろう。

 今回の検証環境でも、クリーンインストールとは別に、Windows 8.1で検証した環境から10へのアップデートを試してみた。比較的新しいパーツを中心に、最小の構成で組み上げているため、アップデートに問題はなく、ベンチマークのスコアもクリーンインストールの際のスコアとほぼ同等のフレームレートが計測できている。

 アップグレードで問題となるのは、1つ目がドライバに起因するもの、2つ目がアプリケーションによる汚れ具合だ。ドライバに関しては、古いパーツで対応していないものや、同じ理由で特殊なパーツなどを用いている場合は注意したい。その点で、万能PCでゲームをするよりは、ゲーム専用PCを用いているほうが安心と言えるかもしれない。また、アプリケーションの汚れ具合というのも同様だ。様々なアプリケーションのなかに、Windows 10に対応していないもの、それも常駐するタイプでそれがエラーを起こしてメモリやCPUを消費するような状態に陥ればフレームレートの低下を招くおそれがある。この点でも万能PCよりもゲーム専用PCという図式が成り立つと言えるかもしれない。

【アップグレードインストールとの比較】

DirectX 12で本当にゲームパフォーマンスはアップする?

 さて、ここでゲームタイトルからひとまず離れて、Windows 10に搭載されているDirectX 12について検証してみよう。Direct X12については、Microsoftはもちろん、NVIDIAやAMDもゲームのパフォーマンスが向上するとアピールしており、かなり期待が持てる。ただ、今回の記事で計測したのは残念ながらDirectX 11以前までの対応タイトルで、まだDirectX 12を利用しているものはない。

 そこで、今現在、DirectX 12に対応しているベンチマークである、Futuremark 3DMarkの「API Overhead feature test」を計測してみた。この結果を見てみよう。

 このテストは、DirectX 11およびDirectX 12(RadeonであればMantleも)の各APIで、命令発行数を調べるものだ。DrawCallと呼ぶ処理を徐々に増やしていき、最終的に30fpsを下回るところまで繰り返す。そしてその時点の1秒あたりのDrawCall数をスコアとして表示する。

 ゲームのように複雑な処理ではなく、単純な処理を行なうことで違いを明確にする目的のようで、DirectX 11と12のスコアは大きな開きがある。DirectX 11では、シングルスレッド時で1,298,233 DrawCalls/秒、マルチスレッド時で2,433,180 DrawCalls/秒となるが、DirectX 12では16,721,538 DrawCalls/秒と、桁がひとつ上になる。

 これがどのように生じるのかと言うと、DirectX 12がハードウェアにより近いレベルで処理できる点にある。実際のゲームで10倍近いパフォーマンスが出るわけではないが、それこそAMDがMantle APIでアピールしていたように、特定の処理では大きな向上が見込めるわけだ。

2015年下半期のDirectX 12対応タイトルを見越した移行準備に取り掛かろう!

 今回の調査のとおり、Windows 10でゲームをプレイする場合、フレームレートの低下といった不安要素は見られず、ほぼ変わらないという結果となった。現在安定動作している環境からOSをアップグレードするのは、少し勇気が必要かもしれないが、その不安を少し払拭できたのではないだろうか。また、Windows 10が本格的に普及するであろう2015年下半期には、DirectX 12対応タイトルの発売も予定されている。来たるDirectX 12対応タイトルの登場に備えて、それまでにWindows 10の移行を済ませておくとよいだろう。

【現在開発中のDirectX 12タイトル】
「Fable Legends」
「GIGANTIC」

(石川ひさよし)