「電遊道」~Way of the Gamer~ ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ

ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ【最終幕】

BORN TO BE GAMER~日本のゲームをこよなく愛するイタリア人ゲーマーを紹介!~

日本から10,000キロ離れたイタリアには、思ってもみなかった和ゲー好きなイタリア人が存在していた!毎回、彼らの自宅に訪問し、宝物を見せてもらいます!そして、インタビューでゲーマーとしての人物像を掘り下げます。ゲームの持つ本来の魅力を再発見しましょう!

【今回のゲーマー】
名前:ミケーレ・ジャンノーネ
年齢:28歳
職業:編集部員
好きなジャンル:サバイバルホラー

 今月のゲーマーはイタリアのゲーム雑誌出版社で編集長を務めるミケーレさんだ。僕と同じ仕事をやっているし、彼も日本のゲームが大好きだ。彼はコレクターとしても、とても強い。毎年、1回、日本に来て、コレクションを拡大させる為に、レアな限定版などを買って帰るそうだ。ちょうど、この間も、東京に来て、「バイオハザード」関係の貴重なアイテムを探していたそうだ。そう。彼のお気に入りシリーズはカプコンの名作サバイバルホラー、「バイオハザード」なのだ。彼の部屋にはあらゆる作品が飾られていて、もう「バイオハザードミュージアム」と呼ぶのに相応しい空間になっている。僕も写真を見て、びっくりしたぐらい、彼のコレクションはとても充実している。早速、ミケーレさんの宝物を見てみよう!そして、インタビューで、「バイオハザード愛情」を計ってみよう!

「RESIDENT EVIL 5 LIMITED EDITION。そして、サイン入りのイラスト
日本版の「バイオハザード」。伝説はここから始まった
もちろん、「バイオハザード」の欧米版、「RESIDENT EVIL」も全て揃っている

【これこそが、日本のゲームを愛している証拠なのだ!】
壁にはプロデューサーのサイン入りイラストが掛かっていた。これこそが、誇りにできるような正真正銘の宝物なのだ!
イタリアで発売された、ミケーレ・ジャンノーネ作のエッセイ本、「RESIDENT EVIL LE RADICI DEL MALE」。ちなみにタイトルは日本語に訳すと、「バイオハザード 悪の根源」となっている

ゲーム愛情を計る為のインタビュー、開始!

―― テレビゲームとのファーストコンタクトはいつでしたか?

 僕のゲームとのファーストコンタクトは他のゲーマーよりは遅かったのではないかと思います。最初に遊んだゲーム機は任天堂のファミコンで、そして、その次にセガメガドライブとプレイステーションでした。遊んでいるうちに、日本のゲームと深い繋がりが感じられるようになりました。特にプレイステーションの欧州でのブームのおかげで、日本のゲームの独特なデザインやストーリー性が話題になって、だんだん注目を集めていきました。僕達イタリア人ゲーマーは、それは全く新しい世界で、とても刺激的に、そして魅力的に感じました。

―― あなたのゲーマー人生の中で最も独特なエピソードを語ってくれますか?

 面白いかどうかわかりませんが、プレイステーション用の「バイオハザード」を買う為にゲームショップに行った時の話ですね。結局あの日、店員に影響されて、「バイオハザード」ではなく、超駄作ゲームを買わされました。あの経験はとても勉強になりました!ゲーマーは他人に影響されず、本当に買いたいと思うゲームだけを買うべきだと思うようになりました。何でしょう。自分の頭でよく考えて、そして、自分の勘をもっと信じるべきですね。

―― あなたにとって最も大切なゲームはどれですか?

 1つのゲームに絞るというのはほぼ不可能だと思います。何故なら、1つではなく、多くのゲームが、僕のゲーマー人生に深い影響を与えてくれたからです。思い出のゲームはそれぞれ、僕の人生の特定の時代に繋がっていて、外せないんですよね。幾つかの例を挙げるならば、セガメガドライブ用の「ジュラシックパーク」、プレイステーション用の「ファイナルファンタジーVII」や「BROKEN SWORD」、そして、「METAL GEAR SOLID 3」かな?もちろん、「バイオハザード」シリーズの3作目までの作品も僕の心の中で重要な位置を占めています。

―― 日本のゲームは欧米のゲームに対して、どういう付加価値を持っていると思いますか?

 日本のゲームは西洋ゲームよりも、細かいところにこだわっていて、そして、キャラクターデザインに関してもストーリーに関しても、非常に満足できる内容になっていると思いますね。もちろん傑作というのは、地理とは関係なく、世界のどこでも生まれることがあります。でも、日本のゲームはやはり欧米のゲームにないプラスα的な価値を持っていると、いつも感じますね。

―― 日本のメーカーにどんなゲームの続編・リメイクを作って欲しいですか?

 僕の返事は「バイオハザード2」のリメイクですね。「ファイナルファンタジーVII」と同様に、欧米のゲーマーが最も待ち望んでいるといえるリメイクでしょう。あの頃の気持ちを次世代ゲーム機ならではの高性能なグラフィックスによって、再び体感できればと願っています。「バイオハザード2」はもう15年前に作られたゲームなので、ゲーム性が古くなった部分もあって、現在のゲーマーには物足りないのかなと心配しています。リメイクする場合、追加要素を導入したほうがいいかもしれませんね。

―― 現在のゲームは過去のゲームに比べて何を失ったと思いますか?

 現在のゲームは爽快感に溢れていて、アクション性も高く、そして、テンポが速いのですが、頭を使いながら遊ぶゲームが少なくなっているのが、残念ですね。それは現在のゲーム業界の問題で、グローバル化が進むに連れて、ゲームではなく、インタラクティブムービーのような形のゲームが増えつつあります。映画とゲームはお互い干渉し合うのが良いとは思いますが、それと同時に、やはり、それぞれ独立したエンターテイメントとして、独自の進化を遂げていくべきかと思います。昔のゲームは昔の映画のような良さを持っていたと思いますね。それと違って現在注目されているゲームは派手な演出で消費者を驚かせることだけを目標にしているかのように感じますね。

ゲームキューブ用の「バイオハザード」のリメイク版と「バイオハザード0」。もちろん限定版
宝物が続く!ゲームキューブ用の「バイオハザード4」、そして、ゲームキューブの「バイオハザード4」仕様限定版
ドリームキャストで発売された「バイオハザードCODE: VERONICA」も、複数のバージョンで持っている
「バイオハザード」5周年記念スペシャルパッケージ、「ナイトメア リターンズ」。これも貴重な宝物だ

―― 「バイオハザード」の話題に入りましょう。このシリーズに触れたきっかけは何でしたか?

 中学校の頃、友達が持っていたゲーム雑誌で、初めて「バイオハザード2」の画像を見て、圧倒されましたね。その雑誌には体験版が付いていたので、友達に借りて、その日の夜、家で遊ぶことができました。当時、12歳で、実は遊んではいけないゲームだったのですが、やはり我慢できなくて、何回も遊びました。そしてあの日からシリーズの大ファンになって、1作目を含めて、全ての作品を買っていきました。大好きなジャンル、ホラーにインタラクションできるところは本当に素晴らしかった!

―― 「バイオハザード」シリーズのどの特徴が気に入ったのですか?

 まず、ゲームの舞台が魅力的なところ、そしてリアルさや細かく描写されているところですね。その次は、ストーリーとキャラクター達ですね。当時流行っていたホラー映画のステレオタイプばかりだったのですが、それこそが、本シリーズを普及させたファクターだと考えています。スペンサーマンションやラクーンシティは、インタラクティブ性に溢れたバーチャルな空間を構築しているし、優れた臨場感があると思います。作品を重ねるごとに、その世界について、より詳細な情報が知りたくなって、もう中毒になりましたね。つまり、僕にとっては、ラクーンシティはゲーム歴史の中で、最も魅力的で面白い舞台です!

―― 特にシリーズの中で好きな作品がありますか?

 この質問に答えるのは難しいですね。とにかく、世界中の殆んどのファンが主張するように、プレイステーションで発売された1作目、2作目、3作が、1番良かったでしょう。1作目も傑作ですが、2作目と3作目が、ゲーム性にさらなる磨きをかけて、絶妙なホラー体験を実現させたと思います。さらに、とても気に入ったのは、「Rebirth」と「Zero」ですね。それらも、全く色あせていない、普遍的な傑作だと思っています。

―― 「バイオハザード」と他のサバイバルホラーとの違いは何だと思いますか?

 最初の作品は不安感と緊張感を生み出していたサバイバルホラーの傑作で、シネマティックな演出も圧倒的で、ずっとゲーム歴史の中で君臨するでしょう。リアルな暴力描写も大きな特徴で、それも話題の1つになりましたね。年が経過するにつれて、また新要素が追加されて、ゲーム性も新たなスタンダードを確立させていきました。例えば「バイオハザード4」で遂げられた進化はその後発売された他のゲームメーカーの作品に多大な影響を与えたと確信しています。今でも、「バイオハザード4」がなかったら、多くの作品が生まれていなかったと思いますね。それはすごい成果でしょう!

―― 自分が知っていると誇りに思えるような「バイオハザード」知識を教えて下さい。

 シリーズのファンはみんな知っていると思いますが、「バイオハザード」シリーズの1作目はヒッチコック監督のスリル名作、「サイコ」から、インスピレーションを受けたと聞きました。三上氏自身が、「サイコ」というネーミングを付けたかったらしいですね。まあ、今、三上氏がちょうど「サイコブレイク」というサバイバルホラーを手がけていて、それは偶然じゃないと思いますね(笑)。もう1つの誇りにする知識は、「バイオハザード」は1989年に発売されたファミコン版の「スウィートホーム」のリメイクという形で完結するゲームとして当時製作が進められていたようですが、最終的には全く新しいゲームとして発売されました。それは大正解でしたね!

―― 年々、「バイオハザード」シリーズはどのように変わっていったと思いますか?つまり、昔の作品と最新作品の違いは何ですか?

 まず、最近の作品では、本来の「バイオハザード」が持っていたリアルさという要素が薄くなってきたと思うんですよね。もちろん、昔の作品でもストーリーはシンプルで、キャラクター達はステレオタイプだったのですが、ゲームの舞台はとても統一感や臨場感に優れたものだったと思いますね。信憑性がありました。緊張感も本物でした。主人公達は大胆に状況に直面できないような無防備さを持っていたから、その特徴はプレーヤーの不安感を煽っていたんですね。それと違って、最近の作品の主人公達はスーパーヒーローのようですし、舞台は格闘する為の闘技場のようですし、ストーリーは飾りでしなく、アクション性も増えすぎたと思うんですね。僕の意見ですが、それこそが、シリーズを後退させた主な原因だと思います。

「バイオハザード2」の日本版と欧米版。ミケーレさんの家は完全に博物館になっている!
「バイオハザード」シリーズのスピンオフや携帯ゲーム機用の作品も充実している

ショーケースの中に「バイオハザード」の様々なグッズやアイテムが保管されている

―― 三上真司氏のサバイバルホラー最新作、「サイコブレイク」について、どう思いますか?

 まだ発売されていないのですが、映像を見て、とても良い作品だと感じました!「サイコブレイク」には本来の「バイオハザード」のプレイスタイルを提供すると共に、「サイレントヒル」的な要素も濃くなったと思うんですね。和風と洋風ホラーが交差して、見事にいろんな要素が凝縮された、とても期待できるような作品です。最初の「バイオハザード」のように、三上氏はプレーヤーの恐怖感と不安感を倍増させるような演出を取り入れているようですね。そこで、バーチャルカメラの置き方や編集といった要素が、大事な役割を担っています。早く遊んでみたいですね!

―― 「バイオハザード」シリーズのこれからをどのように思い描いていますか?原点回帰を果たすべきですか?それとも、さらなる進化を果たすべきですか?

 これから進む方向は次回作で決まると思います。カプコンは本来の形のサバイバルホラーに戻して原点回帰を果たすことを示唆する発表をしたので、すごく期待できそうですね。1作目からのファンとして、断言できることがあります。これからの「バイオハザード」はリアルな恐怖というコンセプトに集中して、サバイバルホラー好きの為の本物のサバイバルホラーを作るべきだと思っています。つまり、昨今の作品で目立っていたアクション性といった要素を減らせば、ファン達が待ち望んでいる従来の「バイオハザード」に戻るのではないかと信じています。

―― 最後に、あなたの最もリスペクトする日本のゲームクリエーターへのメッセージをお願いします!

 「バイオハザード」シリーズを本当に愛しています!だからこそ、ファンとして、スタッフにこのメッセージを送りたいです。次回作で是非、原点回帰を果たして、本来のあの恐怖や独特な雰囲気を取り戻して欲しい!僕は今、ゲーム雑誌の編集長ですが、いつか、僕も、プランナーとして、「バイオハザード」のスタッフの一員として貢献できることを願っています。難しい目標かもしれませんが、これからも大好きな日本のゲームをプレイしつつ、夢に向かって頑張って行きたいと思います!

―― ミケーレさん、今日は本当にありがとうございました!これからも日本の大好きなサバイバルホラーで遊び続けてね!!