佐藤カフジのVR GAMING TODAY!

気鋭のハイブリッドVRヘッドセット「GameFace(仮)」が魅せる未来

ワイヤレス&ハイエンド。二律背反への画期的ブレイクスルーとは?

【著者:佐藤カフジ】

 Oculus Rift、SteamVR(HTC Vive)、Project Morpheusばかりが取り沙汰される最近のVRゲーミング界隈だが、これらが2015年末〜2016年中ごろまでに市場投入されたあとも、さらなる技術革新が続いていく。そこで注目したいのが、目下開発中となっている第3勢力のVRヘッドセットだ。

 その筆頭には本連載で度々ご紹介してきたFOVEが挙げられるが、それに匹敵するイノベーションをもたらしてくれそうな新勢力もある。それは、サンフランシスコに本拠を置くGameFace Labsが開発中のVRヘッドセット「GameFace(仮称)」だ。GameFaceは、Android用のモバイルVRと、PC用のプレミアムVRを、これ以上ない形で統合してくれるという可能性を持っている。

現在第6世代まで開発されているというGameFaceプロトタイプ機の一例

最新Tegraプロセッサ搭載のVRヘッドセット

GameFace Labsの公式サイト
装着風景
Tegra K1 SoC(System on Chip)

 GameFace Labsが開発する「GameFace(仮称)」についての明らかな情報はそう多くはない。最終仕様、投入時期、価格、どれも不明だ。そんな状態のVRシステムを敢えていま取り上げるのは、この「GameFace」がOculus Riftの次の世代において、VRゲーミングの世界に新たなトレンドを作り出す可能性が非常に高いからだ。

 GameFace最大の特徴は、VRヘッドセット自体が高性能Android端末でもあるところだ。GameFace Labsの公式サイトではその技術概要をひととおり見ることができるが、「内部にNVIDIA Tegra Socを搭載する」という1点が注目に値する。

 75Hz・2,560×1,440解像度・140度の視野角という光学系のスペックはこの際どうでもいい。重要なのはGameFaceがTegra搭載のAndroid端末であり、単体・ワイヤレスで独立したVRシステムとして使用できることだ。

 スマホ+ガワという構成の「Gear VR」(Samsung)とも違う。GameFaceは「ヘッドセットそのものが端末である」ことに注意してほしい。つまり、搭載チップやバッテリーのサイズ等が、スマホのフォームファクターに縛られないという特性がある。このおかげで、タブレットサイズのSoCである最新のTegra K1/X1を搭載してグラフィックス性能を稼げるし、原理的にはある程度大きなバッテリーも搭載できるので、「Gear VR」以上の長時間の使用も可能となる。

 海外VR専門メディアのRoadToVRのレポートによれば、現時点のプロトタイプではTegra K1を搭載している。これでも前世代の据え置きコンソール機(PS3/Xbox 360)より少し上くらいのグラフィックスパワーがあるが、GameFace Labs公式サイト上では「2台のXbox 360よりもパワフル」と謳っているので、製品として出すタイミングでは1世代新しいTegra X1の搭載を企図しているに違いない。

プロトタイプの中身。単体でAndroid端末としての機能を持つ
光学系のデザインも含め、かなり試作感があるので、製品版までに様変わりする可能性は高い

OpenVRとLighthouse対応でPC用VRシステムにもなる!

GameFaceのスペック表。Lighthouse対応が謳われている
PC、モバイル双方への対応を表明
Valve、Lighthouseのベースステーション

 GameFaceが単体で高性能なモバイルVRシステムとして使えることはわかった。その上で、PCゲーマー的に注目したいのは、機能面で「Lighthouse対応」が掲げられている点である。

 ValveのVR規格であるSteamVRは、オープンソースAPIのOpenVRを通じて誰もが自由に互換機を開発できるようになっている。その中である意味「インフラ」となるのが、Valve独自のトラッキングシステムであるLighthouseなのだ(関連記事)。

 実例としては、アイトラッキング付きVRヘッドセットのFOVE、Starbreezeの超ハイエンドVRヘッドセット「StarVR」などがLighthouseへの対応を表明、あるいは検討をしている。トラッキングシステムは1部屋に2つ以上設置しない(あるいは出来ない)ものなので、多くの後発メーカーはトラッキングシステムを独自開発せず、Lighthouseに乗っかるつもりなのである。

 GameFace Labsも、そういったビジョンを描いている。GameFaceをHDMIとMicroUSB 3.0でゲーミングPCに接続し、Lighthouseのトラッキングシステムを使用してプレミアムVRゲーミングを実現する。HTC Viveの代わりに、SteamVRヘッドセットとして使えるわけだ。

 しかもだ。HTC ViveやFOVEとは違い、GameFaceには前世代のゲーム機2台分以上の能力という高性能プロセッサが搭載されている。そのパワーを使えば、映像の超解像化、より緻密な光学的調整、タイムワープなどなど、さまざまなポストプロセスをHMD側で行ない、ホストマシンの負荷を軽減しつつ、他よりも高い映像品質を実現できる可能性もある。

 開発機という位置づけの「GameFace Developer Console」は、2016年の第2四半期にも出荷が始まるという。その頃には本製品の「インフラ」となるLighthouseを設置済みのVRゲーマーも相当数にのぼるはず。同じ頃、スマホVRの世界では、よりインタラクティブでハイクオリティな3D表現を求める傾向が出てくるかもしれない。

 唯一の難点は、Tegra K1/X1のSoCとバッテリーと、液晶パネルを搭載することから、どう考えても既存のVRヘッドセットより重くなるということである。参考までに、Tegra K1を搭載するNVIDIA SHIELD Tabletは本体重量390グラムである。どうひっくり返してもこれより軽くはならないはずなので、装着性に関して大きな弱点を負うことになるかもしれない。

 とはいえ、PCとモバイル、両方のVRゲーミングシーンを1台でこなせるGameFaceは、第2世代のコンシューマーVRシステムが備えるべき特性を、一足早く実現することになるのは間違いない。今後とも引き続き注目である。

家庭にLighthouseのある風景。ここに様々な互換VRヘッドセットや入力デバイスが参入していく。GameFaceはその決定版のひとつになるかもしれない