ゼロから始める「League of Legends」

ゼロから始めるLeague of Legends

第4回:トップレーンの役割とゾーニングのテクニックを学ぶ

 本連載では、第1回でご紹介したゲーム概要の紹介を皮切りに、ミッド(第2回)、ボット(第3回)、トップ(第4回)の各レーンとジャングル(第5回)の特徴をはじめ、簡単な用語解説も含めつつ、よりゲームプレイに踏み込んだ内容について、第5回まで順に説明していく。

 各回では実際にチャンピオンを運用した例も盛り込むほか、そのレーンに向いたチャンピオンも紹介する予定。チャンピオンには性能的に向いたレーンがあるので、一例として参考にしていただけたら幸いだ。

 なお、内容としては基礎レベルとなる。アップデートやメタ(現実世界における流行)で常に最適解が変遷するアイテムビルドや、特定のチャンピオンの運用には深く言及しない。特に言及がない場合は「サモナーズリフト」を前提として話を進める。

 今回は、トップレーンの基本的な動きを解説する。

トップレーンの役割と特徴

 マップの上弦に沿う形で行動するトップレーンは、序盤に重要なオブジェクトから遠く、リコールした後に復帰するまでの移動距離も長いため、ファームのためにレーンの滞在時間が長くなる傾向がある。このためトップレーンを担当するチャンピオンは近接攻撃型のチャンピオンが多いが、相手との相性次第では同じソロレーンであるミッドレーンのチャンピオンと位置を交代することもある。これをスワップ(Swap)と呼ぶ。

 ミッドレーンでもそうだが、ソロレーンでは相手とのラストヒット差が重要になる。つまりゴールドの差であり、それは後々になって装備の差として表われる。トップレーンのチャンピオンは単独でマルチキルを狙えるような強力なスキルを持っていることが多いので、隙を見せてキルを取られてしまうと、挽回は難しくなる。

 ミッドレーンはソロレーンということもありギャンク(強襲)されやすく、またタワー間の距離も長くなるので、マップの視界確保はほかのレーンにも増して重要だ。特に最序盤は、一通り自陣のジャングルでファームを終えたジャングラーの最初のギャンク先として選ばれやすい。

トップ側、レーン寄りの草むらにワードを置いて視界を確保したところ。右の三叉になった草むらは「トライブッシュ」と呼ばれ、しばしば集団戦が起こる
【トライブッシュの視界の取り合いを制する】
トライブッシュの視界を取り合っているところ。敵がビジョンワードを置いてこちらのステルスワードを壊したが、追い払ってビジョンワードを壊し、ステルスワードを置き直している
【「LoL」トップ編 トライブッシュ視界確保のメリット】
きちんと視界を取っていれば、味方と連携して敵を罠にはめやすい

 トップレーンはラストヒットを確実に取ることとは別に、ほかのレーンの状況に気を配る必要がある。もちろん自レーンへのギャンクを警戒するという意味合いもあるが、相対する敵チャンピオンの動向にも注意を払いたい。対面のチャンピオンが姿を消した場合、ほかのレーンにギャンクへ向かっている可能性が高いからだ。

 こうした状況になった場合の対処はおおよそ2つあり、自分もサモナースペルの「テレポート」や長距離移動が可能なウルトを使って加勢に向かうか、レーンのプッシュをしてタワーを叩くかである。そうした事情もあって、トップレーンを担当するチャンピオンはテレポートを持つことが多い。ただし、テレポートは即時発動するわけではなく、移動が完了するまでに数秒のタイムラグがある。適切なタイミングで飛ばないと、味方と連携できない距離で分断される可能性があり、フォーカスされて逆にキルされる場合もあるので注意したい。この判断には慣れが必要だ。

【「LoL」トップ編 ミッドの集団戦にテレポートで駆けつける】
レーンへ復帰する途中にミッドで集団戦が発生したのでテレポートで駆けつけたところ。数の優位をとり相手のチャンピオンを捕まえてキルを取っている
【「LoL」トップ編 タワーを壊してテレポートを防ぐ】
テレポートはタワーにも飛べるが、飛んでいる途中でタワーが壊れるとテレポートが失敗し無駄になる

 先述の通り、トップレーンはタワー以外に中盤までのめぼしいオブジェクトがないので、中盤まではレーン自体がゲームから分断される展開になることも多い。場合によっては中盤以降、対面から相手のチャンピオンがほかのレーンに移動しても、ひたすらトップだけをプッシュし続けてプレッシャーをかける戦術もある。

 この状態を放っておくといずれインヒビターまで到達されてしまうので、相手チームはオブジェクトを取らせてまで取った数の有利を捨てて、トップレーナーの対処に向かう必要が出てくる。ただし集団戦が起こりそうな場合は、きちんとチームに合流した方が良い。

【「LoL」トップ編 ミッドの集団戦も構わずトップ進撃】
ミッドで集団戦が発生しかけているが構わず進撃している。敵のADCが釣れたことによってミッドの集団戦で味方がキルを取った

相手を寄せ付けずミニオンのウェーブを管理する「ゾーニング」

 ところで、「LoL」では、タワーの射程範囲内でチャンピオンがチャンピオンを攻撃した場合、タワーは攻撃した側のチャンピオンが射程範囲から出るまでチャンピオンを優先して攻撃するようになる。

 レーンの前線をプッシュすると、敵のタワーを削りやすくなる一方、ギャンクを受けた際に、近場の安全地帯と言えるタワーの射程範囲内まで逃げる距離が増え、途中で捕まってキルを取られる可能性が高くなる。特に相手のチャンピオンと自分のチャンピオンの相性が悪い場合は、これを逆手に取って自陣側のタワーの射程距離ぎりぎりまでミニオンのウェーブを引きつけ、安全にファームを行なう作戦がある。

 これを発展させた戦術が「ゾーニング」である。ゾーニングとは、相手のチャンピオンにハラスを仕掛けてHPを減らすことでキルをされるリスクを上げ、ラストヒットの取得を妨害すること。要するに自分だけがファームをし、相手にファームさせないことを指す。

 また、多くの場合は自陣のタワー近くでファームを行なうため、下手にハラスを仕掛けることもできず文字通り「相手のファームを指を加えて見ているだけ」の状態を作ることができる。この状況が長く続くと、レベルと取得ゴールドの両方に取り返しのつかない差ができる。もし、相手が諦めてほかのレーンに移動した場合は、遠慮なくプッシュをしてタワーを叩けばよい。

ゾーニングを展開しているところ
【「LoL」トップ編 ゾーニングの一例】
マナ管理に失敗しておりあまり良い例ではないがゾーニングの一例。敵の体力を減らしてむりやり下がらせている

 ゾーニングをする際に重要なのは、ハラスをきちんと当てること。相手のリスクを高めることである。もちろん、スキルやチャンピオンの性質によってはゾーニングできない場合も多々あるので、相手との相性を見極めて判断したい。

リバーの視界を取る干渉不能のワード「Rift Scuttler」

 マップの中央を流れるリバーは、両チームのジャングルを分断する一応の境界線である。リバーの脇には「ドラゴン」と「バロン」がおり、ワンゲームを通して視界を取ることが重要になるポイントである。

 リバーのトップ側とボット側には、自分からは攻撃をしかけてこないRift Scuttler(通称カニ)という中立モンスターがポップする。Rift Scuttlerを倒すと、トップ側はバロン前に、ボット側はドラゴン前にそれぞれ倒したチーム側の視界ができ、数分間持続する。この視界自体は「ステルスワード」や「ビジョンワード」などのアイテムと同じだが、性質が異なる。

Rift Scuttler。体力が高く、倒すのに手間取っていると敵に取られるリスクもある
倒すとオブジェクトの前に視界ができる

 Rift Scuttlerの視界の中心には、ワードと同じようにRift Scuttlerの触覚が見えるが、この触覚はワードのように攻撃して除去することはできない。また、チャンピオンが円形の視界の範囲に入ると、ごく短時間移動速度が向上するバフが得られる。

 つまり、短時間ではあるが「壊されないワード」がオブジェクトの前に出現するというメリットが得られるのである。これはレーン間でギャンクを仕掛ける際、ギャンクする側がリバーを迂回せざるを得なくなることを意味する。倒せるチャンスがあれば、倒しておいて損はない中立モンスターである。ただし、ワードとは異なり、テレポートの目標地点として指定できないことは覚えておこう。

トップレーンチャンピオンの一例

 トップレーンのチャンピオンは、火力を出しつつ矢面に立つタイプが多い。集団戦では敵のキャリーを真っ先に狩る役回りになることもよくある。立ち回り方によってはADCを超えるキャリーになる可能性を秘めており、育てがいがある。一方で、相性による有利不利が激しいため、得意なトップチャンピオンを最低でも3人は持っておくといいだろう。

ADC

ガレン

トップレーン定番チャンピオンの1人。やたらとデマーシア(ガレンが所属する国家)の名前を連呼しながら戦うことがよくネタにされる。スキルのリソースとしてマナを必要とせず、相手のスキル発動を妨害するサイレンス効果のある近接攻撃スキルを持つ。特徴的なのは、剣を回転させながら周囲の敵を攻撃する「ジャッジメント」。ウルトは"ジャスティス!"と叫びながら敵の直上から巨大な剣を落とす「デマーシアの正義」。文章だけだとギャグめいているが、操作が比較的簡単で活躍しやすい、初心者にもおすすめのチャンピオンである。

パンテオン

敵からの攻撃をブロック(無効化)するパッシブスキルと、確定スタンからの強力なスキルコンボを持つグラディエーター的な人。ウルトでマップ上の任意の位置にジャンプする。

ナサス

アヌビス的な何か。近接攻撃スキルの「サイフォンストライク」でラストヒットを取るごとにスタックが増えていき、スタック数に応じて同スキルの威力が上がる。スタックの上限はないので、ファームすればするほど威力が上がっていき、終盤にはADCを一撃で溶かす攻撃力を得ていることもしばしば。放っておくと大変なことになるのでギャンクを受けやすい。

ガングプランク

近接戦闘に強い海賊。通称GP。スキルにより追加ゴールドを得やすく、スローを伴う範囲攻撃も可能。すべての状態異常を解除する回復スキルを持つ。ウルトはマップ上の任意の位置に広範囲な砲撃を行なう。砲撃にはスロー効果があり、味方の追撃をアシストできるほか、自身の逃走時などにも役立つ。

マルファイト

隙を見せると突撃してくる岩の塊。体は岩石だがちゃんと防具を買わないと柔らかい。自動再生するシールド(一時ライフ)と、物理防御の値に応じて威力が上がる魔法スキルを持つタンク兼メイジである。ウルトは自身の突撃による範囲ノックアップ。長距離を一瞬で移動するブリンクスキルのため、非常時には逃げにも使える。

ダリウス

デマーシアの敵対国家「ノクサス」に所属する戦士。ガレンのライバル的ポジションらしい。回転時間の短い回転攻撃スキルを繰り出す。近距離の敵を自分の側に引き寄せるCCスキルを持ち、戦斧をギロチンのように振り下ろすウルトでキルを取るとウルトのクールダウンが解消するため、集団戦で活躍しやすい。振り下ろすモーションがダンクシュートにも見えることから、バスケットボールのユニフォームを着ているスキンも存在する。

ティーモ

毒を仕込んだ吹き矢で戦う僕らのヒーローCaptain Teemo。通常攻撃に毒の魔法ダメージが付与され、また敵の通常攻撃を無効化するブラインド効果のあるスキルも持っている。ウルトは魔法ダメージのステルス地雷。短い間隔で大量に置けるため、中盤から終盤にかけては地雷の密集地帯に踏み込んで地雷のみで殺されることもしばしば。動きの鬱陶しさと地味な火力の高さでヘイトが高まる魅力的なチャンピオンである。見かけたら消し炭にしよう。

各レーンについての解説としては一区切りとなる次回は、ジャングルについて解説する。

(関根慎一)