【連載第238回】ゲームライフに役立つグッズをレポート


「続、PS3を買い換えたら」……「torne」の外付けHDDの録画は?
2台同時に使えるの? コピー禁止のセーブデータって? など、いろいろと試してみた


 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。


 今回は、前回に引き続き「PS3を買い換えたら」というテーマでお送りしていこう。前回は旧型PS3を所有していた研究所員が新たに薄型のPS3を購入したことをきっかけに、「データ転送ユーティリティーで実際にデータを転送してみるとどんな風になるのか?」を試したが、今回は“外付けHDDに保存した「torne」の録画データはどうなのか?”や、“コピー禁止のセーブデータとは実際どういう制限のあるものなのか?”を試してみた。

【今週のおしながき】
データ転送した新旧2台のPS3がある場合、外付けHDDに保存していた「torne」の録画データはどうなるのか?
新旧2台のPS3を同時に活用することはできるのか?
「コピー禁止のセーブデータ」どんな制限のあるものなのか?どう扱えばいいのか?

 




● データ転送した新旧2台のPS3がある場合、外付けHDDに保存していた「torne」の録画データはどうなるのか?

今回使用した外付けHDDはアイオーデータの「テレビ用USBハードディスク AVHD-U1.5」。容量は1.5TB。パッケージに「torne」対応と記載されていて、なんのセッティングも無しに繋げるだけですぐに利用できる
「torne」の「ハードディスク情報」画面。この画面で外付けHDDを「torne」に使用できるよう登録する。この登録データごとデータを転送すれば、新しいPS3でも外付けHDDと内部の録画データをそのまま利用できる

 それまでに使っていたPS3から新しく購入したPS3へ「データ転送ユーティリティー」を使ってデータを転送した場合、「torne」のアプリケーションや録画予約、本体HDDに録画した番組も、そのまま丸ごと新しいPS3へデータが転送される。前回お伝えした通りだ。

 では、外付けHDDに保存していた番組はどうなるのか?結論を先に書くとこちらもそのまま新しいPS3で以前の状態そのままに利用できる。データ転送後、新しいPS3に外付けHDDを繋げるだけで「torne」に登録されたHDDとして認識されて、保存していた番組もちゃんと元の通りに再生できる。もちろんその後の録画にも利用できる。

 これは要するに、「torne」のアプリケーションデータに外付けHDDの登録情報も含まれていて、そのデータも丸ごと「データ転送ユーティリティー」によって転送されるということだ。そのため、新しいPS3に外付けHDDを繋ぐだけで今までどおりに使える。

 その裏付けとして、「torne」に外付けHDDの登録がされていないデータを「データ転送ユーティリティー」で転送し、その後に元のPS3で外付けHDDを登録、録画。その外付けHDDを新しいPS3に繋いで登録しても、内部の録画番組は観られなかった(外付けHDD内の番組が表示されない)。外付けHDDの登録情報ごと転送することが重要だ。つまりは元のPS3で外付けHDDを使って「torne」を楽しんでいた人が新たにPS3を買い換えた場合、何の手もいれず「データ転送ユーティリティー」でデータを丸ごと移してしまえばいい。

 では、逆に元のPS3に外付けHDDを繋いだ場合はどうなるのか?これは当然だがそのまま使えた。ではさらに、新しいPS3で外付けHDDに番組を録画して、その外付けHDDを元のPS3に繋いだ場合は、新規の録画番組を観られるのか?これは番組が表示されず観られなかった。おそらくは元のPS3側に番組を録画したという情報がないため、外付けHDD内のデータを参照できないのだと思われる。「torne」側と外付けHDD内のデータの紐付がないのだろう。

 ちなみに「torne」自体は新旧両方のPS3で利用できる。といっても、「torne」のアプリケーションを起動するには「torne」のチューナーが接続されていないといけないので2台で活用するのは手間がかかるし、前述のように外付けHDDを介しても、両方のPS3で新たに録画した番組を共有することはできない。チューナーさえ繋げば旧PS3側でもそれまでにHDD内に保存していた番組を再生できるという点はあるものの、それ以外にはあまりメリットがないという結論になった。

● 新旧2台のPS3を同時に活用することはできるのか?

複数のPS3が同じオンラインIDでサインインすると、先にサインインしていた側に画像のような表示がでてサインアウトされる。同じオンラインIDで各種機能を同時にフル活用するということはできない

 「データ転送ユーティリティー」を使ってデータを転送すると、ほぼ同じデータや同じアカウント情報を持ったPS3が2台できあがる。例えば新たに新型のPS3を購入したという場合、1台は自室、もう1台はリビングにおいてみる、なんていうこともあるだろう。もしくは家族で別々に使うなどだ。では、この2台をそのままで同時に利用することはできるのか?

 答えは、「同時には扱いづらい」となる。というのも、1番のポイントはPlayStation NetworkのオンラインIDの制御にあって、同一のオンラインIDは同時にログインできない。後からサインインされたPS3側が優先され、先にサインインしていた側は強制的に切断される。そのため、同時に同一のオンラインIDでサインインすることはできないし、サインインしていない状態では各種オンライン機能やPS Storeのコンテンツ等の扱いに制限ができる。

 同じオンラインIDを複数台に設定しておくと、新PS3側で楽しんでいる最中に突然切断される、なんてことも起こりかねない。PS Storeのコンテンツ等をPS3に認証させる「機器認証」は、新旧両方のPS3でできるので、交互に使うぶんには大きな問題はないものの、不意に問題を感じる瞬間があることを考えると、やはりちょっと扱いづらいなという印象になってくる。別のアカウントを登録するなど、棲み分けをするのがベストだ。

 なお、「torne」に関してもちょっと注意点がある。前述のように「データ転送ユーティリティー」を使ってデータを転送すれば、「torne」のデータも丸ごと転送されるのだが、この中には録画予約も含まれる。「torne」のチューナーなどの環境を新PS3側に移しても、旧PS3側は時間になれば録画を開始しようとしてしまう。当然録画はできずに終了するのだが、ここにちょっとした問題が出る。

 つまりサインインの話も統合すると、旧PS3側に残った「torne」の録画予約により、PS3が起動する。すると、(旧PS3が自動サインインにしてありネットワーク接続もされている場合に限り)旧PS3がサインイン状態になって、新PS3側がサインアウトされてしまう、というようなことが起こるわけだ。データ転送後、1度旧PS3側に「torne」のチューナーを繋いで、録画予約情報等を整理しておこう。

● 「コピー禁止のセーブデータ」どんな制限のあるものなのか?どう扱えばいいのか?

上の画像はそれぞれ、「デモンズソウル」と「KILLZONE2」のセーブデータ。どちらも利用条件という項目に「コピー禁止」とある。これが、他のPS3には移せない「コピー禁止のセーブデータ」だ
個別にコピーしようとすると、上の画像のようにコピーが禁止されているという表示が出てできない

 前回、「コピー禁止のセーブデータ」についての記述が誤解を招くような内容になっていたことを再度お詫びするとともに、ここでもう1度コピー禁止のセーブデータとはどんな制限のあるものなのかをまとめていきたいと思う。

 コピー禁止のセーブデータとは簡単に言えば、「別のPS3にはコピーできないセーブデータ」のこと。ここでいう“別のPS3”という言葉が重要で、具体的には「本体基板が異なるPS3」のことになる。

 このセーブデータは、他の制限のないセーブデータのように普通にコピーして移すようなことはできないが、「バックアップユーティリティー」を使ってデータのバックアップを作成すれば、同一の本体(基板が同じであること)へリストアできる。だが、別のPS3へデータをリストアした場合は当然ながらデータは復元されない。あくまでも、コピー禁止のセーブデータを複製する(増やす)ことはできない。

 唯一、別のPS3本体へコピー禁止セーブデータを転送できる手段が、「データ転送ユーティリティー」だ。前回「データ転送ユーティリティー」で旧PS3から新PS3へとデータを転送したが、コピー禁止のセーブデータは「ムーブ(移動)」される。つまり、通常のデータはコピーされて新旧PS3両方に同じデータが存在するようになるが、コピー禁止のセーブデータだけは旧PS3からデータが消え新PS3だけに保存される。ここでもやはり、あくまでコピー禁止セーブデータのコピーはされない。

 ここで注意しておきたいのは、なんらかの理由でもう1度旧PS3から新PS3へ「データ転送ユーティリティー」を使ってデータのやりとりをしたくなっても、その時にはすでに旧PS3にはコピー禁止のセーブデータは残っていないということだ。1度データを転送した後は、新PS3側にしかコピー禁止セーブデータが残っていないことを意識して取り扱わないといけない。

 前回も「バックアップユーティリティー」と「データ転送ユーティリティー」の違いと使い分けについて書いたが、PS3のデータをバックアップし、いざというときにリストア(復元)するのであれば、「バックアップユーティリティー」を、2台のPS3間でデータを転送するなら「データ転送ユーティリティー」を利用することになる。ツール名称の文字通りという感じだが、これで1台のPS3を使っているときでも、新たにPS3を購入したときでも、データのやりとりは不満なく行なえると言っていい。

 ただ、唯一この2つでは対応できないケースがある。それは、PS3本体が「故障してしまった」場合。故障の程度にもよるのだが、突然起動もできなくなってしまった場合では、本体を交換するほかない。修理に出して基板が交換されて帰ってきた場合、それはもう本体が変わったのと同じことだ。

 この時、元のPS3で使っていたHDDを、新しいPS3に接続しても、そのデータは利用できない。PS3が正常起動せず、システムソフトウェアの入れ直しとHDDのフォーマットを求められてしまう。別のHDDで初期設定を済ませてから「バックアップユーティリティー」でリストアを行なっても、コピー禁止のセーブデータだけはリストアされない。

 2台のPS3と「データ転送ユーティリティー」を使って別のPS3からコピー禁止のセーブデータも含めて転送するといっても、コピー禁止のセーブデータはムーブされる仕様だし、最新のプレイデータが使えているPS3が手元にあることが前提になっているのだから、使っていたPS3が故障した場合のこの話題においては意味がない。

 「バックアップユーティリティー」も「データ転送ユーティリティー」も、コピー禁止のセーブデータに関しては、故障等により本体基板が変わったときに対処できない。ここにちょっと問題点があるというか、「バックアップ」という行為は、本体が故障したりしたときに備えるものであって、そのほとんどのデータは「バックアップユーティリティー」でリストアできるものの、一部のコピー禁止のセーブデータについては救済する方法がない。このあたりにはなんらかの救済策を設けてもらいたいところだ。






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(2010年 8月 10日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]