ゲーミングPCレビュー

G-GEAR note N1561J-720/E

ベンチマークで性能をテスト

ベンチマークで性能をテスト

 次に実際の性能のチェックだ。今回ベンチマークテストを行なったのは、お借りすることができた「N1561J」シリーズのハイエンド機「N1561J-720/E」。実際に行なったベンチマークは代表的なベンチマークソフトとしてFuturemarkのPCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark 3.0.3bを使用した。また、実際のゲームをプレイする前に評価を行なうことができる「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(FFXIV: 新生エオルゼア)」のベンチマーク キャラクター編(FFベンチ)を使ったベンチマークも行なっている。さらに、実際のゲーム環境でどれほどの性能を発揮するかを見るため、「SimCity」と「バトルフィールド4」でFrapsというソフトウェアを使用して、1秒間に何回の描画を行なうことができているかを示すfps(Frame per Rate)の平均を計測した。

 結果についてもおのおの解説していくが、前半のベンチマーク結果は、ベンチマークソフトを使ったことがある方しかわからないかもしれないので、そのような場合には後半にある実際のゲームや、ゲームのために用意されたベンチマークソフトを使った結果である、「FFベンチ」以降を見ていただくとよいだろう。逆に、ベンチマークソフトにある程度精通しているのなら、Futuremarkのベンチマークの機能であるResult Browser機能を使って、詳細なベンチ結果を見ることができるようにリンクを張っているので、そちらを参考にしていただきたい。

・PCMark 8

 世界的に利用されているFuturemarkのベンチマークソフトの1つ。PCMark 8はそのFuturemarkのベンチマークソフトの中でもPCの全体的な性能をチェックするためのものだ。

 結果としては3,412ポイントをマークしており、ノートPCとしてはかなり高い値を示している。これはCPUがクアッドコア構成でクアッドコアを内蔵したCore i7による恩恵だろう。3Dゲーム以外の通常のPC作業においても、ストレスなく利用できることがわかる。

テスト項目数値
PCMark 83,412

詳細はクリック

・3DMark

 PCMark 8と同じくFuturemarkのベンチマークソフトで、こちらは主に3D性能を見るためのもの。Ice Stormはスマートホンやタブレットでも実行可能で、PCとの性能比較を行なうことも可能なテストだ。Cloud Gateは3DMarkの前バージョンとなる3DMark 11と同等のベンチマークを行なうようになっており、厳密には正確とは言えないが、過去の結果との比較を行なうことができる。

 また、3D性能があまり高くないPCの性能比較にも利用されている。3DゲームをプレイするためのゲーミングPCの性能を見るには、Fire Strikeの結果を見るのがよい。実際の3Dゲームで利用されるDirectX 11を使い、物理演算などを交えた高負荷処理が行なわれている。

 結果はノートPCとしてはやはりかなり高めの値。Fire Strikeの数値を見た場合、3Dゲーマー向けのハイエンドデスクトップPCで5,000ポイント台が出るため比較すると見劣りしてしまうものの、一昔前の3Dゲーマー向けのハイエンドデスクトップPCと同等もしくはそれ以上の値となっている。

テスト項目数値
Fire Strike3,661
Cloud Gate14,993
Ice Storm93,939

詳細はクリック

・CINEBENCH R15

 CINEBENCHは映画の3DCGなどにも使われているCINEMA 4Dをベースとした3Dレンダリングのベンチマークソフト。CPUの性能を見るのに適したソフトウェアで、ここではマルチコア時の「CPU」とシングルコア時の「CPU(Single Core)」のテストを行なっている。

 デスクトップPC用のメインストリーム向けのハイエンドCPU、Core i7-4770KのCPUの結果が800前後、CPU(Single Core)の結果が155前後となるため、結果の数値はノートPCとしては非常に高い。ちなみにノートPC向けのハイエンドCPU、Core i7-4900MQの結果はそれぞれ650と150前後になる。CPUのランクが違うため劣るのは仕方ないが、それほど大きく数値が離れているわけではなく、CPU単体の性能で見た場合、体感できるか差異かどうかは微妙なところだ。

テスト項目数値
CPU577
CPU(シングルコア)137

・CrystalDiskMark 3.0.3b

 ストレージの性能のチェックは、定番となっているCrystalDiskMarkで行なった。本機ではOSがSSDにインストールされており、データ用として500GBのHDDが搭載されているため、それぞれでベンチマークを行なっている。

 当然、SSDが採用されているため、ストレージ性能はかなりのものだ。HDDについては、同じ2.5インチ製品でも7,200rpmのものに劣るがSequentialのRead、Writeともに100MB/sを上回る。3Dゲームを何本もインストールしていると、128GBでは足りなくなってしまうこともあるため、よくプレイするゲームだけSSDにインストールしておき、それ以外はHDDにインストールするといった使い分けをうまく行なうとよいだろう。

【SSDのベンチ結果】
【HDDのベンチ結果】
OSの入っているSSDのベンチ結果。現行のSSDの性能としてはまずまずといったところ。しかし、下のHDDと比較すれば非常に性能が高いことがわかる
500MBの2.5インチHDDのベンチ結果。5,400rpmの製品ということで性能自体はそれほど高くないが、SSDとの使い分けがカギとなるだろう

・「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」ベンチマーク キャラクター編

 ここからは実際のゲームに即したベンチマークになるが、「FFベンチ」はスクウェア・エニックスがサービスを提供する「FFXIV: 新生エオルゼア」をプレイするにあたって、事前に動作環境をチェックするためのソフトウェア。動作するかどうかだけでなく実際にゲームを快適にプレイできるかどうかを数値化するベンチマーク機能も備えているため、そちらを利用している。条件としてはフルスクリーンのフルHD(1,920×1,080ドット表示)環境で画質についてはプリセットを利用した。

 結果は最高品質設定でも5,704で、ベンチマーク上では「とても快適」な動作を保証しているため、「FFXIV: 新生エオルゼア」を美麗なグラフィックス描画で楽しめることがわかる。

テスト項目数値
最高品質5,704(とても快適)
高品質(テスクトップPC)5,858(とても快適)
高品質(ノートPC)7,673(非常に快適)
標準品質(テスクトップPC)10,996(非常に快適)
標準品質(ノートPC)11,009(非常に快適)

・「SimCity」

 エレクトロニック・アーツが発売している人気シリーズの最新タイトル。前作からのファンが多いだけでなく、そこそこの3D環境があればプレイできることもウリになっており、ユーザーも多い。実際設定を低負荷にした場合、最新CPUであればCPU内蔵GPUでもプレイが可能だ。「SimCity」はアクション性が高いゲームというわけではないので平均で30fpsを超えていれば、十分にプレイが可能だろう。テストではチュートリアルを開始してから操作をせずに放置し、1分間の平均フレームレート(平均fps)を計測している。ベンチマークは高負荷と低負荷の2つを行ない、そのときの描画設定は以下の画像のとおりだ。

テスト項目数値
最高負荷設定38.317fps
中負荷設定63.783fps

【高負荷設定】
【低負荷設定】
ライティングやテクスチャーなど設定をすべて1番負荷が高くなるようにした状態。明るさの下にはフィルタという項目があるが、こちらは未使用
最高負荷の設定からアンチエイリアスやモーションブラーを外し、ライティングやテクスチャーなどの設定を中程度にした状態

 結果は高負荷設定でも38.317fpsとなっており、描画が重くても十分にプレイできることがわかる。ただし、マウスオーバーや反応が少し遅めになるため、気になる方は設定を少し落としてプレイするのも1つの手だろう。

・「バトルフィールド4」

 今回テストを行なった中では1番高負荷がかかるゲームタイトルで、人気のオンラインFPSの最新作だ。要求する環境が厳しく、CPU内蔵のGPU機能では、プレイするのはムリと言ってもよいだろう。計測はキャンペーンの再プレイでTASHGARを開始。主人公たちが車で移動しているシーンで行なった。「SimCity」と同様にフルスクリーンのフルHDで平均フレームレートを1分間計測している。「バトルフィールド4」の場合、描画設定のプリセットがあるため、そちらを利用。それぞれの平均fpsを採った。

 FPSの場合、アクション性が高いため、平均で60fpsは出てほしいところだ。結果としては60fpsを超えているのは「低」環境のみとなってしまったが、「中」でもなんとかプレイはできそうだ。41.367fpsの「高」でもプレイは可能だが、大きくフレームレートが落ち込んだ時には不利な状況に陥ることが多くなるだろう。「最高」では30hpsを切ってしまっているため、かなりきつい状態と言える。高画質を維持して解像度を落とすのも1つの解決策かもしれないが、液晶パネルの適正解像度の関係もあり、結果的に画質が下がってしまうこともあるのでご注意願いたい。

 ベンチマークを全体的に見ると、最新の3Dゲームもプレイが可能だが、最高の描画設定で楽しむのは少し厳しいものがありそうだ。ただ、ライトゲーマー向けのタイトルに関しては、まったく問題なく快適にプレイすることができる。もちろんゲーム以外の用途においても、ストレスを感じることはほとんどないだろう。いずれにしてもノートPCという制限がある中でこの性能はかなり高いと言ってよい。

テスト項目数値
設定:最高25.933fps
設定:高41.367fps
設定:中56.583fps
設定:低67.467fps

場所を取らないゲーミングPCとして利用

 ベンチマークの結果としては、描画設定を負荷の軽くなるように設定しなくてはならない場合も出てくるものの、最新の3Dゲームがプレイできることが確認できた。

 とくにゲーミングPCとして見た場合に、ストレージを2つ搭載できている点が大きい。HDDとSSDの読み書きの速度の違いはベンチマークテストで見たとおり、かなりの差だ。大容量のデータを読み込む3Dゲームでのストレス低減になるのが、本機ならではのウリとなっている。また、インストールサイズの大きな3Dゲームタイトルが多いため、複数のタイトルを楽しむためにはストレージの容量も必要だ。頻繁にプレイするゲームタイトルはSSDにインストールしてストレスフリーでプレイ。たまにしか遊ばないゲームタイトルならHDDにインストールするとよいだろう。PCゲーマーなら、このSSD+HDDの構成はぜひお勧めしたいところだ。

 15.6型のフルHD液晶パネルを搭載した本製品はノートPCとしては大型の部類に入る。頻繁に屋外に持ち出すようなモバイル用途で考えた場合には多少ムリがある。しかし、自宅内での気軽なPCの移動ができる点や友人宅でFPSなどの負荷の高い3Dゲームをプレイしたい場合に、本機を持ち込んで楽しむことができるといったノートPC独自のメリットも大きい。大きな液晶パネルはゲームに対する没頭感も高く、ゲームをより楽しむことができる。

 自宅に置いて使うPCとして考えた場合には、デスクトップPCとは比較にならないほどコンパクトな上、使わないときには液晶を閉じてしまっておくことも可能だ。それでいて、一昔前のハイエンドデスクトップPC並みの性能を備えているため、最新の3Dゲームでもプレイすることができる。

 また、もう少しGPUのパワーが欲しいということであれば、BTOによるCPUのランクアップも可能だし、ワンランク上のGeForce GTX 870Mを搭載した、「G-GEAR note N1581J」シリーズという製品もあるのでそちらも考慮してみるとよいだろう。

 「G-GEAR note N1561」シリーズは、ゲーミングPCはほしいけど、コンパクトに収納したい、友人宅に持ち込んで二人で協力プレイを楽しみたいといった要望があるのならぜひお勧めしたいゲーミングノートPCだ。

【お詫びと訂正】
記事掲載時に「SSD(RAID 0)のベンチ結果」としておりましたが、「SSDのベンチ結果」の誤りでした。グラフの内容に変更はございません。ここにお詫びして訂正いたします。

(山本倫弘)