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モータースポーツ最高峰の興奮をその手に! 2010シーズンを完全再現したF1レースシム 「F1 2010」 |
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コース中に響き渡る高温域のエキゾーストノート。ただ速く走るために限界まで研ぎ澄まされた24台のマシンが、限界を求めてコーナーを駆ける。常人を遥かに超えた才能、努力、経験、そして運。モンスターマシンを操る「パイロット」たちが目指すはひとつ、表彰台の真ん中。モータースポーツの最高峰、Formula 1の世界にようこそ。
コードマスターズが10月7日に発売した「F1 2010」は、2010年シーズンのF1レースを完全再現したレースゲームだ。公式ライセンスを受けた現在唯一のコンピューターゲームとして、レースゲーム開発の老舗が最高の完成度を目指したタイトルであり、F1ファンのみならず全てのレースゲームファン必見の内容に仕上がっている。
■ 2010シーズンのチーム、マシン、コース、ドライバーを全収録。挙動再現も非常に高レベル
車両データは2010シーズン開幕時のものを再現 |
ゲームエンジンには内製の「EGO」エンジン最新版を採用。映像は非常に高クオリティ |
特にウェットコンディションの映像再現は凄いの一言だ |
様々なコンディションによるグリップの変化を再現。現実同様のレース戦略が必要になる |
本作の開発を担当したのは、レースゲームの老舗として知られる英Codemasters。F1の本場英国仕込みということもあって、本作の開発にあたっては元F1ドライバーであるアンソニー・デビッドソン氏がテクニカルコンサルタントを務め、様々なアドバイスを行なったという。その甲斐あって本作は、レースゲームとしてだけでなく、F1シミュレーターとしても高い完成度に仕上がっている。
収録コースは2010年シーズンのF1グランプリ19のコースを全てカバー。日本の鈴鹿サーキットや、現在最終舗装が進められている韓国コースも含めて、コードマスターズのスタッフによればコースレイアウトは設計データやGPSデータを元に製作したものだといい、極めて正確な再現が試みられているようだ。例えばモナコグランプリのモンテカルロ市街地コース。地面のちょっとしたバンプや、周囲の看板の位置まで、ほとんど実写と変わらないクオリティで再現されている。
また2010シーズンに参戦している12のコンストラクターと、各チームの登録ドライバーも完全実名でゲームに登場する。本作のメインモードである「キャリアモード」を進めるにはプレーヤー自身の分身を参戦させる関係上、プレーヤー所属チームのセカンドドライバーはキャリアモードプレイ中にははじき出される格好になるが、ゲーム的には致し方ないところだろう。
そして肝心の車両挙動は、きっちりとF1のパワーと繊細なコントロールを感じさせるものに仕上がっている。試みにアシスト機能を全てOFFにして、ゲームコントローラー特有のデジタルなハンドリング操作で走行しようものならば、ブレーキング直後に滑り、コーナーの立ち上がりで滑りと、非常に難儀することになるはずだ。したがってシミュレーター派のプレーヤーにはハンドルコントローラー+フットペダルの使用を強くオススメする。しかし、ABSやTCS、オートギア、レースラインの表示などを組み合わせれば、レースゲームがあまり得意でないプレーヤーでも、ゲームコントローラーで充分に良い走りができるようにもなっている。
筆者は「ヘタの横好き」レベルのレースシムファンなので、アシスト機能はABSとブレーキングラインのみをONにしてプレイしているが、それでもギアチェンジのタイミングや立ち上がりのアクセルの入れ加減、ハンドル操作など、非常に繊細なものが要求される。ミスばかりでなかなかコースを攻略できないときに本作で役立つのは、実際のF1レースの走りを参考にすることだ。オンボードカメラの映像を見て頭に叩き込み、それをなぞるように走ることができれば、本作でも最高の走りができるようになる。本作はそういう再現度のゲームなのだ。
また、F1ならではのレース戦略を再現する上で、マシン状況の変化も重要な要素だ。エンジン温度、燃料重量、タイヤ温度、またその減り具合など、リアルタイムに変化するパラメーターが本作ではきちんと再現されている。したがって、まだタイヤが暖まっていない1週目よりも、ある程度食いつきがよくなり、燃料重量も軽くなる2周目、3周目以降のほうが良いラップを出しやすい。走行中のクイックメニュー操作でウィング角度を調整して走行内容に変化を加えることも可能だ。
長丁場のレースではピットストップ戦略も重要なものとなるが、こちらも現実同様の再現が試みられている。たいていはレース前に指示された周回数でピットインすることが最善の選択になるが、レース展開によってはタイミングを前後させて混雑を避けることも重要。また、他者への接触やコーナーのショートカットはもちろん、ピットレーンでスピードを出しすぎてもペナルティを受けるなど、各種ルールもきちんと再現されているので、勝つためにはF1ドライバーと同様の走りが要求されるというわけだ。
■ 熾烈なグランプリで優勝を目指す! 「フラッシュバック」システムなど、プレイレベルに合わせた各種エイド機能も充実
オーバーテイクを仕掛けるならコーナーの前後で勝負。少しでもぶつけたらペナルティなので注意が必要 |
ドライコンディションでは走りやすいメルボルンも、ウェットではひときわ繊細なコントロールが必要 |
超高難度のシンガポール市街地コース。完走するだけでもヘトヘトになる |
さて、本作のメインモードとなるのは、F1ドライバーとしての数年のキャリアを追体験する「キャリアモード」だ。このモードは本作の根幹をなしており、初プレイ時には必ず、プレーヤー自身の分身となるドライバーを作成することになる。姓名とニックネームを決め、キャリア年数を3、5、7年から選び、初年度に所属するチーム(はじめは下位チームのみ選択可)を選べばキャリアスタートだ。
本作ではこのキャリアモードがゲームメニューそのものとなっており、キャリアを進めつつ、タイムアタックやマルチプレイなどの各種機能にアクセスする仕組みをとっている。したがって、キャリアモードでは現実のF1と同様、第1戦のバーレンGPからスタートするが、随時キャリアと関係なく各種コースでのグランプリやタイムアタックを楽しむことも可能となっている。
キャリモードの各レースは現実同様のスケジュールで進めていくようになっている。3つのプラクティスセッション、2つの予選、そして決勝という流れだ。決勝にいたる各ステップは現実同様の制限時間が設けられており、例えば予選では十数分のセッション中にファステストラップを出さなければならない。その中で非常に重要な要素となるのが、本作で実装されている画期的な要素である「リアルタイム・ウェザー」システムだ。
これは、ゲーム中にリアルタイムに天候が変化するという仕組み。やっかいなのは、予選セッションの序盤ではドライセッティングで走れていたのに、急に雨が降りだして中盤以降はウェットセッティングで走らざるをえない、というような場合だ。こういう場合、セッション終盤に良いタイムを出すことは期待できないため、路面のコンディションが悪化する前に最高のタイムを出しておく必要があるわけだ。
また、F1の規定として「予選で最高ラップを記録したタイヤでレースをスタートしなければならない」というルールがあり、ラップタイムを出すまでにあまり多くの周回数を同じタイヤで走るのはリスクが高い。たいていは摩耗の激しいオプションタイヤで予選を走ることになるが、せいぜい数週で良いラップが出せなかった場合、さっさとタイヤを変えてからファステストラップを目指したほうが良い場合もある。
その予選の結果がレース戦略に直結することになる。本作のキャリアモードでは、ゲーム設定により現実と同じ周回数から、最小20%の周回数でレースを行なうことができる。ただし最低1回のピットストップは義務付けられているので、いずれにしてもレース戦略をどう立てるかは現実同様に重要な問題となってくる。レース長20%の場合、オプションタイヤで予選でファステストラップを出したなら、レースはオプションタイヤでスタートすることになるため、最初の3、4周目でのピットストップが必要。対してプライムタイヤで予選を戦ったなら、ピットストップを終盤に持ち越せる。
20%程度の短く設定したレースで以外と重要になるのが、ピットストップ時の混雑だ。短いレースでは同じ周回数でピットインする車両の数が多くなるため、ピットレーンを進む他車と接触しないよう、長い長い「発車順番待ち」が発生してしまうのだ。タイヤ交換がたとえ4秒で終わったとしても、レーンを他車がブンブン走り続けている間、ロリーポップマンがなかなかGOサインを出してくれず、20秒以上も待たされて順位を下げてしまうことがあるのだ。したがって他車の状況を見てピットインの予定を変えるという柔軟性も勝つためには必要となってくる。
こうして本作は非常にストイックなF1ゲームと化しており、当然、高い難易度でプレイするならば現実のF1ドライバーと同様の攻めと安定性、戦略性が必要になる。そんな中で致命的になるのはスピンやクラッシュなどの大ミスだ。そうでなくても「アクセルを速くいれすぎた」程度のちょっとしたことでそういった大ミスにつながってくる繊細なゲーム性でもある。普通ならストイックすぎて一部のコアファン以外付いてこれないバランスだ。
それを一般ゲームファンでも充分に楽しめるレベルにしてくれるのが、コードマスターズ作品ならではの「フラッシュバック」機能だ。これはレース中に任意の理想地点まで巻き戻して、そこからプレイを再開するという機能。使用回数制限は最大4回となっているため多用は禁物だが、ともかく数周なら安定して走れる、という程度にコースに慣れておけば、多少のミスやトラブル(突然のパンクなど)を帳消しにして思った通りのレースをすることができる。筆者もこれには大いに助けられ、本作を気持よくワンシーズンプレイすることができた。
レースでチームが求める以上の結果を出し続けていけば、下位チームでスタートしたプレーヤーに上位チームからの移籍オファーが舞い込むことがある。そうして最高のチームでワールドチャンピオンを目指すのがキャリアモードの目標だ。AIカーの難易度設定を中級以下にしていれば下位チームでもチャンピオンを取ることは難しくないが、難易度プロフェッショナル以上では覆せないほどのマシン性能差のため、そうはいかなくなる。まずは上位チームへの移籍を目指して、キャリアを走り続けよう。
納得の結果を出すためには悪条件でも安定した走りが必要。「フラッシュバック」の使用は本当に必要な時点だけに限定しよう |
「むずかしい」設定ではフラッシュバックも使用できない。本当にスリリングなレース体験ができるが、プレイスキルもエキスパートレベルを要求される。ミリ単位で車両をコントロール! |
■ 好きなコースを好きなだけ走りこむのも楽しみのひとつ。マルチプレーヤーは最大12人まで対応
マルチプレイは最大12人。練習セッションからのグランプリモードも搭載 |
苦手コースの克服のため、同じコースをひたすら走りこむのもオススメだ |
キャリアモードでは、現実と同じ順番でしかコースを走れないため、好きなコースをただ走りこみたいというプレーヤーはグランプリモードやタイムアタックモード、そしてマルチプレーヤーモードを利用しよう。筆者の場合、長いキャリアモードを続ける中で疲れてきたら、スパやモナコ、モンツァといった好きなコースでタイムアタックをするのが息抜きのひとつとなっている。最速ラップはネット上で共有され、ワールドランキングで自分のレベルを確認できるので、これだけでも充分にアツくなれる。
また、これらキャリアモード外のレースではプレーヤーが好みの天候コンディションを設定できるので、ウェットコンディションの練習などにも最適。マルチプレーヤーモードでは最大12人でタイムアタック、レース、そしてグランプリをプレイできるので、オンライン派のプレーヤーならば腕を鍛えて挑戦してみて欲しい。
マルチプレイのグランプリモードにおいても、プラクティスセッションから予選、決勝までを、キャリモードでの流れと同じく複数人で体験することができる。非常に長丁場のワンセッションとなるが、本格派のプレーヤーならこれを試してみない手はないはずだ。ただ、F1のレースというものはクラッシュ上等の乱暴なプレーヤーがひとりいるだけでゲームが壊れてしまうため、ランダムマッチでよくわからない相手とプレイするよりも、勝手知ったる仲間内で集まってプレイするほうが、安定して楽しいレースをできそうではある。
本作「F1 2010」は、直球なゲームのタイトル名をそのまま反映し、2010シーズンのF1を高いレベルで追体験できる、非常に美しいゲームに仕上がっている。筆者はF1そのものにそれほど思い入れがない状態で本作のプレイを始めたクチなのだが、瞬く間に本作のプレイに酔いしれ、リアルのF1そのものにも強い魅力を感じ初めている。まもなく始まる鈴鹿グランプリを、リアルとゲームの両方で深く楽しんでみたい。
【スクリーンショット】 | ||
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□「F1 2010」の製品情報
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(2010年10月8日)