★iPhone/iPod touchゲームファーストインプレッション★
金と暴力で暗黒街をのし上がれ! 「GTA」ライクなクライムアドベンチャー 「ギャングスター: West Coast Hustle」 |
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世界規模でモバイルアプリを展開するゲームロフトから、iPhone/iPod touchに向けて新たに「グランド・セフト・オート(GTA)」ライクなクライムアドベンチャーがリリースされる。それが「ギャングスター: West Coast Hustle」だ。今回、開発中のものを先行してプレイできる機会を得られたのだが、App Storeでリリース中のアクションゲームの中でも、群を抜く完成度とボリュームとなっている。
「ギャングスター」は、携帯電話向けには2作目がリリース中の、オープンフィールド型アクションアドベンチャーだ。全世界で累計300万ダウンロードを超える人気シリーズで、今回リリースされる「West Coast Hustle」も、このモバイルゲームがベースとなっている。しかしモバイルゲーム版が2Dの見下ろし画面なのに対して、「West Coast Hustle」は3Dグラフィックスとなっており、完全新作といえるほどの内容だ。なお、モバイルゲーム版の「1」と「2」でストーリー上のつながりはないので、本作(実質2作目)からでも問題なく遊べる。
ゲーム内容は、その時々のボスからミッションを受けつつ、ドンパチを繰り返したり、車で街中を回りながら、裏社会をのし上がっていくというものだ。舞台は米ロサンゼルスで、iPhoneアプリとは思えないほど広く、どこまでもスムーズに移動できる。ミッション数も50以上で、襲撃、配達、エスコート、カーチェイス、狙撃などバラエティに富んでいる。独自の「実績」システムもあり、やり込み要素も満載だ。
【スクリーンショット】 | ||
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米ロサンゼルスを舞台に、暴力に訴えながら、自由なギャングライフが楽しめる。「犯罪大国アメリカ」のカリカチュアだ |
■ 主人公はメキシコから流れてきたコンビ
主人公はメキシコで一騒ぎやらかして、ロスまで流れ着いてきたチンピラの「P-サグ」ことペドロと、相棒ファンのコンビだ。彼らは故郷で銀行関連の犯罪を犯して、1度は刑務所に収監されたものの、そこから脱獄し、国境を越えてきた。まずはストリートを牛耳るラテン系ギャング、LCのもとに身を寄せた2人は、彼の指示でさまざまな犯罪に手を染めつつ、裏社会を生き抜いていくことになる。
クライムアドベンチャーの影の主役は街、車、そして武器だ。街は高層ビル群やハイウェイ、サンタモニカ風のビーチに観覧車、ダウンタウンからビバリーヒルズまで、うまく特徴を捉えて再現されている。街にはガンショップ、レンタカー店、修理センターがあり、店の場所は大マップ上で確認できる。銃器とレンタカーは店まで赴かずとも、配送料を払えば、オプション画面から購入可能だ。
車は初期状態ではセダン、ハッチバック、ワゴン、スポーツカー、ジープ、リムジンなど17車種から選択できる。クライムアドベンチャーのお約束として、路上で走っている車は奪い放題で、タクシーやパトカー、救急車も乗り回せる。銃器は拳銃(2丁拳銃可能)、ウージー短機関銃、ショットガン、アサルトライフル、狙撃銃、ロケットランチャーの6種類だ。これ以外に防弾ベストと救命箱が購入できる。
ストーリーはLCなどのボスから「お使い」的なミッションをこなしながら進んでいく。第1のミッションは、車を処分したばかりのペドロたちが、LCに公衆電話で連絡をつけるというものだ。徒歩での移動、車の盗難、車での移動、素手での攻撃というチュートリアル形式になっている。また、これに限らず本作では、目的地が画面上に表示され、ミッション内容がいつでも確認できるので、ほとんど迷わずに進めていける。
【ファーストミッション~LCと連絡を取れ】 | ||
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ラテン系ギャングのLCと連絡を取るのが最初のミッションだ。まず車を奪い、公衆電話の近くまで移動して、チンピラをたたきのめすとクリアとなる。ゲームの操作が丁寧に解説され、遊びながら覚えていける |
ゲームはメインストーリー以外にも、サブミッションや「実績」などもあり、好きなように進めていける。序盤は1本道だが、Chapter1の終盤でサブミッションが加わり、徐々に数が増えていく。複数のミッションを同時に受けることはできないが、ミッション失敗でゲームオーバーになることはないので、気軽に挑戦できる。
「実績」には「すべての武器ショップを回る」などの「経験」に基づくものと、「50m以上ジャンプする」などの「パフォーマンス」に基づく2種類があり、前者が9種類、後者が12種類用意されている。このほか一般人の財布を奪ったり、車でひいたりすると50ドルもらえるので、資金稼ぎにもなる。
ただし、あまりに犯罪を犯しすぎると、警察から指名手配を受け、追い回されてしまう。逮捕されると保釈金で200ドルが失われ、武器も没収される(ただし武器の没収は賄賂で見逃してもらうこともできる)。犯罪の度合いによって、画面上に警察アイコンが表示され、これが増えると追跡が厳しくなる。追跡をかわすには、「一定時間パトカーや警察官の視界から逃れる」、「オプション画面で賄賂を送る」、「ステージ上に散らばっている警官バッジを入手する(1バッジで警戒ランクが1下がる)」の3種類がある。賄賂は高額なので、視界を避けつつ、警官バッジを回収していくのがオススメだ。
また、キャラクター同様、車にも耐久度がある。無謀運転を繰り返したり、敵からの銃撃で耐久度ゲージがゼロになると、破壊されて自分も死亡してしまう。戦闘で自身のライフゲージがゼロになっても同様だ。この場合も治療費として200ドル引かれ、ゲーム再開となる。クールにメインストーリーを進めていくか、警察と鬼ごっこを続けながら、自由気ままにギャングライフを送るかは、プレーヤー次第だ。
【「経験」と「パフォーマンス」】 | ||
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ゲーム中のさまざまなアクションによって、合計21種類の「経験」と「パフォーマンス」が解除されていく。オプション画面から確認可能だ |
【指名手配からの逃走】 | ||
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一般人の殺害を続けたり、車を銃で破壊したりしていると、指名手配を受ける。逮捕されると保釈金に200ドルが必要だ。警官バッジを集めれば警戒レベルを下げられる |
■ コンソールライクな操作感
ゲームの基本操作は、画面下のアクションアイコンをタップしたり、スライドする方式で、左側にスティックアイコン、右側にアクションアイコンが表示される。カメラの角度は画面をスライドして調整できる。
アクションアイコンは攻撃アイコンと、車のそばで表示される乗車アイコン、店の前で表示される買い物アイコンの3種類だ。このほか画面左上にはミニマップ、右上にはライフと防弾チョッキの耐久度を示すゲージ、そして武器アイコンがある。車を運転中にはカーラジオ、車の耐久度ゲージ、そしてステアリング・アクセル・ブレーキボタンが表示される。カーラジオはスライドでラジオ局を選局可能だ。
攻撃時は武器アイコンをタップして、購入済みの武器を切り替えられる。武器を選んで、画面上の目標をタップすればロックオンできる。この状態で攻撃ボタンをタップすると、目標に発砲(素手の場合はパンチ)する。車を運転中にも射撃でき、この場合は近くの目標に自動的に照準が合う。
車の操作は「ステアリング」、「スティック」、「加速度センサー」の3つから、加速は「ペダル」と「スティック」の2つから切り替えられる。加速度センサーを選べば本体を左右に傾けてハンドルが切れるのはiPhone/iPod touchならでは。筆者のお薦めはハンドルをスティック、アクセルをペダル方式にすることだが、オプションメニューから切り替えられるので、自分にあった操作方法を選択してみよう。
このように、文章で説明するとかなり複雑だが、画面配置はいたって素直で、直感的に遊べる。スティックボタンでの操作は、十字キーやアナログスティックなどと比べると操作性が落ちてしまうが、それほど複雑なアクションは要求されず、うまくバランスが取られている。このあたり、iPhone向けアクションゲームを数多くリリースしてきた、同社ならではのノウハウの蓄積が感じられる。
【車両の操作】 | ||
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車両の操作はオプション画面で切り替えられる。ステアリングは3種類、アクセルは2種類で、計6種類の組み合わせから選べる | ||
車を運転しながら銃撃戦もできる。パトカーや救急車などの緊急車両も運転できる |
【オプション画面での操作】 | ||
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メイン画面のミニマップをタップすると、オプション画面が開く。拡大マップが表示され、ショップの位置などがわかるほか、新ミッションを引き受けたり、アイテムを直接購入もできる。ストーリーが進むとサブミッションも選択可能になる |
■ 体を張り、ドンパチを繰り返してのし上がれ
本作の最後の魅力が、ロサンゼルスの暗黒街を舞台に展開されるストーリーだ。中にはハリウッドからミッションを受けたり、ビジネスを始めたりもできるという。今回は時間の都合上、全6章のうちChapter2までしかプレイできず、主要なキャラクターも登場しきっていないが、その片鱗を伺うことはできた。
主な登場人物は、ペドロとファンの主人公コンビと、序盤のボスであるLCのほかに、LCの上役でスピード狂のエル・トーロ、金髪のセクシー美女ラティシャと、その恋人でギャングのボスのディラー、そして上院議員で悪徳政治家のJ・ウルージーなどだ。これ以外にもさまざまなキャラクターが登場し、ストーリーを牽引していく。ストーリーが進むにつれて、ボスが変わっていき、活躍の場が広がっていく。そしてChapter2のラストで思わぬ裏切りが発生し、ストーリーがさらに盛り上がっていく。
一方で主人公コンビにも何か秘密がありそうだ。冒頭でメキシコ時代の銀行にまつわる事件が述べられるものの、これは2人だけの秘密とされているからだ。主人公2人の過去にまつわる回想ミッションもあるようだ。どのような内容かは、実際にプレイして確かめて欲しい。
最初のミッションで、ファンのガールフレンド、カーラからLCの居場所を聞いたら、その足で会って仕事をもらいに行くことになる。すると敵対するギャング団のロス・ロコス・ムエルトスに車を奪われた、リトル・Tを海岸まで迎えに行ってくれと頼まれる。
まず車で海岸に行き、リトル・Tをピックアップする。するとガンショップに寄り道してくれと頼まれるので、ガンショップを経由してLCの家に戻ればいい。続いて、ロス・ロコス・ムエルトス団のチンピラを尾行し、血祭りに上げよう。次はリトル・Tの車を奪ったチンピラに血の制裁だ。各ミッションは数分で終了し、難易度もそれほど高くないので、サクサク進めていける。
ただしChapter1の終盤ミッション「宝石を流せ」は、少々注意が必要だ。エル・トーロから宝石を積んだワゴンを運転し、取引先に売りさばくように命じられる。最初の客は海岸で、何事もなく終了する。次の客は駐車場で接触するが、チンピラから襲撃を受けるので、ワゴンを破壊される前に撃退する。
第3のポイントは山場で、金持ちのボンボンに売りさばくはずが、なんと警察の待ち伏せを食らってしまう。逮捕されたり、銃撃で車が破壊されるとミッション失敗なので、ミニマップを頼りに警察バッジを回収して逃げ切ろう。最後にラティシャたちに宝石を売ればミッション終了だ。車の乗り換えはできないので、破壊されそうになったら、修理センターで修理するといい。
【ミッション「宝石を流せ」】 | ||
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エル・トーロからワゴンを運転して、宝石を売りさばくように命じられる2人。第3ポイントでは警察の待ち伏せを受けるので、うまく追跡をかわそう。水が干上がった川底で身を隠すのもオススメだ。それにしても、なぜ警察は情報を掴んでいたのだろうか |
■ iPhoneの小さなボディに詰め込まれた「大作」
このように本作は、iPhoneといえどもクライムアドベンチャーのエッセンスが十二分に詰め込まれている。まだ序盤しかプレイできていないが、丁寧な作り込みが随所に感じられる。
ステージは広大な1枚マップ。メインのストーリーラインを縦軸、フリーミッションや「実績」を横軸に、警察との追いかけっこで展開を引き締める。本作は、この「GTA」が発明したゲームフォーマットを、iPhoneプラットフォームという限られたメモリ空間の中で、しっかりと再現しており、よく作り込んだと感心させられる。また「洋ゲー」にありがちな「投げ出され感」がなく、いわゆる「和ゲー」以上に親切丁寧にできている。
クライムアドベンチャーは据え置き機の大画面で、どっぷりと世界観に浸って遊びたいというユーザーも多いと思うが、いつでも、どこでも遊べる手軽さも捨てがたい。それでいて本格派の内容で、たっぷり遊べる。価格もニンテンドーDSやPSPのゲームと比べて割安になるはずだ。本ジャンルのファンだけでなく、これまで縁がなかったユーザーにもオススメしたい。
【プロモーションムービー】 |
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(2009年 8月 21日)