「時のドラゴン」レビュー

時のドラゴン

じっくり遊べる正統派RPG
スマホを活かした「ゆるいつながり」システムが面白い!

ジャンル:
  • RPG
発売元:
  • グッド・フィール
開発元:
  • グッド・フィール
プラットフォーム:
  • Android
  • iOS
価格:
(0)
基本無料(アイテム課金制)
(1)
発売日:
2015年4月13日
(0)
2015年7月13日
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 グッド・フィール発のスマートフォンRPG「時のドラゴン」。4月13日にAndroid版がリリースされ、7月13日には新たにiOS版もリリースされた。

 本日7月24日のアップデートにおいては、いよいよ4つ目の町「アープルダム」が新たに実装され、ストーリーについても核心に触れる内容が垣間見えてくることになる。最初にAndroid版がリリースされてから随分間が空いてはいるものの、iOS版が出揃って、いよいよ本格的なスタートを切ったと言える。

【プロモーションムービー】

 本作は一見すると普通のRPGのように思えるが、それを取り巻くシステム部分はかなり独特だ。とくに、戦略性の高いターン制バトルや、他のプレーヤーとのゆるいつながりが楽しいオンライン要素などは、システムを理解するほどにハマれる面白さを秘めている。

 今回は、そんな「時のドラゴン」にまだ触れたことがない読者のために、本作が持つ魅力と、そのシステムの概要について解説していきたい。

スマホの特性に着目した「時のドラゴン」ってどんなゲーム?

RPGの楽しさの1つとも言えるアバターのカスタマイズ。顔の造形や身長、肌の色など8項目を変更可能だ
序盤は要所要所でナビゲートをしてくれるため、すぐにゲームのシステムに慣れることができる

 ざっくりと述べると、本作はターン制バトルを採用した正統派のRPGである。まるで絵本の世界を思わせるような暖かみのあるビジュアルのなか、プレーヤーの分身たるキャラクターを操作し、さまざまなダンジョンへと挑みつつシナリオを進める……という流れでゲームが展開していく。

 パーティは最大4人まで編成可能。うち1人は自分のキャラクターで、残りの3人は自分と同じく「時のドラゴン」をプレイしている他人が作ったキャラクターを組み入れることになる。ただし、他人のキャラクターについては、MMORPGのようにプレーヤー同士がリアルタイムで共に行動するのではなく、そのキャラクターのデータに「助っ人」のような形で参戦してもらい、操作はあくまでも自分が行なう。

 非常にユニークなのが、「タイムラインで攻略せよ!」とサブタイトルでも謳っている「タイムライン」を利用したシステムだ。本作ではプレーヤーの行動がゲーム内にタイムラインとして記録され、フォローした(された)プレーヤーであれば、そのタイムラインを自由に閲覧可能となっている。冒険に詰まったときなどは、他のプレーヤーが同じ場所を攻略していたときのパーティ編成や装備をタイムラインで確認し、それを参考として自分の攻略に反映させる、といったようなこともできるわけだ。

 開発スタッフいわく、「常時オンラインに接続しているが回線の強さはそこそこのスマートフォンが生み出す、“プレーヤー同士のゆるいつながり”を楽しめるゲームを提供したかった」とのこと。本作はまさしくその言葉通り、ゲームそのものはオフラインゲーム的なノリで遊べるが、他のプレーヤーと一緒にゲームをプレイしているオンラインゲーム的な感覚も味わえる、一風変わったゲームとして仕上がっている。この後詳細を述べていくが、ぜひとも実際に体験してみてほしいところである。

戦略性の高いターン制バトルが面白い!

戦闘はローテンポのターン制バトル。詰め将棋を指すような感覚で、じっくりと考えながらスキルを選んでいく

 本作の戦闘におけるすべての行動は「スキル」という形で管理されている。いわゆる通常のRPGでいうところの「戦う」や「防御」、その他の補助行為や各種魔法などはすべてスキル扱いだ。スキルの種類は、そのときにキャラクターが装備している武器や防具に依存しているため、ダンジョンに挑む前には、敵を撃破するのに必要なスキルが備わった装備を身につけておかなくてはならない。

 戦闘についてはターン制バトル方式が採用されている。ターンの進行はプレーヤーが管理し、毎ターン、味方パーティが1回行動するごとに1ターンが経過する仕組みだ(何もせずターンをスキップすることも可能)。つまり、1パーティに4人いたとしても、1ターンで行動できるのは1人だけということになる。

 味方側の職業は、戦士、盗賊、僧侶、魔法使いの4種類がある。戦士は攻撃に加えて味方を「かばう」といった行動が可能で、魔法使いは魔法で攻撃。僧侶は味方の回復や補助魔法を扱え、盗賊は倒した敵から資源アイテムを回収する役割を担っている。1ターンにつき1回の行動なので、手順そのものの負担は少ないが、その分「誰に何をさせるか」が大事なバランスだ。

 また、敵味方問わず、すべてのスキルは1度使用すると数ターンの時間をおかなければ再使用できない。強力なスキルほど、再使用までのターン数が多い傾向にあるので、使用タイミングは慎重に考える必要がある。

 この戦闘が面白いのは、敵の行動に要するターン数がつねに画面上に表示されているところ。つまり、次ターンに敵がどんな行動をしてくるかが一目瞭然で、この部分を理解すれば戦略も順序立てて組むことが可能。戦略シミュレーションが得意なプレーヤーであるほど、厳密なプレイが可能となっている。

 一方で、行動は「おまかせ攻撃」という選択肢もある。これは文字通りCPUにおまかせで攻撃するという機能で、戦力さえ十分であれば戦略面に苦労せずとも戦闘を進行できる。おまかせとは言え性能は決して低くなく、戦闘があまり得意でない場合、普段は戦闘にじっくり取り組みたいけど時間がないような場合、経験値かせぎや素材集めを手っ取り早くしたい場合などにはとても便利で、本格的にもカジュアルにも、様々な距離感で遊べるのがスマホゲームらしいシステム設計となっている。

 ちなみに、1度クリアしたダンジョンについては自動で攻略を進めてくれる「オート機能」が利用できる。こちらも上手く活用することで、プレイ時間の短縮につながる便利機能となっている。

1度クリアしたダンジョンはオート機能を利用してクリアすることができる。レベリングには最適の機能だ
ダンジョンにはボスが控えているフロアもある。勝つためには周到な準備と的確な戦略が必須だ

パーティメンバーの編成&フォローが戦力強化の基本!

町中の冒険者たちは確かに他人のキャラクターだが、誰が操作しているわけでもない。遠慮なくパーティに組み入れておきたい
フォローしたキャラクターの主であるプレーヤーとは、スタンプで簡単なコミュニケーションがとれる

 ゲームを攻略するにあたって欠かせないのがパーティメンバーの編成だ。自分以外の冒険者たちはすべて他のプレーヤーのキャラクターだが、彼らはリアルタイムでそこに存在しているのではなく、いわばその分身。ゆえに、会話やアクションは発生しない。接し方としては、オフラインRPGのNPCと同じ扱い……といったところだろうか。

 町にいるキャラクターたちは、タップ操作でステータスを確認できるほか、パーティに加えることも可能。頼れる装備をしたキャラクターを見つけたら、すかさずパーティに組み入れておく、というのが攻略の基本となる。また、パーティが最大数に達しているときは、フォローだけでもしておけば、以後、同じ町にいる際に出会いやすさが上昇する。フォローできる人数には上限があるが、不要な場合はリストの削除も可能なので、気軽に行なえる。

 パーティ編成は、戦士、盗賊、僧侶、魔法使いの4職業すべてを揃えるのがバランス的に運用しやすい(チュートリアルでも推奨される)。例えば、自分が僧侶の場合は、町にいる戦士、盗賊、魔法使いに声をかけて仲間にすればいい。なお自分のキャラクターの職業は、町にいる間なら「転職」でいつでも変更できるほか、同じ職業を組み合わせたパーティ作成も可能となっている。

 1つ覚えておきたいのは、ダンジョンを攻略し終えて経験値を獲得しても、レベルアップするのは自分のキャラクターだけということ。他のキャラクターに関しては、そのオーナーが育てないと成長していかない。長い間レベルの上がらないキャラクターがいる場合は、どこかで見切りをつけるという判断も必要だろう。活発に動いているキャラクターを見つけた方が、攻略は圧倒的に簡単になる。

 なお、自分のパーティ内にいるキャラクターの主であるプレーヤーが装備変更を行なうと、その情報が反映される。プレイしていると、昨日までは普通のステータスだったのに、朝起きてみたら突然装備が様変わりしていて驚くといったことも多々起こる。

 「何が起こったんだろう」とそのプレーヤーのタイムラインを追ってみたりして、すると違う人のタイムラインが気になって……と、Facebookで友達の友達の友達を追っていくような、SNS時代ならではとも言える独特の興味が生まれてくる。ゲームではあるがゲームとは少し違う広がりがあるような、不思議な雰囲気が本作では感じられる。

さまざまな情報が確認できる「タイムライン」を活用!

気になったキャラクターをフォローしているだけで、つぎつぎに新しいキャラクターとの出会いが生まれる
タイムラインに記された戦闘の記録。キャラクターのアイコンをタッチすれば、ステータスを確認することも可能だ

 そしてこのタイムラインこそ、本作の攻略のキモとなっているのも面白い。タイムラインにはそのキャラクターがゲーム内に誕生してから現在に至るまでのすべての行動が記録されているのだが、タイムラインはダンジョン攻略を進める際の情報源としても非常に価値が高い。

 自分より先に目的のダンジョン攻略を済ませた人のタイムラインを確認し、敵のステータスや、攻略時のレベル帯、パーティ構成、装備などの内容を把握しておけば、ある程度の作戦が事前に立てられる。もちろん、タイムラインには戦闘の詳細までは記載されていないので、あくまでも戦術は自分自身で組み立てていかなければならない。本作ではそのためのヒントが、ゲーム内にゴロゴロと転がっているようなイメージだ。

 さらに、タイムラインに自分が知らないキャラクターがいる場合、タイムライン上から直接フォローをすることもできる。相手のレベルが高すぎたり、別の町にいたりすると出会う(=仲間にする)ことはできないが、そうでなければ近いうちに会えるようになるはず。そこからさらにタイムラインをたどり……などとしているうちに新たな発見もありそうで、こうした積極的なフォローと情報収集がプレイには何より大事となる。

 他人のキャラクターをフォローしてタイムラインをたどっていくと、そのキャラクターを誰かが確かに操作しているという実感がわき、本作がオンラインゲームであることをあらためて認識できる。つい数分前に、その人が自分のキャラクターを連れて冒険に出た、などといった記述を見るとうれしくなるし、そのプレーヤーに貢献するためにも「もっと自分のキャラクターを強くしておこう」という心理も生まれて、プレイに対するモチベーションアップにつながることも多い。スマホゲームによくある「助っ人」以上の存在を感じられるという辺りも、「タイムライン」は考えられたシステムと言える。

素材を使って各種アイテムを製作! 取引所を使ったユーザー間のアイテム売買も!

必要な素材と金貨があれば、新たな装備品を製作できる。貴重な素材ほど、作れる装備も強力なものが多い

 「時のドラゴン」では、モンスターから獲得した素材でさまざまな装備品やアイテムが作ることができる。強力なモンスターから得た素材を使えば、有用なスキルを備えた武器や防具などが入手できることもあり、おのずとダンジョン探索にも力が入る。そうして製作した武器や防具は強化を重ねてより強力な装備にしてもいいし、他の装備と合成して、さらに洗練させるのも良い。

 そうしているうちに不要な素材や装備品が増えてくるが、これらはゲーム内にある道具屋に売却しても二束三文にしかならない。アイテム生産が採用されたゲームではここまでは良くある光景だが、そこで活躍するのが、序盤で利用できるようになる「取引所」だ。

 取引所は、好きなアイテムに自由に価格を設定して、他のプレーヤーに向けて売りに出すことができる施設。「自由な設定」といきなり言われても……と最初は思うのだが、ここでも「タイムライン」が活躍することとなる。

 タイムラインには様々な行動が記録されることはすでに述べているが、アイテム売買の記録も例外ではない。どのアイテムがいくらくらいで取引されているか、アイテムの適正価格はどの程度なのか、タイムラインを眺めていると段々わかってくる……という仕組みになっている。何かにつけてタイムラインを見ておくことで、それが様々な攻略につながるのが「時のドラゴン」のゲームシステムというわけだ。

取引所にて不要品を売却中。売れれば貴重な金貨が入手できるので、値段設定は慎重にならざるを得ない

骨太のゲームバランスで歯応え十分のRPG!

 今回のレビューにあたって「時のドラゴン」にじっくり取り組んでみたが、その独創的なゲームシステムとしっかりした作り込みからは、スマートフォンのソーシャルゲームアプリというより、家庭用ゲーム機に近い雰囲気を持った作品であると感じられた。

 とくに、戦闘部分は「たたかう」連打で勝てるような甘い作りではなく、装備やスキル、パーティ編成を整え、その上でしっかりとスキルを選ぶ必要のある内容となっていて、挑みがいがあり大変面白い。

 その上で、どうしても勝てないときはタイムラインで他のプレーヤーの行動記録を参考にしたり強いプレーヤーを探すといった対処法もあり、さらには、おまかせ攻撃やオート機能などを利用して空いた時間にレベリングもできるなど、やれることは多い。

 課金要素としては、現時点ではゲーム内通貨である「金貨」を追加購入する部分のみ。無課金で入手できるゲーム内通貨の量はそれほど多くないので、短時間でキャラクターを強化しようとするならば課金せざるを得ないが、このあたりはプレーヤーのさじ加減ひとつというところか。

 何はともあれ、フォローとタイムラインを活用しているだけでも頼れるパートナーに巡り会うことは難しくなく、また、それこそが「時のドラゴン」の楽しみ方のひとつでもある。iOS版がリリースされ、一緒に遊ぶユーザーも増えた今なら、よりたくさんの仲間と出会うチャンスだ。

 さらに熱心なプレーヤーの中には、ダーバンの町でストーリーが進み出して、先の展開が気になっていた方も多いかと思う。期待通り、大きな展開が今回のアップデートで待ち受けており、先に待っているストーリーには、「時のドラゴン」とは何者なのか、モンスターからマテリアルが出るのはなぜなのか、そういった世界の謎が除々に明らかになるという。

 またアープルダムの町には、蛾のボス「ファラエーナ」が登場する。月曜日は幼虫で、水曜日はサナギ、金曜日は羽化と、1周間をサイクルとして変態し、それぞれの形態で攻略法も異なるということで、こちらも注目だ。新たな展開がスタートしたこの機会に、ぜひ、「時のドラゴン」の冒険へと踏み出してみてはいかがだろうか。

最新アップデート「アープルダムの町」紹介

 アープルダムはブリジア海の奥まった所に位置し、遠浅の海岸を干拓して作られた町です。海風を利用して風車をまわし、水路の水を海へかき出しています。これまでの砂漠の町とは一転して、水と緑が豊かな町となっています。

【アープルダム】
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(泊 裕一郎)