ゲーミングPCレビュー

NEXTGEAR-NOTE i420PA1

フルHDディスプレイとRAID 0がゲーミングPCとしてのカギ

フルHDディスプレイとRAID 0がゲーミングPCとしてのカギ

13.3型と小型ながらフルHDである1,920×1,080ドットの解像度を持つ高精細な液晶パネル。バックライトは安定した明るさと長寿命のLEDが採用されている。ちなみにベゼル部上にあるのはWebカメラだ

 さて、GPUについて長々と紙幅を割いてしまったが次にメモリを見ていこう。メモリは下位の「i420BA1」では4GB、「i420BA1-SP」では8GBが搭載されている。どちらも搭載されているメモリモジュールは1枚だ。ミドルレンジにあたる「i420SA1」から最上位の「i420PA1」の3モデルは8GBのモジュールが2枚搭載されており、2枚のメモリモジュールに同時アクセスを行なうデュアルチャンネル構成になっている。筆者としてはこのデュアルチャンネル構成をお勧めしたいところだ。ただ、以前ベンチマークを行なってみたところ、ゲームにおいては実際のところデュアルチャンネルとシングルチャンネルの差は微々たるものであった。当時行なったベンチマークは4GB×2の8GBと8GBモジュール1枚の比較であったことを明記しておくと同時に、メモリが大量に必要なゲームタイトルであった場合には効果は大きいとしておく。

 次にディスプレイを見てみよう。本機はいわゆるコンパクトなA4ノートサイズであるが、フルHDの13.3型液晶を採用しているのがポイントだ。最近でこそ採用例は多くなってきたものの、低価格帯のノートPCでは本機より大型のノートPCでも、フルHD解像度である1,920×1,080ドットよりも低い製品が多い。本機は下位の「i420BA1」でも9万円台ということで低価格というわけではないが、最近のゲームにとって必須のフルHD解像度を外部接続ディスプレイに接続しなくても搭載ディスプレイによって実現しているのがうれしい部分だ。もちろん、ゲーム以外でもフルHD解像度は大きな武器で、Webブラウズを行ないながらExcelの表を開き、テキストエディタで原稿を書いている筆者にとっても魅力的だ。

 特筆すべきなのは、採用されているストレージだ。いや、正確には搭載できるストレージの種類だろうか。本機には2.5インチのSSDやHDD用のSerial ATA以外に、mSATAインターフェイスが2つ用意されている。上位2モデルでは、256GBや128GBのmSATA SSDを2つ搭載し、2つのストレージに同時にアクセスするRAID 0構成となっている。効果のほどについては後ほどベンチマークテストで検証するが、ノートPCでこのような構成を採っているものは多くない。また、SSDだけでは容量的に不安に感じるユーザーもいるため、HDDも搭載されている。下位2モデルではHDDのみの構成だが、後述のBTOや、購入後のカスタマイズでmSATA SSDを導入することも可能だ。

 ちょっと残念な部分だが本機には光学ドライブが搭載されていない。A4ノートPCの場合光学ドライブが搭載されている製品が多いのだが、本機の場合にはコンパクトであることをウリとしている部分もあり、その部分がトレードオフとなっているようだ。ただ、最近のゲーム環境はダウンロード購入を行なうケースが増えており、必ずしも光学ドライブが必要というわけではなくなっているというのも、昨今のゲーム事情と言える。光学ドライブが必要であるという方の場合には、BTOなどによるUSB接続の光学ドライブの購入や、ほかのPCの光学ドライブの共有などで対応するとよいだろう。

 最後にOSは最新のWindows 8.1の64bit版だ。Windows 8.1は、いわゆるUpdate 1の提供が近いと言われているが、現時点では最新のOSとなっている。

【メモリ】
【mSATAのSSDを2つ搭載可能】
【HDD】
本機にはメモリを最大で16GBまで搭載可能だ。ミドルレンジの「i420SA1」より上位の製品では8GBのメモリモジュールが2枚搭載されており、デュアルチャンネル構成になっている
離れた位置ではあるが、mSATAのSSDを2つ搭載可能。実際に搭載されている製品にはA-DATAのシールが張られていた
Serial ATA接続のHDD。5,400rpmで低速だが、1TBの大容量HDDだ。本機では、SSDへの換装なども可能となっている

細かい要望に応えてくれるBTOで自分好みにカスタマイズ

マウスコンピューターの購入ページ。BTOに対応している機種は各項目でパーツなどを選択することができる

 上で少し触れているがBTOとは何?と思われる方もいるかもしれないので説明しておこう。BTOとはBuild to Orderの略で日本語にすると受注生産方式というのが適当だろう。マウスコンピューターのWebサイトを確認すればわかるが、購入したいモデルを選ぶと、次にBTOメニューに進むことになる。そこで、自分の使用目的に合わせてカスタマイズを行なうことができる。

 たとえば、下位モデルのi420BA1にはmSATA SSDは搭載されていないが、BTOによって最上位のi420PA1と同じ256GBのmSATA SSDを2つ搭載したRAID 0構成に変更することができる。また、HDDを5,400rpmのものから7,200rpmの高速なものに変更することも可能だ。この場合、もちろん価格は上がってしまうが、自分にとって必要と思われる部分だけを、予算に合わせてカスタマイズし、パワーアップをすることが可能であることがわかるだろう。

 またBTOでは逆に自分に必要ない部分を削って、購入価格を下げられるという利点も存在している。たとえばの話だが、最上位の「i420PA1」からmSATAのSSDを2つを取り除いて購入することも可能だ。この場合、記事を書いている3月下旬の時点で45,000円以上、コストを抑えることができる。

 もともとG-Tuneシリーズはゲーマーに向けたシリーズであり、PCに詳しい人を対象にした製品ではない。このため、予算に合わせて3Dゲームを快適に楽しむことができる製品を提供することを目的としている。PCに詳しくない人でもそれなりにゲームを楽しめるPCに仕上がっているのだ。PCの知識があまりない人なら提供されているモデルをそのまま購入すればよいし、PCに詳しい人なら、自分にとって「ここはお金をかけなくてもよいかな」、「ここはグレードアップしておこう」といった購入方法ができる。このようにPCの知識があまりなくても困らないよう各モデルを設定した上で、PCに詳しい人は取捨選択を行なうことができるBTOは優れた販売方法と言えるだろう。

(山本倫弘)