★ PS3 / Xbox 360ゲーム・ファーストインプレッション★
バカゲーの皮を被ったシビアな洋ゲー
「NeverDead」
ジャンル:
  • サードパーソン・シューテング/アクション
発売元:

開発元:
  • KONAMI / 英Rebelion

プラットフォーム:
  • Xbox 360
  • PS3
価格:
6,980円
発売日:
2012年2月2日
プレイ人数:
1人~4人
レーティング:
CERO:D(17歳以上対象)

 昨年のE3や東京ゲームショウ2011で注目を集めたKONAMIのサードパーソン・シューティング/アクション最新作「NeverDead」が、2月2日に発売される。筆者は「KONAMI Media Conference 2011」取材で本作を初めて目の当たりにし、尖った設定とキャラクターにグッと惹き付けられた。

 ストーリーは、ゲームの舞台から約500年前に端を発する。魔王アスタロテとの戦いに敗れたあげく妻を殺され、悪魔の眼を与えられ不死身にされてしまった主人公のデモンハンター「ブライス・ボルツマン」。すべてを失い、死ぬことも許されない身となった彼は、下級デーモン退治を生業として、本来必要のない酒代を稼ぐ日々を過ごし現在に至る。そして現代。一見平穏な街に、悪魔が元凶とされる事件が勃発。悪魔たちの存在は一般市民に知られることなく、NADA(National Anti Demon Agency)の手によって秘密裏に処理されるが、悪魔たちの動きは活発化する一方。不気味な影は、日々色濃さを増していった……。

 プレーヤーは主人公ブライスとなり、NADA所属の人間の捜査官「アルカディア・カクシミル」を相棒に悪魔たちと戦うことになるが、本作の特徴と魅力は、この“ブライス”にほぼ集約されているといっても過言ではない。チョイ悪親父といった風体のブライスは“不死身”なので、基本的に何をされても死なない。戦いでは、頭や手足の四散も当たり前。日常ですら、相棒のアルカディアに銃で撃たれたりする(!)が、それも軽いボケとツッコミみたいなノリで流されていく。

 さらに凄いのは、“不死身”という設定がゲームシステムの中核に据えられていることだ。ブライスにライフゲージはなく、敵からのダメージで頭や四肢がバラバラになっても、拾ってくっつけたり、あるいは一気に再生することが可能。外的要因ではなく、自ら頭や手足をちぎって自律的にアイテムのように扱うことさえできてしまう。特定の条件に陥らない限り、一般的なシチュエーションではゲームオーバーにならないのだ。

 今回、発売前にゲーム本編に触れる機会が得られたので、ここではゲームのメインモードとなるキャンペーン(シングルプレイ)のファーストインプレッションをお届けする。自暴気味で破天荒な主人公が、はたしてどんな激しいアクションを見せるのか。興味がある方は、ぜひご一読いただきたい。なお、本記事はプレイステーション 3版を使用しており、コントローラー類の表記はカッコでXbox 360を併記する。ゲーム内容はどちらも同じなので、購入の際はお好きなほうをお選びいただきたい。


【主人公は“不死身”】
500年前、ブライスと妻サイファは魔王アスタロテに戦いを挑む。奮戦するもふたりは破れ、サイファは命を落とす。魔王はブライスに悪魔の目を与え、不死身にしてしまう。死すら奪われたブライスは、失意のまま以後500年を過ごすことになる。そして現代……活発化した悪魔たちの躍動する影が、街全体を覆い始めようとしていた



■ ただひたすらに破天荒なアクション! ~不死身のブライスはやりたい放題~

 ブライスの戦闘アクションは、銃と剣の2通りがメイン。△(Y)で銃と剣の各モードを交互に切り替えていく。銃モードのときは、方向キー左右で右手と左手の武器をローテーションで変更可能。最初はハンドガンしか持っていないが、先々にあるアイテム入手でサブマシンガン(SMG)など少しずつ種類が増えていく。発射は右手がR1(RB)、左手がL1(LB)。左右それぞれ残弾が設定されているが、ハンドガンやSMGあたりの弾倉は入手しやすく、気軽にバリバリ撃てる。ボス戦のときは、時間がたつとフィールドのどこかに必ず沸いているので要チェックだ。

 剣モードでは、L1(LB)ホールドで敵をロックした後、右アナログスティックで剣を振り回す。素早く入力するとダメージは小さいが、ある程度リズミカルに“タメ”をつくると威力が増す。基本的に銃よりもダメージが大きく、銃しか効かない敵以外は、ほぼ剣モードで相手をするのが1番効率がいい。ただし、後述するステージのあちこちに仕掛けられた“罠”は常に意識しておかないと、すぐ足元をすくわれることになる。

 ブライスの武器は、銃と剣だけではない。R2(RT)やL2(LT)を長押しすれば、左右の腕を豪快にちぎって投げたり、手に持った銃でリモコン攻撃することが可能。R2(RT)とL2(LT)を同時に長押しすれば、頭をポンと投げられ、以後「ヘッドモード」に突入。頭が“本体”となり、アナログスティックでコロコロと移動。ジャンプでは届かない高所にいきたいとき、通風孔など狭い場所を通り抜けていくときなどは定番の手(頭?)法となる。ちなみに、頭、手足、胴体をくっつけたいときは、それぞれのパーツに接近して○(B)。画面右下の負傷ゲージMAXの状態で左アナログスティックを押し込む(L3)と、足りないパーツをまとめて再生できる。

 敵を倒したり、アイテムを拾って稼いだ経験値(XP)は、さまざまなアビリティ(特殊能力)と交換できる。セレクト(バック)を押すとアビリティ画面が出現。欲しいアビリティを購入して、あいているスロットに設定していく。ホフク移動スピードが上がる「Power Crawl」など、ちょっとしたアビリティは消費スロットが少なくて済むが、銃の攻撃力が上がる「Hard Shot」などの効果が高い“お役立ち系”、特に上位モノは当然消費スロットも多くなる。アビリティの品揃えはゲームを進めていくと少しずつ増えていくが、通常時の移動速度が上がる「Sprint」、突進など不意の攻撃がスローモーションで見切りやすくなる「Sixth Sense」など、必須ともいえるアビリティはなるべく早めにとっておきたいところだ。


【銃モード】
単発の威力は剣に劣るが、離れた場所から攻撃できるのが最大の利点。右アナログスティックで照準、押し込むとズームイン(R3)。ステージが進むとより強力な銃を拾えるが、ショットガンやバズーカは弾倉が補給しづらいのでアサルトライフル以下が主力になりがち


【剣モード】
近接専用で単発の威力は銃よりも総じて大きい。アビリティでタメが使えるようになると、さらに威力が増す。ステージが進むと、銃同様に強力な剣が拾える。振り回すときは周囲に爆発物がないか注意(上画像中央・右参照)


【身体の分割】
ダメージを受けて手足がバラけるならまだしも、自律的に頭と手をバラせるのが凄い。ちなみに、劇中のブライスいわく「あれ、痛いんだよなー」とのこと


【アビリティ(特殊能力)】
倒した敵、特定のアイテムで稼いだ経験値(XP)は、いつでもアビリティと交換できる。使えるものからネタまでさまざまなアビリティが揃っている。なかでも「Sixth Sense」は必須レベル。発動は不安定だが無いよりは全然マシ



■ 進むごとにシビアさを増すザコ敵とステージ ~悪魔だけに意地が悪い!?~

 本作のステージは、決して広くないがそのぶん丁寧なグラフィックス描画が印象的。オブジェクト破壊もふんだんに仕込まれており、演出だけでなく「破壊したオブジェクトで敵を攻撃する」といったアプローチも戦い方のひとつとしてシステムに組み込まれている。

 ブライスの不死身っぷりを前提としたギミックも、ステージの要所で必ず顔を出す。もっとも多いのが、スイッチや配電盤など「普通の人間が触ったら即感電死」という状況を、ブライスが身を挺してクリアしていくというもの。もうひとつは、ヘッドモードで通風孔など極めて狭い隙間や仕掛けを利用して先に進むパターン。どちらも“不死身”という設定なくして成立しえない、本作ならではの場面だ。

 さて……こうしたポジティブな仕掛けがある一方で、悪魔的な“いやらしさ”を含んだトラップの類も、本作には数多く見受けられる。その最たる例が、プロパンガスのボンベやドラム缶などの爆発物。ふと目をやると「なんでこんなにゴロゴロ、当然のようにあちこちに置いてあるんだよ!」とつっこまざるをえないほどで、ザコ敵と戦っていると、ついひっかけて至近距離で大爆発をやらかしてしまう。状況によるが、たいていブライスはパーツ単位であちこちに散らばることになる。本来であれば敵を巻き込む用途として活用したいのだが、後述のように戦況は常に混沌となりがちで、“毒にも薬にもなる”という観点でいえば、中盤以降はほぼ“毒”と考えて差し支えないと思う。

 ザコ敵の攻撃は、数こそ決して多くないが、内容は相当し烈なものがある。突進系はヒットすると大概パーツひとつ以上もぎ取っていくし、1発で首を狙い討ちされることも珍しくない。気づくと手足の片方が落ちてるなんてことは日常茶飯事で、こまめに○(B)のコンバットローリング(回避動作)で回収しないと、身包み剥がれるくらいの勢いで手足が脱落していく。最初は衝撃的としか言いようがないバラバラシーンだが、30分もプレイすると見慣れてしまい、以後は普遍化してしまう。

 本作のザコ戦で最もやっかいなのは“銃が効かない敵”が、たいていの場合「他の種類と“ないまぜ”」で襲い掛かってくることだ。前述のステージ内トラップ要素から、ザコ敵との戦いは“銃モード”がもっともリスクが少ない。爆発物のお掃除がてら銃で掃討していると、それをものともしないザコがストレートにやってきてズパッと1撃かましてくることが多々あり、これが結構きつい。剣モードで戦っていると、今度はアウトレンジで戦えるはずのザコ敵が身辺にわっと押し寄せてきて、あっという間に戦況がカオス化。こうなるともう、「叩き斬ってやる!」と剣を振り回してしまうのだが、そこでまた爆発物をひっかけ……。こんなふうになるのは、はたして筆者だけだろうか。

 ゲームが進むにつれ、銃しか効かない飛行タイプ、さらには“硬いうえに死ぬと爆発する”など、ザコのえげつなさもエスカレートしていく。とにもかくにも、本作の悪魔たちは「実はザコが1番手強い」と、しみじみ思う。


【刺激的なステージ構成】
劇中、随所でブライスをアイテム扱いするアルカディア。不死身ならではのギミックや演出があちこちで見受けられる
オブジェクト破壊は演出だけでなく、立派な戦術としてシステムに組み込まれている。散乱する破片は、飛び散ったり落下した直後にぶつかると相当なダメージが与えられる。最初から意識してやるのは難しいが、無意識のうちに恩恵にあずかっていることも多い。ただし落下系は巻き込まれないように注意


【実は最強!? スパルタンなザコの攻撃】
ゲームが進むにつれ、ザコ敵のチームワーク(?)の良さ……というか、組み合わせの妙がヒシヒシと感じられてくる。スマートな立ち回りは最初から無理というか、泥臭く石にかじりつくように、ひたすらしぶとく戦うべし



■ 不死身のブライスが死ぬ!? ~ゲームオーバーは基本2パターン~

 主人公が不死身。こう前置きすると「そんな鬼ごっこでオマメみたいなやつ、何が楽しいの?」といわれそうだが、実際そんなことはない。頭や手足がバラバラになっても死なないブライスにも、実は弱点がある。

 ひとつは、相棒「アルカディア」の存在。ふたり一緒に行動している場合、アルカディアが死ぬとその時点でゲームオーバー。体力ゲージのようなものは一切ないが、一定以上のダメージを受けるとアルカディアは悲鳴を上げてその場に昏倒。このとき、ブライスが接近して□(×)ボタンを長押しすると、アルカディアを蘇生させられる。昏倒したときに出現するアイコンが真っ赤になるまでの時間制限つきだが、アルカディアが倒れるようなシチュエーションは大概ブライスも苦戦を強いられているので「すぐ駆けつけたいのは山々だが、俺今バラバラなんですけど……」といったケースも少なくない。ちなみに、ヘッドモードでは蘇生活動自体が行なえない。

 もうひとつが、本作“最凶の敵”といっていい、機雷型のザコ敵「クランベイビー」。常に1~2匹でブライスの足元をコロコロところがってつきまとう、一見人畜無害に見えるザコ敵だが、ブライスが手足を落とすと、サッと盗み食いしてどこかに去っていく。最悪なのは、ヘッドモード状態で頭が食べられてしまったとき。このとき、ブライスが消化されかける表情のミニゲーム画面になり、左右に動く2つのゲージが重なった瞬間に○(B)ボタンを押さないと即ゲームオーバー。仮に成功しても、以降は食われるたびにカーソルの動きが少しずつ早く、難しくなっていく。シンプルなぶん、失敗したときの「何で俺こんなミニゲームやらされてるんだろう」感は、ちょっと言葉に尽くしがたいものがある。

 「別にゲームオーバーでもリスタート地点からやり直せるし、そんなに厳しくないじゃん」という意見もあるだろうが、これが常時、しかも最終ボス戦まで同様だとしたら、はたしてどうだろうか。ゲームに緊張感を与えるためというのは凄くよくわかるが、難易度ノーマル以上のとき、クランベイビーの執拗なマンマークは(少なくとも筆者には)非常に大きなストレス要因となってしまった。本作はイギリスのゲーム会社が開発を担当しているため、クリティカルな部分はあくまでも洋ゲーらしいスタンス、あるいはバランス感覚なのかもしれない。ややネガティブなトーンになってしまったが、ヘッドモード状態はザコ戦でも頻発するだけに、どうしても言及せざるを得ないポイントとして指摘させていただいた次第だ。


【アルカディアが死ぬ】
アルカディアが同一フィールドにいるときは、彼女が死ぬとゲームオーバー。昏倒すると画面内に出現するアイコンが少しずつ赤くなっていき、真っ赤になるまでに傍にいき□(×)を長押しできれば蘇生可能。ただしヘッドモード状態では不可
【ヘッドモードでクランベイビーに食われる】
常に足元をうろついているので、ヘッドモードにされた瞬間、すぐさま危機が訪れる。方向キー上のヘッドアタックで倒せることもあるが、失敗すると自ら吸引口に飛び込むハメに。素直に元頭があった位置まで戻り○ボタンを連打すべし



■ バカゲーの皮をかぶった洋ゲー ~ノーマル以上は相当な難易度~

 本作は一見ネタ要素満載の“バカゲー”的に扱われガチだが、その本質は3Dアクションゲームとして“王道路線”を踏襲しているように強く感じられる。ステージは昨今流行りの箱庭タイプではなく、各所を丁寧に作り込んだコンパクトな構成。目的地がわからなくなったら、方向キー下を押せばそっちを向くという懇切丁寧さも備えている。

 実は本作、全体としては洋ゲーらしいシビアな口当たりが土台をなしているものの、ボス戦のヒント、ロード画面で表示されるTIPSなど、随所に和風(?)の配慮がちりばめられている。このあたりは、プロデューサーである野尻氏の意向が強く反映されているのかもしれない。お世辞にも万人向けとはいえない難易度だが、それでもアクションゲームが好きな人であれば、必ず超えられるハードルとカタルシスが備わっていると思う。少なくとも、自他共に認めるへっぽこゲーマーの筆者が超えられたのだから、大半の人は問題ないはず。手ごたえのあるアクションゲームをお求めの人は、この機会にぜひチャレンジしていただきたい。


(C)Konami Digital Entertainment

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(2012年1月26日)

[Reported by 豊臣孝和 ]