★Xbox 360ファーストインプレッション★

シンプルで硬派なレースシミュレーション
1対1、レース後半など様々な場面も再現

「Superstars V8 Racing」

  • ジャンル:レースシミュレーション
  • 開発元:Milestone
  • 発売元:ラッセル
  • 価格:6,090円
  • プラットフォーム:Xbox 360
  • 発売日:4月22日
  • プレイ人数:1人(マルチプレイ:2~12人)
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)

 株式会社ラッセルは、Xbox 360用「Superstars V8 Racing」を4月22日に発売した。本作はイタリアやポルトガル、南アフリカといったサーキットで激しくレースを繰り広げるレースシミュレーションだ。

 いかにコーナーを攻略し、スピードを維持するか。本作はコースをどう攻めるかに特にフォーカスを当てている。きちんとブレーキングを行ない、ラインを守り、コンマ1秒のタイム短縮を狙う。リアルでシンプルな「コース攻略」を楽しめる作品である。今回はファーストインプレッションとして、ゲームの基本要素と感触をお伝えしたい。



■ ストイックに“走り”を求められるレースシミュレーション

レースコースをモンスターマシンで走る。一瞬の判断の遅れがミスに繋がるレースのリアルな感触を再現した作品だ
プレーキングの遅れでコースアウト。きちんとコースを走るためのアプローチを求められる。うまくコーナーを抜けたときの達成感は大きく、よりよいライン、ブレーキポイントを求めたくなる

 「Superstars V8 Racing」に登場する車種は排気量3,001cc~7,000ccのV型8気筒エンジンを搭載した4ドアの市販車を改造したモンスターマシン。BMW M3、BMW 550、BMW M5、ジャガー S Type R、アウディ RS4といったヨーロッパの車種が中心となる。

 本作はこのモンスターマシンを操り、サーキットに挑む。サーキットは実在のもので、コーナーを攻める感触はリアルだ。判断ミスや、ブレーキングを誤ればあっという間にコースアウトしてしまう。しっかりしたコース攻略を求められる、シミュレーション寄りのゲームバランスだと感じた。プレーヤーは本物のマシンで、本物のコースを走っているような気持ちになれる。改めてレーシングドライバーのすごさを追体験できる作品となっている。

 ゲームモードはすぐにレースを始められる「クイックレース」、コースを何度も走れる「トレーニング」、フリーランから予選を経て、本戦に出場する本格的なレースの駆け引きを楽しめる「レースウィークエンド」、そしていくつものコースに挑戦していく本作のメインモード「チャンピオンシップ」、さらに様々なシチュエーションでドライビングを磨いていく「Superstars ライセンス」がある。

 本作で特にユニークなのが「Superstars ライセンス」だ。いくつものチェックポイントで区切られたコースを与えられたタイム内で走破していく「カウントダウン」、様々なシチュエーションに挑戦する「スペシャルトライアル」、レーサーにフォーカスを当て、1対1の対決をする「デュエル」、そしてレースの一部分を切り取った「レースシナリオ」の4つのモードが楽しめる。

 プレイしてまず感じたことは、「このゲームはかなり硬派な作りだなあ」ということだ。何も考えずアクセルベタ踏みでコーナーに突っ込むとあっという間にコースアウトしてしまう。スピードにのったときの車の挙動はシビアで、一瞬の判断の遅れがコースアウトを誘発してしまう。グッと集中力を高め、コースを研究し、よりよい走りを目指すタイプのレースゲームだ。コースも「初心者用の練習」といったものはなく、リアルなレースコースだけが収録されている。「本物のレーサーはこんなにハードなコースを攻めるのか」とレーサーの超人ぶりを改めて実感できる。だからこそ、コンマ1秒を削る楽しさを実感できる楽しさを持っている。

 「チャンピオンシップ」はもちろん、様々なシチュエーションを追体験できる「Superstars ライセンス」でもまず挑戦するコースをきちんと覚えるところからはじめなくては勝利はおぼつかない。このコースはどこでブレーキングを行なうのか、どのラインで走るのか、きちんと覚えることで自分自身が“成長”していくのが確かに感じられる。レースゲーム上級者ならばまた違うのかもしれないが、練習を積み重ねて自分の中での経験を重ねて勝利をつかむのはとても楽しかった。

 本作には、より速い車を獲得したり、初心者用のコースで練習するといったゲーム的な“成長要素”はない。本物のコースと、レーサー達が使うマシンを選んで走るというシンプルな構成だ。段階的な熟達プロセスが用意されていないため、筆者はゲームの最初は本作のバランス、コツがわからずかなり苦戦した。どこで曲がるのか、どうブレーキングしていいのかが見えない。そこでまず「トレーニングモード」をやりこんでみた。1度走れば前の走りがゴーストとなって確認できる。練習を繰り返しどんどんタイムを短縮していった。

 1コースをきちんと走れるとゲームのリズムがわかってくる。どこでどう曲がるか、スピードはどこまで落としていいのか、それでもコースごとに注意しなくてはいけないチェックポイントがあって、より突っ込んだ攻略が要求される。設計者の気持ちや、コースの見所などレース本来が持つ面白さを改めて感じることができるのはとても楽しかった。今回は体験できなかったが、発売後には最大12人が参加できるマルチプレイも挑戦してみたい。


様々なゲームモードを搭載している。中央がトレーニング、左がクイックレース。本作はコース攻略が鍵となる。トレーニングモードでストイックにタイム短縮を狙いたい
アゥディやBMWなど収録車種はヨーロッパの物が多い。現実では乗れないようなモンスターマシンを操る楽しさがある
実在のコースを収録。イタリアのコースが多いが、南アフリカ、ポルトガル、スペインのコースも



■ レースの展開を追体験できる「チャンピオンシップ」、多彩なシチュエーションの「レースシナリオ」

「チャンピオンシップ」、「レースウィークエンド」はフリー走行や予選時にラップタイムが表示される
「Superstars ライセンス」は多彩なシチュエーションにチャレンジできる

 2つのゲームモードをより突っ込んで紹介したい。「チャンピオンシップ」は20のコースを次々と走っていく本作のメインといえるゲームモードだ。プレーヤーは出場選手から1人を選び、彼になりきって他のライバルと勝負を繰り広げていく。2度のテスト走行の後、タイムを計る予選、そして本戦と実際にレーサーになったような気分を体験できるモードだ。

 本作では細かいセッティングもできる。初心者用にプリセットも用意されているので、まずはプリセットで走ってみて、それからセッティングをしていくのがいいだろう。筆者の場合はチューニングにこだわるよりも、とにかく練習を重ねて、走り込むことでプレイした。チューニングに対する知識がなくても手軽にプレイでき、その後、深くアプローチもできるというゲームバランスだ。レースのラップも3周なので、集中力を保てる丁度いい長さだ。またオプションで車やタイヤのダメージをON/OFFできるので、気軽に遊びたいならOFF、リアリティにこだわるプレーヤーはONとスタイルに応じて選べる。

 ゲームの難易度的には「コースをきちんと走る」ということを心がけるのが最も重要だ。敵車に接触してしまうと挙動が大きく乱れる。コースを外れず、最適なラインを描くのが最も重要であり、そのラインを見つけ出すためにやりこむというゲーム性だと感じた。初めてのコースを練習走行して感覚をつかみ、コースを覚えて本戦に向かうという、レーサー達のアプローチを追体験できるのが楽しかった。

 「Superstars ライセンス」はよりゲーム的なアプローチだ。4つのモードにそれぞれチャレンジが用意されており、クリアすることで次のチャレンジに進める。「スペシャルトライアル」の最初のチャレンジはスタートシーンから。目の前の3台の車を抜き、トップに躍り出る。くねくねと曲がるコースでどこで前に出るかに挑む。本作では敵車はガンガン車をぶつけてくる。いかにすり抜けトップをもぎ取るかその駆け引きが面白い。

 ライバルとの戦いによりフォーカスしたのが1対1で勝負する「デュエル」。決められた短い範囲でなんとしてでも勝たなくてはいけない。バランス的に「チャンピオンシップ」の序盤は敵車が遅く感じたのだが、この「デュエル」のライバルは手強く、ブロックなども駆使しなくては勝てなかった。ライバルとぶつかりあうこのモードはドラマチックで何度もプレイする楽しさがあると感じた。

 「レースシナリオ」はより「本物っぽい」シチュエーションを楽しめる。最初のチャレンジはレース後半のタイヤがすり減ったマシンで、集団からトップを狙うというもの。「チャンピオンシップ」ではラップは3周で本物のレースのような長丁場ではない。このチャレンジでは16周の残り2周というシチュエーションにいきなり放り込まれ、ロールプレイ的な楽しさもある。滑りがちなタイヤでいかにゴールを目指すか、その駆け引きが楽しかった。

 全体的に、「Superstars V8 Racing」はコースを覚え、きちんと走ることを求められるゲームだと感じた。様々な車に乗れたり、多彩なシチュエーションを楽しむタイプのゲームではないが、本物のコース、本物感覚のドライブという、そのシンプルな構成に好感がある。「本物のレースコースを走ってみたい」、「シンプルにレースを楽しみたい」というユーザーにお勧めしたいゲームだ。


フリー走行を2回、そして予選を経過して本戦となるレースの進行を再現した「チャンピオンシップ」。たっぷり練習し、コースを把握した上で本番に挑む
こちらは「チャンピオンシップ」内の1つのコーナーのみを切り取ったゲームモードとなる「レースウィークエンド」。よりカジュアルに楽しめる
ライバルと1対1の戦いを繰り広げる「デュエル」。コースの中盤からはじまるため、どこで抜くかが難しかった
レース後半、タイヤのすり減ったマシンでトップを狙うギリギリの戦いが体験できる「レースシナリオ」

Superstars(R) V8 Racing (C) 2009 Lago S.r.l. Published by Lago S.r.l. Black Bean is a trademark of Lago S.r.l. Developed by Milestone S.r.l. All rights reserved. All manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. Superstars(R) is a registered trademark of Superstars International Development S.r.l. All rights reserved.

(2010年 4月 22日)

[Reported by 勝田哲也 ]