海外ゲームレビュー

J・キャメロン監督最新作が早くもゲーム化
殺戮に手を貸すか、ナヴィの平和を守るか?

「James Cameron's Avatar: The Game」

  • ジャンル:3Dアクション
  • 発売元:Ubisoft
  • 開発元:Ubisoft
  • 価格:59.99ドル(英語版) / 7,329円(日本語版)
  • プラットフォーム:PS3 / Xbox 360 / PC
  • 発売日:12月1日(英語版) / 2010年1月7日(日本語版)
  • プレイ人数:1~16人
  • レーティング:ESRB:Teen(13歳以上) / CERO:C(15歳以上対象)

本作は美しい衛星「パンドラ」での物語

 ジェームズ・キャメロン監督による新作ハリウッド映画「アバター」。全編に高度な3DCGを使用し、3D立体視システムを使っての上映が行なわれることで、日本でも上映前から大きな話題を呼んでいる作品だ。国内ではいよいよ明日12月23日より全国の劇場で公開される。映画の概要については、映画「アバター」プロデューサーを務めるジョン・ランドー氏へのインタビューを参照して欲しい。

 今回ご紹介する「James Cameron's Avatar: The Game」は、そのゲーム版だ。欧米での映画上映開始とほぼ同時というタイミングで登場した本作の開発は、「Asassin's Creed」など多数のヒットタイトルを生み出したUbisoftが担当。「FarCry 2」に使われた最新のゲームエンジンを使い、映画「アバター」で描かれる美しい衛星「パンドラ」の自然を余すことなく描写している。

 また本作は、劇場では3D上映される作品のゲーム版であるだけに、各種の3D立体視システムへの対応に注力されていることも見所のひとつだ。現時点で日本では入手の難しいステレオスコピック表示デバイスも、来年あたりから本格普及の段階に入ると各所で予想されている。本作はそんな将来における3D立体視対応タイトルのベンチマーク的な存在になるかもしれない。

 なお、本作の日本語版は2010年の1月7日にユービーアイソフトから発売予定だ。国内版の対応プラットフォームはプレイステーション3およびXbox 360となっている。今回のレビューでは、映画「アバター」の劇場公開に先立って、先行発売された海外PC版でのインプレッションをお届けしよう。



■ ひとつの魂に2つの体。衛星パンドラを巡る、人類とナヴィ(原住民族)の物語

衛星パンドラに降り立った主人公。アバター計画に選ばれたスペシャリストだ
装置に乗り込み、新たな体を得る。身長4メートルはあるナヴィの体は、はじめのうちはコントロールが難しいようだ

 本作の舞台は映画「アバター」と同じ、衛星「パンドラ(Pandora)」。22世紀、地球から遠く離れたこの衛星に進出した人類は、地球上では手に入れることのできない非常に貴重な鉱石をこの衛星で発見する。19世紀以来の新たな“ゴールドラッシュ”に沸く人類だが、この衛星パンドラには古来からの先住民「ナヴィ(Na'vi)」が存在しており、状況は複雑なものとなっていた。

 ナヴィは人類に勝るとも劣らない知能を持つ大型の人型生物。この先住民たちは今も新石器時代さながらの、集落単位の生活を営んでいる。体長は平均的な人類の倍ほどはあり、人類のパワードスーツと互角に戦うほどの戦闘能力を持つ。だが性向は非常に平和的で、争いを好まず、人類にはない神秘的な力を有している。

 その原住民とのコミュニケーションや、人類には適さない衛星環境での活動を促進するなどの目的で始められたのが「アバター計画」だ。人間とナヴィのDNAを使って作られたクローンの肉体に、特殊な装置を使って人間の意識を載せる。こうして衛星パンドラには幾人かの「アバター」が現地に投入されており、原住民コミュニティとの平和的な関係を築き上げている。

 本作のプレーヤーは、そのアバター計画に選ばれたシグナル・スペシャリストだ。衛星パンドラの開発を担当する軍産複合企業「RDA Corporation」のスタッフとして、新たにこの衛星に派遣されるところからゲームが始まる。ひとつの魂に2つの体。衛星パンドラに訪れる危機を、どちらの体でプレイするか。それはプレーヤーの選択次第だ。


ゲーム序盤はチュートリアル仕立てのミッションを進めていく。ここで人類とナヴィの両方のプレイを確かめることができる



人類としてプレイする場合は、銃による照準と射撃が戦闘の基本だ
ナヴィ側のプレイでは肉薄しての近接攻撃と各種スキルの組み合わせが重要
各所でクエストを請け負いながらゲームを進めていく

 非常に凝った設定を持つ本作だが、ゲームシステムは意外とシンプルだ。基本システムとしては3人称視点のアクションシューティングゲームの体裁をとっており、人間として銃を使って戦う場合はTPS系のプレイ感覚、ナヴィとして剣を取って戦う場合はスラッシュ&ハック系のプレイ感覚になっている。

 映画原作ということで会話シーンの演出にも力が入れられており、プレーヤーは行く先々でキーパーソンと会話し、新たな任務(クエスト)を請け負うという形でゲームが進行していく。プレイの場となるゲームフィールドは衛星上のいくつかの地域に分けられており、1地域で集中的に任務をこなし、完了すれば次の地域へ、という風に進行していく。

 より工夫が凝らされているのは、設定を生かした戦闘システムだ。プレーヤーは4種類の武器と4種類のスキルをショートカットに割り当てることができる。人類の場合、武器はアサルトライフルや火炎放射器といった銃器類。ナヴィの場合は弓と剣や杖などの近接武器だ。スキルは両方で共通して、「移動速度を上げる」、「一定時間透明になる」、「攻撃力/防御力を上げる」、「近傍の敵に大ダメージを与える」といった種類がカバーされている。

 この武器とスキルの組み合わせが本作における戦闘のキモとなっている。特に、より戦略性が高いのがナヴィとしてプレイする場合だ。銃を持つ人類の軍隊と戦う場合、正面から弓で漫然と撃ち合うだけでは不利で、時間もかかる。そこで場合によっては近接して剣で薙ぎ倒したほうが有利だ。だがそのためには攻撃を上手くかわしながら接近する必要があるので、透明になるスキルや移動速度を上げるスキルを上手く組み合わせて、攻撃位置へ移動する。沢山の敵に囲まれた場合は、周囲の敵を一網打尽にするスキル(リチャージがとても長いのが欠点)が役に立つ。人類のパワードスーツなど硬い相手と戦う場合は、防御力を上げるスキルを使い、肉薄して力勝負を挑むのが効果的だ。

 対する人類側でプレイする場合、プレイはよりFPS的になる。各種スキルを適切に使い分けることも大事だが、状況に応じた武器の選択がさらに重要だ。たとえば素早く肉薄してくる近接型ナヴィに対しては、打撃力に優れ、相手を転倒させられるショットガンが有効。弓で攻撃してくるナヴィに対しては、精度の高いライフル銃を選択。近づくと攻撃してくる危険な植物に対しては火炎放射器が非常に有効だ。

 こういったゲームとしての基本的な戦略性を備えた上で、本作では経験値の蓄積によるレベルアップ、新たな武器のアンロックといった成長要素がフィーチャーされている。このため、ゲームの進行度に応じてその時々で最適な武器・スキルの戦略が多少変わってくるので、それなりに遊び応えのあるゲーム体験が得られるようになっているわけだ。


最新のゲームエンジンで再現された衛星パンドラの豊かな自然が見所のひとつ。先を急がずじっくりとプレイしてみよう

ナヴィ側のプレイでは、現地の生物は基本的に味方(まれに凶暴なのもいるが)。翼竜「バンシー」の操縦は難しいが、広大な風景を堪能できる

人類側の戦闘はFPSライク。どの武器を使うかが戦闘の展開に深く関わってくるので、4つしかない武器スロットには各局面に対応できる武器をしっかり割り当てておきたい



■ 衛星の生態系を握る「魂の泉(Well of Souls)」を巡る戦い。人類とナヴィ、どちらの側につくか?

人類とナヴィ、どちらの側に付くか迫られる。重要なのはフィーリングだ
ナヴィの村へ。はじめのうちは信用がなく、住人から様々な試練を与えられる
戦いを続けるうちにレベルが上がり、見た目も完全に原住民と化していく
プレーヤーを信用しようとしない戦士Beyda'amo。彼が絡むミッションはどれも激戦ばかり

 本作のメインのゲームモードは、ストーリーを楽しみながらプレイするキャンペーンモードだ。キャプチャー・ザ・フラッグ(CTF)、キング・オブ・ヒルタイプなどの対戦プレイができるマルチプレイモードも備えているが、戦闘バランスを厳密に意識した内容ではないため、マルチプレイはオマケ的なものと考えて良いだろう。

 さて、キャンペーンモードにおける最大の特色は、プレーヤーが人類サイドでプレイするか、それとも原住民であるナヴィサイドでプレイするか、選択できることだ。まずプレーヤーは、RDAの基地に配属されるシーンから始まる一連のチュートリアルミッションにてその両方を体験する。そしてストーリーがー動き出し、RDAの戦闘部隊がナヴィの居住地を破壊し始める展開に及んで、どちらのサイドでプレイするかを選択することになるのだ。

 どちらかのサイドを選択した後は、もはや後戻りすることはできない。そこからエンディングまで続く長い戦いは、選択した立場で続けていくことになる。筆者がより面白く感じたのはナヴィ側でのプレイだ。このシナリオでは、RDAの暴挙を許すことのできない主人公が、アバターとして乗り移ったナヴィの体のまま原住民と共同して人類に立ち向かうという展開になる。

 初め筆者は、アバターとして得られるナヴィの体は“ラジコン”のようなものだと思い、したがってRDAに対する命令違反は原理上できないものと考えていた。だが実際はプレーヤーの意識も魂もナヴィの体の側にあり、元の人間の体は脱け殻のようなものらしい。それで、ナヴィ側のシナリオを選択すると、ゲーム序盤のうちに人間の体は戦闘に巻き込まれて死亡してしまい、その後はナヴィとして生きていくほかに選択がなくなってしまうのだ。

 ナヴィ側のシナリオで敵となるのは当然ながら人類の軍隊だ。ナヴィは人類の倍以上の身長があるので、プレーヤーから見ると人類の兵士は小さい。だが、人類は各種の銃器、パワードスーツや戦闘機など、強力な兵器を持つ。ナヴィのメインウェポンである弓だけで対抗するのは難しいので、近接武器と各種のスキルを組み合わせた戦略的な戦いが必要となる。

 戦闘だけではなくストーリー上の展開も楽しみたい。アバターとしてのナヴィ(原住民からはドリームウォーカーと呼ばれる)となって戦い続けるうち、プレーヤーは次第に原住民からの信頼を勝ち取っていくことになる。その中で唯一、プレーヤーを最後まで認めない男がいる。「Beyda'amo」という戦士だ。

 Beyda'amoはプレーヤーに対して次々に危険な任務を与えながら、「お前が死ねばせいせいする」と厳しい態度をとり続ける。その一方でプレーヤーに信頼を置く部族幹部「Tan Jala」や、衛星の神秘的な秘密を知る女族長「Tsahik Sanume」により、戦いを続けるプレーヤーは見た目も心もナヴィに染まっていくのだ。その戦いは、衛星の生態系のカギを握るという「魂の泉(Well of Souls)」を巡って展開していく。果たして、戦士Beyda'amoの信頼を勝ち得ることはできるのだろうか?

 ナヴィ側のシナリオを最後までプレイしての感想としては、演出は上々、ストーリーはまずまず、といったところ。映画原作のゲームということで演出面で冒険しづらい部分もあるのだろうが、敵の種類やクエスト内容のバリエーションといった面で、ややボリューム不足の感もあった。とはいえ、各ステージで描かれる衛星パンドラの自然は素晴らしく見ごたえがある。また、レベルアップにより強化される武器やスキルが面白く、ゲームをどんどん進めていきたいという欲求をうまく刺激する作りだ。


レベルアップ時に新たな武器やスキルがアンロックされるので、状況に応じて武器・スキルスロットに何を割り当てるか確認しよう

人間の兵器を相手とする戦いでは素早い身のこなしが必要となる。アクション性はかなり高く、慣れるまでは何度も倒されてしまうかもしれない



RDAの残虐非道な原住民根絶やし作戦に手を貸すシナリオ。ナヴィは強くて早い
非情な司令官Falco。彼の指令を聞くことで、人類サイドがどのような感覚で作戦を進めているのかがわかる

 一方、人類サイドを選択すると、原住民や原生の動植物は敵である。人類に対してだけ凶暴な犬型の生物や、人類の戦闘機を撃墜する能力を持つ翼竜型の生物、そして様々なスキルを持つナヴィは特に強敵だ。

 人類側のプレイでも最終目的となる存在は「魂の泉(Well of Souls)」。ただ、原住民とは全く違うアプローチでその存在に迫ることになる。RDAの司令官である「Falco」のやり方は万人が嫌う暴力的で強引なものだが、人類サイドでプレイすることを選択した以上、その命令には粛々と従うしかない。

 人類側でプレイする際の醍醐味はなんといっても、多数の銃器や兵器が活用できることだ。遠隔射撃に優れたライフル銃、近接距離での打撃力に優れたショットガン、強敵相手に効果を発揮するグレネードランチャー、植物を一挙に焼き尽くせる火炎放射器。いずれの武器も、プレーヤーのレベルアップに応じてより強力なものとなっていく。

 バギーやパワードスーツといった搭乗兵器の活用もゲーム展開のカギとなる。特に面白いのは飛行型の搭乗兵器だ。ナヴィ側のプレイでは味わえない空中での機動性と攻撃力。これをメインに活用してのステージも用意されており、各任務にそれなりの変化がつけられている。

 ただ、人間側のゲーム展開は、ナヴィ側に比べると少々ボリュームが少ない。映画のシナリオとしてもナヴィ側の視点がメインになるのはいたしかたないところだが、全体的に1本道のゲーム展開、少ない敵の種類、数時間で終わってしまうストーリーなど、最近のゲームとしてはやや手ごたえに欠ける印象だ。

 プレイする順番としては、まず本作のメインシナリオと言えるナヴィ側でプレイし、次いで人類側でプレイしてみるといいだろう。ナヴィ側で登場した様々な人物や要素を全く違った視点で見ることで、原作映画への理解をさらに深められることができそうだ。


兵器を使っての戦いが人類サイドの醍醐味だ。空を飛んでマップを縦横無尽に移動し、強力な火力でナヴィの群れを一網打尽

多数のナヴィとの戦いがメインではあるが、要所要所に原生の巨大生物との戦いもある。勝利するためには銃器の選択が重要だ



■ 多数の3D立体視方式に対応。今後のスタンダードになるのは?

オプション画面で様々な3D立体視の方式を選択できる
サイドバイサイド方式。やりようによっては裸眼立体視も可能?(非常に疲れそうだが)
チェッカーボード方式。市松模様的な並びで両眼用の映像が混ぜられており、特殊な偏光フィルタを持つモニタと専用メガネで見る
2枚のフル解像度の映像を2枚分の液晶パネルに出力するiZ3D方式。立体に見るためには専用モニターが必要だ

 全国の劇場で3D上映される映画「アバター」は、より多くの観客を劇場に引き寄せることだろう。それに対応してゲーム版である本作も、3D立体視への対応に非常に力を入れている。現状で利用できる多種多様な表示方式をあらかたサポートしているのだ。

 その利点をフルに活用できるのは、やはり柔軟性の高いPC版である。本作のPC版では、「チェッカーボード」、「RealD」、「インターレース」、「サイドバイサイド」、「デュアルヘッド」、「iZ3D」といった3D立体視方式へのサポートをゲーム本体に組み込んでおり、対応する立体視環境があれば最適な方法で3D映像を楽しむことができる。

 おそらく、現状多くのユーザーが利用できて最も安価なのは、赤青メガネを通して立体映像を得るアナグリフ方式。PCではNVIDIAのグラフィックスドライバーが標準でこれに対応しており、赤青フィルムをつけたメガネさえあれば無数の3Dゲームで立体視を楽しめる状況となっている。ただ原理上、この方式ではカラー映像を見ることができないため、現代的なホームエンターテインメントとしては貧弱すぎる。そのため本作ではこの方式をゲーム本体には組み込んでいない。

 本作で対応している3D立体視方式のうち、なんとか家庭でも実現可能な方式のひとつが「RealD」方式だ。これは右目用と左目用の映像を特殊な偏光フィルタを持つプロジェクタで投影し、専用の偏光メガネを使って立体映像を得るというもの。これにはモニターとして三菱の3D対応HD DLPTV(日本未発売)が必要であるため、導入にはかなりのお金と覚悟が必要だ。

 ほかにも本作には、「サイドバイサイド」や「インターレース」、「チェッカーボード」方式がある。これは1フレームに右目用と左目用の映像を詰め込んで表示する方式だ。サイドバイサイド対応のモニターとしてはヘッドマウントディスプレイであるVuzixの「iWear AV920」、インターレースに対応するモニターとしてはZalmanやHyundaiのXpol式液晶モニタ(専用の偏光メガネで見る)が挙げられる。この方式の難点は1フレームに2画面をエンコードするため、実解像度が半分になってしまうことだ。特に「iWear AV920」は表示解像度が640×480ドットしかないので、本作の持つ美しい映像はかなりつぶれて見えることになってしまう。

 解像感を失わずにすむ方法として本作は「デュアルヘッド」にも対応している。これはステレオ映像を2本の映像ケーブルで2枚の液晶に表示するという方式で、ヘッドマウントディスプレイ向きの方式だ。とはいえ、この方式に対応するHMDは「まずお見積もりから」という高価さで、あるいはデュアルヘッド系の3D液晶であるZamlan「iZ3D」といった特殊なモニターが必要ということで敷居はやはり高い。

 というわけで3D立体視の現状はそう甘くない。このため日本のTV市場における各メーカーは「どの3D表示方式が本命か」という問題が解決されるのを虎視眈々と見極めている情勢であったが、ここにきてフレームシーケンシャル方式が本命となったようだ。フレームシーケンシャルというのは、右目用、左目用の映像を1フレームごとに切り替えて表示する方式で、視聴者はシャッター方式メガネを装着して映像を見る。PC向けとしては、既存の「NVIDIA 3D Vision」がこの方式だ。モニター側には120Hzの表示能力が必要となるが、今後、多くの120Hz対応モニターが発売されると見込まれているため、最もスタンダードな存在になることだろう。

 フレームシーケンシャル方式の利点は、サイドバイサイド方式やチェッカーボード方式のように実解像度の低下がなく、フルHDそのままの映像を3D化できることだ。シャッターメガネを通して映像を見ることになるため映像の輝度・コントラスト低下が避けられないのが泣き所ではあるが、高輝度・高コントラストのLEDバックライト液晶が登場してきたことにより、従来よりも見やすい映像が得られると期待される。現状でこの方式で本作を楽しむには、NVIDIAのビデオカードと「NVIDIA 3D Vision」を用いる方法が最も簡単だ。

 というわけで現状、本作で抜群の3D映像を楽しめる環境を持つユーザーは数えるほどしかいなさそうだが、来年あたりにはソニーなど大手から3D対応TVの発売が予定されており、状況は改善されていくだろう。欧米ではそれなりに3Dモニターの市場が出来上がっているので、本作のような野心的なタイトルが生まれる余地がある。3Dマニアなゲーマーは、本作を手に入れ、自分にとって本命な3D表示方式を見つけてみると良いだろう。


稠密なオブジェクトに富むと同時に広大な風景を持つ本作は、3D立体視による臨場感を楽しむにうってつけのタイトルだろう。だが、現時点では対応モニターなどが一般化していないこともあり、敷居は高い

■ 映画の世界をより深く楽しむための選択としては秀逸

マルチプレイゲームの場面。ナヴィの戦闘能力が非常に高く(ほとんど一撃で人間を倒せる)、ちょっと厳しいゲームバランス
ストラテジーゲームライクな「コンクエスト」モード。沢山の地域を支配するとソロゲームで様々なボーナス要素を獲得できる

 本作は映画を原作とする、いわゆる“版権モノ”のゲームタイトルとしては、良作に分類されるクオリティの作品だ。人類とナヴィ、2つの視点をそれぞれ独立したステージ構成で再現することで、映画世界をより深く楽しめるのが特に素晴らしい。グラフィックスのクオリティも非常に高く、中でも鬱蒼としたジャングルの再現度は、すべてのゲームの中で最高レベルだ。

 だが、単体のゲームタイトルとして見れば、本作のボリュームの少なさ、リプレイ性の乏しさという側面が弱点となってくる。基本的に本作では映画の世界から大きく外れたことをしていないので、登場する敵の種類が一般的な3Dアクションゲームに比べて少ないし、意外性のあるスキルといったゲーム的変化にも不足している。先述したようにマルチプレイモードもオマケレベルで、何度も繰り返し長期間遊べるような内容には仕上がっていない。こういった理由で、本作は同じUbisoftの「Asassin's Creed 2」のような大作と真っ向から勝負できる作品ではない。その意味では、映画ファンが気軽に楽しめる作品と言えるだろう。12月23日から劇場公開される映画「アバター」を見て、その世界に魅了されたら本作を手に取って見てほしい。より深く、衛星パンドラの物語を楽しめるはずだ。


【スクリーンショット】

James Cameron’s Avatar: The Game (C) 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation. Game Software excluding Twentieth Century Fox Film Corporation elements: © 2009 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. James Cameron's Avatar: The Game, James Cameron's Avatar and the Twentieth Century Fox logo are trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation. Licensed to Ubisoft Entertainment by Twentieth Century Fox Film Corporation. Ubisoft, Ubi.com, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. The Lightstorm Entertainment logo is a trademark of Lightstorm Entertainment, Inc


(2009年 12月 22日)

[Reported by 佐藤カフジ ]