iPhone/iPod touchゲームレビュー

iPhoneでよみがえった名作オールドゲーム
「キャメルトライ -ザ・ラビリンス・オブ・エニグマ-」

  • ジャンル:アクション
  • 発売元・開発元:タイトー
  • 価格:600円
  • プラットフォーム:iPhone/iPod touch
  • 配信日:3月8日(配信中)

 iPhone/iPod touch用「キャメルトライ -ザ・ラビリンス・オブ・エニグマ-」は、1989年にアーケード用ゲームとして発売されたアクションゲーム「キャメルトライ」をアレンジした作品。迷路の中を転がるボールをゴールへ導くゲーム性はそのままに、背景には錯視(だまし絵)を用いたグラフィックスを取り入れ、ポップアート調だったアーケード版とはまったく異なる不思議な世界観を描き出しているのが特徴だ。




■ iPhoneのデバイスをうまく利用してよみがえった「キャメルトライ」

 「キャメルトライ」は、迷路(背景)を左右に回転させて、障害物を避けながら制限時間内にボールをスタート地点からゴール地点まで導くという、いたってシンプルなルールのアクションゲーム。画面の下方向に重力が働いており、ボールの下側に空間を作るか、または壁を斜めに傾けるとボールが自然に動き出してコース上を進んで行く。

 途中で壁に触れたり跳ね返ったりしてもミスにはならないが、場所によっては触れると得点が入ったり、残りタイムが減らされるギミックが仕掛けられていることもある。道を塞いでいるブロックは、ボールに勢いをつけた状態でぶつければ破壊することが可能で、さらに数字が書いてあるものを壊した場合は、数の分だけタイムが増えたり減ったりもする。また置かれている爆弾に触れると数秒後に爆発し、巻き込まれると数秒間動けなくなるペナルティを受けてしまうが、周囲の邪魔なブロックを一掃する際のアイテムとしても利用できる。

 狙ったタイミングで狙ったとおりのコースにボールを動かしたり、ブロックを突き破ったときの爽快感の高さは、他の作品では決して味わうことのできない独特のものがある。

 アーケード版はダイヤル式のパドルコントローラーで操作したが、iPhone/iPod touch版では端末を左右に傾けるか、または画面左右の端をこすることで迷路が回転する。傾ける角度を大きくすると回転速度がよりアップする。画面をこする際は手前側に触れるほど速く、奥側ほどゆっくり回転させられる。

 さらにiPhone/iPod touch版では、ボール表示部分に直接触れるか、本体を手前(奥でも可)に傾けると背景が揺れ、ボールをその場で軽くジャンプさせることも可能。フリッパーゲームでいうところの「ティルト」(筐体を揺らす)に似たこのテクニックをうまく利用すれば、邪魔なブロックを壊したりアイテムを取ることもできるようになっている。

 傾きセンサーやタッチパネルを使ってボールを転がしたりはね飛ばしたりする本作品独特の操作感覚は、攻略を度外視して、ただ遊んでいるだけで楽しい。アナログコントローラーを利用して背景を自由に回転できるゲームシステムは、iPhoneのデバイスとの相性がまさにピッタリ。元々完成度の高かったアーケード版にも負けないだけの爽快感が堪能できる。

 傾きセンサーとタッチ操作とではどちらが遊びやすいかを比較すると、筆者が試した限りでは、後者のほうにやや分があると感じた。例えば、回転を途中でストップさせたい時には、タッチ操作の場合は右回転中ならモニタの左側を、左回転のときは右側に軽く触れれば瞬時にピタリと止められるが、傾きセンサーで端末を水平にするのは物理的に難しい。また、本体を傾けるとどうしても視点が安定しなくなり、水平位置がつかみづらくなるので、とことんまで攻略を突き詰めたいという人はタッチ操作でプレイするのがおすすめだ。

 傾きセンサー使用時は片手で本体を持ち、もう片方の手はボールをジャンプさせるときに使うとプレイしやすくなるだろう。画面に触れて操作するときは、テーブルなどの平らな場所にを置くか、両手で持って左右の親指だけで操作するのがおすすめだ。なお、オプション画面では傾きセンサーのオン・オフの切り替えができるので、うまく操作ができないという人は、設定をオフにしてタッチ操作だけでプレイしてみるといい。


【スクリーンショット】
主人公的存在のボールを直接動かさずに、背景を左右に回転させて転がすのが楽しい「キャメルトライ」。錯視を用いた背景も実に個性的だ
制限時間内にゴール地点まで到着すればクリア、時間がなくなればゲームオーバーとなる



■ ゲームモードは2種類。「エニグマ」モードに隠された秘密とは?

 本作品には、初心者向けの「プラクティス」モードと、ステージ内のあちこちに配置されたアイテムを集め、ステージごとに設定された絵画を開放していく「エニグマ」モードの2種類が存在する。

 「プラクティス」は全4ステージで、各ステージ開始時にチュートリアル画面が表示されるようになっている(メニューから「マニュアル」を選べばいつでも見られる)。難易度はかなり低めに抑えられているので、初めて遊ぶ人でもストレスを感じることなくゲームが楽しめるだろう。

 ある程度慣れてきたら、今度はより得点稼ぎができる攻略パターンの構築にチャレンジすることで、さらにゲームの楽しさが増してくる。たとえば、道中のあちこちに落ちているコインを集めると1個につき1,000点が加算されるが、ゴールへの最短ルートから大きく外れた位置にコインが並んでいることもしばしばある。いかに時間をロスせずに回収できるパターンを考えながらプレイしてみるといいだろう。またブロックを壊すことでも1,000点が加算されるので、マップ内のブロックをきれいさっぱり一掃するパターンに挑戦してみるのも面白い。


【スクリーンショット】
初心者でも簡単に遊べる「プラクティス」モード。ステージ開始時にチュートリアルが表示され、マップ自体もシンプルな構造になっている


 一方「エニグマ」モードは、途中でルートが分岐するなどマップの構造がより複雑になり、触れると残りタイムが減らされる障害物などが頻繁に出現するので、格段に難易度がアップする。各ステージをクリアするごとに30秒のボーナスがプラスされるとはいえ、途中で道に迷ったり障害物にぶつかってばかりいるとアッという間に時間がなくなってしまう。攻略するためには繰り返しプレイしてゴールまでのルートを覚え、タイムを減らされる障害物を避けるパターンをひとつずつ丁寧に探りながら進むことが必要だ。

 そして、「エニグマ」モードを攻略するうえで最大のポイントとなるのは、各ステージごとに3個ずつ配置された3角形のアイテムをいかにして回収するかにある。これを取るとボーナス得点とともに残りタイムが5秒プラスされる効果があるが、実はこのアイテムにはもうひとつの重要なポイントが隠されている。

 本モードでは、途中で3角アイテムを取り逃したり、リトライ(コンティニュー)を使用した状態で6面をクリアするとゲームオーバーとなってしまうが、合計18個の3角アイテムをすべて回収すると、クリア後に7面へ進めるようになっている。より多くのステージを楽しみたい、あるいはハイスコアを目指したいという人は、これらのアイテムを取るパターンを考えながらプレイすることが必須条件だ。


【スクリーンショット】
「エニグマ」モードになると格段に難易度がアップ。マップがより複雑になり、ブロックを破壊して道を作るなどといった戦略性も存在する
赤、青、緑の3色の3角アイテムをいかにタイムロスをせず回収できるか、プレーヤーの腕の見せどころだ


 筆者がひととおりプレイしてみて気になったのは、全体的にステージ数がやや少なく、ボリューム感がいまひとつ、ということ。「プラクティス」モードはあくまで練習用ということで4ステージにとどめたのであろうが、繰り返し遊んでも十分楽しめる内容になっているし、また1ステージあたり1分もかからずにクリアできることもあって、物足りなさがどうしても残ってしまう。別途イージーモードを設けるなどして、手頃な難易度のステージをもうあと10個分くらいは用意してほしかったところだ。

 前述したように、「エニグマ」モードで7面以降をプレイするためには6面クリアまでにすべての3角形アイテムを取るすることが必要だが、何度もやり込んで配置場所や操作のコツをつかまないと成功させるのはなかなか難しい。7面以降のステージについては、1度出現条件を満たすと以後アイテムを取らなくても先へ進めるようになっていたが、初心者にはアイテム全回収という条件つきで6面までクリアするだけでもハードルがちょっと高いように思われる。

 しかも、両モードとも途中でゲームオーバーになるか、またはアプリを終了させてしまうと1面の最初からやり直しになってしまうのでなおさら厳しい。4面しかない「プラクティス」モードはともかく、「エニグマ」モードでも中断するとやり直しになるのは正直つらい。1度クリアしたステージであれば、ゲームオーバー後に好きなステージから始められるステージセレクト機能があってもよかったのではないだろうか。


【スクリーンショット】
すべての3角アイテムを回収して6面をクリアすると、デモシーンを見た後に7面がプレイできるようになる。8面クリア後にも同様のデモシーンが登場する
さらに「エニグマ」モードである条件を満たすと、何やら意味ありげなメッセージが表示されたり、性能が異なる新しいボールを入手できるご褒美イベントが発生することも。腕に自信のある人はぜひ探してみよう



■ オールドゲームファンはもちろん、初心者にもおすすめ!

 背景を回すだけというシンプルな操作でありながら、ボールをコース上に転がして遊ぶ面白さは今なお新鮮。やり込みを重視するゲーマー層にはステージ数がやや少なめなので物足りない部分があるかもしれないが、どのステージをプレイしても1分半程度で終了するため、ちょっとした空き時間を利用して遊ぶにはこれ以上ないと言えるほど最適で、まるで20年前から携帯端末向けに開発を進めていたのではないかと思えるほどだ。

 初めのうちは操作に戸惑うかもしれないが、簡単なルールでとっつきやすく、またシューティングゲームなどのように高度なテクニックや反射神経を必要としないので、ゲーム初心者にも安心しておすすめできる作品である。


(C)TAITO CORP. 1989,2009

(2009年 4月 16日)

[Reported by 鴫原盛之]