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「Master of Orion」、アーリーアクセス版プレイレポート

底知れぬ奥深さ! 壮大な宇宙種族間戦争を描くストラテジーゲーム

4月22日 アーリーアクセス3実装

価格:4,980円(税込、「Collector's Edition」)

 「World of Tanks」などの作品で知られるWargaming.netが開発中のタイトルに、「Master of Orion(以下、「MoO」)というターン制ストラテジーゲームがある。Wargamingは「World of Tanks」に代表されるミリタリー系タイトルのイメージが強いが、本作は近未来の宇宙を背景に多種多様な種族がその覇権を争うさまを描いた内容で、じっくりと腰を据えて楽しめる作品だ。

 筆者はどちらかと言えばアクションゲームを好んでプレイすることが多いのだが、SLGタイプのゲームも同じくらい、好んでプレイしている。このジャンルの楽しいところは、序盤の貧困危機的な状況から内政を充実させつつ逆境を切り抜け、外敵を排除して自国勢力をじわじわと拡げていくところにあるだろう。とくに敵が強大であるほどその困難を排したときの快感も大きく、他のジャンルでは味わえない中毒性も含んでいるように思う。

 本作は現在開発中であるが、現在はSteamにてアーリーアクセス版がプレイできる。アーリーアクセス版は「Collector's Edition」購入でプレイ可能で、「Collector's Edition」の価格は4,980円(税込)。

 開発途中であるとはいえ、それでもストラテジーゲームの醍醐味は十分に楽しめるほか、日本語ローカライズも一通りは完了している。筆者の場合そんな本作を現段階で20時間以上プレイしているが、今でもかなり楽しんでおりその底はまだまだ見えていない。最新アップデートのアーリーアクセス3も実装されたばかりということで、以下ではこの「MoO」のプレイレビューをお届けしていきたい。

【Master of Orion: Early Access Trailer】

宇宙を駆け巡るロマンに満ち溢れたストラテジーゲームを楽しもう

 改めて紹介すると、本作は未来の宇宙を舞台として他種族間の歴史を描いているターン制ストラテジーゲームとなっている。プレーヤーはいくつかの種族から1種類を選択し、そこのリーダーとなって定められたターン数(デフォルトでは500ターン)にもとづいてゲームを進め、最終ターンまでに稼いだスコアの1位を目指すことになる。

「MoO」のプレイの流れ

 ターンが開始されたら、まずは母星および植民星(本作では「コロニー」と呼ぶ)に指令を下し、コロニー内の施設を充実させ、食料供給量を上げて人口を増やして自種族の拡大に務めていくことになる。一方では新技術や新兵器の開発、それらに基づく施設や宇宙の建造、他の星への入植とやることは多いが、これらはすべて1ターン内で行なわれる。

 ターンは勢力ごとに個々の全命令を実行し、それが終了した時点でつぎの勢力の順番となる。そうしてすべての勢力が命令を終えれば1ターンが終了し、またつぎのターンへ……という形でゲームが進行していく。開発を進めれば行動可能数も増えていくのだが、必要な命令を終えていない場合はナビゲートをしてくれるので、何かをやり忘れる、ということもなく快適にゲームを進めていける。

 逐一、命令を与えていくのは面倒そうな感じではあるが、長期に渡る命令予約などもできるため、実際には大した手間にはならない。また、建造に至ってはオート化ができるので、慣れればポンポンと進めていけるだろう。ただし、序盤からオート機能を使ってしまうと自分が何をしているかわからず、あとで困ることにもなる。そういう意味では、最初はきちんと手動で楽しんでほしいところだ。

ターン内にかならずやらなくてはならないのはコロニーでの製造と、稼働予定が入っていないユニットへの命令のみ。毎ターンの命令が面倒であれば、先のターンまで予約することも可能だ

選べる種族は11種。宇宙にはこんなにも生命に満ち溢れていた!

個性的な異種族の面々。「カスタム種族」とは、定められた範囲内で数値を細かくカスタマイズして、自分好みの種族を作れるというものだ

 本作は宇宙が舞台の種族間戦争となっており、現時点でも11種類に及ぶさまざまな種族が登場する。それぞれの種族は内政や戦闘に独自のボーナスがつくほか、特定分野の開発力に優れる、人口増加率が高いなど、何らかのメリットがある。逆に、戦闘能力が低い、技術力に乏しいといったデメリットも併せ持っていて、それらを鑑みた上でどの種族を選んでいくかというのが今後の展開に影響してくる、というわけだ。

 種族間の差についてはパラメータだけにとどまらず、外見もなかなか個性的だ。いわゆる普通の人間からステレオタイプの宇宙人、鳥、猫、熊、カメ、昆虫、鉱石、ロボット風とよりどりみどり。今回は筆者にとって人間以外が異種族すぎて面食らってしまったこともあり、とりあえず素直に人類を選んでみることにした。

一見、というよりはどう見ても虫のような種族でも高度な文明を持っているという設定がそこはかとなくショック
人間を選んでのプレイはやはり落ち着く。ほかの種族はもう少しプレイ回数を重ねてから選ぼうと思う

星系マップを探索して版図拡大を目指せ

マップは星系マップとして表示される。基本的に惑星間移動は直線で、その他の星系に移動する際は星系外縁部にあるワープポイントから移動する
コロニー船が星への入植を開始すると、イベントシーンが流れる。スキップ可能だが、その迫力とカッコよさについ見とれてしまう

 「MoO」のマップは宇宙空間に星が表示される、いわゆる「星系マップ」となっている。各星系同士はワープポイントを介した航路でつながっているため、その航路以外を通る……つまり、宇宙空間を縦横無尽に動く、というわけにはいかない。建造した宇宙船はその航路に沿って他の星々へと移動を行なうが、行き先を指定しておけば自動的に最適な航路を移動してくれるので便利だ。

 星系マップは最初のうちは視認できる範囲がせまく、その星系にどういった星があるのかも、星を1つ1つ確認していかなければわからない。これについては「偵察艇」に「自動探索」をさせておけば未確認の星系を片っ端から調査してくれるため、非常に便利。偵察艇は最初から所持しているので、積極的に活用していきたい。

 未知の星が見つかったら、さっそくカーソルを合わせて星をチェック。それを左クリックし、惑星資源を確認して資源がある星であれば「コロニー船」を建造し派遣していく。目的の星にコロニー船が到着したら「入植」をすれば、その星は自種族のコロニーとなる。

 なお、星によってはすでに他の勢力下にあったり、宇宙海賊のアジトだったりすることもある。その際にはあきらめて別の星を探したり、別途惑星攻撃が可能な艦艇を派遣して攻撃するなどして対応していくことになる。いずれにしても、偵察艇とコロニー船、これらをうまく組み合わせて自国の領土を拡大していく、という流れが基本だ。

初めて到着した星系には、どんな星があるのかもわからない。すかさず偵察艇を投入して調査させよう
いい星が見つかったら、さっそく入植を開始。コロニー船をその星まで移動させて「入植」コマンドを使えばOKだ

コロニーを開発して種族を発展させよう

人口は種族型アイコンをドラッグ&ドロップすることで簡単に移行できる。次ターンに獲得できる予測数値もリアルタイムで変化してくれるので便利だ
コロニーでは経済・一般用の設備だけでなく、民間輸送船や駆逐艦といった艦艇まで、すべてを製造することになる

 首尾よくコロニーを増やすことに成功したら、つぎはそのコロニーを発展させていかなければならない。コロニーは「研究」、「食料」、「製造」の3項目に発展する要素が用意されていて、それらはコロニーの人口を割り当てることで各数値が高まっていく。この人口の割り当て方法は、コロニーをクリックして各項目にいる種族型アイコンをドラッグ&ドロップして手動で移動させるか、「注力割合」というプルダウンメニューで自分好みの割合を選べばいい。

 「研究」は、種族全体に関係する要素で、製造、研究、人口、経済といったジャンルに該当する各施設や技術開発を行なうもの。ここに割り当てる人口が多いほど「研究ポイント」が増加し、速く研究を進められる。1種族が一度に研究できる内容は1種類で、例えば「中性子物理学を研究する」と定めた場合なら、所有する全コロニーの研究ポイントが中性子物理学の研究に割り当てられる、という形になる。

 「食料」はそのコロニーの人口増加に関係する要素で、ここに割り当てる人口が多いほど「食料ポイント」の増加が高まり、人口の増加につなげることができる。人口が増えるとそのぶん研究や製造にも余力が割けるようになるので、可能であれば早めに高めておきたいポイントだ。なお、各コロニーの最大人口はコロニーごとに異なる。最大人口については各コロニーをクリックすれば確認可能だ。

 「製造」は、そのコロニーに設置する各種設備や貿易品、宇宙船などの製造に関連している要素で、ここに割り当てる人口が多いほど「製造ポイント」が多くなり、製造物が完成するまでのターン数が少なくなる。また、製造ポイントは通貨である「クレジット」に交換したり、コロニーの大気汚染浄化につなげることもできるなど、汎用性が高いという特徴もある。

 移民や入植に使う宇宙船だけでなく、いわゆる軍艦の類も各コロニーでの生産となるため、製造に多くの人口を割り当てられるとそのコロニーは発展させやすい。なお、項目ごとの割り当て数はコロニーごとに異なっているので、その部分も考慮しながら開発を進めていくと良さそうだ。研究、食料、製造の3要素、いずれも欠かせないものではあるが、どこに注力するかはプレーヤーの戦略次第なので一概にこれがベスト、というものはない。ただ、つねに同じ配分とするよりは、状況に応じて必要なポイントを上げていった方が開発の効率は高まるだろう。

入植したてのコロニーは人が少ない。さらに最大人口も少ない星では、その後の運用は腕の見せどころとなる
クレジットを余計に支払えば、製造予定のターン数より早く製造物を獲得することも可能。資金に余裕があるときの力技だ

宇宙海賊、宇宙モンスター、そして他種族……あらゆる危険を排除せよ

海賊の艦艇と遭遇後、戦闘へ。攻防の操作は基本的にオートとなっているが、陣形の指定など一部は介入できる
戦闘はプレーヤーの好みでリアルな3D形式でも見ることが可能。効果音も臨場感があり、迫力の映像が楽しめる

 ゲームを進めてややもすると、自種族のものではない何かと遭遇することがある。それが敵性勢力であるとその旨のメッセージが表示されるため、しっかりチェックしておきたい。序盤において注意すべきは「宇宙海賊」で、これが自種族のコロニー上に待機しているとクレジットなどの搾取が行なわれるため、早めに撃退したいところ。また、宇宙を探索しているとときおり出現する宇宙モンスターは凶悪で、うっかり同じ場所に居合わせると攻撃を受けることもある。

 いずれの場合でも、これらの敵性勢力に対抗し得るのは戦闘力を持った艦艇しかない。そのなかでも「フリゲート艦」はもっとも手軽かつ序盤から作れる艦艇で、まずはこれをいくつか持っておくと安心だ。また、それよりも強力なものとして「駆逐艦」、「巡洋艦」などの艦艇もあるが、ある程度研究開発が必要であったり高価だったりということもあり、経済力に余裕が出てこなければなかなか作ることはできない。

 なお、作った艦艇は、同じ場所に集めると艦隊として運用が可能。すべての艦艇で同じ敵性ユニットに対して攻撃ができるので、そのぶん勝利しやすくなる。艦艇が集まるほど攻撃力も高まるため、強敵に対してはなるべく強力な艦隊を組んで挑むのがセオリーとなるだろう。ただし、多くの艦艇を集めすぎることでコロニー周辺がガラ空き、などということのないように気をつけたい。

 また、敵ではない他の勢力(主に異なる種族)と出会った場合、攻撃することで当該勢力との戦争状態へと陥ってしまう。戦争をしてはいけないわけではないが、戦争状態になると軍備にお金がかかる上、直接戦闘をしていない他の勢力からも警戒され、以後の勢力拡大に影響が出ることも考えられる。判断は慎重に下そう。

「宇宙ウナギ」と呼ばれる宇宙モンスターと遭遇! これがとても強く、このときは勝利したものの、失った艦艇数も多かった

他種族との同盟・戦争をコントロールせよ

他種族との外交は「外交」メニューから行なえる。平和的かつ自分たちに有利な同盟関係を結んでいきたいところ
外交を推進する際は相手種族のリーダーに謁見し、不可侵条約や技術交換といった申し出を行なう

 本作は宇宙の覇権を他種族と争うゲームだが、だからと言って見たものすべてを攻撃していると、他種族の同盟による反撃などを受け、著しく不利な状況へと追い込まれてしまう。そうならないためにも、他種族との同盟は有効に行ないたいところ。とくに、自種族の経済力ならびに軍事力に余裕が出るまでは、軽々に戦端を開かないほうが得策と言える。

 なお、既知の種族については「外交」メニューから、その同盟関係を把握することが可能。そこからは、チャート(星系マップ)の共有、大使館建造、技術交換、さらには宣戦布告などさまざまな形で交渉を行なうこともできる。もちろん、内容次第で相手の好感度に影響するので、よく考えて進めていきたい。

 今回、筆者がプレイしたのは「普通」の難易度だったが、普通にプレイをしていたなかでは200ターンを過ぎてもどこの勢力間でも戦争は起こらず、宇宙は平和なまま推移していた。その後あえて本稿のためにと戦争を仕掛けてみたものの、軍備にほとんど力を入れていない状況だったので、以降のプレイにかなり影響が出てしまった。やはり、戦争は行なうべきタイミングを見極めてやるのが良いようだ。逆に、最初から戦争特化の種族としてプレイしてみるのも楽しいかもしれない。

外交方針によっては特定の種族から進言を受けることもある。それをどう受けるかで今後の展開も変わっていく
とりあえず軽い気持ちで宣戦布告。当然ながら戦争状態に入り、その後の展開がとても苦しいものに……

 今回はストラテジーゲームというジャンルの性格上、結構長めにゲームを体験してからのプレイレビューではあったが、それでもおそらくは本作で楽しめることの半分程度しか体験できていないように思う。それだけ本作が色々な遊び方を秘めた懐の深いゲームだということなのだろう。

 また、今回はCPUを相手にした「シングルプレイヤー」モードのプレイレビューとなったが、じつは本作には「マルチプレイヤー」モードも搭載されている。こちらはプレイする相手が見つからなかったこともあり残念ながら試すことができなかったが、この長丁場必至のゲームが多人数ではどのくらい時間がかかるのかは、正直言ってまったく想像がつかない。それでも時間があればぜひ参加してみたいところだ。

 本作はアーリーアクセス版ではあるものの、現時点でかなり遊べているので、今後どうなっていくのかが非常に楽しみだ。以降もその動向に注目しつつ、引きつづきゲームを遊んでいきたいと思う。ともあれ、ストラテジーゲームが好きなプレーヤーには、ぜひ一度は触れてみていただきたいタイトルである。

【スクリーンショット】

(泊 裕一郎)