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「マビノギ」チームの新作モバイルMMORPG「野生の地:Durango」
2種類の島を組み合わせた群島でサンドボックス特有の弱点を克服
(2015/11/13 00:00)
2種類の島を組み合わせた群島でサンドボックス特有の弱点を克服
「G-STAR 2015」の初日に、ディレクターのイ・ウンソク氏への合同インタビューが行なわれ、本作のコンセプトやビジョンを聞くことができた。2種類の島を組み合わせたマップなど、意欲的な新システムについても雰囲気がわかる。どんなゲームなのか、このインタビューからおぼろげながら形が見えるはずだ。
――タイトルの由来について教えてください。
イ氏: 「Durango」というタイトルは“水の地”という言葉を語源にしていています。これはメキシコに実在する地名です。似た名前の都市がアメリカにもあると聞いています。このゲームの中で水は非常に重要で特別な資源になっています。人が生存していくための重要な資源でもありますし、交通手段にもなります。人だけではなく、動物も水辺に来て水を飲んでいくので、そこで狩りをすることもできます。水がこのゲームにおいて非常に重要な意味を持っているので、水の地という意味にしました。
――改めて本作の開発コンセプトを教えてください。
イ氏: 私たちがこのゲームを開発するにあたって掲げたビジョンは開拓プレイができる新しい形のMMORPG。これまでのMMORPGはクエストを受けて、何かものを配達したり、敵を倒したり、宿題をこなしていくようなイメージがあったが、MMORPGの文法を根底から切り替えるような新しいものを開発したいということで、開発に至りました。大きな特徴は開拓プレイということです。
――なぜモバイル向けにしたのですか?
イ氏: モバイル技術が非常に発達していて、ゲーミングの環境に非常に大きな可能性を開いている。私たちはMMORPGをいつでもどこでもプレイできるようなモバイルゲームにしようと考えました。そのため従来のモバイルゲームとはややアプローチをしています。ほぼ1人で遊べる非同期式のモバイルゲームと違って、私たちはフルMMORPGを目指しています。
――マップが非常に広いということですが、どのくらいの規模なのですか?
イ氏: マップがすべてクライアントに入っているわけではありません。サーバーでその都度受けて処理をする形になっているので、グーグルマップやグーグルアースの地図を見るように本当に無限大のスペースを使うことができるわけです。私たちが内部でテストをしたときに、大きな大陸では10km×10kmのおおきな大陸もテストしました。ですが、より小さな単位の島で提供したほうが、ユーザーにとってもっと面白さがあるということが発見できまして、小さな島単位に分かれたマップが無限大にあるようなものになっています。ですので大陸ももちろん存在していますが、ユーザーさんが主にプレイするのは1km未満の島が群島になった場所になると思います。
――サンドボックス要素について教えてください。
イ氏: サンドボックスの概念については、今までのゲームにはない特別なものがあります。あらかじめ作られた村や都市はありません。すべてゲームの中でユーザーさんが直接作ることになります。ほかのMMORPGでは、すでにある街の中にNPCがいて、ユーザーさんにクエストを与えたりショップを開いたりしていますが、そういうことはまったくありません。荒れ地から街を自分で作っていったり、ここは私の私有地ですと宣言したり、何かのものや施設を独占したり、あるいはほかのユーザーと共有したりしています。
――サンドボックス型のゲームは、ある程度開発が進むと満足してしまい、リセットしてやりなおしたりしているが、本作ではどうなるのか。
イ氏: 先ほど大陸と群島のモデルについて簡単に説明しました。実は私たちがサンドボックス型のゲームを作るとき気にしたことが2つあります。1つめは、時間が経つにつれてどんどん開拓されていって、たくさん開拓されているところにいくとあまりやることがないので、興味が失われてしまうのではないか。2点目は地政学的なストレスが発生するのではないかと思いました。例えば私がこの領土を開拓して建物をたててずっとここを反映させたのですが、すぐ隣にあまり気に入らない人が入ってきて対立が生じたらどうするのかという悩みがありました。おそらくそういうことで、従来のサンドボックスゲームは非常にハードコアになるのではないかと思いました。その解決方法として小さな群島単位に分けて、そこである程度人口が維持できるような配慮をしていこうと思っています。我々がこのゲームのエンドコンテンツとして考えているものは2つあります。1つは部族を作って連合していくこと。もう1つは不動産です。有用な資源を算出する土地を巡って対立が生じると思うので、そういうものをエンドコンテンツとして考えています。
――群島についてどういったものかもう少し詳しく教えてください。
イ氏: 島には安定した島と、不安定な島の2種類があります。安定した島はプレーヤーがそこに居住するのに使います。ゲーム内で死んだときに復活するのもこの安定した島になります。どの島にいくかはチュートリアルが終わった時に決めます。チュートリアルが終わると、ほかのユーザーと一緒にいかだを作ってその島から脱出する場面があります。その時に、すでにこのゲームをやっている友達がいますかという質問が出ます。もしいるなら、友達の名前を入力すれば、その友人の隣の島に行くことになります。もう1つの選択しは、同じいかだに乗っている人たちと同じ島に行きますかという二者択一です。もし適切な島がない場合は、システムが新しい島を作って推奨します。
次に不安定な島ですが、不安定な島は家というより職場だと考えてください。出勤するような形で不安定な島に行きますが、疲労度がたまりますので長く滞在はできません。そこにいて自分に有用な資源をとって自分の島に戻ってくる形になります。この不安定な島の寿命は1週間から2週間経つと消えてしまいます。いわゆるセッション制の島だと考えてください。このように安定した島と不安定な島をユーザーさんが行き来するのが「Durango」の革新的なゲームプレイの形となります。
――安定した島はユーザーのみが入れる島になるのですか?
イ氏: 安定した島も不安定な島も人数を制限することは考えていません。少なくとも数十人規模で入れるようにしたいと今は考えている。
――大規模戦について教えてください、
イ氏: 1つの部族については、コミュニティだと考えればいいのですが、それほど多くはなく30人程度を考えています。これは社会心理学的に、そのくらいの人数がおたいがいにより親密感を感じやすいという理由からです。ほかのゲームのギルドに似通ったものだと考えてください。国は部族の緩い連合だと考えてください。それが領土をめぐって対立をするわけです。例えば50レベルになって、不安定な島が発見されたとします。その島は非常にいいダイヤモンドが取れる島で、色々な部族がそれを早く獲得しようとします。その中で自分の部族に有利なベースキャンプを作ったり、ほかの部族が入ってくるのを邪魔するような施設も作れます。後々には私有地をめぐる争奪戦もありかなと考えています。
今はバトルのことを例に挙げましたが、部族の強さを決めるにはそれ以外の要素もあります。その部族全体に役立つインフラを税金を使って作ることができます。例えば私たちの部族は最高の農業ができるような部族にしたいという場合には、農業振興施設などを税金で作ってそこで優秀な農作物を作ることができます。戦闘だけではなく、色々な生産要素であるとか、ほかの部分で十分競争という要素を取り入れることができると思います。例えばうちの部族は商業に力を入れたいという場合には、貿易所を作ります。一定の範囲にある島はその貿易所を使うことができます。大きな貿易所を作ればほかの島の人たちもあえて自分たちで作るのではなく、その大きな貿易所に入ってものを売買すればいいので、そういう判断ができるわけです。部族が何に力を入れたいかを決めることによって、その部族のアイデンティティが決まるわけです。いろいろ説明していますが、すべてがすでに開発されているわけではありません。そういう方向性を目指して開発しようとしているという事を含めての説明です。まずは部族の連合が大きな規模になる前に、ゲーム内の小さなコミュニティを発達させることを先にやらなければいけません。ユーザー同士の絆や、コミュニケーションが活発に取れるような環境に気を付けて開発をしています。
――具体的なマネタイズはどのように考えられていますか。
イ氏: 具体的なビジネスモデルはまだ決まっていません。大きな目標として、10年以上サービスできるようなゲームを開発したいと思っています。無理なビジネスモデルでは、ゲームの未来を考えるよりも目先の収益になってしまいますから。ビジネスモデルに関しては慎重に検討したいと考えています。
――バトルシステムについて教えてください。
イ氏: モバイル上で快適な戦闘ができるよう心掛けた結果、今の形になっています。ターゲットを選択してバトルに入るとオートアタックになります。それ以外に、プレーヤーはアクティブスキルを予約しておくことができます。ゲームが少し進むと、ユーザーはキャラクターをどう成長させるかを選ぶことができます。例えば近距離が得意か、遠距離が得意なのか、敵の背後から攻撃するようなスキルを持っているのか、そういうところをユーザーが選ぶことになります。
――ゲーム内で進行するストーリーはあるのでしょうか。
イ氏: ゲームの中のストーリーは非常に面白い独特な設定になっている、。なぜ現代人がこの不思議な世界にワープすることになったか。地球なのか、地球とは全く違う場所なのか。ストーリーを一方的にユーザーさんに強要するのはオンラインRPGではないとおもうので、破片としてバラバラにしてあります。それをユーザーさんが経験の中で紡いでストーリーにしていく。こういうストーリーや世界観はゲームを開発するものが提供するのはあまり面白くないと思っていて、ユーザーが体験して気づくのが面白いと思っています。いまはユーザーの体験をほかのユーザーさんにどう提供するかを考えています。
――日本でのリリース時期とグローバルでの予定を教えてください
イ氏: ローンチの時期はまだ未定です。韓国では12月からβテストが始まります。その後の開発の過程でグローバルでもβテストをやっていきたいと思っています。日本サービスについては、まだなにも決まっていません。日本だけがほかの地域に比べて遅くなるということはないですが、時期については未定です。
――最後にメッセージをお願いします。
イ氏: この「野生の地:Durango」を企画した時、従来のゲームと似たものなら作る必要はないと思いました。モバイルには似たようなゲームがたくさんありますが、その中でも特徴あるゲームになっていると思います。
――ありがとうございました!
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