ニュース

面白いインディーはコレ! スパイアクションが楽しい「FRAMED」

教育テレビの番組のようなセンスが光る「Metamorphabet」

3月2日~6日開催



会場:San Francisco Moscone Convention Center

 GDCの楽しさの1つに「IGF(Independent Games Festival)」がある。少人数のスタッフによる独立したゲームメーカーが、自分たちのセンスを注ぎ込み、独特のゲームを作り上げる。そのゲームの中から、ゲーム開発者達が賞賛したゲームが集うのがIGFだ。特に今年はメーカー製のゲームがノミネートされる「Game Developers Choice Awards」にも多数のインディーズタイトルがノミネートされ、その境界線は薄まりつつある。

 インディーズタイトルのゲームが与えるインパクトは強烈で、ゲーム開発者が集まるGDCだからこそ輝く。GDC EXPOではIGFのコーナー「IGF PAVILION」が設けられており、そこではノミネートされたタイトルに触れることができた。このブースでは、優れたインディーズタイトル開発した“仲間”に惜しみない賞賛を贈る開発者達の姿が見られた。

 本稿ではそんなIGFノミネートタイトルから筆者が特に面白いと思ったものをピックアップしたい。今回紹介するタイトルはどちらも英語が苦手でも楽しめ、日本のApp storeで発売中のタイトルである。興味を持った方は触って欲しい。

スタイリッシュなスパイアクションをコマを動かして成功させろ! 「FRAMED」

スタイリッシュなスパイアクションを自分の“指”で成功させるのが楽しい

 Loveshackが開発した「FRAMED」は2014年11月にリリースされた作品だ。iOS版で、価格は500円(税込)。影絵で表現された人物がスリルとサスペンスたっぷりのアクションドラマを繰り広げるスタイリッシュなスパイドラマで、IGFでは「Excellence In Design」にノミネートされた。他にも様々な賞を受賞している作品である。

 本作の画面は漫画のページのように、コマ割りのようになっている。左上の再生ボタンを押すとドラマが始まり、プレーヤーであるスパイは警官に追われながら決死の逃亡劇を繰り広げる。キャラクターは影絵で表現され、絵は全体にシンプルだが、カメラワークやアニメーションがスタイリッシュで、一気に画面に引き込まれる。

 ゲームとしての面白さは、プレーヤーがコマをタッチすることで順番を入れ替えることができる点にある。コマを入れ替えることでキャラクターのアクションの時間軸が変わったり、スパイが逃げる経路が変わるのだ。コマを変えずに再生すればスパイは走って警官と正面衝突してしまうのだが、警官のコマを後ろ(画面右側)にずらし、間にドアの描かれたコマを挟み込めば無事通り抜けられるようになる。

 警官が一斉射撃をするコマの前にテーブルのコマを配置することで影に隠れてやり過ごしたり、はしごが描かれたコマを利用して警官のいる道を迂回する純粋に2Dのパズルを追求した場面もある。とにかく次のシーンが気になってどんどんプレイしたくなる、スタイリッシュなセンスを強く刺激する作品だ。

【FRAMED Game - Release Trailer】

【FRAMED】
画面を見ただけでその世界観に強烈に引き込まれ、シンプルなゲーム性に思わずプレイしたくなる。インディーゲームのお手本のような作品だ

アルファベットが変身? 英単語学習もばっちりな「Metamorphabet」

Fの文字がどんどん変身していく。そのセンスに圧倒される

 Vectorparkの「Metamorphabet」は2月にリリースされたばかりのiOS向けパズルゲームで、価格は400円。「Metamorphabet」とはメタモルフォーゼ(変身)するアルファベット、といった意味だ。「Excellence in Visual Arts」の大賞を受賞した作品だ。

 「Metamorphabet」では画面に大きく英語のアルファベットが現われる。プレーヤーがその文字をタッチすると文字が変身する。Gをタッチしていると文字がみるみるうちに変形し「Guitar(ギター)」になる。ギターはスワイプすると左右に動き、弦の部分をタッチするとギターを弾いているかのように震える。

 そしてギターをタッチしていると不意に花が咲き「Garden(ガーデン)」となる。この花はタッチすると震えるが、花部分に指を押し当て、引き抜くようにスワイプすると花びらが散り、「Ghosts(ゴースト)」の姿になって消えていく。これでGの項目はクリアとなり、右上に星が表示される。この星をタッチすると次のアルファベットが表示される。

 面白いのは文字の“変身”が全く予測のつかないところだ。Gは大きく文字そのものが変形したが、Fは「Foot」となりFの文字の形のまま下に足が生えて歩き始め、さらに全身から羽根が生えて「Feathers」となり、かなり“キモい”姿となる。大きく姿を変えるもの、変化が全く予測不可能なもの、面白いアクションをするもの……本当にクリエイターのセンスに圧倒される。

 そして「教育的」なところも面白いところだ。子供に英単語を覚えさせる、英語に興味を持たせるには最適なツールではないだろうか。センスを楽しむだけでなく、親子のコミュニケーションツールとしても「Metamorphabet」はとても楽しい。まるで教育テレビの番組のような雰囲気のゲームだ。

【Metamorphabet PV】

【Metamorphabet】
画面の展開は予測不可能。シンプルだが美しく、思わずほほえんでしまう暖かさも持っている

(勝田哲也)