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タイトー発、スマホ「アイドルクロニクル」プロデューサーインタビュー

現代的アイドルビジネスを導入した“最後発アイドルゲーム”のこだわり!

12月25日 Android版配信

今冬 iOS版配信

ダウンロード:無料

利用料金:無料

ビジネスモデル:アイテム課金制

「ライブ」をカスタイマイズしてプレイするだけでなく、さらに動画を投稿して“みせびらかす”ことができる

 タイトーは、スマートフォン/タブレット向けアイドルみせびらかしゲーム「アイドルクロニクル」Android版の配信を本日より開始する。ダウンロード、利用料金は無料で、ビジネスモデルはアイテム課金制。

 「アイドルクロニクル」は、アイドルの3人組を育てていくアイドル育成ゲーム。ゲームはリズムアクションが中心となっており、育成と「ライブ」を行なっていく。

 本作では「ライブ」部分に最も力が入れられており、3Dモデルによるダンスが展開されるほか、配信直後で1,200万通りの組み合わせがあるという衣装決めや、ステージ演出などでプレーヤー独自のライブを演出できる。また録画・投稿機能もあり、プレイした「ライブ」はニコニコ動画やYouTubeに投稿し、自分たちのアイドルを“みせびらかす”ことができる。

 Android版の配信開始は12月25日0時過ぎを予定しており、記事掲載時点で間もなくプレイが可能になる。そこで今回は本作のゲームプロデューサーの郷田努氏にインタビューを敢行し、「アイドルクロニクル」制作のきっかけからコンセプトなどを伺ってきた。

郷田氏、昭和アイドルから現在のアイドルまでを語る

「アイドルクロニクル」ゲームプロデューサーの郷田努氏
ダンスは1パターンだけでなく、アイドルのランクによって変化していく
数々用意された衣装によって独自の動画を作れる

――“アイドルゲーム”はすでに熾烈な市場ですが、ここにあえて参戦しようと思った制作のきっかけを教えて下さい。

――郷田努氏: 最後発とはいえ、もっとスマホに最適なUIやデザインのアイドルゲームが作れるのではないかと思ったからです。

 私自身家庭用ゲームでやりたいゲームはありますが、スマホでプレイしたいなと思えるゲームはほとんどありません。しかしデザインやUIをスマホに最適化したアイドルゲームが出せるなら、これは勝機があると。同じようなアイディアはどんどん出てくると思うので、あとは時間との勝負でした。

――改めて、本作のウリはどこでしょうか?

郷田氏: 3Dモデルはシェーディングに気を遣って2Dに見えるようにしている点、実際もっとありますが、1,200万通り以上ある衣装の種類の豊富さによってライブを“みせびらかす”ための作り込みが可能になっている点、またキャラクターはフルボイスになっている点です。

 プレイしたら、少なくとも「PVの方が良かった」とはならないようになっています。「思ったよりもすごいじゃん」という反応を多くいただいています。

 また「ライブ」の投稿機能はプレイのサイクルの1つになっていて、「ライブ」開始時に動画を録画するかどうかを決められます。ライブが終わって気に入らなければ破棄できますし、投稿先はニコニコ動画、YouTubeを選択できるほか、Facebook、Twitterへの自動投稿機能にも対応しています。衣装に加えてライブ中の特殊演出も可能なので、プレーヤーのオリジナル性がより出せるようになっています。

――アイドルのダンスにも変化があるんですよね。

郷田氏: アイドルのランクによって、「がんばれば自分でもできそう」というものから、「こんなの無理だよ」というものへと変わっていきます。衣装の組み合わせと同じく、アイドルを育てていく過程を自慢するような感じで投稿できるようになっています。

――制作していく中で、現在のアイドル事情を相当勉強されたそうですね。

郷田氏: 元々アイドルにはあまり詳しいわけではないのですが、その代わりアイドルビジネスの論文を読んだり、アイドルに関する資料を読んで、みっちり勉強しました。アイドル好きな方たちにも「今は何にはまっているか」をインタビューし、たくさんのヒントをもらって、それをつぎ込んでいます。

 「アイドルクロニクル」は、2014年の終わりにリリースする最後発のアイドルゲームですから、現代らしいアイドルの要素を入れています。現代のアイドルで象徴的なのは、歌詞に“私”や“あなた”といった言葉は使われておらず、必ず“私たち”や“君たち”のように人称が複数になることです。

 昭和のアイドルはまさに“偶像”といった感じで、歌番組などで3分なら3分、その1人だけが輝けるショウケースが作られることで、距離感は遠いが憧れる存在として成立していました。しかし歌番組が終了して段々とその仕組みが崩れていくと、ショウケースの場はCMなどに移って、歌うアイドルというのはいなくなっていきます。

 その後、普通の大学生などをアイドルにしたより“身近な存在”としてのアイドルグループが登場します。加入と脱退が誰であるとか、誰と誰が違うグループを結成するとか、ファンと一緒に育てていくという、“身近な存在”をさらに突き詰めた“会えるアイドル”が生まれ、今のような流行を生み出しました。

 あるアイドルグループには「支配人部屋」というのがあって、これはいつでも空いており、誰でも自由に支配人に物を申せる場所になっています。聞いた話ですが、今恒例となっているメンバーの誕生日を祝う「生誕祭」は、支配人部屋での要望が採用されたものだそうです。

 先の歌詞の件は、アイドルがグループ化したというだけでなく、この「ファンと一緒に何かを作っていく」というものをはっきり意識しています。これが現代的な感覚ですし、本作の楽曲の歌詞もそれに倣っています。

 またゲーム中ではプレーヤーのことを“サポーター”という言葉で呼んでいます。Jリーグのように、サポーターと運営が一緒になってもっと上のステージに持っていくという感覚です。

――今風のアイドルビジネスのノウハウまでもを、ばっちり組み込んでしまおうと。

郷田氏: アイドルの総選挙などはまさにそうですね。それだけでは面白くないから「じゃんけん大会」をやってみたりしてますが、サポーターとしてのファンの方が本当にアイドルを育てているような感覚になれます。

 なので「アイドルクロニクル」でも、ファンミーティングのようなものもやろうと考えています。サポーターの方と一緒に作り上げていくということを目指しています。

――具体的に、その方針が反映された具体例などありますか?

衣装は要望などをフレキシブルに採り入れて、どんどん追加する予定

郷田氏: 例えば先日、ユリア役の五十嵐裕美さんが衣装に「ケモミミ」(獣の耳のこと)を増やして欲しいとTwitterで言っていて、フォロワーの方と何がいいかと話していたんです。それを私がリアルタイムで見ていて、「ぜひやりましょう」と。ウサギ、イヌ、キツネ、オオカミの耳衣装が、早ければ1月中旬くらいに入ります。

 またニコニコ生放送でキャストの方がナースやCAの衣装が欲しいと言っていたので、その場で「ではやりましょう」と。そのくらいのスピード感をもって、プレーヤーの方と一緒に作っていきたいと考えています。

 ROMで焼いて動かせないというゲームではないので、「スマホでやるのが最適だよね」と思われるような作り方をしていきたいですね。それとこれは裏テーマなのですが、家庭用ゲームの出身者がスマホ市場で成功している例がほとんどありません。新興系企業のゲームが席巻している現状があるので、昔良いものを作っていたが、今も良いものを作っていて、かつマネタイズもできているというのをしっかり見せたい、という思いもあります。

「ダメなところからみんなで登っていく」王道ストーリー

「アイドルクロニクル」の方針をホワイトボードを使って説明する郷田氏
3人のアイドルは、すべて王道キャラクター。“一緒に育っていく”感覚を大事にしている
「ライブ」以外ではアイドルは2頭身の2Dキャラクターで表示。その分「ライブ」での立体感が際立つ

――プレーヤーと一緒に作り上げていくというお話がありましたが、主要キャラクターの設定などはどのように作り上げましたか?

郷田氏: 最初にサポーターが触れるキャラクターということで、奇をてらったことはしていません。

 アイドル好きな人に聞けば聞くほど邪な気持ちがなくて、歌手だったり、女優だったり、アイドルの子が目指すものを純粋に応援するような気持ちでいるんです。

 なので、キャラクターについても、純粋に王道でいいんだと。ダメなところからみんなで登っていくのがいいと、異口同音でみなさん言っていました。そのためマネージャーとアイドルが男女の関係になっていくようなストーリーは描く気がありません。

 プレーヤーは“マネージャー”として、アイドルの真横で苦楽を共にしていく立場です。“プロデューサー”ではどうしても上下関係が出てしまうので、ここは“マネージャー”という設定にこだわりました。アイドルは結局はスポ根でもあるので、潰れかけの事務所からスタートして、プレーヤーも含めて1つのユニットになっていく、というストーリーが主軸になります。

――課金は衣装部分になるのでしょうか?

郷田氏: そうなります。キャラクターに着せる衣装は「衣装」と「アクセサリ」の2種類あって、「衣装」は1つで3人分着用できますが、「アクセサリ」は1つで1人分になります。そこでガチャも「衣装」と「アクセサリ」の2種類にわけていて、「衣装」は400円分、「アクセサリ」は200円分で販売します。

 また衣装とアクセサリは毎月100種ほど増やしていく予定ですが、ガチャの基本セットの中身を期間で変えるようにして、当たる衣装の確率を一定数にしようと考えています。販売が終わったセットは、どこかのタイミングで復刻販売などもする予定です。

 一方で、レアリティの低い衣装でもかわいい衣装はたくさん用意しています。無課金でも十分かわいい動画が作れるという勢力と、「いやいや、それでもこっちの方がいいでしょう」という課金勢力との動画対決が発生するような気が今からしています(笑)。

――本作の発表時に驚いたのは、制作メンバーの豪華さです。この座組はどのように決まったのでしょうか?

郷田氏: 実際の所、コンセプトに共感していただいて、プロトタイプを見せて、参加してもらえる人を探していったらこうなりました。課金が前提ではなく、よりたくさんの人にゲームを心から楽しんでもらいたい、その考えに対する共感も含めて、熱量をもって同意してもらった感じです。

 最終的な制作構成は7月中旬にFIXしたのですが、そこから12月25日リリースですから、熱意以外の何物でもありません。みなさん超サイヤ人みたいな人たちだったのでまとめるのは大変でしたが(笑)、1つのチームとして、ビジネスを超えた結束力になっていると思います。

――今後のアップデートなどの予定はいかがですか?

郷田氏: 衣装のほかにも、直近では「ライブ」だけをひたすらできるアーケードモードの実装や、春には新曲を3曲入れる予定です。

 投稿できる動画についても、コンテストみたいなのはゆくゆくやろうと思っています。投票できる機能も作って、四半期ごとに大賞を決める番組も設けていきたいですね。将来的にはコミカライズやアニメ化も狙えたらと思っています。

 現在ではアプリのマーケット自体がレッドオーシャンであり、新規にタイトルを立ち上げてもなかなか続きません。そこでいかに露出面を増やせるかが重要なのですが、関わる人達が増えていく過程で誰1人興味を持たない人はおらず、ポジティブな反応が続いて話が膨らんでいます。私自身は石橋を叩いてそれでも渡らないくらい慎重派なのですが、ひょっとしたらヒットするのでは、と期待しはじめているところです。

――それでは最後に、メッセージをお願いします。

郷田氏: 「アイドルクロニクル」は、PVやスクリーンショット以上のものになっています。ダウンロードは無料ですし、決して損はしないので、遊んでみて、面白いじゃんとなったらぜひ続けてプレイしてください。イベントや衣装などたくさん用意しているので、飽きることなく遊んでもらえるはずです。まずは騙されたと思って、ダウンロードしてもらえるとありがたいなと思います。

(安田俊亮)