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【必見! エンタメ特報】死闘の戦車バトル映画「フューリー」

シャーマンとティーガーIが現存車輌で対決! ブラッド・ピット主演の重厚戦争ドラマ

11月28日 TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー

 激怒や烈火のような怒りという意味を持つ英単語「Fury」。ブラッド・ピットが主演する戦争映画「フューリー」のタイトル名は、劇中に登場する戦車「M4中シャーマン」の愛称であり、登場人物たちの中に渦巻く感情であり、映画自体が持つ戦争に対する意識でもある。

 本作の見所は、リアルな戦場描写と登場人物の行方、そしてアメリカを代表する戦車「M4中シャーマン」とドイツの伝説の重戦車「ティーガーI」との対決シーンだ。

 また戦車がテーマとなっていることもあり、オンライン戦車ゲーム「World of Tanks」の中に映画仕様のシャーマン戦車が登場するなどのタイアップも実施されている。映画では現存する本物の戦車を使用し、さらに戦車を使った作戦展開も本格的に再現しているので、本作を見ておくことで、ゲームプレイ時における印象はまた違ったものとなるだろう。ゲームからさらに1歩踏みこんだ、リアルな戦車戦が堪能できる1作だ。

【映画「フューリー」予告編】

若造かつド素人のノーマン(左)に活を入れるウォーダディー(右)
5人は戦車の元に一体となって戦場を駆ける

 舞台は1945年4月の第2次世界大戦末期。ドイツ軍と長く戦ってきた“ウォーダディー”(ブラッド・ピット)率いる戦車チームの元に、新兵のノーマン(ローガン・ラーマン)が配属されてきた。ノーマンはタイピストとしての訓練を受けているものの、戦車の操縦経験はおろか戦闘経験も全くない。

 「フューリー」部隊はアフリカ、フランス、ベルギーと死線を越えてきた百戦錬磨のチームだが、ノーマンだけは全くのド素人だ。心の準備もままならないまま、いきなり前線に駆り出されるノーマンの心情は、同じようにいきなり戦場に連れて行かれる観客と一体となる。

 ノーマンが目撃していく戦場は、何もかもが悲惨なものだ。戦闘地域では少年の奇襲攻撃によって味方戦車が撃破され、森や塹壕に隠れるドイツ兵の殲滅戦では一気呵成の突破が成功したものの、味方の被害は少ないものではない。死んだらそれで終わりだが、1つの戦闘に勝利しても安堵する暇はない。

 前線の戦況は逼迫しており、勝利しても次、また勝利してもすぐに次の作戦が待っている。何かあればすぐに命を落とす戦場に放り込まれたノーマンは、「殺さなければ殺される」異常な世界でのふるまい方をウォーダディーに荒々しく導かれながら学んでいく。

 戦車は司令官の車長を筆頭に、砲手、装填手、操縦士、副操縦士の5人1チームで操縦するため、家族のような絆と連携が必要とされる。リーダーのウォーダディーは父としてチームメンバーの上に君臨し、映画中には本当に父のように食卓を囲むシーンもある。戦場だからこそ生まれた、強固だがどこか虚しい男たちの絆も映画の重要なポイントだ。

やんちゃな部下たちに対し、父のようにふるまうウォーダディー(左)。男たちの絆も映画のポイントだ

戦車を一斉展開するバトルシーンも登場する

 映画での戦闘は、野戦、市街戦、対ティーガーI戦車、そしてクライマックスとなる「フューリー」チーム5人対ドイツ軍300人の戦闘シーンが登場する。映画では戦場での戦車操作もしっかりと描かれており、味方が銃撃に倒れ、顔のすぐ横を砲撃が飛んで行くような中で、逐次指令を出し、それに応えて的確に装填と射撃、操縦を行なう連携プレイも見ものだ。

 特に対ティーガーI戦は、シャーマン戦車3輌でティーガーIに立ち向かうという決死の覚悟の戦闘となっている。大きさも1回り違い、砲弾を当てても跳ね返され、逆に砲弾を1発でも喰らえばあの世行きという圧倒的に不利な状況での戦闘に思わず手に汗を握ってしまう。戦車対戦車はここが唯一だが、非常に印象的で必見のシーンとなっている。

 戦車が大きくフィーチャーされており、戦闘で確かにアメリカ側は勝利しているが、死闘に次ぐ死闘が重く描かれ続けることによって、そこに華やかさの類はない。戦争で勝利を収めたとしても、6千万人の兵士が死んだ事実を決して無視しようとしない監督の意識が表われている映画だ。

ストーリーは作戦に次ぐ作戦の連続。息をつく暇のない、重厚なテーマを持った1作だ

(安田俊亮)