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KONAMI「小島プロダクションのモノ作りの秘密に迫る」ステージレポート

「MGS」シリーズの変遷から最新技術についての解説まで、小島秀夫監督による濃密なトークが展開

9月18日~21日 開催(一般公開日 20日~21日)

会場:幕張メッセ1~9ホール

入場料:
前売り 1,000円
当日 1,200円
小学生以下無料

司会の森一丁氏とKONAMIの小島秀夫監督。小島監督は観客が「THE PHANTOM PAIN」のTシャツを着ていると見るや、とても気さくに話しかけていた
KADOKAWAの矢野健二氏も加わったトークの様子。ボケにツッコミにとサービス精神旺盛にトークする小島監督を、矢野氏がフォローするような姿が印象的だった

 「東京ゲームショウ2014」一般公開日の初日となる20日のKONAMIブースでは、コナミデジタルエンタテインメントの小島秀夫監督とKADOKAWAの矢野健二氏を迎えての、「小島スタジオのモノ作りの秘密」と題したトークショウが開催された。

 このステージはいくつかのキーワードとともに、「メタルギア」シリーズと小島スタジオのこれまでの歩み、そしてそれぞれの今後を小島監督が語る内容となった。今回トークの主題となったのは、「ゲームデザイン」とそれを支える「技術」について。小島監督は「ゲームデザインとはユーザーの気持ちをコントロールすること」と定義し、特に中心となるデザイナーはシステム、映像、音などゲームを構成する要素すべてに通じているべきだと語った。さらに矢野氏がこれを受けて、「小島監督は本人が面白すぎるから作るものも面白くなる」と監督の人柄を評価する一幕も。

 続いて「技術」について話題が移ると、「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」で導入された「FOXエンジン」誕生の経緯などが小島監督の口から明らかになった。

 これまで小島プロダクションは、あらゆるハードで等しくゲーム開発を行なうことができ、アイデアを全て表現できる開発ツールを欲していたという。それを具現化させるために世界中のスタジオを見学し、研究を重ねた結果「FOXエンジン」は完成したとのこと。ゲーム内で24時間の環境変化をリアルタイムで処理できるこのエンジンは、これまでよりも少ない労力で、より豊かな表現を可能とするツールであると小島監督は絶賛した。

 実際にステージで上映されたデモ映像では、驚異的な速度で「MGSV」のゲーム環境が構築されていく様子などが描かれ、客席からも驚きの声が挙がっていた。

 「MGSV」ではCGモデルの制作についても、37台のカメラを用いた3Dスキャンを導入するなど、撮影面でも革新的な技術が導入されている。ここで37台のカメラを用いた実際の撮影時の映像とともに、ステージに俳優のダンテ・カーヴァー氏が登壇。「MGSV:THE PHANTOM PAIN」にキャラクターとして登場するというダンテ氏は、「撮影はとても楽しく、世界的な人気作に携われて光栄でした」とコメント。小島監督と笑顔で握手を交わした。

 小島スタジオの3Dスキャン技術はゲーム制作以外でも活用されており、近日公開となる映画「寄生獣」では、キャラクターのCG制作に小島スタジオが技術協力している。

 矢野氏は「まさかゲーム制作をするための技術が映画に活用されるとは思わなかった」と感動をあらわにした。「近いうちにゲームを「映画っぽい」と形容することがなくなる日がくるだろう」と矢野氏が結ぶと、小島監督もこれに大いに賛同し、ゲームを作ることへの情熱に満ちたステージは締めくくられた。

小島監督による「メタルギア」シリーズの変遷と、ゲームデザインについてレクチャー。監督は自分たち小島スタジオを「長年かけてひとつの仕事を突き詰める職人のようなもの」と形容していた。
「FOXエンジン」の表現力の実演。ゲーム内では雨の夜だった「MGSV:GROUND ZEROES」のムービーが、簡単に昼間の晴天に変更できる。複雑な布のシワなども、写真に近い精密さで描写していた
さらに「FOXエンジン」を用いた環境構築の様子も披露された。拓けたフィールドが、ものの十数秒でジャングルへと変貌していく様子は驚きの一言
3Dスキャンの撮影風景と、登壇したダンテ・カーヴァー氏。小島監督も絶賛する多彩な表情と肉体美は、ゲーム中でどのように表現されるのだろうか?
映画「寄生獣」に3Dスキャンで協力したという小島スタジオ。映画好きの小島監督にとっては、なかなか印象深い出来事だったようだ

(市川太一(クリエンタ))