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SteelSeriesティノ・ソルバーグCTOが最新ゲーミングデバイスをアピール
ハイエンドワイヤレスヘッドセットも準備。ゲームとデバイスの未来を語る
(2013/12/25 00:00)
SteelSeriesは12月13日、新型ヘッドセット「steelseries Siberia Elite」の国内販売を開始した。このタイミングに合わせ、SteelSeriesのCTOであるティノ・ソルバーグ氏が来日。国内では来年春の発売を目指しているホーム・エンターテイメント向けのハイエンドワイヤレスヘッドセット「steelseries H Wireless」を含め、最新のヘッドセット開発についての取り組みを紹介した。
SteelSeriesはデンマーク・コペンハーゲンに本拠を置き、ゲーミングマウスやマウスパッド、ゲーミングヘッドセットを専門的に開発・販売しているゲームデバイスメーカーだ。2001年の創業以来、欧米のe-Sportsシーンと共に成長してきた経緯もあり、スウェーデンのプロゲーマーチーム「Ninjas in Pyjamas(NiP)」の長期スポンサーを務めるなどの活動から、特にFPSのコアプレーヤーから高い認知度を獲得している。
今回来日したティノ・ソルバーグ氏はソフトウェアおよびハードウェア開発、またサウンドエンジニアリングの専門家で、SteelSeriesの創業時より製品デザイン・開発・マーケティングと幅広く携わってきた人物だ。2009年からはCTOとしてあらゆる製品の開発と販売戦略を監修している。
GAME Watchでは新作ヘッドセットについての話題に加え、次世代機の登場など激変の渦中にある業界にSteelSeriesがどう対応し、ユーザーに何をもたらしてくれるのか、そのあたりも聞いてみた。
質実剛健ながら多機能+高品質な新型ヘッドセット
7.1chハイエンドモデル「Siberia Elite」
まずは最新製品から紹介していこう。12月13日に発売された「Siberia Elite(以下『Elite』)」は、SteelSeriesによるハイエンドヘッドセットの長い歴史の集大成となる製品だ。
2004年に発売された初代「Siberia」から、2012年の「Siberia full-size headset V2」まで、SteelSeriesによるフルサイズヘッドフォンタイプの製品は基本的に初代のデザインを踏襲してきた。外側が網目となっている半開放型のイヤーカップがその特徴のひとつだろう。
新製品の「Elite」ではそのデザインを見なおし、全く新しい外観となっている。サウンドドライバーは従来と同じく50mm経となるが、イヤーカップが完全密閉型となり、よりパワフルなサウンドを表現できる。サウンドエンジンはDolby ProLogic IIxに対応し、7.1チャンネルのサラウンドサウンドを再生する。驚くほど音の定位がハッキリとした音質だ。
さらに設計面で面白いのは、イヤーパッド部にボリュームコントローラーを内蔵したこと。イヤーカップの外側、LEDが光る円状のパーツを回転させることで音量調節およびマイクのON/OFFが可能。マイクは格納式であり、純粋なヘッドフォンとしても使える。
USBサウンドカードが付属しており、DolbyProLogic IIxのサウンドはそちらで処理される仕組み。ヘッドフォン部との接続はMicro-USBで完全デジタル方式となっているのも特徴で、アナログノイズの全くないクリーンなサウンドを楽しめるという仕様だ。付属の変換ケーブルでアナログ接続することもでき、別環境では通常のアナログヘッドセットとしても使える小回りの良さも併せ持つ。
仕様が本格派ともなれば価格も22,800円と、オーディオ向けのハイエンドヘッドフォン並み。筆者はここ数日、本モデルを試用しているが、音声品質は極めてクリアで“全ての音の粒がクッキリ聞こえる”という感じである。この特性のため、ストーリーを追うタイプのゲームでボイスオーバーが“いかにもスタジオ録音した感じ”に聞こえたり、音楽の鑑賞時には少々ガチャガチャとうるさい感じがするのが難点だが、それだけオーディオソースの情報が忠実に伝わっているように感じられる。ゲームサウンドの持つ記号性を伝えることに特化した製品と言えるだろう。
低遅延&高音質のワイヤレスヘッドセット「H Wireless」
「H Wireless」は来年春の発売に向けて準備中の製品で、Dolby Pro Logic IIx 7.1chサラウンドに対応したホーム・エンターテイメント向けの最高級モデル。SteelSeriesのヘッドセット製品としては珍しいワイヤレス方式となるが、これまでの製品がほぼすべて有線タイプだったことにはにはきちんと理由がある。
それは遅延と音質の問題だ。一般的にワイヤレスヘッドセットはデバイスの通信にBluetoothを用いるため、100~200ミリ秒という大きな遅延が発生する。また、帯域の制限からオーディオ信号が不可逆圧縮されるため、全体的に音質が“ぬるい”感じになることが多い。銃声や爆発音、足音など、高周波成分の情報が多いゲーム向けのヘッドセットとしては、これらの弱点は致命的である。
そこでSteelSeriesでは、本製品において2.4GHz帯を用いる独自の無線方式を採用。これにより広帯域が確保され、オーディオ信号は無圧縮で送信されるため音質の劣化はなく、またティノ氏によれば遅延も16ミリ秒に抑えられるという。
また、Bluetoothでは無線の通信状況が悪い場合にチャンネルを切り替えて再送信する仕組みがあり、これがラグや音の途切れといった悪影響を生み出すが、SteelSeriesの方式では30ミリ秒ごとに自動でチャンネルを切り替え続けるメカニズムを実装し、無線環境が悪い場合でも途切れのない、低遅延のオーディオを提供するという。
この無線プラットフォームとなるのが付属のオーディオコントロールボックスだ。OLEDディスプレイに様々な情報が表示され、ボタン操作でオーディオモードの変更等の操作ができる。また、内蔵DSPによりボイスチャットの音声を検出すると自動的にゲーム側の音量を下げ、チャットを聞き取りやすくする機能“LiveMix”も備える。この機能もボタン操作でどの程度効かせるかを調整できる。
付属ケーブルを使えば有線タイプのアナログ/オプティカルヘッドセットとしても使えるハイブリッド仕様となっており、使い回しの良さも「Siberia Elite」と同等のハイスペックヘッドセットとなっている。
無線を採用したことも含め、製品デザインとしてはリビングでの利用を念頭に置いたものになっている。来年2月には日本でもプレイステーション 4が発売されるが、そのタイミングに間に合えば人気の製品になりそうだ。発売日・価格は現在のところ未定。先行発売されたユーロ圏では299.99ユーロで販売されており、そのスペックに比例して国内でも相当な価格帯のハイエンド製品となりそうである。