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悩殺系MMORPG「Scarlet Blade」開発・運営インタビュー

セクシーMMORPGはなぜ生まれたのか? “大人向け”を追求した開発姿勢を聞く

10月23日よりオープンβテスト開始

 ネクソンは10月23日よりWindows用悩殺系MMORPG「Scarlet Blade」のオープンβテストを行なう。今回、本作の開発元の韓国LIVEPLEXから開発プロジェクトマネージャーを担当するチェ・ジョンヨル氏と、日本担当のナム・ドヒョン氏、そして運営担当であるネクソン運用本部運用部運用2室ゲーム運用7チームの阿曽沼義典氏にインタビューを行なった。

 韓国ではセクシーな方面、日本の“アダルトゲーム”的な方向性を持つ作品は少ない。特にMMORPGでの18歳未満禁止のゲームというのはPK(相手の同意を得ずに攻撃するプレイを指す)ができるタイトルだった。「Scarlet Blade」もPKができるが、それだけでなく、“アダルト”を求めたところに新しさがあった。本作はどのような反応を韓国でもたらしたのか、なぜアダルトなゲームに挑戦してみたかを聞いてみた。

 もちろんこういったゲームの開発事情だけでなく、本作におけるゲームの目的や、今後のコンテンツなど、“これからの「Scarlet Blade」”に関しても質問した。セクシーさと共にMMORPGならではのゲーム性を求める開発姿勢へのこだわりも聞くことができた。

韓国では前例のないセクシーな18禁MMORPG。日本では全年齢でスタート

韓国LIVEPLEX開発プロジェクトマネージャーを担当するチェ・ジョンヨル氏
LIVEPLEX日本担当のナム・ドヒョン氏
ネクソン運用本部運用部運用2室ゲーム運用7チームの阿曽沼義典氏

 「Scarlet Blade」は韓国では18歳未満禁止タイトルとしてサービスされている。韓国で18禁のアダルトなゲームというのはあまり聞いたことがない。韓国のアダルトゲーム事情、そして本作の韓国での反応はどうだったのだろうか。

 開発のプロジェクトマネージャーを担当するチェ・ジョンヨル氏は、まず「Scarlet Blade」は韓国内での審議に他のタイトルと比べて時間がかかったと語った。本作のセクシーな要素は、大人のユーザーに興味をもってもらうように考えたもので、ユーザーに対してどんなアプローチをすればいいかの議論から出てきた要素だという。

 今まで、韓国ではセクシーさを前面に出した18歳未満プレイ禁止というゲームはなかった。「Scarlet Blade」の韓国内での話題性はとても高く、発表と同時に検索キーワードのランキング上位に入るほどになり、画像検索が特に人気だった。特に話題になったのは、「キャラクターの下着をどう脱がすか」というところだったという。現在でも変わらず画像掲示板でアップされるスクリーンショットを求めるユーザーが多いとのこと。ただし、プレーヤーはコンテンツ、ゲーム性で本作を高く評価しているとのことだ。

 これだけの人気を博したタイトルだが、今のところ同じようにセクシーさを売りにするゲームは出ていない。これまでも韓国では大人向けゲームというのはあったのだが、そちらは表現の残酷さ、グロテスクさを売りとしたもので、セクシーさというテーマは積極的に取り上げられていない。

 チェ氏は「韓国では、やはり文化的にこういったセクシーなゲームは作りにくい環境にあります。私達LIVEPLEXは“挑戦”という意味でこういった方向性を目指しました。大作を出しているようなメーカーでは取り扱うのが難しいテーマだと言えるし、否定的でもありますね。私達はある程度ニッチな方向を目指したとも言えます」と語った。

 また「Scarlet Blade」は人類が地下に逃げてしまい、崩壊してしまった地球が舞台となる。人類は遺伝子としてマザーコンピューターに管理され、人造人間のみが活動している。地上に出ることができるのは女性型の「エルカナ」だけ。プレーヤーは男性型「ブラフマン」としてエルカナに指令を送る。エルカナは女として、男であるブラフマンに惹かれていく。ストーリーにもセクシャルな要素を入れて、“大人向け”を意識しているという。

 韓国では18禁のタイトルだが、日本の「Scarlet Blade」は全年齢である。“規制”が入ることに関してチェ氏は「ゲーム性は年齢制限などを考えていないので、全く問題ない」と答えた。自分たちが表現したいゲーム性は充分日本のユーザーに伝わると考えているという。日本担当のナム氏は「それでもやはり、グラフィックスチームは自分たちがこだわったセクシーな表現が修正されてしまうところは残念だと思っています」と語った。

 韓国で特に人気が高いのが、ゲームキャラクター達のピンナップだという。カレンダー形式になっているものなど様々なものがあるが、乳首が描かれた年齢制限ありのイラストなため、日本では配信することができないコンテンツとのことだ。韓国ではイラストを月1回のペースで更新しており、その日のアクセスはとてもたくさんあるとのことだ。

 セクシーなゲームを出した挑戦的な姿勢に関しては自負を持っているとチェ氏は語った。韓国ではまだこういったゲームは少なく、後に続く人達はいないが、「LIVEPLEXが切り開いていけば良いのではないか」と思っているという。

【キャラクター】
プレーヤーキャラクターは「エルカナ」と呼ばれる女性キャラクターのみとなる

コンテンツはPvPを押し出す。「エルカナクラブ」での交流にも期待

イベントで韓国ユーザーにプレゼントされたというミニフィギュア
「Scarlet Blade」ではどちらかの勢力に最初に所属する
敵のオブジェクトを壊すPvPコンテンツ

 「Scarlet Blade」では、今後はMMORPGとしてのゲーム性、セクシーな方向性、両方を追求していくという。「Scarlet Blade」はプレーヤーの大きな目標としては、2つにわかれた勢力の中で、敵対プレーヤー達とどう戦っていくかがテーマになっていく。セクシーさについては、主にコスチュームやキャラクター性を強調していく。

 このため本作ではキャラクターのレベルアップはソロプレイで十分可能になっており、パーティプレイをしなくても育成可能だ。パーティプレイはダンジョンでの挑戦に必要となっており、高難易度のダンジョンをパーティで協力して周回することで、より強力な装備が入手できる。さらなる強さを求めるために、プレーヤー達は協力してダンジョンに挑むというシステムになっている。

 「Scarlet Blade」はゲームの中心をPvPに置いており、このPvPで勝つ力を得るためにダンジョンを回ったり、生産をがんばってみたり、ペットを育てたりとキャラクターを強化するその他のコンテンツがある。PvPで強くなることこそ本作の大きな目的となっている。

 そのPvPでは、いくつかのコンテンツがある。MMOフィールド上に拠点が設定されており、攻城戦のように開催時期に拠点を巡って争い、この拠点を支配することで様々なバフ効果が得られる。陣地のどこを攻略するか、守るかで陣営全体の戦略が必要となる。

 さらにMO空間で行なわれる対戦もある。フィールドにいくつかある敵のタワーを破壊する対戦や、キャプチャーフラッグ形式で行なう対戦などのルールがある。これは決められた制限時間内でどれだけポイントを稼ぐか結果が判定される。

 PvPにおけるプレーヤーのメリットは様々なものがあるが「経験値」は大きいという。敵プレーヤーを倒せれば経験値が入り、レベルアップを目指せる。またPvPだけでしか得られない消耗品のドロップがあり、このアイテムを入手するという所も魅力だ。

 戦いに参加したり、敵を倒すことでポイントを得てそのポイントを使うことでアイテムが入手できる。この他、大規模戦においては勝つと一定期間バフが軍全体に掛かったり、アイテムが配布されるとのことだ。

 PvP以外の要素としては、ダンスが楽しめ、敵対プレーヤーとも戦闘せずに交流できる「エルカナクラブ」が「Scarlet Blade」の大きなウリだ。韓国ではみんなで並んでダンスをしたり、パフォーマンスを楽しむ人もいるという。ここではペットの経験値が通常よりも多く溜まるというゲーム的なメリットもある。またアイテムで特定の食べ物を食べるとスポットライトが当たるという仕掛けがあり、人気だという。

 このエルカナクラブは様々な可能性があると筆者は感じており、ゲーム内マネーをかけたポーカーなど、ミニゲームがあっても楽しいし、クリックすると転がるボールがあっても面白い反応が出そうだ。こういったアイディアを提案したところ、開発スタッフに話してみたいと答えてくれた。

【エルカナクラブ】
敵対プレーヤーともコミュニケーションができるエルカナクラブ

日本でも韓国のバランスを踏襲。外見・衣装のデザインコンテストも模索中

インスタンスダンジョンはよりよい装備を求めて入場する

 「Scarlet Blade」はかなりPvPに力を入れた作品だということだが、PvPに目標を集約していくMMORPGを、ネクソンは日本でどのようにアピールしていくのだろうか。ネクソン運用本部運用部運用2室ゲーム運用7チームの阿曽沼義典氏は「韓国の方針を踏襲する」と語った。

 韓国での本作のコンテンツバランスはそのままで、アピールも韓国でユーザーに向けて出していったものをなぞっていく。本作は「ストーリー」でも対戦を推奨するものになっているため、日本のプレーヤーも自然に対戦を行なっていくと予想しているとのことだ。

 日本からの提案は、表現などを抑えたり、セクシャルすぎるものをセーブするのが中心で、今のところ日本側からの提案や日本ならではの求める要素といったところは阿曽沼氏は控えているとのこと。むしろ韓国のオリジナルのセクシーさをできるだけ表現できるように注力している。現在まだ計画はないが、将来的にはWEB上でのコミックなど、キャラクター性を活かしたコンテンツを作ってみたいとのことだ。

 これらセクシーさを前面に出したキャラクターに魅力のある本作だが、阿曽沼氏は将来的にはキャラクターの外見や衣装をプレーヤーによるデザインコンテストも行なっていきたいとのこと。現在のエルカナのデザインは積極的なイメージがあるので、追加キャラクターはもっと内気で受け身な感じがあってもいいのではないかとも思っているという。

 今後の「Scarlet Blade」では“リゾート地”が追加される予定がある。ここはエルカナクラブのようなプレーヤーキャラクターがくつろげる空間だ。他にも“徒競走(かけっこ)”ができるミニゲームが追加される予定で、コミュニケーションが楽しめる要素を強めていくという。さらによりアクション性を強めたインスタンスダンジョンも予定している。

 日本のユーザーへのメッセージとしてチェ氏は「これまで日本でサービスできるように、たくさん準備してきました。たくさんの人に遊んで欲しいです」。ナム氏は「やはりPvPが楽しい作品だと考えています。戦場で相手に勝つ爽快感を感じて欲しいです」と語った。阿曽沼氏は「セクシーさのみに注目されがちで、そこに対して敬遠してしまう人はいるかもしれませんが、ゲーム性は本格的でしっかり作られているので、是非1度プレイしてみてください」と語った。

(勝田哲也)