EA、「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」プレビュー

「Burnout」の魂を受け継いだオープンワールドドライビングゲーム


9月20日~9月23日 開催(20日、21日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ1~8ホール

入場料:前売り1,000円、当日1,200円、小学生以下無料



 エレクトロニック・アーツの人気レーシングゲームフランチャイズ最新作「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」がついに東京ゲームショウで御披露目された。発売日は11月15日ともう少し先だが、開発はほとんど完成に近づいているようで、セガブースでも8台の試遊台によるマルチプレイを楽しむことができた。

 また、セガブースのメインステージでは、実機によるデモンストレーションも行なわれたほか、EAのクローズドブースでは、開発元Criterion Gamesで「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」のプロデューサーを務めるLeanne Loombe氏にインタビューすることもできた。本稿ではその模様をまとめておきたい。

【セガブース】
「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」はセガブースに出展している。試遊台は8人1組の総入れ替え制。一般公開日は長い行列ができそうだ



■ レースゲームの老舗Criterion Gamesが放つ「NFS」シリーズ最新作

ステージイベントやメディアインタビューに応じてくれた「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」プロデューサーのLeanne Loombe氏
久々のマルチプレイ特化型となる「モスト・ウォンテッド」
シングルではショートカット可能なルートの開拓が重要となる
「NFS」シリーズということで、ポリスとのカーチェイスも当然用意されている

 「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」の紹介に入る前に、予備知識として押さえておいてほしいのは、Criterion Gamesといえば、かつてEAが買収する前にCriterion Softwareと呼ばれていた時代はRender Wareと呼ばれるゲームエンジンを制作、販売する会社だったことだ。RenderWareを採用したゲームの代表作としては「Grand Theft Auto III」がある。そしてRenderWareを採用した自社開発タイトルが「Burnout」シリーズで、同シリーズのヒットにより一躍ゲームメーカーとしての地位を確立。その後EAに買収され、現在はEAのレースゲーム部門としてグループの一翼を任されるに至る。

 とりわけ人気を集めたのが2008年にリリースされた「Burnout Paradise」である。当時としては画期的なオープンワールドのレースゲームであり、広大な仮想空間の中で、レーシングよりドライビング、ドライビングより仲間との鬼ごっこが楽しいという、レースゲームの中では画期的なゲームデザインを採用していたことで知られる。

 この成功の方程式は、Criterion Gamesが開発した初の「ニード・フォー・スピード」である「ニード・フォー・スピード ホットパースート」(2010年)に受け継がれ、新世代のレースゲームエンジン「Chameleon」を採用し、広大なフィールドを舞台に「ニード・フォー・スピード」のテーマのひとつであるレーサーとポリスのカーチェイスに特化したゲーム内容で高い評価を集めた。

 そのCriterion Gamesが「Burnout Paradise」のノウハウをすべて注ぎ込んだ最新作が「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」である。何をしても構わないオープンワールドを舞台に、街を走りまくり、ショートカットを覚え、クルマを増やし、シングルプレイで蓄積したノウハウやクルマを、最大12人のマルチプレイに注ぎ込む。マルチプレイでは、短いタイムスケジュールで立て続けに“お題”が出され、それを上位でクリアすることでスピードポイントをため、終わった時点でスピードポイントが最も高かったプレーヤーが「モスト・ウォンテッド」になれ美味しい報酬が受け取れるというもの。クルマ好きなら絶対楽しめるオープンワールドレースゲームが「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」だ。

 Loombe氏へのインタビューでは、いの一番に「Burnout Paradise」との関連性について聞いたが、「よく聞かれる質問だが、『ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド』はあくまで『ニード・フォー・スピード』であり、『Burnout Paradise』とは何の関連性もない」と即座に否定された。実は「Burnout」の新作を作っているからなのか、過去の作品の模倣とみられることを良しとしないのか、この辺のニュアンスはよく分からないが、Criterion Gamesが「ニード・フォー・スピード」の最新作としてこのゲームを手がけていることは間違いないようだ。

 Criterion Gamesの思惑はともかく、「Burnout Paradise」と「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」との違いを軸に話を進めていくと、一番異なる点は、クルマの集め方だろう。「Burnout Paradise」では、レースゲームのセオリーとして、レースイベントに勝ち続けてライセンスをアップグレードする必要があったが、「モスト・ウォンテッド」ではそうしたステップはすべて排除され、クルマが広大なオープンワールドの中に巧妙に隠され、一定の条件を満たした状態で発見することで乗れるという、それそのものが一種のゲーム要素となっている。

 「モスト・ウォンテッド」では自宅のような要素はなくガレージもないが、一度見つけたクルマは、画面左上に配置された便利機能「EASY DRIVE」からいつでも乗り換えることができる。「モスト・ウォンテッド」では、ランボルギーニを筆頭に、ポルシェ、BMW、メルセデス、ドッジ、マクラーレン、アストンマーティンなど、実在のスーパーカーがずらりと勢揃いする。道ばたにこれらスーパーカーが乗り捨てられているのは、いかにもゲーム的な演出ではあるが、クルマの車種は50以上にもおよび、これらをひとつひとつ見つけていくのがシングルプレイ最大の楽しみとなるようだ。なお、フェラーリは登場しない。これは昨年、EAがライセンスを持つポルシェを、Microsoftの「Forza Motorsport 4」に登場させなかったことへのカウンターなのかどうかは教えてくれなかったが、少なくとも発売時点でフェラーリが実装されることはないようだ。

 クルマの挙動は、従来の「ニード・フォー・スピード」シリーズとも、「Burnout Paradise」とも異なる、リアルシミュレーション系のやや重い挙動となっている。スタッフに寄れば、実車データを取り入れてリアルにシミュレーションしているということで、とりわけ前作「ニード・フォー・スピード ザ・ラン」のどんな曲がり角もぐいぐい曲がれてしまうカジュアルな挙動とはかなり異なるため、前作のユーザーは戸惑うかも知れない。「ニード・フォー・スピード」シリーズは作品毎にデベロッパーが異なるため、グラフィックスのテイストもゲームエンジンもクルマの挙動も全部違うのが欠点だが、こればかりは慣れるしかないという感じである。

 その他の違いとしては、「ニード・フォー・スピード」シリーズお馴染みの「オートログ」の採用が上げられる。シングルプレイで遊んでいても、フレンドが自分のレースラップやスコアを抜くとリアルタイムで告知されるほか、オートログを通じて表示されるライバルの記録を抜くことで報酬も得られる。そうして抜きつ抜かれつを繰り返していくうちにドライビングテクニックも向上し、ポイントも稼げ、よりマルチプレイへのモチベーションが高まるという具合である。仲間内で1位を記録したフレンドのアイコンが、ゲーム内の至る所にあるビルボード(立て看板)に表示されるとイヤらしい仕様もユニークで、オンオフを問わず、常にライバルを意識しながらゲームを進めていくことができる。

 そして今回東京ゲームショウでもプレイできたマルチプレイモードは、最大12名で楽しむことができる。「Burnout Paradise」と同じようにオープンワールドに集い、ミニゲーム形式のバトルを繰り広げてもいいし、12台のクルマで街や峠を暴走しても良いし、ただ単に集まってボイスチャットで喋るだけでもいい。

 ミニゲーム形式のバトルは、チェックポイントレース、スプリントレース、チームレース、スピードテスト、チャレンジなど様々なバリエーションが用意されており、どれか1つではなく、一連のバトルの累計スコアを競う形となる。上位にはスピードポイントと呼ばれる独自のポイントが獲得できるが、このポイントは集合場所に早く集まったり、ライバルカーをテイクダウン(クラッシュさせる)させることでも獲得できる。勝手気ままに遊ぶより、全員で一丸となって遊んだ方が美味しいというルールとなっている。

 さて、本稿でたびたび繰り返しているように、「モスト・ウォンテッド」は、オープンワールドを舞台に、マルチプレイを主体としたゲームデザインを採用するなど、極めて「Burnout Paradise」に近いゲーム性を備えている。マルチプレイとオープンワールドは相性が抜群で、ライバルタイトルの「Forza Horizon」(Microsoft)、「TESTDRIVE Unlimited」シリーズ(ATARI)などでも積極的に取り入れられている。

 「モスト・ウォンテッド」はそれらの要素に加えて、シリーズ伝統のオートログや、最大12人という多人数プレイ、レースゲームでは実績のあるCriterion Gamesが開発していることなど、かなり競争力のあるタイトルに仕上がりつつある。さらに隠し球としてPS Vita版もあるなど、レースゲームファンにとっては楽しみな作品となっている。ぜひTGS会場に足を運んで、その目で確かめて貰いたい。

【「ニード・フォー・スピード モストウォンテッド」トレーラー】


【スクリーンショット】

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(2012年 9月 22日)

[Reported by 中村聖司]