「FIFA 13」エグゼクティブプロデューサー牧田和也氏インタビュー

前作に“不確定”なリアルさを追加。Wii U版ではさらなる楽しさも!


9月20日~9月23日 開催(20日、21日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ1~8ホール

入場料:前売り1,000円、当日1,200円、小学生以下無料



 エレクトロニック・アーツの大型タイトル「FIFA 13 ワールドクラスサッカー」は、東京ゲームショウ2012のセガブースで、試遊台を展開している。試遊台では、前半3分、後半3分の対戦が可能で、ビジネスデーでも多くの人が対戦を楽しんでいた。一般日にはさらに人気を博しそうだ。

 本作はゲームエンジンを一新し、大きく進化した「FIFA 12」をベースにさまざまな改良を加え、より本物のサッカーの試合に近いゲーム性を実現している。今回は、EAのクローズドブースで、EAバイスプレジデント兼FIFAシリーズエグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏と、「FIFA 13 ワールドクラスサッカー」のメインプログラマーを務めるEAカナダ シニアソフトウェアエンジニアの山下崇彦氏にインタビューを行ない、変更点を中心に、本作の魅力を聞くことができた。

 「FIFA 13 ワールドクラスサッカー」はプレイステーション 3/PlayStation Vita/PSP/Xbox 360/Wii U用サッカーゲームで、Wii U版が12月、その他は10月18日発売される。インタビューではPS3/Xbox 360版を中心に、Wii U版ならではの要素についても質問をぶつけてみた。



■ より現実的な戦いを可能にする5つの新要素、Wii Uならではの要素も

EAバイスプレジデント兼FIFAシリーズエグゼクティブプロデューサーの牧田和也氏
本作のメインプログラマーを務めるEAカナダ シニアソフトウェアエンジニアの山下崇彦氏
本田選手、長友選手といった日本人選手のモデリングは特にこだわっている。こういった部文も日本のユーザーへのアピール要素だ

 「FIFA 13」の大きなキーワードとなるのが「サッカーは想像もしないことが起こる」という言葉だ。想像もしない状況を起こし、試合を面白くする。それをどうゲームで再現していくかが今回のチャレンジだという。

 牧田氏は「FIFA 13」の大きな特徴として「Player Impact Engine」、「First Touch Control」、「Attacking Intelligence」、「Complete Dribbling」、「Tactical Free Kicks」という5つの項目をあげた。Player Impact Engineとはプレーヤー同士の当たり判定の新しい要素。選手の大きさ、パラメーター、そしてプレーヤーの操作で選手同士が様々な反応をする。

 ぶつかりかたでよろけたり、服を引っ張られて姿勢をくずしたり、つまずいたりする。前作では再現できなかった選手同士の接触による、より多彩でリアルな“変化”が再現可能になった。邪魔をする、抜けるといった駆け引きの勝ち負けを“当たり判定”で表現できるようになった。

 First Touch Controlとは、飛んできたボールを選手が受け取る時の表現の進化。前作ではどんなボールが来ても選手が完璧にトラップすることができた。このためパスワークによる試合展開が有利で、試合でもパスが中心でのプレイが多かった。First Touch Controlの導入により、来たボールに対してどう受けるか、ボールのスピード、また選手のパラメーターでボールの受け取りを失敗することもある。

 山下氏はディフェンスとオフェンスの関係において、このトラップのミスは大きく意味を持つようになったと指摘する。トラップのミスで浮いたボールをいかにうまく取るか、ここに距離を取ったディフェンスの有利な状況が生まれる。「FIFA 12」でプレッシャーを与える駆け引きは実現できたが、パスを回され回避されてしまう状況が多かった。First Touch Controlにより、山下氏の考える駆け引きの要素がさらに深まるという。

 Attacking Intelligenceはゲームの面白さをさらに大きくしていく作り込みで、CPUが「2手先」を考え、動いてくれるという。次にボールを受け取る選手を予測するだけでなく、その選手がボールを受け取った際に、その選手からパスを受け取りやすい位置に選手が走り込む、ということを実現するAIが実装される。このAIはシングルプレイだけではなく、マルチプレイでも機能する。「ゲームの面白さがさらに広がったと感じて頂けると思います」と牧田氏は語った。

 Attacking Intelligenceは各選手のパラメーターにより変化する。「FIFA 13」の選手は30項目のパラメーターで表現されており、オフェンスへの参加、戦術の理解度、フォーメーションや、指示などでも反応が変わってくる。ユーザーの指示ももちろん反映される。よりユーザーの要望に応えたゲーム展開になるという。

 Complete Dribblingはより現実のプロ選手に近い“フェイント”が可能になる。目線と全く違う方向にドリブルを行うことで相手を欺くテクニックで、シングルプレイでAIが引っかかるのはもちろん、マルチプレイでも、他のプレーヤーのタックルの方向やぶつかる方向が変わってしまうという。この駆け引きも選手のパラメーターで変化する。

 Tactical Free Kicksは誰がフリーキックを蹴るか、ディフェンスは審判の目を欺き壁を前出すということすらできる。当然審判にばれれば注意されてしまう。こういったぎりぎりの駆け引きも再現している。反対に前作から削ったのは、「パーフェクトな部分」。より不確定要素、アクシデントの面白さを盛り込んだ。「今回、サッカーゲームの深みは前回以上に表現できたと思います」と牧田氏は語った。

 そして今回の大きな追加要素が「スキルゲーム」。ゴールに的がでたり、フィールドにルートを設定する壁ができたり、様々な“チャレンジ”をクリアしていくミニゲームで、初心者はより正しいボールコントロール、選手コントロールを覚えることができ、上級者はさらに上を目指せる。テーマを設定しての“練習”が可能になるのだ。この練習をクリアすると、ゲーム内で様々な特典があるという。

 シングルプレイで楽しめる「キャリアモード」は、今回「インターナショナル」が追加された。国内だけではなく、国の代表として、世界と戦えるのだ。選手だけでなく、監督としても戦えるのは大きな魅力だ。インターナショナルのマネージャーになるには、大きなチームの監督を務めていたり、経歴が重要になるという。

 山下氏はゲームを開発しながら膨大なアイディアリストを作成していく。それはとても1年では実行不可能で、次作への課題になる。今作での5つの柱を含め、様々な点を再現している。「すごくやりたいことがたくさんあるんですよ。でも、きっちりできたものを届けたいのでやれることには限りがあるんですよね」と山下氏は語った。

 本作の開発には、「FIFA ストリート」からのフィードバックも大きかったという。「FIFA ストリート」も山下氏が手掛けており、「FIFA 12」のエンジンをベースに、ストリートサッカーという少人数での駆け引きを楽しめるゲームとなった。この作品では1vs1の状況が多く生まれた。この戦いを熱くするため、山下氏は様々なプログラムを盛り込んだという。その時に学んだ要素を「FIFA 13」に活かしているとのことだ。

 そして先日の任天堂の発表で電撃的に公開されたWii U版についても聞くことができた。Wii U版は基本的なゲーム要素は、PS3/Xbox 360版と変わらない。ここに「Wii U ゲームパッド」という新たな要素が加わる。Wii U ゲームパッドには選手の配置など戦術画面を表示することができ、タッチパッドで選手へ指示ができる点だ。このプレイは“親子”での遊びを想定していて、息子がコントローラで選手を操り、父親が指示を出す、というイメージだという。

 Wii U版では、Wii U ゲームパッドで選手への指示でのみの試合も可能な上、オンラインでのマルチプレイで、Wii U ゲームパッド+コントローラでの対戦も可能。Wii U ゲームパッドはシュートをするときの軌道を指で指示できたり、操作を簡略化させる要素も入っている。PS3/Xbox 360版にWii U ゲームパッドならではの遊びをプラスした作品になるとのことだ。

 もう1つ、アイテム課金として販売される「Ultimate Team」は「FIFA 13」でも販売される予定とのこと。レア選手などが入手できるパックで、引いてみるまでどんな選手が入手できるかわからない。「FIFA 12」のマッチングでは「Ultimate Team」の選手が入っているチームとそうでない場合はチームの力が差が出てしまっていたが、今作ではこの要素も考慮され、実力の近いチームでマッチングされるとのこと。

 最後にファンへのメッセージとして山下氏は「『FIFA』シリーズはようやく日本でも人気になっているという実感があります。僕も日本人なのでもっと日本の人に遊んでいただきたいですし、触ってもらえれば楽しさがわかってもらえると思います。凄く色んな技術で、色んな要素を詰め込んでいますし、本物のサッカーを見ることで、ゲームのこだわりがわかっていただけると思います。ぜひ、楽しんで下さい」。

 牧田氏は、「今回は特に“ライブ要素”に取り組んでいます。サッカーファンお方はゲームを遊ぶことで現愛サッカーはどんな状況にあるのか、どんな遊びができるのかわかるようなものになってきています。ゲームだけにとどまらないものになってます。触って頂ければ満足頂ける物になっています」と語った。


不確定要素がゲームの楽しさをさらに深くする。前作からさらにパワーアップした作品だ
セガブース内の「FIFA 13」コーナー。中央は、FIFAインタラクティブワールドカップ2012ジャパン・チャンピオン羽染貴秀選手。開催中ずっと対戦を受け付けるという。右は羽染選手と共に公式ページで初心者向け講座を担当しているモデルの斉藤香菜子さん

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(2012年 9月 21日)

[Reported by 勝田哲也]