ソニー、TGS2012限定仕様のHMD「PROTOTYPE-SR」を体験展示

SCEブースにHMZ-T2を大量出展!


9月20日~9月23日 開催(20日、21日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ1~8ホール

入場料:前売り1,000円、当日1,200円、小学生以下無料



「HMZ没入快感研究所」ブースイメージ

 ソニー株式会社は、「東京ゲームショウ2012」にて、「TGS2012」限定仕様のヘッドマウントディスプレイ(HMD)「PROTOTYPE-SR」を使った、新しいエンターテインメントの可能性を探る「公開実験」を開催している。「人はどこまで没入できるか?」をテーマに、新しいエンターテインメントの可能性を探るということで、4ホールのゲームのアイデアコンテスト「センス・オブ・ワンダーナイト」の特別企画ブース「HMZ没入快感研究所」において、この模様を閲覧できる。残念ながら体験可能者は事前応募で締め切られている。

 「PROTOTYPE-SR」は、10月に発売される「HMZ-T2」をベースに、ヘッドトラッキングシステムと、ライブカメラを内蔵したプロトタイプ。

 この実験は、独立行政法人理化学研究所 藤井チームが開発したSR(代替現実)システムにより、体験者にあらかじめ現実と同じ空間で撮影された「過去」の映像を「現実」の映像と差し替えて視聴させることで、過去と現実の区別をつかなくさせてしまうという実験装置を応用したもの。

 「PROTOTYPE-SR」とヘッドフォンを装着した体験者は、「PROTOTYPE-SR」のライブカメラからのリアルタイム出力映像と、過去に同じ位置から撮影した360度映像コンテンツを切り替えながら視聴する。360度映像コンテンツは、ヘッドトラッキングシステムとの連動により、自由な方向を見ることができる。この2つの異なる映像を切り替えて視聴すると、その区別がつかなくなり、非現実的な映像にリアリズムを感じられるという。

【同じ瞬間の写真】
ブース内の様子体験者の視点による現実の光景「PROTOTYPE-SR」による映像

 今回、株式会社サイバーコネクトツーの松山 洋氏が、この実験を体験した。ネタバレになるので、体験を予定している44名の方は、以下の箇所の閲覧は体験後にしていただけるようお願いしたい。

「PROTOTYPE-SR」が展示されているライブカメラ用のレンズの下に、ジャイロセンサーが設置されている体験ブース内には椅子があり、そこに座って映像を体験する
【松山氏の体験の様子】
体験者の様子は、体験ブース外のモニターで閲覧できる。HMDに投影されている映像が親画面、子画面には体験者の様子が映し出される。人が実際に立っていないのに、松山氏には立っているように見えている
撮影上体験時のリアクションを改めて別にポージングしていただいたが、これは決してオーバーリアクションではなかった

 体験後、松山氏に感想を聞いてみた。

「今回、あるきっかけがあって呼ばれて来たわけなんですけれども、HMZ-T1は昨年買ったんですよ。うちのスタッフも結構買っていて。HMZ-T1で「ついにここまできたか」という感想を持っていたんです。もともと「.hack」シリーズでも未来のガジェットとして、オンラインゲームをクラウドを使って遊ぶだけではなくて、より没入感のある、一体感のあるものを擬似的に体験するために、こういったHMDを設定としてやってきたんですよね」

「2002年に作り始めた「.hack」の作品世界のテーマは、ほんの少し先の未来。舞台設定的には2010年にしたんですよ。当時の我々からすると、HMDはすごい未来のツールで、当時はさすがに未来過ぎるんじゃないかと思っていたんですけれども、2011年にHMZ-T1が発売されたときも、我々の妄想を現実のテクノロジーのスピードが追い抜いているということを去年、今年と実感しましたね」

「そして今回の実験。これね、ただのHMDちゃうのよもう。本当に僕たちが夢見ていた拡張現実がもうすぐそこまで来てますよ。こんなのを体験すると、もうこれありきで何か作りたくなる。我々のものづくりとして、お客さんに体験して驚いて欲しいということがクリエイターの基本だと思うんですけれども、その大きいヒントが「PROTOTYPE-SR」にありますね。「すごい実験やってんなー!」と思いましたね。私いろんなアトラクションを体験しましたし、高いところとか好きで、いろんな遊園地やアトラクション、スカイダイビングも4回やってるので、こういったことは慣れていたつもりです。ソニーさんは事前に何も説明もないままこのブースでHMDをつけて、白衣の女性が来て……始まったら完全にやられたね。結構慣れているつもりでしたけれども、まさかここまでコロッといかされると思っていなかったですね。もう1回やりたいぐらいなんですけれども、2回目はおそらくクリエイターの目線で、「ここはこうなんちゃうかな?」とか、立ってみたりとかしちゃんでしょうけれども。これは大きいですね」

 と、ここまで一気に語った。さらに、

 「『ジョジョの奇妙な冒険』の第5部に出てくる「キング・クリムゾン」なのよ。あの体験を映像にするとこういうことか、ということをまんまとやられますよ。完全にスタンド攻撃を受けたかと思いました。すごいあれ」

 と付け足した。

 「クリエイターとして刺激を受けたとおっしゃいましたが?」という報道陣からの質問には、

「当たり前に映像を見ているなかで、たまにウソをつく。これがものすごく効果的なんですよね。最初から最後までウソの連発やったらあかんと思うので。1つ1つ相手を驚かすための演出を、どう日常のなかに挟み込んでいくのか、というのは自分としてもこのガジェットを使って、集中してもらうための映像を流しつつも、どこのタイミングでだますか、というところでツンツン刺激されました。ゲームでもやってみたいですね」

「今後、HMDに関する話題の口数が減るかもしれない。我々は本当に考えていることは言えないから。考えてないことは無責任に言えるけれども。今後、HMZ関連の話題を振られると口数が減るかもしれませんね」

 と、今後、ソフト面からもこうしたコンテンツに参画したい意向を示した。


■ SCEブースにて、HMZ-T2を使ったゲームの体験プレイが可能!

 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントブースにて、プレイステーション 3の新作タイトル「真・北斗無双」、「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」、「SILENT HILL:DOWNPOUR」(※)、「龍が如く5 夢、叶えし者」、「みんなのGOLF 6」、「God of War: Ascension(仮)」(※)、「BORDERLANDS2」(※)、「アサシン クリードIII」(※)をHMZ-T2でプレイできる。※印のタイトルは、HMZ-T2のみでプレイ可能となっている。

 現場のソニー担当者によれば、15分の制限時間きっちりプレイされる方が多いとのこと。没入感の高い映像でのプレイが好評のようだ。


(2012年 9月 20日)

[Reported by 佐伯憲司]