G-Star 2011レポート

【G-Star 2011】アイデアがいっぱい。韓国中小企業の注目タイトルをチェック!
韓国コンテンツ振興院がバックアップする次世代ゲームコンテンツ


11月10日~13日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人5,000ウォン
学生/子供2,000ウォン


 「G-Star 2011」の会場には例年、韓国コンテンツ振興院が選定したゲームが展示される「Rising Star」というコーナーがある。韓国コンテンツ振興院は、韓国の文化産業の振興発展をサポートするため、2009年に設立された公共機関。コンテンツ産業育成のための政策開発、人材育成、企画開発からグローバルビジネスサポートまで幅広い支援を行なっている。

 展示は「カルチャーテクノロジー事業」、「次世代ゲーム企業」、「Game of the Month」、「機能性ゲーム広報館」という4つのジャンルに分かれており、それぞれ数タイトルずつがプレイアブルで展示されていた。ブース内にはステージもあり、「G-Star」に関するクイズ大会などが開催されていた。また、韓国コンテンツ振興院が主催している「Smart Content 2011 Award & Conference」の受賞作もパネルで紹介されていた。ゲーム部門ではネクソンモバイルのiPhone用アプリ「MapleStory Cygnus Knights Edition」が受賞した。

 このレポートでは、それぞれの分野の意味合いを解説しつつ、展示してあったゲームの中から筆者が実際にプレイして注目したタイトルを紹介していきたい。

【ブースの様子】
会場には、ゲームのキャラクターが集合したイラストもあり、バラエティー感を醸していた




■ 脳波を感知するセンサーを使ったゲーム「BRAINNO」

 韓国コンテンツ振興院は、カルチャーテクノロジー分野のコンテンツを開発している企業に対して、経済的な支援や事業化のサポートを行なっている。2009年にはゲームエンジン、2010年には映像分野へと支援の幅を広げて、中小企業のオンラインゲームやモバイルゲーム開発を後押ししている。「カルチャーテクノロジー事業」コーナーでは、そんな支援の対象になっている技術が展示されていた。筆者が注目したのは「BRAINNO」と、「Tour de star」の2タイトルだ。

 SOSOという会社が開発した「BRAINNO」は頭に脳波を感知するセンサーをつけて、そのセンサーを使って微弱な脳波を感知し、考えるだけで画面を操作することができるというシステム。これはBCI(Brain Computer Interface)と呼ばれる技術で、SOSO社は2008年からバンダイナムコゲームスと共同で研究開発にあたっている。ブースではこの技術を使った中には、ろうそくの炎を左右に揺らしたり、スプーンを曲げたり、釣りをしたりするミニゲームを試すことができる。

 もう1つの注目作はCellbigが開発した「Tour de star」。エクササイズバイクをコントローラーとして使用する、体感型の「マリオカート」風レースゲームだ。ペダルをこぎながら手前のハンドルで車を操作し、ハンドルについたボタンでアイテムを使う。ブースでは2人の対戦プレイで遊ぶことができた。対戦はコースを1周する間に、途中に落ちているアイテムを拾って使用するのだが、勝手に走ってくれるゲームとは違い常に全速力でペダルをこぎながらのハンドル操作は予想以上に難しく、そのぶんやりこみ甲斐もあり、大人数で対戦をしたらきっと楽しいだろうと思えた。


【BRAINNO】
ペダルを漕ぐスピードが、そのままマシンのスピードに反映される。ハンドルの反応はかなりタイトで、カーブを曲がるときは速度やコース取りにも工夫が必要だ
【Tour de star】
頭にセンサーを付けた後、簡単なチュートリアルで練習してから本番のゲームをプレイする。思い通りに動かすのは、なかなか難しい



■ 済州島の名産品が実際に手に入るソーシャルゲーム「JEJUVILLE」

韓国随一のリゾートアイランド、済州島の名産品がゲームを通じて手に入る

 「次世代ゲーム企業」のコーナーでは、次世代ゲーム企業として有望視されている韓国内の中小企業が開発した10タイトルが展示されていた。

 これは次世代のゲーム企業のグローバル展開をサポートするために、京畿道(キョンギド)と城南(ソンナム)市の後援で設立されたグローバルゲームハブセンターとモバイルゲームセンターの会員企業の中から選ばれたタイトル。この2つのセンターは、スマートフォン、コンソール、アーケードなどマルチプラットフォームのゲームの開発者向けに様々な支援事情を行なっている。

 10あるタイトルのなかで筆者が注目したのは、Games Beaverが開発した済州島の名物を集めたローカル色の強い農場系ソーシャルゲーム「JEJUVILLE」。みかんや黒豚、牛など済州島の名物をゲーム内で育てると、済州島の生産者から本物の作物が送られてくるそうだ。


【BlitzLeague】
Game Gearが開発したソーシャルゲーム。第2次世界大戦の戦車を使った対戦が楽しめる
【KATANA】
DSが開発したスマートフォン向けのシューティングゲーム。次々に現れる和風の妖怪たちを、画面をドラッグすることで切り捨てる
【Ui2】【City of OZ】
Androidのスマートフォンを、テレビや球体のコントローラーとリンクさせてコントロールする、新しいコントローラー。開発はNeuroBallHabitusが開発している、現実の街の中に自分自身の街を作れる、新感覚のソーシャルゲーム。ユーザーは、HabitusのSNSを通じて、リアルワールドの情報をゲーム内で得ることができる




■ 2012年には4,500億ウォン市場に。成長中のシリアスゲーム

オットセイやイルカなど野生動物のキャラクターが地球環境の大切さを教えてくれる

 「機能性ゲーム」コーナーには、韓国のシリアスゲームを展示してあった。シリアスゲームとは、医療や教育などエンターテイメント以外の分野にゲーム性を応用したゲームで、世界中で研究や開発が進められている成長分野だ。

 韓国のシリアスゲーム市場は2009年には1,800億~2,300億ウォン。2012年には4,500億ウォンに成長すると予想されている。シリアスゲーム市場の中で最も大きなシェアを占めるのは教育用で、シリアスゲーム全体のなかで約5割を占めている。韓国コンテンツ振興院は国内外のシリアスゲームの情報を集めたポータルサイトを作成して、情報の共有を進めている。

 今回展示されていたタイトルもほとんどが教育系のタイトルだった。その中でも注目の「EcoFriendz」は、韓国NHNと国際連合環境計画(UNEP)、韓国コンテンツ振興院が3社共同で行なっているプロジェクト。韓国語、英語、中国語、フランス語、スペイン語の5カ国後でサービスされている、世界初環境教育シリアスゲーム。天候の変化で地球環境がどう変化していくかを、かわいらしいイラストのゲームで教えてくれる。




■ 未来を担う、韓国のゲームベンチャー企業の作品を選出

 「Game of Month」は韓国コンテンツ振興院が四半期ごとに「PC、オンライン、コンソール部門」、「業務用モバイル、その他部門」、「機能性ゲーム部門」の3部門にわたって選出しているアワード。選出された企業は事業支援を受けやすくなり、方向の支援やグローバルハブセンターの支援や、兵役特例企業の指定などメリットが多い。

 ブースにはDS用やソーシャルゲームなど、幅広い分野の10タイトルが展示された。Jammypotの「JammyDragon」は来年の干支、辰年にちなんでドラゴンを飼育するというソーシャルゲーム。ドラゴンを生む施設のレベルを上げることで、様々な種類のドラゴンを生み出す。ドラゴンは種類ごとに使える施設が決まっていて、その施設を作ってドラゴンを働かせながら街を大きくしていく。すでに韓国最大手のSNS、Cyworldでサービスがスタートしており、現在Facebookへのサービスも準備中だ。


【JammyDragon】
辰年にちなんだソーシャルゲーム。ドラゴンがプレーヤーを手助けして、街を発展させてくれる
【Social 航海は楽しい】
貿易商となって冒険をしながら、船室を飾ったり友人と対人戦で力比べをしたりできる
【Talklish New York Story】【Ninja Bounce】
英語学習教材を扱っているTalklishのPC向け英語学習ゲームソフト。ニューヨークを旅行しながら、シャドーイングを使って英語を学習できるJellyOasisが開発しているスマートフォンアプリ。赤と白の土台に忍者がジャンプするタイミングに合わせて、左右にある赤と白のボタンを押していく


(2011年 11月 14日)

[Reported by 石井聡]