G-Star 2011レポート

【G-Star 2011】韓国Neowiz、銃とナイフで戦うアクションゲームTPS「DIZZEL」プレビュー
ナイフを振り回しまくった試遊会と、開発者インタビューをお届け


11月10日~13日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人5,000ウォン
学生/子供2,000ウォン


 韓国Neowiz Gamesは、Windows版TPS「DIZZEL」をプレイアブルで出展し、Windows用新作MMORPG「EIN」と「BLESS」を映像出展した。「EIN」と「BLESS」はこちらのレポートで今回出展されたトレーラーなどを紹介している。

 このレポートでは、プレオープンβテストを今月15日に控えた「DIZZEL」を紹介する。「DIZZEL」は銃による遠距離攻撃とナイフによる近距離を組み合わせたTPS。ブースには8人対戦ができる試遊台が設置されており、今回はそこで試したチーム戦のインプレッションをお届けしたい。

 また、「DIZZEL」開発チームリードデザイナー、パク・セジュン氏に話を聞くことができた。「DIZZEL」の魅力や特徴、サービススケジュールや海外展開の予定などを語ってもらったので、それも同時に紹介しよう。

【ブースの様子】
8人のチーム対戦と「追撃戦」の試遊台が設けられた

【DIZZEL G-Star 2011 トレーラー】





■ 巨大なコンバットナイフを振り回して敵をぶった切る

筆者が使ったキャラクター。帽子がクール!
背中にはごつい斧を背負っている

 「DIZZEL」のキャラクターを見た時、真っ先に目につくのは、背中に背負った巨大な近接武器だ。彼らは未来の傭兵だが、その背中には、マシェットのようなコンバットナイフや、つるはしなど巨大な近接武器を常備している。

 このナイフと、3人称視点を生かしたアクションが本作の魅力だ。キャラクターの基本動作には体をかがめて素早くスプリントしたり、地面を回転しながら攻撃を避けたり、遮蔽物を乗り越えたりといったモーションがある。さらに、特定の条件で相手にとどめを刺すと、倒れた相手を踏みつけて頭上からとどめの弾丸を撃ち込んだり、キックで相手を吹っ飛ばしたりといった派手なフィニッシュアクションが発動する。

 武器はワンボタンでいつでも切り替え可能で、状況に応じて銃とナイフを使い分ける。本作のナイフは銃よりも攻撃力がある未来の武器という位置づけになっている。ナイフの攻撃は左クリックでコンボ攻撃が可能。右クリックを押すと、一瞬の貯め時間の後一気に敵との間合いを詰めて攻撃を繰り出すという「チャージアタック」が出る。

 本作には兵科のような概念はなく、代わりにキャラクター選択がある。どのキャラクターでも装備できる武器に差はないので、どの武器を選ぶかで役割が決まる。試遊では帽子をかぶったクールな兵士を使ってみた。背中の斧が凶悪そうだ。

 ステージはどこかの倉庫。かなり入り組んだ構造をしていて、相手の懐にこっそりと潜入するのに役立つ目立ちにくい通路もある。打撃感を重視しているということだが、マウスなのでコントローラーにあるような振動機能をつかった反動の表現はできない。代わりに銃を使った時の音の再現にかなり気合が入っているように見受けられた。普段は背後からのカメラで、精射モードでは肩越しの視点に切り替わる。

 敵が遠いうちは銃で周囲を警戒しながら進み、ある程度近づいて接近戦の可能性ができたらナイフの切り替えボタンに指が伸びる。敵を見つけた瞬間ワンボタンで切り替えると、そのまま躍り掛かる。たいていは2、3回振り回せば標的を倒せてしまうが、その後離脱するのは至難の業でたいていは自分もリスポーン地点にワープとなった。

 ナイフを振り回すというのは、FPSに慣れた韓国人の目から見ると「どうしてナイフを使うんだ?」という疑問が先に立つようだが、刀を振り回すゲームの多い日本人の筆者には、特に違和感は感じられなかった。むしろ銃を持っているよりも斧を構えて振り回しているのが楽しく、スプリントで敵のリスポーン地点に近づき、見つけた敵を急襲するのが楽しかった。

 また、グロッキーしている敵に対してとどめを刺すと、銃とナイフでそれぞれ違うかっこいいフィニッシュアクションが出る。自分が負けたときに出されると悔しさ倍増だが、自分のキャラでうまく決まるとかなりの快感だ。もちろんポイント的にもうまみがあるので、どんどん狙っていきたい。フィニッシュアクションだけではなく、射撃のアクションも、通常の移動アクションもいちいちかっこいい。今月からOBTが始まるという完成度もあって、今回出展されていたシューティングの中でも、ひときわ印象に残る作品だった。

ステージの倉庫には、隠れる場所があちこちにある。コンテナに隠れて見えないように敵のリスポーン地点近くまでいくことができる
敵と遭遇して接近戦になると、背中のナイフで攻撃する
射撃はスコープ視点、背中越し視点と通常の背中からの視点がある




■ リードデザイナー、セジュン氏にゲームの特徴と魅力を聞いた

「DIZZEL」開発チームリードデザイナー、パク・セジュン氏
「DIZZEL」メインビジュアル

編: ゲームとしてなぜFPSではなく、TPSを選んだのですか?

セジュン氏: 我々の求めているアクションと打撃感をプレーヤーが体感できるようにTPSを選択しました。FPSだと、例えば回避アクションを行なっても何をやっているか見えません。そこをビジュアル的に表現するためにTPSにしました。

編: ナイフを使った戦闘というアイデアはどこから生まれたのですか?

セジュン氏: シューティングの中でアクション要素をより目立たせるために企画されたものです。従来のFPSでは、ナイフは弾切れなど特殊な局面でしか使用しませんが、「DIZZEL」では突然の遭遇に使うだけでなく、遠距離の武器とも対等に戦えるよう企画されています。素早く相手に接近して、コンボ攻撃を入れる機能が付いています。

編: 試遊で実際にナイフを使って戦ってみましたが、近接武器なので相手に近づかなくてはならず、標的を倒したとしてもその直後に倒されることが多くありました。使いどころはどうしても限定されてくるのではないのですか?

セジュン氏: それはナイフの機能を使いこなせていないからでしょう。「DIZZEL」の舞台は近未来で、ナイフには銃と戦うために「チャージアタック」という特別な機能が付いています。キャラクターのHPも高く設定されているので、ある程度銃弾を耐えることができ、接近しやすくなっています。

編: 倒された後、一定時間「グロッキー」という状態になりますが、これはどういった状態なのですか?

セジュン氏: グロッキー状態の相手に攻撃すると、特別な攻撃モーションが出て敵にとどめを刺します。グロッキーの間に味方に助けてもらうこともできます。とどめ攻撃は、グロッキー中だけのものではなく、普通の状態でも「F」キーで発動しますが、その時にはまた別のモーションになります。

8人のチーム対戦と「追撃戦」の試遊台が設けられた

編: 近未来という設定ですが、何かマップなどに特別なギミックはありますか?

セジュン氏: 「G-Star 2011」では4つのマップを選択できます。近未来的なものもありますし、現代的なものもあります。本作のコンセプトは科学が進化した未来ではなく、現代をベースに特定の技術が発達したという設定です。

編: モードにはどんな種類があるのですか?

セジュン氏: オーソドックスな8対8のチーム戦のほか、「DIZZEL」ならではのモードとして「追撃戦」があります。これは近距離攻撃のチームと遠距離攻撃のチームを分けて戦うモードです。近距離チームは強化t-無で、通常よりも強く銃を持っている一般チームを追いかけます。一般チームが全滅すると強化チームの勝ち、強化チームが1人でも負けると一般チームの勝ちになります。勝敗は攻守を交代しながら4セット行ない、3セット先取で決まります。もし2対2になった場合は、5セットめに全員が強化チームになり、ナイフで殴り合いをするというラウンドがあり、そこで勝敗を決めます。

編: 試遊で、3つのスキルスロットがありましたが、どんなスキルがあるのか教えてください。

セジュン氏: スキルは最初は2つしか設定することができません。階級が上がると徐々に増えていきます。種類は、攻撃の強化、防御の強化、ライフル強化などがあります。使い方は、時間や特定の行動をしたときにゲージがたまっていき、いっぱいになるとスキルを1つ使うことができます。

【スクリーンショット】
TPS視点でクールなアクションを楽しめる

編: リアルな打撃感は本作の特徴と聞いていますが、そのために工夫したのはどのようなところですか?

セジュン氏: ただ派手なだけのアクロバティックな動きではなく、早く走ったり障害物を飛び越えたりといった実際の戦闘で使う動きをベースに作っています。また、攻撃されるとつけているパーツが吹っ飛んだりといった演出も入れています。音についても、打撃が当たった時には効果音を少し大きくして、はっきりと聞こえるようにしました。

編: 他のFPSにはない「DIZZEL」ならではの魅力はどういったところですか?

セジュン氏: リズム感とテンポのあるゲームプレイ。従来のFPSでは、いかに敵よりも早く標的を見つけてショットするかで勝負が決まりました。「DIZZEL」では、素早くスプリントしながら、遠距離がいいのか近距離がいいのか戦いの状況を判断して、敵を攻撃してグロッキー状態を作り、とどめをささなくてはいけません。攻撃に二重三重の手順があるので、その部分の楽しさがこのゲームの魅力なのではないかと思います。そんなリズムとテンポが他のFPSにはない楽しさを提供してくれます。

編: サービススケジュールを教えてください。

セジュン氏: 11月15日からプレオープンβテストが始まり、24日は正式OBTになります。ビジネスモデルは基本無料のアイテム課金なので、正式サービスは課金アイテムの追加からになります。こちらはまだ時期は未定ですが、それほど長くはかからないと思います。

編: 海外への展開について何か予定はありますか?

セジュン氏: 海外サービスは計画していますが未定です。今、パブリッシャーを探しているところです。

編: 毎年たくさんのFPSが登場していますが、「スペシャルフォース」や「サドンアタック」も相変わらず強いです。今後、韓国のFPSはどういう方向に進化していくと思いますか?

セジュン氏: 韓国でFPSゲームが出てからもうかなり長い年月が経ちます。そろそろ銃を撃つ以外の遊び要素を求めるユーザーが多いのではないかと思っています。グラフィックスや技術が進化するだけで、楽しみ方が変わらないのであれば「スペシャルフォース」や「サドンアタック」は超えられません。この「DIZZEL」を通じて、FPSのより多様なジャンルの変化や面白さの変化を期待しています。

編: ありがとうございました!


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(2011年 11月 13日)

[Reported by 石井聡]